数多の階層に別れる無限の迷宮。富、名声を求めそれに挑む者たち。
ある者は力を、
ある者は出会いを、
ある者は己の野望を、
ある者は、己の姉を救うために…
それに挑む。その者たちを人々は冒険者と呼んだ。
ここは迷宮都市オラリオ『ダンジョン』と称される壮大な地下迷宮が存在する巨大都市。そこに一人の龍もとい一人の男が迷い混んでいた。
「ここは何処だ?」
見た事のない景色。見た事のない住人たち。その住人の中には自分の知らない種族が多く存在する。歩みを止めない。例え知らない場所であろうとも。姉を救うため。
「それにしても、情報が足りないな。」
圧倒的に不足している情報。それを補うために何をすべきか。姉から頭から離れない程に教えられていた。
「困ったら酒場にいって情報収集か…」
『困った事やわからない事があったら酒場で情報収集をするといいよ♪』よく姉が口にしていた。酒場にいる者たちは見た目こそ悪く見えるが根は良い者たちがたくさんいた。ここもきっとそうなのだろう。
「あそこが良さそうだ。」
目に付いた店に入る。看板の文字は何を書いているのかさっぱりわからない。言語が違うのだろうか。考えてもしかたがない。ギィィィと音立て店に入る。
「いらっしゃい!おや、見ない顔だね、旅人かい?」
どうやら店主のようだ。腕っぷしが強そうだ。女性だからそんな事は言わない方がいいのだろう。
「ええ、ここには初めて来ました。この街の事とか色々聞かせて貰えたらと思い、立ち寄らせてもらいました。」
どうやら僕が返答した時にある事に気がついたようだ。今まで気にする者など誰もいなかったのだから仕方がないない。普通の事だと思っていたのだから。
「あんた、その額にある物は角かい?」
そう角である。漆黒に所々黄金に輝く歪な剛角。右の額から見せる神々しい、姉とは似つかない。半人前の証。
「そうですが何か問題でもありましたか?」
青年は店主に聞き返す。店主は多少は驚いたものの、そう言う奴もいるかと納得していた。店内にいるウェイトレスの人達は驚いた顔をしていた。まるで角を生やした人を初めて観るかにような。そもそもそんな人この世にいるのかと。
「はぁ、あんたたち手が止まってるよ!きちっと仕事しな!」
店主が叫ぶとウェイトレスの人達はビクッとしながらも持ち場に戻っていった。
「すまなかったねぇ、野暮だったかい?」
と言って謝られた。特に気にすることなどないです。と言い返すと、そうかい、と返ってきた。話を戻して気分を害した変わりに質問に答えてくれた。この街の事。この街の住人の事。この世界に神々がいる事。神々が自分の眷属もとい子供をファミリアと呼ぶ事。子供たちに力を与えダンジョンを攻略しようとしている事。
「聞くの忘れたが、あんた名前は?出身は何処だい?」
まぁ普通の質問だある。気にもするだろう。角が生えた者を珍しいと言うくらいだし。それにしてもなんと名乗ろう。もし僕の存在を知っていたらちょっと面倒だな。うーん。
「僕の名前は、カオスとでも名乗っておこうかな。出身は言ってもわからないだろうからあえて言わないよ。」