人間に戻りたい狐。現在、奮闘中ッ!! 作:マッカーサ軍曹∠( ̄^ ̄)
「皆さん、一度車を止めたので少し待っててください。フロントガラスにいる狐を一旦この車に保護します」
「しかし、緒川さん野生の狐を触るのは危険かと」
「確かにそうですね。それでは念の為タオルで覆って保護しましょう……マリアさんそのカバンの中にタオルがあるので取っていただけませんか?」
「え、えぇ……分かったわ」
私達は本部に戻る為に車で移動している途中で急に上からフロントガラスにベタッと貼りついてきた何かに私や翼達はとても驚いていた。
しかも、貼りついてきた物……ではなく、その動物はさっきパーキングエリアのベンチにいた小狐だったからだ。
「お待たせしました。翼さん、この狐をタオルごと持ってていただけませんか?今から本部の方に行くので」
「分かりました。しかし、緒川さんこの子は……」
「本部の方で獣医を呼ぶように連絡しました。しかし、その狐の容態が不安なのでなるべく早く本部の方に向かいましょう」
「分かったわ。……けど、まさかパーキングエリアの場所からついてくるなんて思ってもみなかったわ」
「パーキングエリアだぁ?……ってことはよ、マリアはこの狐に餌付けしたとかやってねぇよな?」
「し、してないわよッ!」
「……怪しいな」
実際、もし私が何か食べれる物があれば食べさせていたかもしれないが、まさかこの車の上に乗っていたこと……それ自体が、完全に予想外だったからだ。
……もしかして、私のせいかしら?だとしたら──
「……今回は多分私のせい。後でちゃんと責任を取るわ」
「いや、マリアのせいではないだろう。気にすることはない」
「でも……」
「その話は後だ。まずは本部に行ってからじゃないと話にならないだろ?」
「……そうね」
そして、私達はなるべく急いで本部に向かう。
ちょっとしたアクシデントはあったけれど……あの子は本当に大丈夫かしら?
♬
しばらくして私達は本部に着き、中に入ると緒川さんが事前に連絡していた獣医がいたので、そのまま小狐を渡して診察してもらっていた。
ちなみに、今いるのは私とクリスだけで翼と緒川さんは今回の錬金術師の報告があったので、それぞれで分かれていた。
「ふむ……ウイルスは問題ないね。野生の報告にしては随分綺麗だし、外傷もないから大丈夫ですね」
「よかった……」
「いや、ウイルスが無いこと分かったけど、なんでこの狐は元気がないんだよ」
「あぁ、それなら──」
すると、その獣医の男性が取り出したのはまさかのキャットフードと水を取り出し、それぞれのお皿に入れて小狐の前に置いた。
……え、これだけなの?
「あの……なんでキャットフードと水を目の前に?」
「ん?あぁ、この子は単にお腹が空いているのと疲れているだけだから他は至って健康だよ」
「……病気はねぇのか?」
「もちろんさ。ただ、狐を診察することもかなり珍しいから少しだけ時間が掛かってしまったよ。では、失礼するよ」
獣医はそう言って、そのまま行ってしまった。
最初は、この小狐が命に関わるのではないかと心配していたのだが、どうやら空腹と疲れで横になっていることにホッとした。
よかったわね……けど、さっきからクリスが喋らないわね。
どうしたのかしら?
「…………」
「……ちょっとクリス?ぼーっとしてらしくないわよ?」
「ッ!?な、なんでもねぇよッ!」
「……ふふっ」
「な、なんだよ……」
「クリスもこの子に触りたいのよね」
「ち、違ぇよ……」
「顔に出てるわよ♪」
「ッ〜〜〜……」
私はちょっとだけクリスをからかった後、小狐が起きるまでクリスと一緒に雑談をしながら起きるのを待つことにした。
けれど、この子が起きたらどんな反応をするのかしら?……楽しみね。
次回狐、現在満腹中ッ!