ここは広大なデジタルワールドの中の一画通常の世界線とは別次元に存在する異相エルドゾーン、この世界は今多くの勢力が世界の覇権を握るべく激闘を繰り返す群雄割拠の乱世となっていた。
そしてそんな世界でも比較的治安の安定したセーフティーエリアの一つフリーガーデンには、多くの種類のデジモン達が其々の領域の中で其々の暮らしを送っている。
「大変ですマスターナイトモン様!」
「パラディモン、そんなに慌ててどうしたんだ?」
このフリーガーデンの守護を担う二つの派閥の一画キャバルリーガーディアンの長マスターナイトモンの下に彼の直属の部下たるパラディモンが駆け込んできたが、酷く慌てた様子のパラディモンに落ち着いた様子で要件を問うマスターナイトモン、そんな上司の様子に幾分か気持ちが落ち着いたのか呼吸を整え急いでいた要件を伝える。
「実はまたブルーアグモンとリトルナイトモン達が……。」
「あぁあの子達か。」
いつものとこなのだろう、パラディモンが続けた報告を聞いて何かを悟ったマスターナイトモンが団長の椅子から腰を上げパラディモンを引き連れて話中の彼達の下に向かった。
「ここは俺達剣士型デジモンの修練場だぞ!幼年期や竜型デジモンが居ていい場所じゃない帰れ!」
「なんでだよ!この場所は、フリーガーデンのウエストサイドに暮らすデジモンならだれでも使っていいってマスターナイトモン様が言っていたじゃないか!」
怯える幼年期デジモン達を背に庇う通常よりも小柄な体躯と真っ青な体色が特徴的なアグモン系統のブルーアグモンと、手にダガーを持ち鉄兜の頭部と子供用の鎧を纏う三頭身位の体躯のリトルナイトモン達が睨み合い言葉の応酬で互いに牽制し合う。
「ぐぅ、でもブラックナイトモン様は俺達みたいな、騎士型に進化する剣士型のデジモンこそが修練場を優先的に使うべきって言ってくれたんだからな!」
「そ、そうだそうだ!お前達は自分たちの領域で訓練してればいいだろ!」
一人が自分達に優位な主張をする上位者の名を出し、他がその発言に追従して囃し立てる。
「まぁアグモンの癖にチビでヒョロガリおまけに手だけは異様に長いお前の姿じゃ、仲間はずれにされるだけだろがな。」
「大体剣士型でもないアグモン系統のお前が剣を持ってること自体が生意気なんだよ!」
更に続いた言葉は彼の用紙の異様さを嘲笑う、その内容の通り彼ブルーアグモンは通常のアグモン種の体型よりも細身で小さく腕部だけは発達していて爪は短く指は一本一本確り関節がり掴むことも出来る何より彼の腰には一振りのミドルソードを携えいた。
「どうした?本当の事を言われて何も言えないのか?」
「きっとそうだ!こいつ自分の領域でハブにされたからここに来てるんだ!」
「彼をここでの修練に誘ったのは私だ。」
ブルーアグモンが何も言い返そうとしないのをいい事に、リトルナイトモン達は更に調子に乗り彼を侮辱し続けるが、後方より聞こえてくる言葉に搔き消された。
「マスターナイトモン様!」
「えっ!」
「やば!」
リトルナイトモンの直ぐ後ろに立ったマスターナイトモンが上から睨みを利かせ彼らを静かにさせると、次いでブルーアグモンに労わりの籠った視線を向ける。
「何を言われても動じなかったな良く堪えたブルーアグモン。」
「勿体なきお言葉痛み入ります。」
成長期のデジモンとは思えない礼儀正しさで目を上マスターナイトモンに頭を下げ礼を取るブルーアグモンの姿勢に、マスターナイトモンは満足そうに頷きリトルナイトモン達に再び視線を向け語り出した。
「お前達彼は私がウォーグレイモン殿に無理を言って来てもらったのだ、彼の忍耐力と鍛錬での心構えを手本にして欲しくてな。」
「えっ⁉」
「そうだったんですか⁉」
衝撃の真実を告げられ戸惑いの色を見せるリトルナイトモン達の様子を暫く見つめ、冷静になった頃合いを見計らい諭すように続きを語り出す。
「いいかお前達、確かに我々騎士型デジモンの系統にあるお前達がこの場を優先的に使用する権利があるのは認めよう、だが独占してはいけないここには孰れ騎士型デジモンに進化しうる幼年期デジモン達も来ているのだ、彼らがお前達の姿や行い見て育ち次に繋がってしまえば我らの強きを挫き弱きを守ると言う騎士道は形骸化し奢りだけが正義となってしまう、その事をゆめゆめ忘れるな。」
「「……はい!」」
マスターナイトモンの説いた言を胸に受け止めたリトルナイトモン達は、先程迄の自分たちの行いを思い返し反省する。
「ブルーアグモン……その、さっきはすまなかった。」
「俺もかなり調子に乗ってたごめん。」
「みんな……もういいよ、それより鍛錬を続けよう。」
つい先ほどの比例を素直に詫びるとブルーアグモンは謝罪を受け入れ、共に切磋しようと語り掛ける。
「お……おう!よっしゃやるぞ!」
「チビ達の手本に成れるような立派な騎士になるぞ!」
「ボクもー!」
「ワタシも混ぜてー!」
マスターナイトモンの期待とブルーアグモンの寛容さに当てられやる気を見せたリトルナイトモン達、それに続くように怯えていた幼年期のデジモン達も同調しだし。
「うん、いいよ僕らと一緒に訓練しようか。」
「「わあーい!」」
ブルーアグモンが応じると幼年期デジモン達は大喜びではしゃいでいた、マスターナイトモンは希望に満ちた表情で平和な光景を見つめていた。
如何に世が乱れ混迷を極めようとこの場のこの大志を持った若者たちが居る間は、フリーエデンの安寧は続くそう信じていた……だが乱世の嵐はこの平和なエリアにも迫っていたのだ。