「魚臣慧が選ぶ最高のメイド服」
デデンと置かれたボードに企画名が書かれていた。
謎すぎる企画だった。
企画が出てきたことも謎だし、爆薬分隊のマネージャーが受け入れたことも謎だし、それを電脳大隊のトップがGOサインを出したことも謎だ。
どこに需要があるんだこの企画。
「ライオットブラッド飲んで五徹でもしたのこの企画考えたやつ」
「六徹だそうだぞ」
企画検討の前に正気を疑うべきだろうそんなやつ。だが通ってしまい、受けたものは仕方ない。社会人とは受けた命令を拒否するには多大な犠牲を払わなければならない。この程度ならコストを払うよりお茶を濁したほうがマシというものだ。
しかし、メイド服。
「というわけで相談に乗れよ全世界にバニーガール服爆散映像公開した奴」
「・・・・・・便秘に呼び出したと思えばボコした上で相談とかそれ人にモノ頼む態度か、お?」
「頼んでないよ。貴重なご意見ありがとうございましたレベル」
「お前魚類のくせに耳の代わりになる耳石も無いんだな。ソナーにつかまって魔境に漁獲されろよ」
へぇ、と妙に魚に詳しい友人に感心する。でもそれはそれとして聞く耳を持たないとか言った奴は背骨逆折。
「ぎゃぼ! ・・・・・・服のことなら鉛筆に聞けよほんと。こないだバニー服について死ぬほど食いついてきたぞ」
「あとがこわい」
「あ、悪いメール来た。・・・・・・よし分かった。その話はやめよう。はいやめやめ」
「で、色んなのやってるサンラクのゲーム経験からメイド服のイメージつかんどこうかとね」
「・・・・・・パクリにならない?」
「混ぜ合わせるし、どうせお前の知ってるメイド服なんてクソゲーだから誰も知らないでしょ?」
「よぉし土ペロさせてやるから勝負だコラァ! 十本勝負バーグトゥード!」
「乗ったア!」
七割は維持できた。
企画は無事終わった。
撮影されながらメイド服をデザインし、素人の腕ながらそれなりに可愛らしいものができたように思う。まぁデザインの際に全米一位の知り合いとか、コレステロール値が不安な知り合いとか、ついでに青の聖杯を使用した友人の女体化した奴とかが着た姿をイメージしたが。
そして企画は最終盤。デザインを元に作成されたメイド服を見て締めのコメントをして終わり・・・・・・のはずだった。
おかしい。
何故このメイド服はデザインより大きい?
何故同じデザインをしたメイド服を、全米一位と同僚が着て目の前にいる?
そして。
「何故ここにおま、・・・・・・貴女が『いるんですか』?」
「んっふっふ、『久しぶり』だね、魚臣慧くん。いやなに、企画の助言者としては、最後の締めをしたいと思ってサ」
のちに判明したことだが。
サンラクはあの話し合いの最中この件にこの悪魔、天音永遠が関わっていると本人からのメールで知ったらしい。今度シメる。
「締めって、一体・・・・・・」
スススっと企画タイトルのボードが寄せられる。日数が経ったせいか、ボードが少し汚れて、『継ぎ目』が分かりやすくなっていた。
継ぎ目のシールが剥がれて真の企画が明らかになる。
「魚臣慧が 着る 最高のメイド服」
慧は逃げ出した!
シルヴィアと恵に捕まった!
大魔王(鉛筆)からは逃げられない!
撮影の締めは、麗しい三人のメイド姿だった。
一人は目がしんでるが、誰もそのことには触れなかった。