ヤンデレなあの娘と過ごす日常はどうなるのか   作:アライグマ318号

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 第4話、前回の響子回の続きです。

 さて、保健室にて追い詰められた夕護。詰んだなこりゃ。

 ついでに、夕護と響子の回想回でもあります。

 お気に入り登録、評価をしてくださった皆様、ありがとうございます!!!

 それでは、どうぞ〜


第5話 カリスマと密になるとどうなるのか

 

〜数年前〜

 

「はぁ……あんまりお客さん、盛り上がらなかったなぁ……」

 

 響子は放課後の食堂の机で、何かを頼むわけでもなくただ1人、落ち込んでいた。

 

(もうちょっとあの部分で詰めを……いや、でもあの時にあれを使ってれば……)

 

 放課後となり、響子はライブをしていたのだ。この時はまだピキピキとしては活動しておらず、中等部時代のことである。

 

(しのぶにも一応曲は見てもらってるけど、全然及ばないし……向いてないのかな……?)

 

 今回開いたライブは人があまり来ず、さらには会場内のライブの盛り上がりもイマイチだった。その事が響子の感情をネガティブな状態にまで落としていた。

 

 そんな時だった。

 

「ほい、これ。」

 

「…………え?」

 

 ふと、頭上で声がしたと思い、響子は伏せていた頭を上げる。

 

 目の前には、頼んだ覚えのない飲み物とハンバーガーが置かれている。

 

「ライブお疲れ様、良かったよ。」

 

 ハンバーガーの先には、1人の男子生徒……氷月夕護がいた。

 

「えっと……確か……ライブに来てた人?」

 

 朧げではあるが、ライブに来ていた客の顔と夕護の顔が一致する。

 

「あ、顔覚えててくれたんだ……まぁ、客少なかったからな。」

 

 そんな夕護の物言いに響子は機嫌を少し悪くしてしまう。

 

「嫌味でも言いに来たの?」

 

「いや、純粋にアンタのライブが良かったから声をかけに来ただけ。えーと……名前なんだっけ?」

 

「……山手響子。」

 

「そっか、俺は氷月夕護。」

 

 お互いが簡易的な挨拶を済ませてその場に沈黙が訪れる。

 

「はぁ……どうすればもっと良いライブができるかな……」

 

「……強いて言うなら、あのサビの前の曲を、5曲目のやつと入れ替えて見たら良いんじゃねぇの?」

 

「え?」

 

 夕護の言葉に響子はキョトンとしてしまう。

 

「後は、最後と2・3曲目のリミックスの重低音をもっと強くするともっと盛り上がるな。」

 

「ちょっ、ちょっと待って!?……分かるの!?」

 

「まぁな。」

 

 響子は慌ててスマホを取り出し、夕護の言った事をライブで使用したスマホに録音してある曲で実践する。

 

「あっ……確かにこっちの方が……良い……」

 

 曲を実際に編集してみると、確かにアドバイスを聞いて作った曲の方が盛り上がれる気がした。

 

「……ねぇ、どうして分かったの?」

 

「う〜ん……なんとなく。」

 

「な、なんとなく?」

 

 あくび混じりに自分の分のハンバーガーを食べる夕護に響子は呆気に取られてしまう。

 

「もともと耳はいいんだよ。それこそ、人の小さな悪口から曲の小さな音を聞き分けられるくらいには。」

 

 軽く自嘲気味に答える夕護。そんな風に話している間にも、夕護はハンバーガーを完食する。

 

「ごちそうさま。それじゃあな。」

 

 そう言って夕護は席から立ち上がり、その場を去っていった。

 

「氷月夕護……ねぇ……」

 

 その場には、少し冷めたハンバーガーと興味深そうに名前を口にする響子が残っていた。

 

 

 

 

〜数週間後〜

 

「あっ、見つけた!」

 

「ん?」

 

 それから数週間経ち、私はライブをして感想を聞きに夕護を見つけては話しかけていた。

 

「今日のライブはどうだった?」

 

「あぁ、見てたよ、お疲れ様。良かったじゃん。」

 

「っ!」

 

 その言葉がとても嬉しかった。

 

「ま、でもサビの後の繋ぎでちょっと手こずってたのも見てたけどな。」

 

「あはは……やっぱりそこも見てたんだ……」

 

 少しだけ恥ずかしくなって照れてしまう。

 

「ねぇ、どうすればもっと良くなるかな?」

 

「さぁ?……あ、でも2曲目を少しアレンジするのも良いんじゃないの?」

 

 それからも私は夕護に話しかけ続けた。夕護のアドバイスは確かに良かったし、夕護はよく私の手伝いをしてくれた。

 たぶん、その頃から夕護の事が好きになっていたのかも知れない。それは、数年経って私がしのぶや由香、絵空達とPeakyP-keyとして活動するようになってからも、夕護のことが気になって仕方がなかった。

 でも、伝えるのは怖い。そんな風に曖昧な時間だけが進んでいたある日のことだった。

 

(あ、夕護だ。)

 

 廊下の端で偶然夕護を発見し、声をかけようと駆け寄ったその時だった。

 

「ほいむに、これ今日の分の弁当。」

 

「あ、夕護。アンタも物好きよねぇ、毎日私の分の弁当作るなんて。」

 

(っ!?)

 

 夕護が誰かに小さな小包……サイズからして弁当を渡しているのが目に映り、とっさに隠れてしまう。

 

「別にそこまで大変じゃねぇよ。毎日作ってれば慣れるし、ただの自己満足だから問題ないよ。それよりも、早く飯食える場所に行こうぜ。」

 

「そうね」

 

 そう言って、夕護と弁当を渡された女子生徒は一緒にどこかへ歩いていった。

 

(……なんでこんなに胸がズキズキと痛むんだろう……)

 

 いや、本当はこの痛みが何なのか()()()()()()。これは嫉妬なのだと。

 

(夕護には毎日お弁当を作る相手がいるんだ……)

 

 普通逆な気がしなくもないが……そんな事よりも夕護にそんな相手がいることに胸が痛い。

 

(どうすれば……この痛みを……)

 

 

 

〜数日後〜

 

「あれ、どうしたの響子?」

 

「あはは……ちょっと、嫌なことがあってさ。」

 

「?」

 

 それから数日後の休み時間。私は絵空と会話をしていた。

 

「もしかして失恋?」

 

「…………」

 

 絵空の言葉にどう返事をして良いのか分からず、黙ってしまう。

 

「なんなら、響子もこーゆー本を読んで見る?」

 

「本?」

 

 ふと、絵空が本を私の目の前に差し出してくる。表紙に何故か包丁を持った女の子がプリントされているのがなんとも気になるが、多分恋愛系の本……だと思う。

 

「これは?」

 

「えっと、確か……離れ離れになった幼馴染みの男の子と女の子の恋愛モノよ。これ読んで響子もリベンジしてみたらどうかしら♪」

 

「リベンジ……」

 

 あれ以降、夕護に話しかけられていない。でも、また夕護と話す機会が得られるのなら……

 

 それから、私は絵空に借りた本を読んで、男の子の()()()()()を学んだ。どうすれば夕護に見てもらえるのか。どうすれば逃さないように出来るのか。どうすれば私だけのものに出来るのか。

 夕護の動きもいつも見ていたからこそ分かった。

 

 もう、ニガサナイ……誰にも夕護は渡さない。

 

 待ってテネ、夕護♡必ズ私のモノにしてアゲルから♡

 

 


 

 

「な、なんでお前がここに……っ!?」

 

 響子はベッドの上の俺を濁った瞳で見つめながらカーテンの内側に入り、再びカーテンを閉める。

 

「夕護もヒドイよね……私が昼休みにせっかく待ってたのに結局来ないんだもん。」

 

 響子はそのまま靴を脱ぎ、俺のいるベッドに上がり込んでくる。逃げようにも俺の寝ている場所は窓際で日当たりの良い一番端の位置にある。当然、逃げ道など無い。

 

「絵空から夕護が放課後保健室にいるって聞いてなかったら夕護の家に上がるつもりだったけどね。」

 

(え、絵空!?……あの女謀りやがったな!?)

 

 昼休みのあの時、俺の放課後の予定をさりげなく聞き出した絵空のまさかの策略により脳内が軽くパニックを起こす。

 その間にも響子は俺を押し倒すような形でベッドの上に上がり切る。

 

「GPSで学校にいるのは分かってたけど、学校のどこにいるかまでは分からないから絵空がどこにいるのか教えてくれて助かったよ♪」

 

 そう言うと響子は俺を押し倒すように両手を拘束し、もう一度問い詰める。

 

「なんで私が呼んだのに来なかったの?どうして私じゃなくてしのぶなの?いくらしのぶでも夕護は譲らない……夕護が他の誰のものでも無い、私のモノなんだって証拠をつけてあげる」

 

「ちょっ、待っ……いっ!?」

 

 明らかにヤバい。そう思って響子を止めようとしたが、その前に響子が俺の首元に飛び付き、思いっきり噛み付いた為、痛みで声が飛んでしまう。

 

「はむっ……ちゅっ……♡」

 

「うっ……あっ……っ!?」

 

 響子は俺の首元に痕をつけるように噛み付き、その上で噛んだ場所を執拗に舌で舐め回す。痛みとヌルヌルとした感触に頭が軽くショートを起こす。

 

「ふふっ、しっかりと痕が残ったね♪」

 

 響子が満足そうに俺の首から口を離すと、首に付いた唾液と響子の口に付いた唾液同士が繋がり、糸を引いていた。

 

「ど、どうして……こんな事……」

 

 恐怖を押し殺しながら、何とか言葉を絞り出すように質問をする。

 

「さっきも言ったよね?……夕護を手に入れるためだよ。」

 

 濁りきった瞳で響子は語りかける。

 

「私は夕護が好き……でも夕護は私だけを見てくれない。」

 

 響子はそのまま俺の身体に沿うような形で顔を近づける。

 

「だから、まずは私のモノだっていう証拠を夕護のカラダに刻み込む。それから私以外の女の子に目が移らないように、徹底的に教育してあげる♡」

 

 そう言って響子が俺の唇と自分の唇をゆっくりと重ねようとしたその時だった。

 

「い〜〜〜や〜〜〜だ〜〜〜っ!!!」

 

「「!?」」

 

 突然、保健室の扉が開く音と同時に何処か聞き覚えのある女子生徒の悲鳴が響き渡る。

 

「ちょっと乙和(とわ)!少しはおとなしくして!衣舞紀(いぶき)!そっち抑えて!」

 

「いい加減観念しなさい、乙和!」

 

「痛いからや〜〜〜だ〜〜〜!!!ノアと衣舞紀のオニ!は〜〜な〜〜し〜〜て〜〜!!」

 

 保健室内に突然響いた悲鳴に、さすがの響子も顔をキョトンとして俺の上で固まる。

 

(この声……乙和先輩とノア先輩、それに衣舞紀先輩か!?)

 

 声の特徴から誰が保健室に来たのかを察する。

 

「お、おい響子、流石にこの状態は……っ!?きょ、響子!?」

 

 流石にこの状態はマズイと思い、響子に小声で話しかけようとしたが、突然響子が俺が先程まで使っていた布団に音を立てないように潜り込み、覆いかぶさる。

 

「静かにして……このまま大きな音を立てれば……分かるよね?」

 

 響子は、布団の中から俺にだけ聞こえるように喋り、布団の下に顔を隠す。

 

「あれ、もしかしてそこに誰かいるの?」

 

 そして、それと同時に衣舞紀先輩の声が聞こえる。

 

(あれ……これはもしかしなくても、既に詰みかけてるのでは?)

 

 そんなどうしようもない状況に、俺は心臓の鼓動を早めながら、どうするべきか脳をフルスピードで回転させるのだった。

 

 

 

 

〜おまけ〜

 

美夢「夕乃ちゃんのお兄さんって、音楽センスは高いの?」

 

夕乃「高いなんてもんじゃ無いよ……あれは音楽センスを超越してただの地獄耳だって……悪戯しようとすると基本すぐバレるし。それに、機械系も強いから真秀ちゃんのDJの練習とか手伝ってるし。」

 

春奈「というか、バレるのは悪戯をする夕乃さんが悪いのでは?」

 

夕乃「ま、夕護の反応は成功した時は面白いからね!私は悪く無い!悪いのは良い反応をする夕護だし!」

 

美夢「あれ?なんか100mくらい離れたところに夕乃ちゃんのお兄さんがいるよ」

 

春奈「あれは……夕乃さんに対して何か言ってませんか?」

 

夕乃「えーと、なになに……?」(望遠鏡装備)

 

夕護『 聞 こ え て る ぞ 』

 

夕乃「っ!?」

 

美夢「夕乃ちゃんどうしたの?顔色が悪いよ?」

 

夕乃「えっ!?い、いや〜……だ、ダイジョブだよ」

 

春奈「顔色が真っ青の人が言うセリフじゃないですわ!?」

 

 当分の間、(夕護)に対する悪戯は自粛しようと思った夕乃であった。

 

 

 

 





 あれ?もしかして響子がヤンデレになった元凶の1人って絵空なんじゃ……気の所為だよネ!

 次回、響子編最終回、そしてその次は最終回でライブ衣装を脱ごうとしたあの人です。




 ついでに、今後の投稿についてのご報告です。

 2月に僕の高校で学年末テストなるりんくの顔も真っ青になるような催しがあるため、約1ヶ月ほど、投稿を停止させて頂きます。

 アンケートに関しては、恐らく決まりそうですので、通常の『リクエスト箱』と『R18のリクエスト箱』のリンクを張っておきます。ちなみに、そちらの方は1部、僕の投稿している別の作品のリクエストも混じっているので、ご了承下さい。


  ぞえまるのTwitter→@Zoemaru0318

 リクエスト箱(D4DJ専用)
   ↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=253732&uid=304719

 リクエスト箱(ナニがとは言いませんが)
   ↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=244270&uid=304719

 モチベーションが上がる魔法のリンク
   ↓
https://syosetu.org/?mode=review&nid=247612


 投稿頻度が上がるかも知れない魔法のリンク
   ↓
https://syosetu.org/?mode=rating_input&nid=247612&volume=1
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