ヤンデレなあの娘と過ごす日常はどうなるのか 作:アライグマ318号
深夜テンションで書いたため、ネタ成分が強めです。
あ、それと、今回はあるユニットで誰がヤンデレで誰が純愛枠かが今回の話で分かるかと思います。
お気に入り登録、評価をしてくださった皆様、ありがとうございます!!!
それでは、どうぞ〜
「『今からヘリで凸るね☆』って……嘘だろっ!?」
夕護が窓を開けて外を見ると黒塗りのヘリが夕護のいる階より少し上の辺りでホバリングをしていた。
「おいまさかアレに乗ってるのって……夕乃か!?」
よく見ると夕乃の顔がヘリコプターの窓から出ていて、キョロキョロと周囲で何かを探している。
(あ、俺のいる場所に気が付いたっぽいな……)
「ゆう……!だい…‥ぶー!さ‥…?りっ……!」
「あ?なんて言ってんだ?」
夕護を見つけると夕乃は何かを叫ぶが、ヘリコプターのエンジン音にかき消されて何を言っているのか部分的にしか分からない。
(あ、なんかメガホン取り出した……一緒に乗ってるのってしのぶと由香と絵空か?まぁ、このまま黙って逃げさせてもらおう……響子がヘリに乗ってたら詰んでたけど、このまま黙ってれば逃げ切れそうだ……)
『夕護ー!だいじょうぶー?咲姫ちゃんに襲われてないよね―?まだ立派な童t「それ以上言ったらぶっ飛ばすぞテメェ!!!」あはは〜、嫌だなぁ〜冗談だよー』
メガホンで夕護に聞こえるようにとんでもない発言をしようとする夕乃にキレながらエンジン音を軽く超える怒声を飛ばす。先程まで黙っていたのが嘘のようなキレ方である。
『なんか顔真っ赤だけど薬でも盛られたのー?』
夕乃が軽くメガホンで喋りながらもヘリコプターの中からロープを取り出し、扉を開けてそこから垂らしている。
(あのロープ持ってるのってしのぶと由香か?でもなんでロープなんてヘリから垂らして……)
『さぁ少年よ!大志を抱いて翔けっ!』
「できるわけねぇだろ殺す気か!!!」
垂らされているロープと夕護の位置は目算でだいたい5メートル……しかもロープは風でかなり揺れ動いている。普通に助走つけて届くか分からないこの距離……しかもかなり高い階層に部屋があることから落ちたらまず間違いなく死ぬだろう。
『もーうるさいなぁー、
「……は?」
夕乃の一言に身体が思わず硬直し、夕護は錆びた機械のようにゆっくりと後ろを向く。
「何をしてるの、夕護クン?」
背後を見れば、虚な瞳をした咲姫が立っていた。
「さ、咲姫っ!?こ、これは……」
「言い訳無用……っ!」
背後にいつの間にか忍び寄っていた咲姫は問答無用で夕護を突き飛ばし、窓際の壁に押し付ける。
「そっか……夕護くん、バイトの履歴書の自己PRの部分で特技は料理とピッキングですって答えるくらいピッキングが得意だから……手錠一個じゃダメ……次は二度と逃げられるなんて考えられないように首輪を付けないと……っ!」
「ちょっと待って!?なんで俺の履歴書の内容知ってんだよ!?」
夕護がキレるが、咲姫は問答無用で夕護の顔を掴み、唇を奪う。ちなみに話は変わるが、バイトの面接はもちろん失格となっている。
「んぐっ!?んんーっ!!げほっ、ちょ待っ、激しっ、んぎゅっ!?」
「♡」
窓に押さえつけられ、強引に唇を奪われて悲鳴を上げる夕護の声がヘリコプターにいる4人にも聞こえる。
「わぁ、咲姫ちゃんって大胆だなぁ……あ、由香ちゃんカメラでちょっと今の状況撮って。」
「任せて!シャッターチャンスだし、思う存分撮らせてもらうよ!」
「あらあら、2人とも大胆ね〜……って、しのぶ?さっきから震えてどうしたの?」
「……離れて……今すぐ……っ!」
「「「?」」」
しのぶは小さく何かを呟いていたかと思うと、突然ヘリコプターの窓から勢いよく身体を乗り出し、全力で叫ぶ。
「今すぐそいつから離れてよ咲姫アンタ!!夕護はあたしが狙ってたのに堂々と唇を奪ってんじゃないっての!!!」
次の瞬間、涙目になりながらもしのぶは垂らしているロープとは別の……先端が鉤爪状になっている忍者が使うようなロープを取り出し、空いている窓の隙間から夕護に向けて全力で投擲し、鉤爪は夕護の体に綺麗に巻き付く。
「うおっ!?ちょっ、しのぶ!?」
突然のしのぶの行動に夕護は驚くが、そんな暇も与えずにしのぶが追撃する。
「由香!夕乃!絵空……は力無いからいいや。とりあえず2人とも今すぐ引っ張って!!」
「「は、はいっ!」」
しのぶのあまりの剣幕に気圧され、夕乃と由香は反射的に鉤縄を引っ張る。
「させないっ!」
しかし、間一髪のところで鉤縄の伸びる窓を咲姫が閉じ、夕護の脱出は窓に阻まれる。
「ぐっ!?こ、これは少し……痛い……っ!」
窓に阻まれていながらも夕護は引っ張られているせいで苦痛に悶える。
「「「せーのっ!!!」」」
「いだだだだだた!!??もげる千切れる潰れるって!!!」
鉤縄の金属部分が腹に食い込み、さらにはしのぶ、由香、夕乃の3人が全力で引っ張っていることもあり、夕護は激痛に悲鳴を上げる。
「夕護くんは渡さない……っ!」
咲姫が夕護の身体に巻き付いたロープを外そうと近づいた瞬間だった。
「そこまでよ、咲姫。」
突然、咲姫は背後から忍び寄っていた人物に後ろから拘束され、夕護に触れる前に動きを封じられる。
「咲姫ちゃん、これ以上はさせないよ。」
「ヤンデレな咲姫ちゃん……これはこれでありかも……っ!」
いつの間にか背後には真剣な表情をした衣舞紀、乙和、ノアの3人が立っていたのだ(1人は怪しいが)
「い、衣舞紀さん……乙和さんにノアさんも……っ!」
「ちょっ、い、衣舞紀さん……助けぐへえっ!?」
窓の向こう側でまた3人が引っ張ったのか、夕護が悲鳴を上げる。
「なんで邪魔するんですか……私、夕護くんを誰にも渡したくないです……っ!」
咲姫が衣舞紀の拘束を外そうと体を動かすが、身長差や筋力その他もろもろの関係で、全く抜け出せない。
「それは私も同じだよ、咲姫ちゃん。」
「と、乙和さん?」
「ちょっ、話してないで誰か助けぐおっ!?」
乙和が拘束された咲姫の前に立ち、真っ直ぐな瞳で咲姫を見る。
「私だって夕護くんを諦めたくない……誰にも渡したくないって気持ちはすごく分かるよ。」
「ね、ねぇ、ホントに話してないで誰か助けていだだだだだ!!!??」
夕護がさらに悲鳴を上げるが、2人だけの世界に入っているとでも表現するべきか、2人に夕護の声は届かない。
「私も咲姫ちゃんと同じで、夕護くんの事が好き。」
「…………」
「と、乙和先輩……こんど特製パフェ作ってあげるから助けあだだだだだ!!!??」
咲姫は黙って話を聞き、乙和は決意を固めたような表情で咲姫の瞳を見て宣言する。
「私は、正々堂々みんなと勝負して夕護くんと付き合いたいの……だから咲姫ちゃん……私、負けないからっ!」
「こ、この際ノア先輩でも構わないから……誰か、このロープを外しぎゃあああああああ!!!!!」
堂々と輝かしく咲姫に宣言する乙和に気圧されながらも、濁った瞳ではなく、1人の恋敵として想いのこもった瞳で乙和に宣言する。乙和の純粋な思いに、咲姫も思う部分があったのだろう。
「私だって負けない……絶対に、夕護くんのハートを射止めるのは……私だから……っ!」
「た、頼む……アンタだけが頼りだノア先輩、助けてくれたらむにの家の合鍵をいやぁぁぁぁ!!!!!」
咲姫と乙和はお互いに見つめ合う。どうやら話は付いたらしい。
「それじゃ、とりあえず咲姫は解放しておきましょうか。」
衣舞紀は咲姫の拘束を解き、満足そうに2人を見る。しかし、そこで違和感を覚える。
「そういえば、所々で夕護君の悲鳴が聞こえてたけど……って、夕護君!?」
ふと、窓の方を見るとそこには灰のように真っ白になった夕護とその夕護の死体(死んでいない)を勢い良く揺らしながら必死な形相のノアがいた。
「夕護君!むにちゃんの家の合鍵をくれるって本当なの!?むにちゃんの部屋着からパジャマ姿に加えて寝顔から入浴まで、何から何まで見放題ってこと!?」
「…………」
物言わぬ死体(だから死んでいない)となった夕護に追い打ちを掛けるようにノアは夕護を起こそうとやっ気になる。その間も、夕護はロープで引っ張られ、窓に張り付いている状態になっている。
「お願い生き返って夕護くん!朝から晩までむにちゃん、おはようからおやすみまでむにちゃん、私のむにちゃんダイアリーが掛かってるの!死んじゃ駄目だってばぁ!」
必死に夕護を蘇生させようと身体を揺らし、終いには顔をビンタして起こそうと試みるノア。
「助けたいんだったらまずは窓を開けなさいよ!」
ミシミシと音を立てて窓に張り付いている夕護に気が付き、流石にマズイと思ったのか、衣舞紀が慌てて窓を開ける。
「ぐへっ!?」
窓が開けられた瞬間、夕護は短い悲鳴を上げて窓の外に勢い良く引っ張り出される。
「あ、脱出した。」
乙和が窓の方へ寄って外の景色を見るとそこには、ヘリコプターから垂れるロープに縛り付けられた夕護が、大きな声で怒鳴り散らしながら海の方へ向かっている光景が見えたのであった。ちなみに、夕護はロープで吊るされながら先程の様子が嘘のように暴れている。そしてヘリコプターはやがて海上を通る。
「ま、これで夕護君の救出作戦は完了ね。」
「あ、なんか夕護くんヘリから落ちた……大丈夫かな?」
「大丈夫なんじゃない?夕護くんって、悪運はとても強いし。」
「あ、でもあの高さなら夕護くんのお見舞いに行けるかも。」
この場から去るヘリコプターを眺めながら、4人は仲良く窓の外の光景を眺めるのだった。
〜数分前〜
「夕乃テメェ!!俺のこと咲姫に売っただろ!!」
「ちょっ、謝るから暴れないでってば!」
ヘリで強引に救出されてから数分後。何処へ向かっているのか知らないが、何処かの海の上を通っていた。
俺はしのぶの本物顔負けのクノイチのロープ捌きにより、咲姫の家からの脱出に成功したのだが……
「何回襲われかけたと思ってんだ!咲姫が事あるごとに『大丈夫……夕乃ちゃん……いや、
ロープで吊るされながらも俺は全力で夕乃に向かって怒鳴り続ける。
「だから謝るって言ってんじゃん!」
「謝って済むなら警察とポリスはいらねぇんだよ!!」
「ポリスと警察は同じ意味だよ!?」
ヘリコプターは俺を連れて海岸へと向かい、どこかのビーチの上を通り過ぎる。
「だいたい、なんでしのぶは忍者みたいな技術持ってんだよ!!やっぱお前忍者なのか!?」
「う、ううるさいっ!アンタは黙っておとなしくして!」
顔を真っ赤にして叫ぶしのぶ。
「だいたい今回の件は夕護が誘拐されたのが原因じゃん!」
「はぁ!?夕乃が咲姫を煽ったのが原因だろ!だいたいこのヘリどっから用意したんだよ!」
「私が用意したのよ〜☆」
窓から顔を覗かせる絵空
「マジかよすげぇな!」
キレながら絵空を褒めるという俺の奇行に、ヘリの搭乗員は呆れながらもロープを引き上げようとした瞬間だった。
ブチッ
「「「「「……え?」」」」」
ふとヘリの音に混じって、異質な音が聞こえる。
「な、なぁ……俺の耳がおかしくなってなければ今すっっっっっっごく嫌な音が聞こえたんだけど……」
俺は顔を青ざめさせて上の4人に聞く。
「私の耳にも聞こえた……」
うん、しのぶにも聞こえたらしい。
「私も聞こえたわ。このまま引き上げたらロープ千切れるんじゃないかしら?」
絵空にもこの音は聞こえたらしい。
「奇遇ね、私の耳にも聞こえたね。」
由香の耳にも聞こえたっぽいな……
「あちゃ〜、100均のロープ買ったのがまずかったな〜」
「おい夕乃テメェ今なんつったゴルァ!!!もういっぺん言ってみろオイ!!!」
「ちょっ、暴れちゃ駄目だって!!」
夕乃のまさかの発言に耐えきれず、俺はその場で身体を動かしてロープから脱出しようとするが、全く解けず、耳にブチブチと何かが千切れる音がする。
ブチッ
「あっ……」
その無駄に響いたロープが
〜現在〜
「それで、俺はそのままどっかの隣県まで漂流して自宅から隣県までマラソンをやってたアンタに拾われた訳ですか……ダリアさん……」
「えぇ、海岸沿いを走っていたら見知った顔が流木に混じって水面で浮かんでいたから驚いたよ。」
俺の目の前にいる褐色肌に銀髪のこの女の人は
「夕護って前にも同級生以外から誘拐されてたよね?その誘拐される癖、どうにかしないの?」
「出来るもんならどうにかしてますよ……ダリアさんがボディガードとかだったら本当に心強いんですけどね……」
軽い冗談を含めてダリアさんに救援を要請する。
「ふふっ、遠慮しておくわ。茉莉花やさおりに怒られそうだし。」
「うっ……茉莉花さんはともかく、さおりさんはヤバいな……りんく達と同じ目に遭わされそうだからなぁ……」
ちなみに、ダリアさんは
「ま、結局自分でどうにかするしかないって事ね。」
「この状態でどうしろと?」
ちなみに俺は、病室で身体中を包帯で巻かれ、大人しくベッドに座っている。医者曰く……
「ヘリから海に落下したのになんで君生きてる上に全身打撲で済んでるの?」
だそうで、運の良いことに骨はほとんど無事らしい。
「それじゃ、私はジムの予約してるから帰るわよ。」
「うっす」
軽い挨拶を済ませて、ダリアさんは病室を去っていった。
「ま、最近1人の時間ってなかったし、これを機にゆっくりと過ごすか……」
そう思って適当にスマホゲームを起動しようとした瞬間だった。
ドンッ!!
「っ!?」
突然大きな音を立て、とある人物が部屋に入ってくる。
「残念だけど、貴方には退院してすぐにこのイベントに来てもらうわよっ!」
「え、絵空!?」
部屋に突然入ってきた人物……それは絵空だった。
「貴方には、普段のお詫び的な意味合いを込めて、
「い、イベント?……ガ○使とか逃○中とか、そういう類いの恐怖のイベントじゃないよな?はっ、まさか恐怖の
「……貴方私をなんだと思ってるの?」
絵空から招待されたイベントとか不安しかねぇ……
「はぁ〜、せっかくしのぶから聞いた夕護君が好きだっていうゲームのイベントを用意したのに、行きたくないなんて残念ねぇ……」
「ちょっと待て、ゲームだと?」
「えぇ、あの有名なモンスターハンターって言うゲームのイベントで清水家がスポンサーを務めることになったから、せっかくだし貴方を招待しようと思ったのだけれど……」
「ごめん、やっぱ行くわ。てか、怪我してでもりんくに止められてでも行くわ。今までのこと全部水に流すから連れてって下さい。」←モンハンの超大ファン
今持っている限りのプライド含むいろんな物を捨てて絵空に頭を下げて頼み込む。
「了解よ☆それじゃあ響子や咲姫ちゃん達に伝えておくわね♡」
「よっしゃあっ!!!…………は?え、ちょっと待って、最後今なんて言った?」
「え、だから響子や咲姫ちゃんにも伝えるって言ったのよ?」
「…………もしかして俺、嵌められた?」
こうして、俺はゲームイベントの参加と引き換えに、なにか大事なものを失うのだろうと、後々に後悔することになるのだった……
〜おまけ〜
りんく「あれ、なんだろこのチケット?」
りんくの家のポストには謎の招待状が届いていた。
りんく「えっと、なになに……モンスターハンターのイベント?……あっ!コレってゆーくんが好きなゲームのタイトルだっ!!コレなら当日ゆーくんに会えるかも♡そうと決まれば準備しなくちゃ♪」
【次回】ヤンデレ集結
深夜に編集するとまともに書けないってハッキリと分かった。
えー、とりあえず3人のヤンデレの話が一通り完結した記念に、次回ではヤンデレが3人、全員集結します。
その次の章では夕護のバイト回。更にその次の章はモンハン編でアンケートを取ります。
それでは、また次回〜
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