今回は少し短いです
アオイを慰めた炭治郎は、次にカナヲに会う為に訓練道場に向かった。
「カナヲ、いる?」
「・・・」
道場に入るとカナヲは、道場の真ん中で正座をしていた。どうやら精神統一の修行をしているようで、炭治郎はそれが終わるまで待つ事にした。待つ事10分、カナヲはようやく炭治郎が道場にいる事に気が付いた。
「・・・炭治郎さん?」
「うん、久しぶりだね。元気にしてた?」
「はい、炭治郎さんも元気そうで良かったです」
カナヲは基本表情を変えない。いつも少しだけ微笑んでいるだけで、それ以外の表情を見た事がない。微笑んでいるにも、姉であるカナエとしのぶを真似しての事だろう。だが今日のカナヲはどこか冷たい感じがした。これもきっと俺が原因なのだろう。
「なぁ、カナヲ。修行は上手くいっているか?」
「はい。今は花の呼吸の修行をしてます」
カナヲは現在、カナエの継子であり、近いうちに行われる鬼殺隊の最終選別に向けて花の呼吸の修行をしていた。
「そうか。カナヲの実力ならまず受かるだろうね。全集中の常中も使えるんだし、周りの子と違って苦戦もしないだろうし」
「ありがとうございます」
やっぱり、今日のカナヲはどこか冷たい。そこで炭治郎はある提案をする事にする。
「なぁカナヲ。少し鬼ごっこをしないか?」
「鬼ごっこ、ですか」
「あぁ、機能回復訓練でやるような鬼ごっこ。カナヲがどれくらい成長したのか気になるから。だめかな?」
「いえ、私もしてみたいです」
「それじゃカナヲ、君が鬼だけど」
刹那、炭治郎の姿が消える。カナヲは周りを見渡すがどこにも炭治郎の姿が見えない。
「捕まえられるかな?」
「・・・!?」
炭治郎はカナヲの後ろに姿を現し、直ぐにまた姿を消す。
「早い・・・。姿すら見えない」
「どうしたのカナヲ。これじゃいつまで経っても僕のことを捕まえられないよ?」
「クッ・・・!」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
それから30分、カナヲは結局炭治郎に指一本触れることすら出来なかった。
「どうだった?僕の事捕まえられそう?」
「む、無理です・・・どうやっても、炭治郎さんに触れる事を想像することすら出来ません・・・」
「そう、僕とカナヲには圧倒的な差がある。それこそ、君と柱達と同じくらいのね」
「はい・・・」
改めて気付かされた。自分では足元にも及ばない、これではいつまで経っても炭治郎の横に立つ事ができない。カナエとしのぶの様に一緒に戦う事が出来ない、あの人を守れないと。
「だから待ってて欲しい。僕は簡単に負けないし、負けるつもりも無い。心配するなとは言えた口じゃ無いけど、信じて待ってて。必ず帰ってくるから」
炭治郎はカナヲの頭を撫でる。この手に触れられるのは一体いつぶりだろう。逞しくゴツゴツとした温かいこの手に。そうだ、炭治郎は強い。あの柱最強と言われる悲鳴 嶼行冥と煉獄 杏寿郎の二人にも引けを取らないと言われる程の実力を持っている。
「・・・」
「・・・カナヲ?」
「約束ですよ・・・」
カナヲは炭治郎を抱きしめた。確かに炭治郎が負ける事は十二鬼月の、しかも上弦の鬼でなければあり得ないだろう。だがこの世に絶対はない。万が一にも十二鬼月に出会ってしまったら?鬼に負けてしまったら?だが、それでも信じて待とう、そして自分を信じよう。いつか貴方の隣に立てることを信じて。
ただ今だけはあなたの腕の中だけでも・・・弱いままの私でいさせてください・・・
「・・・あと捕まえました」
「そうきたか」
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