怪獣人類の英雄探求   作:ペンペン弐式

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難産でした、本当に難産でした←毎回言っている

今回で心操くんのオリジンは終わりです。

ちょっとかなりオリジナル要素が入っているので気に入らなかったらバックでお願いします。

一応、この平行世界での心操くんということで暖かい目で見ていただければ幸いです。

あとがきに現状の心操くんの個性についてまとめておきましたので良かったら読んでみてください。

では、どうぞ。


動き出す者 ガチバトル 参 心操オリジン 弐

『さああああああAAAA‼‼一回戦最後の試合と行こうか‼その意外性と超パワーであの規格外に一矢報いた期待のヒーローの卵‼A組、緑谷 出久‼‼』

 

アナウンスするプレゼント・マイクのボイスによって会場のボルテージが上がる。一回戦の最初の試合と違ってその後は白熱した試合が続き、観客たちも多いに熱を帯びていた。だが、そんな空気に流されることなく、緑谷は目の前に対峙している友人を油断なく見つめる。

 

『対するはAAAAAA‼‼雄英の歴史に後世刻まれていくであろう規格外生徒の片腕にして普通科からの挑戦者‼‼C組 心操 人使‼‼』

 

そして、自分のことを警戒しながら見つめる緑谷に対して何処か落ち着いて、それでいて鋭い雰囲気で対峙する心操。その雰囲気を見て取れた観客たちは緑谷の時とは打って変わって観察するような目で見つめていた。

 

「……あの子が、あの怪物の片腕ね」

 

「何か、見た目はぱっとしねぇみたいだけど」

 

「ありゃあ、能ある鷹は爪を隠すってタイプって見たぜ。恐らく増強系の個性だろうがアイツの個性も今んとこ謎だ」

 

「実力もヒーロー科の連中と引けを取ってない。騎馬戦の時もあの化け物の動きに遅れることなくついて行けてたし」

 

「何か、今年の普通科の生徒は全員レベル高くない?さっきの天峯って子もそうだし、1種目や2種目で落ちた子たちも良い線行ってた子多かったし」

 

「今年の1年は全員、将来有望だな」

 

思い思い語る声も、今の二人には関係なかった。共に、短い間ではあるが切磋琢磨しそしてこれからもその関係は続いていく。だからこそ、負けたくない。その思いが確実に二人の胸中にはあったからだ。

 

「それでは、一回戦最終試合‼両者とも悔いの無いように‼‼試合、開始‼‼」

 

主審であるミッドナイトによる声と共に、試合の火ぶたが切られた。そして、最初に動いたのは緑谷だった。

 

(ワンフォーオール・フルカウル‼‼)

 

互いの個性は既にある程度把握済み。特に心操の個性は、自分が声を上げただけで致命傷になりかねない。その対策として、緑谷は短期決戦に持ち込むと予め決めていた。

 

個性を使い、身体を強化して一気に心操との間合いを詰める緑谷。それに対して、心操もアクションを起こす。

 

「身体は強くなる」

 

その言葉と共に心操の身体は隆起し、緑谷が間合いを完全に詰め込む前に緑谷の方へと逆に間合いを詰め迎撃の構えを取る。心操も自身の個性の欠点を緑谷を突いてくるであろうことをある程度予想しており、短期決戦に持ち込まれないように対応しようとしたのだ。

 

「SMAAAAAAASH‼‼」

 

「IMPACT」

 

二人の拳が試合場の中心で同時にさく裂し、緑谷の拳は心操の腹部に、心操の拳は緑谷左の頬にそれぞれ直撃し、鈍い音と共に衝撃波が観客を襲う。そして、相手の攻撃を真面に喰らった双方は自分が先ほどまで立っていた試合場の端まで吹き飛ばされた。

 

すぐさま立ち上がったのは心操の方だった。試合が始まった際にこういった展開になることを予め緑谷よりもイメージで来ていたこともあってぶつかった際の受け身を取れていた。すぐさま起き上がり今度は緑谷の方に一気に距離を詰めた。

 

(フルカウル、10%‼)

 

自分が間合いを詰められていると気付いたときには既に拳を振り上げた心操が目に入り、すぐさま両足に力を集中し、その場から思い切り飛び上がった。心操の拳により凄まじい音と共に自分のいた場所の土台は砕け散り破片が自身の方へ飛んでくる。それをいなしながら逆に足場にしてそのまま心操の頭上から力を集中させた踵を落とす。

 

心操も直ぐに対応し、直ぐに頭上で両手をクロスさせて防御の態勢に入った。緑谷の踵落としは足首の部分で受け止められ威力が半減するも、受け止めた心操の両足は会場の土台へと陥没していた。

 

「くっ、防がれた‼‼」

 

「悪いな緑谷、ここまでの流れは織り込み済みだ‼‼」

 

受け止めたことにより、多少は腕がしびれているもののお構いなしに受け止めた緑谷の足首を掴み取りそのまま緑谷の身体を力強く土台へと叩きつけた。一連の動作に防御する暇も無かった緑谷はその攻撃を真面に受けてしまう。

 

「ぐううううう‼‼」

 

痛みをこらえすぐさま緑谷は顔を前に向けるがまたしても心操が拳を構え、今にも自分に叩き込もうとする体制を取っていた。直ぐに両足に力を込めて、地面を蹴りだし離脱する緑谷。心操の拳による一撃はまた外れるが威力は絶大であり、飛び散った土台の破片が再度緑谷を襲った。

 

「僕も、負けっぱなしじゃないよ‼‼心操君‼‼」

 

緑谷は自分に飛んでくる破片と心操に向けてデコピンの構えを作り、そのまま指先へと力を集中させる。心操は共に訓練をしていた際に見たことない構えだったために後手に回らぬように防御の姿勢を取ろうとした。

 

「SMAAASH‼‼」

 

力を込めたデコピンによって巨大な力の余波が風圧と共に土台を抉りながら心操に向かって放たれた。初めて見る技、防御の姿勢を取ろうとしたが直撃すればまずいと直ぐに判断した。しかし、今更、回避をする余裕は無かった。

 

(喰らったら確実にヤバい。受け流しも回避も無理。なら‼‼)

 

防御の姿勢を解き、心操は強烈な風圧による攻撃に向かって個性で強化した体で勢いよく突っ込んだ。敢えて、勢いよく突っ込むことによって威力を相殺させ最低限のダメージで乗り切るのが狙いだった。

 

しかし、直撃した風圧は想定していた威力よりも数段上回っており、身体の至る所から嫌な音と共に痛みが走った。だが、それをものともせず技を放ってまだ受け身に入る途中である緑谷にいっきに肉薄する。

 

「IMPACT」

 

左の拳を緑谷に向かって放つ、咄嗟に防御の姿勢をなんとか取った緑谷ではあったが衝撃を全て受け止め切れず吹き飛ばされる。

 

(……行ける‼‼)

 

今が攻め時と判断した心操はそのまま一気に畳みかけようと追撃する。

 

(このまま受けたら、場外に出されて確実に負ける。だったら‼‼)

 

攻撃を受けた緑谷も直ぐに追撃がくると分かり、身体を強引にひねり何とか受け身をとり地面に着地する。が、衝撃を全て流せたわけではなくこちらも身体の至る所から嫌な音がした。しかし、そのまま立ち上がって右手の拳に力を集中させる。再び二人の拳が激突した。

 

「SMAAAASH‼‼」

 

「IMPACT」

 

防御の姿勢などなく、諸に相手の拳を受けて立った二人は再度自分たちが最初にいた場所まで吹き飛ばされる。だが今度は両者とも受け身をしっかりとれていたこともあり、直ぐに立ち上がって再び拳を交わらせた。

 

今までの予選の試合よりも更にレベルの高い白兵戦に対して、観客たちからは凄まじい熱気と共に熱い声援が両名に贈られていた。

 

「……すげえな、緑谷」

 

「USJの時よりも、段違いに個性の扱いが上手くなっているな」

 

「扱いだけじゃありませんわ、ちゃんと個性を扱った上での戦闘も十全にこなしています」

 

「それに緑谷だけじゃない、普通科の彼奴もその強くなっている緑谷と大差ないぞ」

 

「判断も鋭いよね☆」

 

「∑(=゚ω゚=;)」

 

そして、生徒用の観客席から今の自分たちよりも明らかに頭一つ抜けている二人の様子を見ていたA組の面々からは驚愕の声が上がっていた。

 

「緑谷がさっき言ってた話、蘇我って奴に普通科の彼奴と一緒に個性のこと色々アドバイスしてもらったって聞いたけど、効果あり過ぎでしょ」

 

「USJの一件からまだそんなに時間が経ってないのに、すっごい成長速度」

 

「耳郎ちゃんや三奈ちゃんの言うとおりね。USJの時から、そんなに時間が経ってもいないのに随分と差が開いちゃったわね」

 

雄英におけるヴィラン襲撃事件、USJ事件を経て自分たちA組は確実に強くなった。敵と自分たちとの圧倒的にあった差を埋めるために、全員が我武者羅に自分たちの目指すヒーローになるために努力してきた。この体育祭で、予想外のことはあったにせよ、確かに自分たちに実力がついていることを感じていた。

 

「……オイらも、彼奴に教えてもらったりしたら強くなれんのかな」

 

「……峰田、俺は雄英に入って初めて、お前からそんな真面目な言葉を聞いたぞ」

 

「おい⁉オイらだって一応ヒーロー科だからな⁉」

 

「だが、峰田の言うことにも一理ある。緑谷のあの成長速度。奴の教えが関係してるのは。紛れもない事実だろ」

 

「ねえねえ尾白くん、私も蘇我くんにアドバイス貰ったら強くなっちゃったりして‼」

 

「どんな方法になるかは分からないけど、確実に龍鬼なら葉隠さんに良いアドバイスをしてくれると思うよ」

 

だからこそ、自分たちの眼前で繰り広げられている戦いにレベルの差を感じていた。自分たちと同じクラスメイトである緑谷、そして全く条件が違うにも関わらず互角以上の戦いを演じている心操。そして、その両者を支え共に鍛えあったとされる龍鬼の存在。本当に、その全てが凄く感じ、同時に微笑ましくも思えた。

 

A組の面々が話に夢中になっていると、突如一際大きい歓声が会場に響いた。その歓声にふと試合に戻り、試合をしている二人に目を向ける。そこには、確かな一撃を心操に加えていた緑谷の姿があった。

 

(手応えがあった、今度こそ捉えた‼‼)

 

今までにない確かな手応えを感じた緑谷、だが既に緑谷の身体は満身創痍の状態に近かく自らの拳で倒れ伏せた心操に追撃することもままならなかった。

 

(ダメだ⁉両手も個性でボロボロ、足も最早立ってるのがやっと。次で、決めないと‼)

 

度重なる個性の使用と、それによる戦闘の影響もあって既に緑谷の身体は限界に来ていた。纏っている衣服も裂傷し、顔も息が絶え絶えの状況。最早、これ以上戦闘が長引くことは許されない状態。だがそれは、心操も同じであった。

 

(身体中から悲鳴が聞こえてくる。バフの長時間使用に、まだ身体がついてこねぇか)

 

緑谷が追撃してこなかったのを確認し、相手が限界が来ていることを把握するのは良かったがそれは自分も同じであった。自分の個性が強くなったことにより、本来の使用とはちがうことができるようになった。だがその個性自体にまだ身体が対応できておらず度重なる使用に加えて緑谷の攻撃によって身体中へのダメージは決して笑えないものであった。

 

「次で決めよう、心操君‼‼」

 

お互いの状態を察してだろう、最早次の技を打ち込むのが最後になると判断し緑谷が心操にそう叫んだ。そして、地に伏せていた心操もそれに応えるべく立ち上がった。

 

両者は再び構えを取り、次の一撃を持って相手を沈めるべく個性を身体に集中して行き渡らせる。この一撃で決める、絶対に負けたくな。そういった感情が両者の胸中を満たしていく。

 

「なあ、緑谷。お前は、どうしてヒーローになろうと思ったんだ」

 

だが突然、意気揚々と構えを取り臨戦態勢を取ったにも関わらずそんなことを問いかける心操。本当に急のことだったため緑谷は面くらった。同時に、彼の本当の個性を知っている以上罠かもしれないと緑谷は考えた。しかし、心操と眼があった瞬間、何時もにもない彼のその真剣な眼差しにそれはないと判断し自身に問われた内容に思いを馳せる。

 

「僕が、ヒーロ―になろうと思った理由……」

 

オールマイト、その存在が真っ先に緑谷の頭の中を埋め尽くした。幼い頃から、オールマイトという日本№1のヒーローに憧れてきた。彼の献身的な姿勢と、周囲に与える絶大的な安心感、何よりもどんな困難が立ちふさがろうとも決して諦めない、更に向こうへ(PLUS ULTRA)、という希望に。

 

自分もそういった存在になりたい。何時か、全てを守っていけるような、世界を救っていけるような、そんなヒーローになりたい。一度は、消えかけていたその夢がある出会いと共に目標へと変わった。だからこそ、誰にも負けられないし負けたくない‼‼

 

「ヒーローに、憧れる最高のヒーローに成るために。だからこそ、僕はヒーローを目指す」

 

決意と共に右の拳を空に向かって無意識に掲げた緑谷。その行動ともに観客席から歓声が上がる。称賛の歓声だ。惜しみない称賛に、緑谷は戸惑いながら何処か照れくさそうに謙遜した。

 

「……俺も、同じだよ。憧れちまったんだ、柄にもなく」

 

緑谷の回答を聞き今度は心操が握った自身の拳を見ながら静かに語り始める。

 

「俺の個性は、ヒーロー向きじゃない。どちらかと言えば、敵みたいだって何度も言われたよ。俺のことを、何も知らない奴らから」

 

思い出すは過去の自分、周囲からの情報だけで自分という存在を判断し自分自身を呪っていた過去。

 

「今の世の中、個性で全てが決まる。そいつ個人のことなんて二の次だ。表面上はみんな違う風に装っているが、結局は個性で全て判断される。なりたくてなったわけではない個性の奴の事なんか誰も気にしない。そいつが本当はどんな奴か、なんてな」

 

自身の個性故に、周囲から疎まれ、迫害され、孤独になった過去。だがそれでも、あがいてあがいてあがき続けて。それでも否定され続けて、何度も心が折れかけて。そういった今までの事が心操の頭を走馬燈のように巡っていた。

 

そして心操の言葉に、先ほどまで歓声が上がっていた会場が一瞬にして押し黙った。押し黙らざるを得なかった。心操から語られている言葉が、そして纏う全てが、会場にいる人の心をくぎ付けにした。

 

「だけど、ある奴が言ったんだ。 “個性の種別など関係ない。その全てが、お前自身なんだ。誰も存在を否定する権利なんてありはしない。一人の人間として、お前はお前で良いんだ”、そう言われて今まで自分が悩んでいたことが馬鹿らしくなってな」

 

「心操君……」

 

緑谷は知っていた。心操自身が自分の個性に対して劣等感を持っていたことを。共に切磋琢磨する中で何時も皮肉めいたことを言っておどけてはいたが、その心の傷は緑谷にはきちんと伝わっていた。そして、そんな心操を誰が支えていたのかを。

 

心操が会場のある場所に視線を移し、それに合わせて緑谷もそちらの方へと視線だけを移した。会場の端、未だにその表情は窺い知ることができないが、しっかりと自分たちの戦いの行く末を見届けている龍鬼がそこにはいた。

 

「そして、そいつは俺に言ってくれた。“弱さは誰にでも存在する、大切なのはそれを受け入れられるかどうか。そこからが、始まりなんだ”ってな」

 

心操の纏う雰囲気が変わる。身体全身の筋肉が隆起し、その眼に確かなる力が宿る。それを合図に緑谷も自身の個性を発動させ構えを取った。会場の空気が震える。二人の圧によって。そして、心操はあらん限りの声で叫ぶ。自分という存在が、この世界にいることを証明するために。前に進むために。

 

「確かに俺の個性は敵みてぇだよ‼‼そこは、俺の弱さかもしれない‼‼だけど、その弱さを‼‼今までの自分の全てを受け入れ、共に前に進むと覚悟を決めた時‼‼弱さは‼‼自分の中で何物にも勝る強さに変わる‼‼俺は、憧れたそれに成るために‼前に進む‼‼今までの全てしょい込んで‼‼共に‼‼」

 

友に言われた、言ってくれた言葉に覚悟は決まったのだ。今までの弱い自分と共に、この洗脳という個性と共に、一緒になって目指す。憧れのヒーローになるという、目標に向かって。

 

「こっちに来い」

 

大きく右腕振りかぶりながらそう言葉にする心操。するとどうだろうか、まるで緑谷の身体が磁石で引き寄せられるかの如く心操の方へと凄まじい勢いで引き寄せられる。

 

(なんで⁉返事をしても無いのに、身体が勝手に⁉)

 

心操の本当の個性は知っていた。洗脳という、相手が返事をすれば発動し意のままに操る対人戦における強力な個性。だからこそ、その対策も熟知していた。その筈だった。だが、今の自分の状態は明らかに心操の個性によるものだというのは直ぐに理解できた。

 

「受けてみろ緑谷‼‼これが、俺のとっておきだ‼‼」

 

掛け声と共に、心操の右腕が先ほどまでよりも一回り隆起した。受ければ確実に負ける、誰でなくてもそう判断する程の一撃が来る。緑谷は、何とか身体を動かし迎え撃とうする。しかし、心操の個性によって上手く身動きが取れなかった。

 

(負ける、このままじゃ。ここで、終わる)

 

世界がゆっくり動くのを感じた。今までの努力が、期待してくれた人への願いが、自分を救ってくれた人へ思いが、その全てが無駄になるように思えた。ここで、終わりたくない。ここで、挫けたくない。ここで、ここで。

 

(ここで、終わりたくない。負けない、負けたくない、負けるもんか‼‼)

 

更に向こうへ。自分の成りたい、目指すその場所に辿り着くために。そして、その思いに緑谷の個性が叫びを上げて応えた。全身から歪な音を立たせながら、今出せる限界点の向こうへと個性の出力が上がる。

 

(フルカウル、20%‼‼)

 

引き寄せられる僅かな時間の間に、自身の個性を許容限界を超えて使用することによって心操の個性を強制的に解除する緑谷。身体は既に限界。だが、それに構うことは無かった。そのままの勢いと共に心操へと肉薄し今度は拳にではなく右足へと力を集中させる。

 

自身のとっておきである個性が解除されたことに、多少の驚きはあった心操。だが、元々未完成の状態で使用する初めての必殺技。いくらとっておきとはいえ、この程度のことは想定の範囲内であった。心操も、緑谷を迎え撃つべく左足を大きく前に踏み出した。

 

そして、お互いの意地をかけた一撃が会場の中央で交わった。

 

「SMAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAASH‼‼‼‼‼」

 

「IMPACT」

 

交わった攻撃の余波により会場全体に衝撃波が波及する。すかさず観客を守るべく監督官であったセメントスが自身の個性を使用して巨大な防護壁を作り出す。だがそれでも、その余波によって分厚い壁の全てが無残に砕け散る。飛び散る破片の処理などを会場に来ていたプロヒーローたちが必死になって行った。そして、あまりの衝撃に会場にいた一般の観客は後ろの方へと倒れこんだ。

 

騒然とした会場。未だに中央では土煙があがり試合をしている二人の状態は確認できなかった。

 

「……心配するな。奴らは冷静だ、まったく終わったら二人とも特別指導だな」

 

会場の雰囲気を他所に、そう語るイレイザーヘッド。そして、漸く晴れた土煙中には、地に倒れることなく未だに立ち続けている両者の姿があった。しかし、両者とも既に戦えない状態だった。衣服も身体もズタボロ、立っているのが不思議なくらいであった。

 

両者は未だににらみ合ったまま、会場は静寂に包まれている。そして、そんな中で心操が右手を上げて言葉を発する。

 

「ミッドナイト先生、棄権します」

 

目的は達せられた。自分という存在が、ここにいるという証を立てることができた。前へ進むという覚悟を示すことができた。心操は、満足だった。

 

「そこまで‼‼勝者、A組 緑谷君‼‼」

 

割れんばかりの歓声が両者に注がれた。二人が示した、その意地が世界に知られ受け入れられるかの如く。未だにことの状況が分からない緑谷。戸惑っていると、何時の間にか隣に心操が来ており、自分の左手を掴み会場に向かって掲げた。

 

会場からは再度、大きな歓声と共に溢れんばかりの称賛が沸き上がった。そして、その状況に緑谷も漸く我に返り、心操と共に両手を掲げて観客に向かって感謝の意を示した。そして、そんな二人を会場から見ていた龍鬼も惜しみない称賛を贈った。

 

ここに、新たな最高のヒーローの誕生を予感させる日に巡り合えたことに観客からは再度、割れんばかりの歓声と称賛が贈られるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そうですか、地下世界にもありませんでしたか

 

いえ、以前この世界に来誕した際にそれは確認済みです

 

この日ノ本に玉はありませんでした

 

……ありえません

 

玉があるのは始まりの地であるこの星だということは大界における平行世界群の中では決まり事であり間違いはないはずです

 

そのことは、御身がよくご承知の筈

 

……真ですか、その話?

 

いえ。私自身も、その痕跡があるのは確認して一応は推測を立てていましたが

 

そうですか

 

その話が確だとするならば

 

玉は揺り籠の大陸に

 

門は恐らく日ノ本の何処か

 

では大和の末裔と共に捜索を試みます

 

多少の障害は予想されますが

 

実力を持って排除します

 

よろしいですね?

 

承知いたしました

 

それと申し訳ありません、王よ

 

私からも1つよろしいですか?

 

はい、その件です

 

記憶が戻り、己の役目を思い出し王と再会して2か月

 

未だに記憶の欠落している部分が気にはなりますが

 

当初の予定通り、候補は無事見つけました

 

育成は順調です

 

正直、私が導く者としての役割をきちんと全うできているかどうか不安ではありますが

 

……ありがとうございます

 

王からそう言ってもらえるならば、私もやりようはあります

 

しかし

 

先ほどの話を聞くまでは、はっきし言って余りに脆弱すぎるし早計だと思っていました

 

先人たちの期待も分からなくもないのですが

 

だが王の話が真だとするならば

 

持ち越された力如何によってはあるいは…

 

しかし解せません

 

我々の考えが真であるとするならば、その行いは界にとっては禁忌以外の何物でもありません

 

在りしモノの流れを敢えて止め停滞を招くことになる

 

行いをできる存在は礎ノ獣たちや王以外には……

 

そんな馬鹿な⁉

 

確かに彼の者ならばこの界に手を加えた可能性は十分にあります

 

しかし、かの者がこの界に過去にいたとするならば、私が最初に来誕した時点で気付いている筈‼

 

……いえ、過去に来誕した際に地下世界の守人たちからそんな話は一度も

 

……隠されていた?何故です?

 

そもそも彼の者が過去にいたとするならば、私が来誕する必要も王が御降誕することも無かったはず

 

……そう、ですか

 

だけど、それならば尚更急がなければ

 

私が以前討滅したことによって奴らの道は完全に滅しはましたので

 

奴らが再びこの界に来るということはない

 

だとするならば、この界と玉を欲している存在は限られてきます

 

戦までの猶予は、そう残されてないと見て相違ありませんね

 

怪獣を集める必要があります

 

勇ましき者の力も現時点では未知数です

 

今のあの子たちの状態では戦の時に己の存在を保つことすらままなりません

 

加えて現状の所、こちらの怪獣は王と私だけ

 

正直これだけでも問題はありませんが、今後の事と万全を期するためにも

 

ある程度数を揃える必要があります

 

それに

 

王は彼の者との2万年前の破守戦争で負った傷や失った力が未だに万全ではない

 

そして候補はいるものの、彼女は未だ目覚めていません

 

……隠したところで王には全てお見通しですから

 

王の言う通りです

 

はっきり言いますと私はあの子を我々の戦に巻き込みたくはありません

 

あの子は漸く嘗て抱いていた夢の為に一歩踏み出している最中

 

それなのに我らの戦に参加させるということは

 

再び重荷を背負わせることになります

 

しかし

 

この世界に私と同じ機会で生を受けた時点で

 

運命が彼女を試そうとしている

 

戦は避けられません

 

先人たちもそれを見越して抗わせるために私とあの子と引き合わせた

 

目覚めの時がこの界でというならば

 

それならば

 

私はあの子にできる最大限のことをやるまでです

 

ではまた科学島の祭りの際に

 

王 …  

 

怪獣たちに

 

在りしモノに夜明けを

 

 

 

 

 

 

 

 

 




心操 人使 個性:洗脳から洗脳・強制・暗示

オリ主の力によって大幅に魔改造されたご存じ普通科のイレイザーヘッドの後継者。個性が進化したことによって洗脳が大幅に強化、というか別物に昇華する。以下にその特性及び技を纏めます。

・自己暗示強化
通称 マインド・バフ。自分自身に暗示をかけて肉体に宿る潜在能力を引き出し強化する技。未だに心操の身体がこの技についてこられておらず限界時間が短い(約5分ほど)。また個性使用後に身体を無理やり強化したことによる反動として筋力・行動力・体力、などの低下が存在する。
・MIND IMPACT
自己暗示強化時に放たれる心操の必殺技。強化した拳や蹴りを見舞うことで、鉄筋コンクリートすら砕く力を発揮する。また、それによって生じる衝撃波と圧も強力。
・強制
自分の声を聴いたものに、有無を言わさず行動を強制させる文字通りの必殺技。未だに完成しておらず、相手の意識までは掌握しきれていないが技が完成すればとても凶悪な技になる。



こんな感じで登場人物たちの個性を今後纏めていこうと思いますので、よろしくお願いします。

では、また次回に。



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