人間に戻りたい狐。現在、奮闘中ッ!! 作:マッカーサ軍曹∠( ̄^ ̄)
「待ってッ!」
俺がこのまま連れて行かれそうになる時に「待って」と叫ぶ声が聞こえた。
司令って人が俺を持ったまま振り返ると、その叫んだ人物が誰なのかがすぐに分かった。
「……私に提案があるのだけど……その子、私が飼ったらダメかしら」
「飼うだと?」
「えぇ、私が飼えばその子は日本動物愛護協会に行かなくても済むでしょう」(ど、どうしましょう……あの子の悲しそうな顔を見たらつい勢いで言ってしまったわ)
「確かにそうだが……」
「なぁ、おっさん。マリアがこいつを飼うんだったらいいんじゃねぇか?」
(ッ!?い、意外ね……まさかクリスから後押しされるなんて)
「クリスくん……」
「私も同感です。嫌がっている狐をわざわざ連れて行くのも……その、私達の心にも多少なりの苦しさも感じますから」
(翼ッ!?貴方もなのッ!てか、そもそも私狐を飼う予定なんて考えて無かったのだけど……私、計画性ないわね)
「翼、しかし……」
すると、その司令って人は少し悩む仕草をして俺を見る。
しかし、それは俺にとって千載一遇のチャンスであることには間違いなかった。
もし、あの女性達の話が通ればもしかしたら日本動物愛護協会に引き渡されずに済むかもしれない。
なら、やるべき事は俺は分かっている……普通のペットや動物ならば長年連れ添ってきたペットや動物なら自分の飼い主の所に向かっていくだろう。
そう考えると、俺の場合はどうだろうか?俺は仮にも中身は人間なのだ。
なら、知識を絞ってこの状況を打破するしかない……なら、今の俺に出来ることは──
「キュ、キュ、キューッ!」(ふんッ!くっ……トォッ!)
「なにッ!?」
「キュ、キューッ!」(着地、からのダッシュッ!)
「ッ!マリア、狐が逃げようとして──」
「えッ!?ちょ、ちょっとッ!だ、ダメよッ!」
「キュ〜、キュ〜」(ペットになりますッ!いや、させてくださいッ!)
「……は無かったな。……しかし、マリアに相当懐いているのか?」
俺は司令って人から必死に腕の中から抜け出して、ピンク髪の女性の方に行って足元で愛らしい仕草を見せた。
これぞ、俺が考えた最後の手段……媚びる、である。
本当なら、俺はこんなプライドも羞恥心を捨ててやることではないのだが、今は仕方ない。
俺のガラスのメンタルは徐々に削れていくが、これ以上の考えは思いつかなかった……だって狐だもん。
「ダメって言ってるのに……もう、仕方ないわね」(これ、もう手遅れなんじゃないかしら……だ、ダメよ。まだ諦めたダメ……まだ方法はあるわ)
「キュ?キュー……」(え?ちょ……あ、やべぇ気持ちぃ……)
俺が一生懸命媚びている時にその女性が俺の頭をゆっくりと撫でる。
その撫で方はまるで……お母さんのような優しい撫で方だった。
「キュ〜……」(あ……この女性しゅごい……)
「ふふっ、可愛いわね」(な、なにこの子ッ!凄いふわふわしてて気持ちいわッ!しかも、そんな私にだけに見せる可愛い笑顔はやめてッ!私まで口がにやけちゃうからッ!……やっぱり勝てないッ!私は可愛いのには弱いのよッ!)
「……はぁ、緒川」
「はい、司令」
「狐はしばらくはこちらで面倒を見ると連絡しておいてくれ」
「分かりました」
俺が頭を撫でられている間にどうやら話しは決まったようだった。
今の話的にはもう日本動物愛護協会に引き渡しはなさそうな気がするが……これからどうしよう。
多分、俺はこの後この女性のペットとなるのだが、人間に戻る為の行動がかなり制限されたのは辛い……しかし、まだ諦めてはダメだ。
今は──
「どうかしら?気持ちいい?」(…やっぱりこの子可愛いわね。……この子を飼うのもいいのかもしれないわね)
「キュー♪」(最高です)
この俺に千載一遇のチャンスをくれた女性に感謝しよう。
次回狐、現在名前決め中ッ!