怪獣人類の英雄探求   作:ペンペン弐式

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オリキャラというより、オリ主のヒロインがでます。

では、三話をどうぞ。


再会 夢幻ノ騎馬戦

 

 

「おう、二人とも。お疲れじゃったのぉ」

 

一年生全員のゴールが確認されたころ、自身がゴールした後にようがあることを主審であるミッドナイトに話し少しだけ会場を離れていた龍鬼は、再び会場に戻り未だに息の上がっている緑谷と心操の二人と合流していた。

 

「緑谷。部分強化できるようになってたんだな」

 

「うん、本番でやるのはこれが初めてだったけど」

 

「やっぱ、最後の場面何時もの速さと違うと思うたのは気のせいじゃなかったか。一本取られたのぉ、よぉやったわい。イズク」

 

障害物競走の最後の場面、緑谷と心操の最後の場面。二人の勝敗を分けたのは、緑谷の個性によるものだった。

 

体育祭前の最後の三人での訓練を終えた体育祭の数日前、緑谷は自身の経験から四肢に一時的、自身の身体を破壊しない程度の現在の許容限度以上のエネルギーを手中させるための鍛錬を思いついた。

 

以前までは身体を壊し消耗することが多くあったが、龍鬼から力を入れる時はインパクトの瞬間が最も効果的というアドバイスを受けたことで、イメージが纏まり、そのことを中心に練習を重ねていたのだ。

 

「うん‼正直な話、もっと後にとって置くつもりだったんだけど。あの時は、無我夢中で」

 

実戦で試すのはこれが初めてであって、正直自分でもここまで上手くいくとは思っていなかったのが本音であった。だが、己の努力で成し得たことを友人二人からは手放しの称賛で讃えられ、照れながらそう答える緑谷。今までこういったことで一番という順位を取ったことが無く、こういう褒められ方をされてこなかった緑谷は何処となく気恥ずかしかった。

 

そうして、三人で会話をしていると緑谷を呼ぶ声がした。そちらの方を向いてみるとA組の生徒たちの何人かが自分たちの方に手を振りながら歩み寄ってきていた。

 

「ヒトシ、行くぞ。お近づきは、こん喧嘩終わった後じゃい」

 

「悪いな緑谷、また後で」

 

だがそれを確認するやいなや、龍鬼と心操の二人は緑谷から離れていった。緑谷は苦笑いしながらそれを見送った。二人の行動に対して不思議に思ったのかA組の生徒たちが二人のことについて緑谷に尋ねた。

 

「ねぇ、デクくん。あの人等って、普通科がウチらの教室に来た時の人等だよね」

 

「それにあのノッポのロン毛、アタシたちに喧嘩売りに来た時アイツの後ろにいた奴だ」

 

「うん、ホントはみんなに紹介して色々誤解を解きたいんだけどね……」

 

ヒーロー科、というよりもA組の面々は二人に対してあまり良い印象を持っていなかったので何処なく警戒した面持ちで自分たちから離れていく二人を見つめていた。

 

方や自分たちに喧嘩を売りに来て、方や自分たちを妨害し煽りまくっていたのだから仕方がないのだが。

 

「緑谷君、あの二人の個性。特に、背の高い男子生徒の個性は一体何なんだ」

 

「あ、それ俺も気になる‼スッゲぇかっこよかったもんな‼」

 

「私も私も‼」

 

「ケロッ。高速移動に加えて、仮想敵を一撃で粉砕するパワー。それに、炎も操ってたわよね」

 

「地獄鬼の如き消せぬ美蓮な焔、一筋縄ではいかないか」

 

「頭の中に直接声を伝えることができる辺り、テレパシーの個性もあるようだな」

 

「あの地雷原の中も、臆せず進んでいましたから。透視のような能力もあるのでしょうか?」

 

「何か、何でもありだねぇ‼」

 

「確かに、これじゃなんの個性か分かんねぇよな」

 

「オイら、あの野郎に髪燃やされたんだ‼あの野郎覚えとけよ‼」

 

「止めとけ峰田、ボコボコにされてお終いだ」

 

「ウ・・・ウン((・ω・`;))」

 

全員の反応はそれぞれだったが、やはり気になったのはあの二人。特に龍鬼の個性についてだった。自分たちの目の前で見せた圧倒的な実力、臆するよりもまず興味を持ったのがヒーローの卵たちらしい反応だった。

 

「ごめんみんな、ネタバレするなって龍鬼くんたちから言われてるから。ただ……」

 

「……ただ?」

 

去っていった龍鬼たちの方へと視線を向けて緑谷が口にする。彼は、ここにいる誰よりも強いということを。

 

 

 

 

 

 

 

つかの間の休憩時間も終わり、次の競技についての説明を受けた生徒たちは次の競技の為の作戦決めの時間に入っていた。

 

「次の競技は、騎馬戦による点取り合戦か。取り合えず、龍鬼は確定としてあと二人どうするか」

 

「普通科の連中も俺らを含めて突破できたんは、4人か。皆結構頑張ったんじゃがのぉ。一人はB組の連中に取られてしもうたし、どうしたもんか。ショーちゃんにも声かけようとも思ったが立ち回りを考えるとのぉ。アイツ、イズクに突っ込んでいくじゃろうから」

 

何人かで騎馬を組み、それぞれが第一種目の順位ごとによって決められたポイントの鉢巻きを騎手に首にかけてそれを奪い合うバトルロワイヤル形式の種目だ。因みに1位の緑谷のポイントは1000万ポイント。つまり、実質はそれの奪い合いになる。何処となくため息を吐きながら二人は騎馬戦についての話を行っていた。

 

「……あてがないことは無いんじゃが、彼奴が了承してくれるかのぉ。ちいと聞いてくるわ。ヒトシ、オドレは普通科のもう一人のもんをたのむわ」

 

障害物競走を突破できた46名。そして、現状他の科と交流があまりなかった龍鬼と心操の二人はチーム決めで非常に悩んでいた。正直な話、二人だけでも出来なくはないが、これはあくまでもチーム戦であり他の知らない生徒と組むことに重きを置いているため。二人以上で組むことが奨励されていた。

 

(……さて、どうしたものか)

 

個性の関係により心操が騎手をすることと、フィジカルの強い龍鬼が矢面に立つことは決まっていた。問題は後方の二人、両側面と裏面を守る人物。攻撃的な個性が相手側に多くいる為、動きが速い、若しくは防御のできる生徒が欲しい状況ではあった。

 

「ねぇ。C組の、心操くんだよね?」

 

そんな感じで迷っている心操に声をかける生徒がいた。声のした方へと心操が振り返ると、一人の女子生徒が立っていた。

 

「お前は、確かD組の。」

 

青く透き通った瞳と麗美な瑠璃の髪色。スマートな出で立ちとは別に何処か人懐っこさを感じさせる笑みを浮かべていた。

 

「天峯 唄手(あまみね うた)、よろしくね。障害物競争の時、僕たち普通科だけに見えるような目印を付けてたのって、君と蘇我くんだよね?」

 

そう言いながら、彼女は心操の方へと歩み寄ってくる。天峯の言葉の通り、龍鬼と心操は普通科の生徒に助力していた。龍鬼の力を使って、普通科の目にしか見えないよう特殊な印をつけて、障害物競走における最適ルートを示して一人でも多くの普通科が次の競技に進めるように仕掛けをしていたのだ。

 

少しでも多くの普通科の生徒に次の競技に進んで共に活躍して欲しいという考えがあったからだ。元々は龍鬼の考えであったが、心操もその話を聞いて同じ思いに至り二人で行っていたのだ。

 

「順位は45位とギリギリだったけど、あの目印のおかげで突破することできたんだ」

 

しかし、いくら助力があったとしてもやはりヒーロー科の生徒たちとの差は大きく、ほとんどの普通科の生徒が突破することができなかった。だがそれでも、天峯を含め二人の普通科の生徒が、辛くも突破することに成功していた。

 

「……礼なら龍鬼に言え、元々はアイツの考えだ」

 

「それでもだよ。二人の御蔭で、突破することができたんだ。本当にありがとう」

 

心操に向かって、天峯は頭を下げた。二人の作戦によって、自分は今この場に立てている。勿論自分の力もあったが、それでも二人の助力が無ければ、自分一人ではあの障害物競走を生き残ることができなかった。

 

「……あぁ」

 

真正面から受ける感謝に慣れていなかった心操は、何処かぎこちなくそう答えた。

 

「おう、ヒトシ。普通科の生徒は来たかいのぉ」

 

すると、龍鬼が心操の下に一人の生徒を連れて戻ってきた。だが、龍鬼が、天峯の姿を見た瞬間、彼の動きが止まった。

 

「……龍鬼?」

 

まるで世界が止まってしまったかのように固まった龍鬼。付き合いは短いが今までに見たことなかった反応をする龍鬼に戸惑う心操。

 

「……き、君が蘇我くん?」

 

そんな龍鬼の様子に何処か戸惑いながらも、天峯は彼の前に行って右手を差し出した。

 

「僕は、天峯 唄手。よろしくね」

 

優しく微笑みを浮かべて、天峯はそう言った。そして、固まっていた龍鬼は自分に向かって差し出された右手を見て、大きくを息を吐き肩の力を抜いた。

 

「……蘇我 龍鬼。よろしくな」

 

そして何時もの口調とは真逆の、硬い感じではあったがそれ以上に優しさが詰まった声で、龍鬼は天峯の手を優しく掴んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ララバイ、お前なのか」

 

誰にも聞こえぬ小さな声、だがその声には大切な何かが確かに込められていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再会 夢幻ノ騎馬戦

 

チーム決めの為の交渉と作戦のための相談の為に設けられた15分の時間も終わり、交渉の末に決まったそ12組チームがそれぞれの配置についた。

 

「悪いのぉ、ヒトシ。ホントじゃったらお前が騎手の方が筋なんじゃがのぉ」

 

「心操くんごめんね、ホントなら個性的に心操が騎手の方がいいのに」

 

「構わねぇよ。流石に女子に担いでもらう訳にもいかねぇし」

 

龍鬼たちのチームも変更があり、騎手は天峯が努めて心操は右翼側の騎馬に変更になった。

 

「マシラオもすまんのぉ、俺の我儘に付き合わさせて」

 

「気にしなくていいよ。天峯さんが上の方が返って軽くて動きやすいし」

 

「お、嬉しいこと言ってくれるね尾白くん」

 

そして、もう一人。左翼側を担っている生徒。特徴的な尾を生やした、ヒーロー科のA組の生徒の尾白 猿夫。龍鬼が心操の下に連れてきた生徒だった。

 

「それにしても、緑谷やエンデヴァーの息子以外にヒーロー科に知り合いがいたとはな」

 

「俺の方こそ驚いたよ、普通科がウチのクラスに来た時にまさかとは思ったけど。本当に龍鬼が雄英にいるなんて」

 

「マシラオとは中学の時に、武術の大会で知り合ってのぉ。それ以来の付き合いじゃ。マシラオ、雄英にいること黙っててスマンかったのぉ」

 

「事情があったんだろ、それに後で連絡先交換し直すし、今後は俺も緑谷と同じで二人の放課後の訓練に入るわけだから全然気にしなくていいよ」

 

尾白と龍鬼は中学の頃、とある武術大会に選手として出場している時に互いの対戦相手として知り合った。その時に色々と羽陽曲折あったものの、大会の後も定期的に連絡を取り合い、互いに武術に関しての技術などを高めあっていた。

 

「ヒトシ、格闘戦においてじゃあ間違いなく今のお前よりも強い。左翼側はマシラオに任せておけばえぇ。右は任せたぞ」

 

「……分かった。それで作戦だけど、ホントにさっきのでいいのか?」

 

「天峯の個性とヒトシの個性は似ちょるから、後半、俺の仕掛けが解けてから勝負じゃい。それまでは、連中の好きにさせればえぇ」

 

「龍鬼、ホントに俺たちは龍鬼の言う通りに最初は動けばいいんだよな?」

 

「ほぉじゃ。後半はマシラオと俺、そしてヒトシの肉弾戦。そいで天峯とヒトシの声、この二つがカギになる。他の奴らから全員、的にかけられるようになるからのぉ」

 

「……さっきも聞いたけど、蘇我くん?本当に、上手く行くの?」

 

先ほどの作戦時間に話し合った際にでた龍鬼の作戦。その作戦を聞いた際に、最初に三人が思ったのは、そんなことが可能なのかという疑問だった。

 

しかし、その場で龍鬼が作戦において重要になるある仕掛けを三人に試しに施した結果、それがはったりでは決してないということを驚愕と共に理解した。だがそれでも、あんなことをこんな大人数を相手にできるのかと未だに半信半疑であったのだ。

 

「胆焼くんは分かる。じゃけど、俺の仕掛けの範囲はこのアリーナなんて簡単にガッチリできるけぇ発動させさえすれば後は鴨じゃい。問題は、仕掛けが解けた後よ」

 

「龍鬼の規格外も、相変わらずだね」

 

「あ、コイツの壊れ具合。やっぱり、ガキの頃からか」

 

「……何か、さっきのや障害物競走の見てると容易に想像つくよね」

 

「おい、今俺を見てどう思ったか正直に言ってみい」

 

「「「常識破壊人(クラッシャー)」」」

 

「よし、オドレ等後で泣かす」

 

そんな感じで作戦を話し合っていると、主審であるミッドナイトの声がアリーナに響く。

 

「では‼これより、第二種目‼騎馬戦を開始するわよ‼全員、悔いの無いように‼」

 

カウントダウンが始まり、それぞれの騎馬がスタートダッシュを決めるために、臨戦態勢に入る。

 

「……ええか。1分じゃ、今は枷があるけぇ仕掛けするんにそんだけ時間がいる。最悪、タスキ奪われてもええけぇ、行動不能にならんようにしっかり気張れや」

 

龍鬼の言葉と共に、他三人の力が入る。そしてカウントダウンが終わると同時に、ミッドナイトによる開始の合図が響き渡る。

 

「それでは‼第二種目 騎馬戦‼スタート ‼‼‼」

 

凄まじい歓声がアリーナに響く。それと同時に、龍鬼以外のチームの殆どが緑谷のチームめがけて殺到した。この騎馬戦、一位を目指すのならば、前種目1位通過の緑谷の持つ、1000万ポイントの鉢巻きを取る必要があり実際の所、1000万ポイントの争奪戦であった。

 

「イズクは人気もんじゃのぉ。あんだけ、ようさん囲まれちょる」

 

「たかられてるだけだろ。つうか、緑谷のチームサポート科の奴もいるみたいだな」

 

様々な個性による攻撃が緑谷のチームめがけて殺到したが、緑谷は背中に背負っていた装置を使い上空へと上昇することで回避した。

 

「楽しそうだけど、僕アレ酔いそうだな」

 

「麗日さんや常闇も一緒なんだな、あのチーム結構手強いよ龍鬼」

 

全騎馬の内の殆どが緑谷めがけて殺到したため、スタート地点からさほど動かず戦況を眺めていた龍鬼たち。だがそれは、前方の方から押し寄せてきた巨大な氷結の波によって終わりを迎えた。

 

正面から来た巨大な氷結の波に向かって、焦ることなく龍鬼は蹴りを放つ。何とな無しに放った蹴りではあったがそれによって発生した衝撃波によって、目の前まで来ていた波は全て砕け散った。巨大な氷の波が砕け散るのと同時に観客席から歓声が飛ぶが、気にすることなく龍鬼は氷結の波が来た方へと目を向ける。

 

「いきなり挨拶じゃのぉ。イズクのとこ行かんでええんか、ショーちゃん」

 

龍鬼たちの騎馬から少し離れた場所、氷結の波が放たれた思しき場所に一組の騎馬が立っていた。

 

「お前のことほっといて、迂闊に行けるかよ龍鬼」

 

特徴的な紅白の髪色をし、右手に凍気を纏いながら龍鬼を睨みつける 轟 焦凍。龍鬼の小学生時代からの数少ない友人の一人であった。

 

「今のでさえ、いとも簡単に防ぐのか‼」

 

「どうすんだよ轟⁉お前のさっきの話がホントならアイツ絶対ヤバいって‼」

 

「心配すんな、防がれることぐらい最初から分かってる」

 

「どの道、私たちが一位で通過するには相手にしなければならない方たちですわ。怖気づいていてもしかないですわね‼」

 

氷結の波を放った騎手の焦凍や騎馬の一年A組の生徒たちは、鋭い目つきで油断なく龍鬼の方へと視線を向けていた。

 

「あらら、いきなり優勝候補の1年A組の面々が相手かぁ。これは厳しくなりそうだねぇ」

 

「な、何で棒読み。まあ、理由は大体分かるけど」

 

「おい、真面目にやれ真面目に。一応ここシリアスな場面じゃろうが」

 

「いや、あんなここにいる全員防げそうにない攻撃をただの蹴りで防いだら拍子抜けするだろ」

 

そんな剣呑な轟たちの雰囲気とは別に、いたって余裕を持って構えている龍鬼たち。だが、そんな余裕のある雰囲気であっても、轟たちはおいそれと龍鬼たちの鉢巻きを奪いに行けないでいた。

 

「ショーちゃん、どうしたんなら。テレビで放送できんぐらい顔が怖うなっとるぞ。スマイルじゃ、スマイル」

 

明らかに実力の差が如実に出ていたからだ。無理に懐に飛び込んで奪いに行ったとしても、鉢巻きを奪えるという結果を想像できず、逆に上手くいなされて自分たちの鉢巻きが奪われるように思えた。そして、実際にその考えが今の轟の攻撃を防がれたことによって確証になっていた。そして、騎馬の三人は作戦決めの時間の際に轟からある話を聞いていた

 

「轟さんの先ほどの話、嫌というほどそれが事実だということを突き付けられますわ」

 

「今まで、彼と戦って一度も勝てたことがない。信じたくは無かった‼」

 

「クソ‼何であんな奴が、俺らと一緒のヒーロー科じゃねぇんだよ‼」

 

そう、轟も個性を鍛えるために龍鬼と共に訓練を行うことがあったがその時の手合わせにおいて一度も龍鬼に勝てたことはおろか、傷をつけることさえもできなかったのだ。1年A組においても、戦闘力に関してはトップクラスである轟の言葉にある程度の衝撃は受けたが、龍鬼と対峙したことによって嫌でもそれが事実であるということを受け入れざるを得なかった。

 

「やっぱり、今からでも緑谷の方に行った方が良いんじゃ……」

 

「だとしても、彼らが僕らや他の生徒たちを妨害しない理由は無い‼」

 

「後ろから攻撃されて不意打ちを受けるぐらいなら、今ここで対処しなければ‼」

 

「飯田や八百万の言う通りだ。正直、アイツの不意打ち喰らってその後無事だとは到底思えねぇ」

 

他のチームと一緒で最初に緑谷の1000万ポイントの鉢巻き目掛けて行っても良かったのかもしれなかったが、どうあっても今自分たちの目の前にいる龍鬼たちのチームに奪われる可能性がほぼ確実である。それならば、最初の段階に対峙した方が後の場合でもリカバリーが効く。

 

「轟君。尾白君は兎も角、蘇我君や他の普通科の二人の個性は未知数だ。正直、小手先の技じゃ簡単に対応されると思う」

 

「轟さんの氷も防がれた所を見るに、多分上鳴さんの放電も確実に対応されると見ていいですわね」

 

「俺の電気もダメ、轟の氷も飯田の俊足もダメ。どうする、轟」

 

「……作戦通りに行く。どの道、成功しなけりゃ何やっても無駄だ。アイツには」

 

そう言いながら、轟は騎馬の一人である女子生徒。八百万 百の個性を使用して、一振りの両刃の剣を創造する。

 

「お?そん可愛い子が、マシラオの言っとった創る個性の子か。凄いのぉ、色々と」

 

「……キョニュウ、チチデカ、ボクノテキ、フ、フフフフフ」

 

「……何か凄い黒いオーラが垂れてきてるんだけど」

 

「真面目にやれねえな、これ」

 

今までの真剣な会話の流れを完全にぶち壊していた。だが、そんなことに崩されることなく轟は創造された剣を右手に握り冷気伝わせる。

 

「上鳴、頼む」

 

「おう‼任せろ‼後は頼むぜ、轟、飯田‼」

 

そしてそこに、騎馬である生徒の一人。上鳴 電気 の個性により、左手に持ち替えて握っていた剣に稲妻が纏われる。轟が軽く剣を振る度に、振るった方向の地面が冷気で氷結し、それが雷撃によって砕け散る。

 

「名前を付けるなら、雷凍剣って感じかのう。ガキが喜びそうじゃい」

 

「言ってる場合かよ、アレ喰らったらやべぇぞ」

 

その様を見ても、いたって平常心に振る舞う龍鬼。そして、轟はそんな龍鬼たちに向かって真正面から突っ込んでいく。

 

「お前相手に小細工は通用しねぇ‼けど‼」

 

「真正面からの複数の個性による同時攻撃ならば‼」

 

突っ込んでいくと同時に、轟は氷結によって自分たちの前方の地面。龍鬼たちの地面を瞬時に凍らせる。先ほどみたいにいなされると思っていたが、龍鬼たちは特にいなすようなこともせずそれを真面に受けて足元が凍り付く。

 

「いなさなかった⁉何故ですの‼」

 

「構わねぇ‼やっちまえ轟‼」

 

全員その行動に対して違和感を覚えたが、今更止まってもその隙を狙われると判断し一番前の騎馬である飯田 天哉の個性によって一気に加速して目の前まで詰める。

 

「……悪いな、ショーちゃん。時間切れじゃ」

 

あと一歩というところで、ふと呟かれた言葉。何を意味しているか分からずとも直感でまずいことになると理解した轟は龍鬼たちを直ぐに無力するために左手の剣を振り下ろす。

 

「朧術(おぼろわざ) 夢幻ノ祭(あとのまつり)」

 

 

瞬間、視界は白に染まり轟たちの意識は途切れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「常闇君‼後をカバーして‼」

 

「ダークシャドウ‼」

 

「アイヨ‼」

 

龍鬼と轟たちが対峙している頃、緑谷たちは押し寄せてくる騎馬の対応に追われていた。既に開始から10分以上経過しているにも関わらず、自分たちへの攻撃は一向に収まることなく続いている。

 

「デクくん‼これ以上はちょっときついわ‼」

 

「ベイビーたちもそろそろ限界ですぅ‼」

 

辛くも自分たちの鉢巻きは守り切っているものの、防御し続けたことによる疲労は直実に彼らの動きを鈍らせていた。

 

「くっ⁉残り時間はあと五分ぐらい、兎に角今は守り続けるしかない‼」

 

だが、そんな緑谷たちの狙いは当然ながら他の生徒たちも分かっていた。特に、緑谷の幼馴染である彼ならば尚更だった。

 

「っ⁉緑谷、伏せろ‼」

 

鴉を思わせる特徴的な顔を持つ生徒、常闇 踏陰の焦る声に咄嗟に反応した緑谷はすぐさま屈んで回避行動をとった。そして、彼の顔があった場所を凄まじい爆音と共に一人の生徒が通過した。

 

「か、かっちゃん‼」

 

「狡いこと考えてんじゃねぇぞ、クソデク‼」

 

1年A組の生徒にして緑谷の幼馴染 爆豪 勝己が凄まじい形相で緑谷の方を睨みつけながら自身の個性を使用して自分の騎馬へと離脱する。

 

「だから‼飛ぶときはちゃんと言えっての‼」

 

「うるせぇ‼俺に合わせろや‼‼」

 

「にしても緑谷の奴、あんだけ他の奴に責められてるのにビクともしねぇぞ⁉」

 

「USJの時よりも何か全体的にゴツクなってるよね‼」

 

10分以上、自分たちや他の生徒たちから集中的に攻撃を受けているにも関わらず依然として鉢巻きを奪えないでいることに爆豪たちを含め、他の生徒たちもかなり焦っていた。なので、生徒たちの中にはこの種目を通過するために緑谷たちへの攻撃を止めて互いの鉢巻きを奪いポイントを稼ぐ方へと舵を切る者たちも出始めていた。

 

「よし‼みんなが耐えてくれたおかげで混戦になってきた‼」

 

「一旦引くぞ、緑谷‼」

 

「あ、待てっ‼」

 

「逃がすかよ、クソデクゥウウウ‼」

 

だが耐えたことによって、今まで抜け出せなかった騎馬の包囲網に僅かに綻びが生まれる。そして、自分たちへの攻撃と目付が甘くなった隙を逃さず離脱しようとする緑谷たち。それを逃がさまいと何とか爆豪や他の生徒たちも食いつこうとするが、緑谷を攻め続けたことによって他の生徒たちにもかなりの疲労が蓄積されており思う通りに動けずに、遅れをとってします。

 

「ダークシャドウ‼」

 

そこへ間髪いれずに、常闇が自身の個性である影の化身を使用して他の生徒たちへと攻撃を仕掛ける。自分たちの鉢巻きを守るために、防御の態勢にはいるがそれによって動きが止まってしまう。その間に、緑谷たちは一気に距離を取った。

 

「や、やったよデクくん‼後は、このまま逃げ切れれば‼」

 

「残り時間は後2分ですね‼このまま逃げ切っちゃいましょ‼」

 

 

残り時間は、既に2分を廻っている状況。考えても、このまま逃げ切れば緑谷たちの1位での通過は確実であった。だが、緑谷自身はこの状況に関して違和感を覚えていた。

 

「どうした、緑谷?」

 

「おかしい、おかしいよみんな‼」

 

「ど、どうしました、1位の人?」

 

「……あまりにも、呆気なさすぎる」

 

そう、確かに自分たちは今まで嵐のような攻撃を他の生徒たちから受け続けそれに何とか耐えて奪われないようにしていた。そして何とか自分たちは、一度も鉢巻きを奪われることなく乗り切ることができた。だが、それだけだった。想定外のことが起こるといったことがない。そう、上手くいきすぎていた。

 

「……ねえ、デク君」

 

「……麗日さん?」

 

「……あの普通科の二人が見えへん」

 

その言葉を聞いた瞬間、緑谷の背筋が凍り着く。直ぐに自分たちの周囲全部見渡す。残り時間も少なくなってきたため、自分たちのポイントを増やそうと混戦の状態になってはいた。だが、その中に自分の見知っている、一番警戒しなければならない相手の姿が全くなかった。

 

「⁉しまった‼もうすでに僕ら、龍鬼くんたちの術中に‼」

 

違和感の正体何故今まで気づかなかったのか、意識が向くことが無かったのか。それすらも、彼の策なのだと緑谷は気付く。今の一度もこの騎馬戦が入ってから一番の強敵になり得るであろう友人たちに、一度たりとも攻撃を受けていなかったことを。

 

「おう、イズク。最初に気付くんは、オドレじゃと思うとったが。そこの可愛い子に先をこされてしもうたの」

 

頭の中に響く声、そして緑谷たちの視界が白に染まった。

 

「開(おはよう)」

 

短い言葉が紡がれる。声と共にガラスの割れる音が響き、白一色だった世界が砕け散った。その瞬間、眩い光が襲い緑谷たちを襲った。

 

「くっ⁉龍鬼くん‼」

 

あまりに眩しさに思わず目を瞑る。光の波が止まることなく緑谷たちを襲い、行動不能になる。そして、やがて光が弱まり徐々に視界が開けてくる。

 

「み、みんな‼大丈夫⁉」

 

「……何とか、何があったん⁉」

 

「無事か、ダークシャドウ‼」

 

「マブシスギルヨォ」

 

視界が戻ったことにより急いで状況確認を行う緑谷。何が起こったのか説明は付かずとも、誰がこの現象を引き起こしたのかは理解でき、直ぐに行動を取ろうとする。

 

「い、1位の人‼鉢巻きは何処に⁉」

 

「デクくん⁉鉢巻きが付いてない‼」

 

その言葉と共に直ぐに自分の額を確認するが、つい先ほどまで自分が身に付けていた鉢巻きが無くなっていた。そのことに、言葉を失う緑谷。だが、それは緑谷だけの話では無かった。

 

「何だ⁉何があった⁉」

 

「鉢巻きが無いぞ⁉何時取られた⁉」

 

「爆豪⁉お前、鉢巻きどうした⁉」

 

「るっせぇぇ‼‼こっちが聞きたいくらいだボケェ‼‼」

 

「急に真っ白になったと思ったら鉢巻きが消えてるノコ⁉」

 

「おい、物間‼‼何が起きたの⁉」

 

「僕が聞きたいくらいだよ、どうやらみんな鉢巻き取られてるみたいだね⁉」

 

自分たちの周囲を見渡せば、ここにいる全部の騎手の鉢巻きがきれいさっぱり無くなっていたのだ。全員、何が起きたのか訳が分からず大混乱状態になっていた。

 

「……緑谷、やられたぜ」

 

そして状況が呑み込めないでいるとふと自分を呼ぶ声が聞こえ、緑谷は後ろの方へと振り向く。そこには、明らかに疲労状態になっている轟たちの騎馬があった。

 

「轟くん、龍鬼くんたちは⁉」

 

「最初から、アイツの手のひらの上だったんだよ‼俺ら全員‼」

 

明らかに怒気を孕んだ顔で轟は緑谷よりも前の方向、自分たちのいる場所の反対側の方を睨みつける。それに連れて、緑谷も自分たちの前方へと顔を向けた。

 

「も~、これ全部巻けないよ。重いし、かさばるし」

 

「何なら龍鬼の角に巻いとけ、一応ミッドナイト先生にも許可は得てるし」

 

「こっからが、本番だね‼龍鬼‼」

 

視線の先、そこにいたのはこの場にいる全員分の鉢巻きを独占して顔色一つ変えずにこちらの方を見つめる龍鬼たちの騎馬の姿があった。

 

「おいどうなってんだ⁉何が起きた⁉」

 

「天峯って子以外の騎馬のポイントが0になってる⁉」

 

「それに残り時間が6分に増えてるわ⁉」

 

「なんだ、何を俺たちは見ていたんだ⁉」

 

そして、困惑しているのは自分たちだけでは無かった。自分たちを見に来ていたアリーナの観客たちも同じ状況であり、完全に取集が付かない状況であった。

 

「おう、目は覚めたかい。悪いが、目、晦まさせてもらったんじゃ。オドレ等のタスキ全部、今俺らがもっちょる」

 

再び頭の中に龍鬼の声が響く、今度緑谷だけではなく参加していた生徒全員の頭の中に。

 

「状況的に何されたかは分からんじゃろうが、まあ、事実だけ言うとオドレ等このままじゃ全員持ち点0になる。正直な話、時間いっぱいまで目晦ますことはできたんじゃが。それじゃ、つまらんじゃろう。のぉ」

 

そう、現時点において龍鬼たちの騎馬以外ポイントが無い状態。詰まるところ、龍鬼たちから奪わなけばこの競技を突破することはできない。それを踏まえた上での余裕の挑発であった。龍鬼の言葉に対して直ぐに全員がそのことを理解し、騎馬を立て直し龍鬼たちの方へと向け臨戦態勢に入る。

 

「まとめかかって来んさい。取れるもんなら取ってみい‼」

 

それが合図だった。騎馬戦の第二幕が上がり緑谷を含めた、11騎の騎馬が全員。雄叫びを上げながら龍鬼の騎馬目掛けて突貫した。

 

 

 

 

 

 

 

 




タイトルに怪獣が入ってるのに未だに怪獣っぽいことができてない主人公の価値とは一体……(完全に作者の力量不足)

ちょっと長くなりましたので騎馬戦は分けます。変な個所や誤字がありましたらご報告していただければありがたいです。

因みに、出てきた子のイメージはこんな感じです。身長は160㎝くらい、絶壁です。髪色が若干違いますが、脳内保管してくださいお願いします何でもしますから。



【挿絵表示】



では、また次回。因みにこれでも胸は盛ってm(・----------‥…-o_(・_-) バン!





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