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ではお楽しみ下さい。
※コレは問題があり削除した物を修正した物です。
(オールマイト・・・それが私が考えたヒーロー名だ。全てを救える象徴的なヒーローに、ウルトラマンさんが言っていた様なヒーローになりたいと思って付けた名前だ)
『限界だーって感じたら思い出せ、何の為に拳を握るのかを。それが原点、オリジンってやつさ!そいつがおまえを限界の少し先まで連れてってくれる』
かつてオールマイト・・・八木俊典が今は亡き師匠志村奈菜に言われた言葉。
自分の原点とは何か、そんな物はもう彼の中では決まっている
『皆が笑って暮らせる世の中にしたいです』
それがオールマイトの、彼のオリジンだ。
「それが君の本音かい?ゼットン少女。君は私と戦っている時・・・そして今も泣いている」
彼は少女に伝えたい事を伝えると、やはり無自覚だったらしく不思議そうに手を運び涙腺に触れて確認する。
やはり、彼女の意思は先程の言葉が本心だとオールマイトは確信する。
(先程感じた何者かの気配はヤプールとは恐らく別人だと思う。その者が彼女を洗脳、いやさっきの発言を鑑みて元から自身を化物、存在してはならない者と考えて否定的だったのではないだろうか)
彼が過去ウルトラマンから聞いたゼットンと言う存在は数多くの命を奪い、怖し、葬り去ってきた存在だ。
彼がエンデヴァーや意識が残っている者達、特に白髪の少年の話では、
『彼女は恐らく気にしなくて良い事も気にしてしまう質だと思いますよ、オールマイト』
『どういう事だい、少年?』
『例えば前前世で数え切れない命を奪い続けた兵器で、前世が数多くの命を救ってきた警察官だった場合は普通は±0と判断しても可笑しくないし、普通はそうする。・・・しかし、彼女は±0どころか-に考えてしまっているように感じます』
(そう言っていたっけな、彼は)
【それだけじゃ無いぜ!自身に二、三度目の人生があるならば自らに奪われた者には?滅ぼされてしまった者には次はあるのか?・・・そう言う事を考えていると私は感じたな】
(うん?何か聞き覚えがあるな。安心出来る声が聞こえてきた様な気がしたが・・・まぁ、それは置いておくとして成る程そう言う事か )
「君が私に何を伝えたいか分からなかった、何故泣いているのかも分からなかった」
・・・オールマイトは彼女が何を考えているのか、思っているのかそれが分からなかった。・・・だが、分かっていたとしても。
(この状況は私一人では──)
《──私一人ではだと?はぁ、この半人前め。この力は何人もの人がその力を託して来た物だと前に言っただろうが、愚か者め。皆の為になります様にと、一つの希望となります様にと・・・一人だけの力でどうにかするのを止めていい加減受け継がれて来た力を、他者を頼れよ俊典》
(──ッ!この声は・・・しかし、二十五年前に死んでしまった筈)
そう今脳内に響くこの声は自分を庇い、殿となりその結果AFO《悪の帝王》に殺されてしまった今は亡き師匠志村奈菜の声。
(死んでしまった者は甦らない──そう言えば)
『なぁ、俊典。心半ばで斃れたとしても
嘗て彼女がオールマイトに言っていた言葉だ・・・もしかしてそれなのでは無いかと考える。
《遠いし惜しい。
言われてオールマイトは内面に向けると何者が
《言っておくがコイツは
五人の先代達が黄金のオーラから
その光景を眺め、驚いていると何者が自分に干渉しようとしているのを感じ意識を向ける・・・その干渉してきた者の正体はファーストたる初代だった。
《うん問題ないね。まぁ、俊典君は悪運が強いし、問題ないと思ってはいたけど初代ウルトラマンと出会ってウルトラの星を貰うとかどんだけ幸運なんだ君は・・・兄さん辺りが知ったら血涙流しながら羨ましいと嘆くだろうね、僕も羨ましいと感じるけど》
《無駄話はコレくらいにして、本題に入r・・・入りましょう。今の状況は俊典、お前が考えているよりも幾分かマシだ》
コレにオールマイトは面食らってしまう。
《相手は兄さんじゃないド素人だ。もし相手が
《
それはオールマイトには初耳の事だった。
(しかし、そんな事は一度も・・・)
《言ってないからな、俊典!さて、
《だからこそ今回の相手は素人だ。
(成る程、そう言う意図があったのですかお二方)
《・・・更に言うならその存在の目的は歴代の後継者達が君に協力しない様に妨害していると言えるね》
《まぁ、相手は奪えない事を端から承知だと思うぞ。真の狙いはお前の進化を防ぎ、ゼットンにお前を殺害させる事だと思う》
(・・・)
《先程彼女が自分で言ったけどゼットンは本来ならば滅びをもたらす存在だ。しかし、彼女は並々ならぬ歪みを持ちながらも誰かの為に、親しき者達の為に力を振るいたいと願っているんだ・・・彼女の言葉は嘘じゃない》
《今から手が空いている私達二人で、私の個性である浮遊を使う事が出来るようにする》
(そんな事が可能なのですか!)
《可能さ。でもコレは賭けでもあるんだ・・・敵はヤプールや兄である
《死なないでくれよ、バカ弟子。お前の命はお前一人だけの物じゃない・・・でも死んでも恨むなよ?》
オールマイトは二人の言葉に今の状況では考えられない様な嬉しさと勇気が沸々と湧いてくるのを感じた。
本来は絶望しても可笑しく無いのに・・・一人だと必ず絶望していただろうに内側には頼れる先代達が居て、外にはコレまた頼れるヒーローが居る。
あぁ、自分は恵まれているなと彼は感じる。
だからこそ、だからこそとオールマイトは決意を固める。
(私は生きて彼女を倒し、彼女のバカバカしい妄想をぶっ壊して現実と夢に目を向けさせなければなりませんので、それに彼女は、ゼットン少女は私に言外に助けを求めた)
《それがヒーローて事かい?では──》
《全く、俊典らしい言葉だ!・・・さて──》
────
二人の気配はこの言葉の後消えたが、不思議と近くに感じる。
物凄い想像を絶する力が内側から外側へ、精神から身体へと流れ込んで来るのを感じる。
何らかの抵抗をすれば直ぐに身体は精神どころか魂その物さえ砕け散りそうなイメージが脳内を駆け巡るが、そんな事は無い・・・・立ち上がると同時に意識を集中させる為に深呼吸をし、身体と精神的無駄な力を退かす。
すると物凄い想像を絶する力が収まり、全身に力が駆け巡るのをオールマイトは感じた。
(────うまくいったか)
オールマイトは安心して、誰にもバレない様に息を吐き安堵した(
「・・・君はヒーローになりたいと願っているのか?でも無理だと諦めているのか?私が君のあり方は変えられると信じてくれているのか?」
(信じられていたんだ、永劫にも勝る苦しみを味わいながらも前に進む少女に・・・なら)
「ならば負けられない・・・私はまだ負けていないぜ、ゼットン!」
ヒーローが今、立ち上がった。
対して周りの面々はと言うと。
エンデヴァーはキリエロイドを見据えて、首を縦に動かした。
実は先程のエンデヴァーの攻撃はキリエロイドから、
《隙を作って欲しい、自分が私とオールマイトの間にパスを繋げる時間をな》
と頼まれて、具体的な要求をされた・・・しかも一緒に聞いていた息子が理不尽過ぎるとぶちギレるレベルのを平然と要求したのだ。
・・・しかしエンデヴァーは、
『ゼットンを救えるのはオールマイトしか居ない、そして俺はゼットンに救われた。そんなお人好しが自分は化物だと世迷い言をほざいているのならば、目を覚まさせるべきだ』
と言う理由で期待以上に、完璧にキリエロイドに答えて見せた(尚報酬として自身にだけ
因みにエンデヴァーはキリエロイドに傷を癒して貰い何時でも戦える状態であり、
そんな周りの状態など捨て置きオールマイトが、平和の象徴が動き出す。
オールマイトがマントを翻しながらゼットンに襲い掛かった。
そんな時今世では初めて、前世では数えきれない程嗅いだ死の香りがゼットンの鼻腔をくすぐる。例えるなら黒く粘ついたタールのような、暗い気配・・・そんな香りがしたものだからテレポートではなくバリアを張っての防御を選択した。
・・・バリアを張って直ぐにオールマイトの姿が消えて、眼前に急に現れた。
「────ッ!」
急に現れた平和の象徴オールマイトは右手に力を込めて愚直なまでに空を裂きながら、物凄いスピードで拳をゼットンが張ったバリアに直行させていた。
────ドカッ!
音すらも置き去りにした英雄の拳を最強のヒーロー殺しのバリアが防ぐ。
まともに喰らえば今頃頭は無かった、今の一撃はそれ程の威力を感じせた・・・しかし攻撃とは当たってこその物である、当たらなければどうと言う事は無い。
さて、この拳とバリアによる矛盾勝負と言える勝負は矛───オールマイトの敗北に終わった。
「クッ!」
幾らオールマイトが師匠の力を得て、更にはゼットンから盗み見た技を駆使しようが所詮は付け焼き刃にしかならない。
そこからゼットンがお返し言わんばかりに左手で殴ると誤解させるフェイントした後に本命の右の拳を叩きつけようとする。
しかし、ファーストであり
この間たったの2秒・・・常人では欠片すら捉えられない、正しく英雄と呼ぶべき者達による高次元の戦闘。
・・・しかし悲しいかな。オールマイトは決定打となる力を持っておらず、ゼットンは何時でもオールマイトを殺せる。
対等になったと考えるには甘過ぎる状況に思わず苦笑いをしてしまうが・・・状況は悪くない。
そうゼットンはオールマイトに釘付けだ、本命の相手たるオールマイト以外にヒーローが、エンデヴァーが居る事を忘れていた。
彼は考えた、ゼットンと言う化物相手にオールマイトが勝つにはどうすれば良いか?一人では無理だ──なら二人では?
「オールマイトォ!」
後方から炎がゼットン向かって駆け巡る。
それは全て相殺される、しかしそんなのは織り込み済み。
所詮はオールマイトが攻撃を仕掛ける時間を稼ぐ為の行為だ、相殺された所で意味は無い。
「ピポポポポポ・・・ゼェットーン!! 」
ゼットンはエンデヴァーを標的と定めた。
ゼットンはエンデヴァーを最初からヒーローと認めているが、オールマイトをターゲットにしていたのは平和の象徴と呼ばれる程の英雄だ。
No.2ヒーローも英雄と言えるだろうし、その勇姿を見ていたゼットンはエンデヴァーも殺すべきヒーローと認識した・・・それが誤りであると気付かずに。
ニヤリ、とエンデヴァーは笑った。
ここでゼットンは気付く・・・幾らオールマイト相手に優勢ばだとしても、彼は平和の象徴たるヒーロー。
なら────
「私が、ゼットン少女の真横に来た!」
────隙が有れば叩かれるに決まってる。
「────ッ!」
気付いて対策行おうがどうしようが────今更もう遅い。
「
先程と違い拳圧を推進力に長距離を急速移動する技を直接叩き付けられる。長距離移動可能な拳圧、その威力は途轍もない破壊力と成る。
「──ガァ!」
後方へ物凄い勢いで吹き飛ばされるゼットン──だがしかし、彼女は
「シュンシュンシュン、ピポポポポッ!!」
翼を生やして飛ぶ事など造作も無い、ゼットンは空中で暗黒火炎を連続で発射する。
それを、
「PLUS ULTRAプロミネンスバーン!」
エンデヴァーに全弾相殺どころか、バリアして防ぐ事を強制された。
バリアを展開して防がねばならない程の威力や熱を全面的に前方へ放つ正確すぎる熱制御。
コレはゼットンも驚いた。
原作では周りを巻き込まない様に何も無い空中で放っていた技だ・・・それを完璧に制御して見せたのは驚愕に値する。
「お前のお陰だ、ゼットン。・・・お前が生命エネルギーをくれた時お前の記憶も一緒に送られて来た」
「・・・エンデヴァー、それは?」
オールマイトは驚いた顔をしているし、ゼットンも同じく驚きを顔に表した後に何か納得した顔をした。
「血とは魂の通貨、命の貨幣。命の取引の媒介物に過ぎない──成る程な、生命エネルギーもそれに当て嵌ると言う事か・・・どの世界でも当て嵌る理か」
❰血とは魂の通貨ら命の貨幣、命の取り引きの媒介物に過ぎない。血を吸う事は命の全存在を自らの物とする事と言うだ❱
・・・HELLSINGと言うの漫画のキャラクターであるインテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングの台詞だ。
血とは生命を司る重要なエネルギー・・・つまり生命エネルギーと言える物であり、存在その物と言えよう。
だからこそエンデヴァーが言った言葉は何分可笑しな話では無い。
「・・・だから何だ?私の前世に何を感じたか分からないが、何を言いたい」
「何、お前が馬鹿らしいと感じただけだ」
「────!貴様!」
「エンデヴァー幾ら何でもそれは────」
「お前は黙っていろオールマイト!コイツの前世の記憶と今世の記憶をある程度だが把握する事が出来た・・・コイツは多くの修羅場を潜り向け、多くの命を救ってきた存在だ」
「・・・前世で多くの命を救ってきたのは事実だが、だから何だと言うんだ?ゼットンとして私が奪って命には次があ──」
「──そんな事俺が知るか!第一生まれ変わっていると言う事は
「──!」
「エンデヴァー、君は・・・」
そんな事考えた事も無かった、考えて良いと思っても見なかった・・・そんな顔だ。
そんな表情を見て
そして、言葉を続ける。
「いちいち前世など考えてられるか。記憶を持っていようが、知識があろうが・・・そんな者は所詮別人だろうよ」
「な、何を言っている!」
驚いた
「お前の記憶を垣間見て、俺はお前の事をヒーローだと思ったよ・・・だってそうだろう?個性が無い世界で一方的に命を奪える敵から一般市民を多く助けたお前は──間違いなく
「・・・・私が、ヒーロー?・・・違う、違う、違う、違う!私は
「だが、貴様が多くの命を救ってきたのは事実だろう!それはヒーローとは言わんのか!──怪獣娘滅火羽織よ!」
「ッ!私は、私は──」
「・・・私はオールマイトを殺したい・・・でもそれ以上に──」
一瞬、今にも泣き出しそうな顔になったゼットンは直ぐに殺戮兵器の顔になった。一瞬だけ──それでも
(どうにかして欲しいと願ってくれているんだ!しかし、どうしたら──!そう言えば)
オールマイトはゼットンの言葉を思い出していた。
『
と発言していた。
つまり血とは存在全てを内包し、魂と肉体を繋げる一種のツールとでも言えるのではないだろうか?・・・さらに、生命エネルギーもそれに当て嵌るならば────
(
先程志村奈菜は
《当たりだよ、俊典君》
ファーストは感心した顔で頷いた。
オールマイトは拳を握り締めて決意を固め、
そこで見たのは・・・仇敵足る二人が仲良く過ごしている色々な場面の記憶だった。
数々の場面の中でオールマイトが重要だと思った場面が今から出すこの場面だ。
「なぁー、
「何だい、奈菜?」
机に突っ伏していた志村奈菜が読書をしていた
「お前に聞きたい事が二つあって・・・一つ目がどういう経緯であきつ丸に成れるようになったんだっけ?」
そう言われて
オールマイトはコレに驚愕の表情を表した・・・と言ってもリアルでは余裕たっぷりな笑顔のままだがキリエロイドはそれを見て、
《クククク、無理してる・・・可愛いぞ俊典!》
何て言って
オールマイトが驚愕の表情(精神世界だけ)をした理由は・・・
(彼女はミッドナイト君やワイルド・ワイルド・プシッーキャッツ達と同期のプロヒーローだ。私も何度も共闘した事がある実力者で、私が知る限りゼットン少女に並び立てる格闘能力を持っていると判断しているヒーローの一人だと記憶している)
そう、あきつ丸は『艦娘ヒーロー』として十五年以上前にプロ入りしたプロヒーローだ。
更には個性を使用しない戦闘技術はオールマイトやエンデヴァーも認める程で、オールマイトの見立てでは並び立てる存在は
『自分は揚陸艦あきつ丸の個性を持った所謂「艦娘」と言う奴であります。どうか今後とも宜しくお願いするのでありますよ、皆々様』
と言う自己紹介を初対面の者にしている礼儀正いプロヒーローだ。
(そんな彼女の正体が・・・
信じられないと言う感情は不思議と沸いてこない。
そう言えば自分を見る目が・・・例えるなら、そう盟友の後継者を見ている様な感じだったのと常日頃から自分は
(お師匠絡みかな?例えば自分が死んだ後で良いからヒーローになってくれないか何て言われたとか・・・お師匠なら充分あり得るな、うん)
「自分のこの個性“艦娘”は押し付けられたり貰ったりした個性が色々合わさった個性・・・正直ねぇ渡す側も貰う側もこうなるとは思っても見なかったでありますな~」
とガックリ項垂れてしまった
恐らく中学生ぐらいの年齢であろう今は亡きオールマイトの師志村奈菜は宿題らしき物を横目にその様子をケラケラ笑いながら見ている。
それを見てあきつ丸は不機嫌そうな顔をして、
「勉強を見て欲しいと言われたから自分の本拠地に連れて来たのに・・・宿題しないなら帰らせるでありますよぉ」
それを聞いた志村少女は急いで宿題を終わらせようとして、また突っ伏す。
それを見たあきつ丸はケラケラ笑いながら、
「
と発言した。
それに対し志村少女はキラキラした笑顔であきつ丸に抱き付いた。抱き付かれたあきつ丸は、
「ちょっ!異性だと言う事忘れて無いかな!」
何て抗議するが今は同性だと押し返され黙ってしまうのであった。
その後は分からない事はあきつ丸に教えて貰いながらオールマイトから見ても難しいと感じる問題をしっかりやりきった志村少女は先程の続きとして、何でそんな喋り方なのかと質問した。
それにあきつ丸は
「特異点の友人から『艦隊コレクションのあきつ丸はこんな口調である』と教えられて、ロールプレイガチ勢としてはそうしなきゃ気が済まなかったので・・・今ではこの姿だと無意識に出来る様になったであります」
それで満足したのか二つ目の質問として
「
それを聞いたあきつ丸は感心した様子で頷いて、言葉を選びながら話を続ける。
「そう言うのは愚かな弟では引き出せないでありますからねぇ・・・大方後継者達の個性が混ざってゴッチャになっているのでしょうな」
「つまり私の観察眼は凄いと言う事だな!」
「うん、その通りでありますよ」
「良し!」
その後仕切りに喜んでいた志村少女は疑問に思った事があるようで、
「それって新しい個性を追加してと言う話か?」
と質問したが、その答えは否定だった。
「追加しなくても力をストック出来るでありますよ。エネルギーを自力で作り出す事は出来ないでありますが、電力も火力も馬力もある意味エネルギーとつまりはストック出来る力と言えるでありますよ・・・但し奪うことは不可能でありますがね」
「じゃあどうするんだ?」
「例えば物凄い拳圧とか、炎を操る個性持ちが発する熱エネルギーとか、風を操る個性持ちが作り出す突風とかね・・・色々やり方はありますな」
ここで
(最後の
そう、微かだがオールマイトには最後の言葉の続きが聞き取る事が出来た。
『まぁ発電所から電力を供給してもらうイメージでありますよぉ~・・・・使い方次第では本当に化ける力でありますから伸ばす事を進めるでありますよ、奈菜』
(つまりゼットン少女やエンデヴァーが作り出したエネルギーを・・・奪わずに供給してもらうイメージ)
オールマイトはこと
・・・まぁそれ以外にも、
『
『──全ては
『だ、だとしても、い、幾らお前は個性を使わないとは言え近接戦闘でお前に勝てる訳────』
『この程度僕が師匠から受けた修行に比べれば子供だましも良い所さ!それに僕の動きをある程度見切る事が出来たら遅れが前進になるぞ!──さぁ、更に向こうへ!
『勘弁してくれぇ!』
────
実際
(・・・そのお陰でゼットン少女に対抗出来る。要するに当たって砕けろ────いいや、勝つ!)
「エンデヴァー」
「・・・何だ、オールマイト」
「試したい事がある」
「・・・勝機は?」
「──ある」
「──なら話せ」
オールマイトは力をストックする方法をエンデヴァーに話し始め、それを見たゼットンは何かやられる前にオールマイトを殺そうと動き──
辺りを見回すがかれさは見当たらない、
・・・そう
「──ッ!」
ここで彼女は思い出す──
そんなの決まっている。マントを付けたシルバーエイジコスチュームを着ているオールマイトを見てスーパーマンみたいだと感じて、
『コレに志村奈菜の個性を合わせたらマジモンのスーパーマンだ!』
と思ったのだから覚えている。
彼女の個性は浮遊だ・・・ならオールマイトは今何処に居るのかは直ぐに分かる。
地上にいる限り狙い打ちされるが落ちだ、ならば空中に居るのが筋と言う物だろう──急に嫌な予感がした。
またタールの匂いが鼻孔を擽り、背中から冷や汗が垂れ流れる・・・その正体は決まっている。
「
(────オールマイトの
幾ら彼が
(
ゼットンは一人正解を導き出しながら、更に強くなったヒーローを祝福する。
幾ら自らをヒーロー殺しと定めているとは言え、
・・・しかし、ゼットンは別に死にたい訳では無いのだ。
(私はどうして欲しいのだろうか・・・いや、何て言って欲しいのだろうか?)
それが分からない。この世界に転生してから思っていた筈なのに頭に靄が掛かって思い出せない。
『■は■■■に■■■』
(なんだっけ?大切な事だった様な、そうで無いような良く分からないな)
気持ちを切り替え、オールマイトに向けて笑みを浮かべる・・・涙は不思議と溢れてこなかった。
オールマイトは考える。
(・・・幾ら彼女を倒して生き方が変えられると示したとして、彼女の内面は違う)
そう、彼は
オールマイトは人間だ。限界は必ずある・・・それでも全て救いたいと、救えると思っていた。だからこその
(全てを救う必要は無い・・・いや、救える者は救いたいと思う。だがしかし────人は自らの意思でしか救えない。救われようとする気持ちがなければ救えないのだ)
オールマイトは割り切った・・・そうでなければ成らないのだ。師匠を仕方なしとは言え見捨ててしまた彼に────
『・・・私を殺してくれ
『まだ他に方法がある。君がヤプールが施した催眠を無闇に破ってしまったからこうなったが・・・一旦志村奈菜としての記憶を忘れれば君は助かる!』
《それを復元する事は我等ヤプールには造作も無い事だ。故に志村奈菜よ早ま────》
『そう言う問題じゃ無い、無いんだよ!』
そう志村奈菜は頭を振る・・・その顔は大きな隈が出来ていた。
『例え復元されようとも、忘れるのは耐えられたいんだ!だから
何だ、今のはとオールマイトは一瞬動きを止めた。
「オールマイト!」
エンデヴァーの声を聞いて意識を浮かび上がらせて暗黒火球を回避するオールマイト。
(今のは・・・いや、今は彼女を意識しなければ)
それでは次回またお会いしましょう。