ポケットモンスターHEXA BRAVE   作:オンドゥル大使

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第二章 六節「狙い撃つ、影」

 姿勢を低くして、テクワはスナイパーライフルを構える。

 

 ただし、通常のスナイパーライフルではない。銃の中央部にモンスターボールがあり、折り畳まれていたそれを組み上げると同時に、ボールの中から光が弾けて飛び出した。

 

 現れたのは直立したサソリのような体躯のポケモンだ。紫色で全身に棘がある。上半身と下半身を繋ぐ腰は細く、くびれている。頭部が大きく、頭部から直接腕が生えていた。口の端から白い髭が生えており、脚と身体をくねらせた。

 

「ドラピオン。奴さんはどういう調子かな」

 

 相棒のポケモンの名を呼んで、テクワは眼帯を外した。右眼の色は左眼とは異なっていた。湖畔の月のような蒼だ。照準を覗き込むと、ちょうど敵が現れてユウキがそれに応戦しているところだった。テッカニンを繰り出すが予定通り、デンチュラの網にかかったようだ。

 

「あーあ、やっぱりか」

 

 予想していた事とはいえ、その程度のトレーナーだった事に落胆を隠せない。

 

 テクワはスナイパーライフルの銃口を金髪の男に向けた。しかし、ライフルの銃口は閉じている。溶接されたように穴は塞がっていた。代わりにドラピオンが姿勢を低くして、突き上げて構えた尻尾から針を生成する。ドラピオンの眼が蒼く輝き、瞳孔が収縮する。ドラピオンの特性は「スナイパー」だった。対ポケモン戦においては急所に当たれば威力が二倍になる技だ。しかしテクワはそのような使い方をしなかった。ドラピオンが狙いを定める。ドラピオンの視界と同期した右眼が金髪の男の動向を見据えていた。マキシが動き、手持ちであるキリキザンがデンチュラ達を片付ける。

 

「いいぞ。そうやって戦力を減らしてくれ」

 

 キリキザンがテッカニンを解放し、ヌケニンと一瞬にして入れ替わる。これは想定外だった。ヌケニンの存在をテクワは事前に知らなかったのである。目を見開いて驚いた。

 

「なるほど。テッカニンの速度からヌケニンの特性を利用したローテーションの戦い方か」

 

 フッと口元を歪める。どうやらその程度のトレーナーと判断するのは早計かもしれない。ヌケニンがデンチュラの上を取る。これで形成は逆転した。金髪の男が逃げ出そうとする。その頭部へと狙いを定め、テクワは引き金を引いた。

 

 瞬間、ドラピオンから針が弾き出される。ドラピオンの放った針は、正確無比に金髪の男の頭部を貫いた。

 

「オーケー。ヘッドショット、ヒット。ターゲット1、クリア」

 

 事務的に告げ、次の獲物へと標的を変える。既に撃ち抜いた相手に興味はない。状況を呑み込めていない男へと狙いをつけ、引き金を引いた。ドラピオンから放たれた針が頭を射抜く。男の顎から先が飛び散った。近くにいた囚人服の男に血が飛ぶ。

 

「ヘッドショット、ヒット。ターゲット2、クリア」

 

 テクワは先ほどマキシが吹き飛ばした男へと照準を向けた。男は完全に気を失っており、止めをさす必要はなさそうに見えた。あとは囚人だけだが、テクワはそこでライフルから視線を外した。ライフルを折り畳むと、赤い粒子になってドラピオンが戻る。

 

 テクワは息をついて、ケースに仕舞いかけたライフルを裸で出す事に決めた。どうせ説明を求められるはずだ。ならばライフルを見せたほうが分かりやすいだろう。

 

 眼帯をつけ、立ち上がった、テクワがいたのは二階層分ほど高い屋根の上だった。階段を降りて、ユウキ達の待つ道へと向かう。暫くは両者共に動けないだろう。マキシが自分のやり方をユウキに話しているかもしれない。

 

「そしたら、手間が減るんだけどな」

 

 テクワは口元に笑みを浮かべて、鼻歌を口ずさみながら歩いていった。

 

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