人間に戻りたい狐。現在、奮闘中ッ!! 作:マッカーサ軍曹∠( ̄^ ̄)
「……デース」
「…………」(……めっちゃ見てる)
「……怪しいデス」
俺がマリアさんに飼われ始めてから1週間が経過した頃、俺はある失敗をしてしまった。
それは、マリアさんが珍しく俺を置いて何処かに行っている時に一生懸命二足歩行の練習をしている最中にそれは起こった。
そもそも何故、俺が二足歩行の練習をしていたのかは簡単に言えば前足が使えるようになれば物を運ぶことや、高い所の物を取れたり、何かと役に立つと考えて一生懸命練習をしていたのだが……いつこの部屋に入ってきたのかは知らないが、金髪の女の子がその練習している姿を見てしまったのだ。
「ただいま……って切歌じゃない。今日はどうしたの?」
「あッ!マリアデスッ!大変デスよッ!」
「大変って……わたあめなら少し前に飼い始めたことは前にも言った筈でしょ?もしかしてわたあめが何かしたの?」
「そんなことはマリアが毎日呟いてるSNSで分かってるデスよッ!マリアが最近あの狐と一緒に撮った写真ばかり投稿されてるデスからあたしだって触りたいデスよッ!……って話が逸れちゃったデース……」
……どうやら、あの金髪の女の子は切歌と言うらしいが、今はかなりまずい状況に陥っていた。
本来ならば、別に狐が二足歩行をしていても立った程度にしか思っていなかったのだが、今回はゲージから抜け出して頭にプラスチックのコップでバランスをとりながら練習している姿を見られてしまったので、俺はかなり焦っていた。
もし、これで俺が完全に狐ではなく、別の何かと勘違いされてしまえばまた動物愛護協会に連行されるか、解剖……もしかしたらそれ以上のことをされる可能性があるからだ。
「んん゛……し、仕方ないじゃない。わたあめが可愛いんだから……それで、切歌は何が言いたいの?」
「実はデスね……さっき、マリアの狐がプラスチックのコップで二足歩行してたデスッ!」
「キュッ!」(いや、違うだろッ!頭に乗せて練習してたんだよッ!その言い方だとプラスチックのコップが靴みたいに聞こえるだろッ!)
「プラスチックのコップで二足歩行……わたあめ、貴方随分面白いことやってるわね」
どうやら、あの切歌って子の言葉の足りなさによってマリアさんは勘違いをしているようだが、今はこの場を切り抜けただけマシだろう。
だが、この切歌って子はまだ俺のことを怪しんでいるようで──
「マリアッ!きっと、この狐は絶対に怪しいデスッ!」
「怪しいって言われても、わたあめは何もしないわよ?だって、ほら……こんなに可愛いじゃない♪」
「キュ、キュー……」(ま、マリアさん……くるじぃ……)
「……絶対に何かある筈デス」
俺はマリアさんに再びギューッと抱きしめられた状態の中で、この状況を何とかしようと考える。
いずれはバレてしまうのは仕方ないと思うのだが、今バレてしまってはきっと追い出されるのは確実となってしまう。
そうすれば、謎のローブの男達の情報を見つける手段がほとんどなくなってしまうだろう。
──ガチャ
「マリア、切ちゃんいる?」
「あら、調?」
「調ッ!聞いて欲しいデースッ!」
すると、マリアさんの部屋に新しい女の子が入ってきたようだった。
その女の子はどうやら調って名前の子なのだが、俺はその女の子を見た瞬間……いや、その匂いを嗅いだ瞬間とても懐かしいような匂いを感じた。
「えっと……切ちゃんどうしたの?」
「マリアが飼ってる狐がプラスチックのコップで二足歩行してたデスよッ!怪しいと思うデスよねッ!」
「キュー……」(いや、プラスチックのコップで二足歩行出来る狐がいる時点で確かに怪しいけど……それを流石に信じるか?)
「確かに怪しい……」
「……キュ?」(……マジ?)
「ほらッ!調だって信じてるデスよマリアッ!」
「え、えぇ……」
……何だか無理矢理感が凄いのだが、このままでは本当にまずい。
あの調って子が来てから話の流れが急に変わって、俺の立ち位置が危ない状況になってしまった。
このままだと……
「でも、切ちゃん……怪しいのは分かったけど、それからどうするの?」
「デス?」
「そうね。切歌、貴方わたあめが怪しいって思うのは別にいいのだけど、それからどうしたいのかしら?」
「え、えっと……それはデスね……」
「切歌?」
「……ごめんなさいデス。何も決めてないデス」
あまりの手のひら返しにびっくりなのだが……これは、大丈夫なのだろうか?
なんだか置いてけぼり感が凄いのだが、俺はとりあえずマリアさんの抱っこから抜け出して床に降りる。
「切歌……ちょっとお話をしましょうか?」
「あ、あわわ〜……た、助けて欲しいデスッ!調ッ!」
「……狐さん、お水いる?」
「キュ」(あ、いただきます)
「切歌ァッ!!」
「デ〜スッ!!」
次回狐、現在おさんどん中ッ!