ありふれた殺し屋が現代最強 作:クロネコ
一週間で切るつもりが私用が入ったのできれなかった
「…はい?大迷宮ですか?」
「あぁ。明日から数日間で行われる実践訓練だ。それに君も参加してもらう」
「はぁ」
メルド団長は嬉しそうに豪快に笑っているが、俺はあまり気乗りしなかった。
大迷宮とは何かとか、情報量が不足しているにも関わらずにその場所に向かうことは、圧倒的に不利を被る。
「…えっと?何しているの?」
「ん?明日の予習」
だから眠れない時間を使い、俺はオルクスの大迷宮に挑戦する前日、魔物図鑑や知り合いの冒険者たちに教えてもらった情報を見直すために、色々とページをまとめていた。
「……ん?ってえっ?」
「ん?どうかしたか?南雲」
「い、ううん。これってどこにあったの?」
「ん?自作だけど?」
「自作なの!?」
俺との寮の同室は南雲であり、二人の部屋でのんびりしていた。
「まぁな。そんな重い図鑑、先生のアドバイスブック持っていたら、そこまで持っていけないんだよ」
「あのアドバイスブック持ってきているんだ」
「まぁな。異世界に来た時の対応法とかな。それと冒険者になった時のやり方とか、この世界の法則とかいろいろ」
俺は小さく苦笑してしまう
「そういえば、そのアドバイスブックって中学の先生からだよね?何でそんなことが書いてあるの?」
「ん?……まぁ、この世界に来たから別にいいか。俺が椚ヶ丘出身だからっていえば分かるか?」
「…それって」
「あぁ。中学三年の時、俺は暗殺教室、マッハ20の殺せんせーを相手にずっと暗殺を仕向けてきたんだよ。まぁその殺せんせーが物凄くマメでさ……絶対異常事態になった時、俺たちの役に立つことが載ってあるってな」
だから、恐怖に少し早くに対応できたとしか言いようがない。
意味を理解し、クラスを崩壊させるのを防ぐためにも全力を注いでいる。
「ほら、異世界に行ったときの対応なんか見事だぞ!異世界に転移した場合は1209ページ。まず友達の確認をした後、呼び出された理由を聞いてみましょう。もし、それが戦争が目的だった場合は1211ページ。最初は静観し、相手のことが信用なる人物かを調べましょう。そして自分のできることをやりましょう。戦争が嫌なら逃げてもいい。もし戦争をしなければならないのであれば、それなら戦争に参加することもいいでしょう。でも……」
俺はひとつだけ区切る。これがこのクラスには足りないのだから。
「何よりも最優先なのは、その世界で友達など、あなたにとって大切な人と生きることです。日本に戻りたいという気持ちがあるかもしれません。ただ、それは一人だけでは絶対にできません。それは先生にもできません。当然戻りたいと思うことはあるでしょうが、まずはシュンくんがその世界で生きることを専念してください。日本に帰れたとしても、シュンくんやあなたの友達が生きていなければ、意味がないことを覚えておいてください」
俺は口を閉じる。
南雲は黙ってその文をずっと見ていた。
「…俺は正直、このクラスが全員生きて帰れるとは思ってはいない。実際俺ですら今は見通しがついていないだろ?つーか俺は、一番危ういのは多分俺と南雲だと思っているんだよ」
「えっ?」
「俺も南雲も、クラスに飛び切り仲がいいって奴はいないだろ?俺は元々、白崎に好かれているから嫉妬買っているし、八重樫や園部とも仲がいい。まぁ最近は、あの発言でその3人とも少し不安定だけどな。でも……理由は違うだろうけど、明らかに俺たちは、他の男子からよく思われていないだろうからな」
俺は女子がらみ、南雲という少年は、人格的にいえば奥田さんやカエデのタイプであることは想像つく
ひとつのことに集中できるタイプ。他のものを捨ててもいいわけではないが、それでも勉強よりもオタク文化に関しては圧倒的な情報を持っている
「…気をつけろよ。殺し合いっていうのは、そんなに甘いもんではないからな」
俺はただぼーっとしている南雲を傍らに外に出る。
夜風が心地よく吹くが、俺にとっては体が冷えていく。
しばらく歩くと広場に出る。そこには普段屋台が開かれているらしい。
その場所で、どこかひとつだけ見覚えのある姿が見える。
「……悲しげや、異世界に咲く、桜花かな」
「えっと?」
「……何私たちで一句詠んでいるのかしら」
「悪いな。なんとなく出て来たのがその一句なんだよ」
俺は軽く苦笑していると、その人物は呆れたように俺を見る
「久しぶりかしら、前田君」
「あぁ。久しぶり。八重樫。白崎」
「う、うん」
俺は少しだけ手を上げると、少しだけホッとしたのか苦笑している八重樫と、どこか不安そうな白崎。
少し白崎の態度に戸惑うが。
「あら、元気そうじゃない。優花が心配してたわよ。最近全然顔を合わせてくれないって」
「合わせてくれないよりも顔を見にこないんだろ?まぁ俺は俺で忙しいんだよな」
「忙しいって。あなた冒険者をやっているのよね?そんなに忙しいのかしら」
「まぁな。遠征とかもあるし、何よりも俺は、ほとんど自分の稼ぎで生活し始めているからな。王宮に滞在している期間は滅多にないし、ほとんど外泊だ。まぁだからこそ、色々とこの世界のことについて見られているんだけどな」
実際俺は、誰よりもこの世界を満喫している一人だろう。
仕事をしてそのお金で飯を食べて、王宮でも宿に泊まる。それが俺の日課だ
「……まぁ、二人とは違って俺は少しは耐性があるからな。人だって殺したことがあるし」
「……えっ?」
その一言で固まる。
この二人には話しておきたかった。ギリギリで偶然会えたので一安心だろう。
「俺は椚ヶ丘中学三年E組出身っていえば分かるか?」
「…それって」
「あぁ。暗殺教室出身だよ。俺はその時に先生ともう一人……殺している」
俺はそういうと、八重樫は疑問に思ったのか、俺に語りかけてくる
「もう一人?」
「あぁ。一応罪になっていないから分かると思うけど、正当防衛ってことになっているんだ。賞金300億の賞金首を狙うには、かなりの危険が請け負うんだ。それで、その三月に、殺せんせーとの別れの時に、同級生が殺されそうになったんだよ。当然俺も含めてな。その時に俺は弓を引いて……そいつを殺した」
奇跡と言っても過言ではない。あの卒業前、最後の決戦。俺はゾーンなのか分からないが、急に柳沢のマッハ20の速さの心臓とはいかなかったが、急に視界にひとつの線が思い浮かび、そいつを守るために弓を引いたのだ
「俺自身な不思議なんだよ。昔から誰か大事な人を守る時って、自分の想像以上に力が出る。まぁ一応殺人だし、クラスメイトの一人は死にかけたけどな」
「……あなたはそのことに後悔は」
「昔はしてたよ。殺したと分かってから数日は部屋にこもっていたし、今でもそいつの顔が時々夢に出るんだ。正直なところ、明日のために早く寝ようとしてたけど眠れなくてな。南雲も堪えきれなくて俺に声をかけてきたし、正直今でも怖いって思うさ。人を殺せって言われたら怖いに決まっている。でも後悔なんてする必要がない。だって友達が殺されそうになっていたからな。俺は何度あの状況になっていたって、トリガーを引くさ」
俺は苦笑してしまう。俺だって殺したくて殺したわけじゃない。
守るという意志はあった。でも殺す気なんかあるはずがなかった。
殺すより人を生かす方が難しいと烏間先生は言っていた。
「まぁ、でも俺は、たとえクラスメイトであれ、人を殺さないといけないタイミングであれば、真っ先にナイフを振るうだろうな」
「えっ?」
「俺の中学の先生で、副担任だった防衛省の先生がいるんだけどさ。その先生は、その時暗殺任務を言われた殺し屋と結婚しているんだよ。その時のプロポーズの言葉の一節なんだけど…その殺し屋の先生に向かって、防衛省で働けって言ったんだよ。殺し屋の経験は平和の中でも生きるって。だから殺した人以上の人を救えって言われたらしい」
「……殺した人以上の人を救う?」
「あぁ。苦しまなければいけない。喉元をすぎたって殺人は殺人。熱さを忘れることなんてできるわけがない。でも俺は、その痛みを忘れたいなんて思っていない。俺の罪は罪だ。消えることはないからな」
八重樫はただ次の言葉を待っているのか、俺の話を聞き入っている。
あそこで俺は主席にはなれなかった。
約束だって叶えられなかった。
「でも、もしこの身で人を救えるのなら。誰かを守れるなら……自分の命を使っていいと思うんだ。優花なんかは幼馴染だし、白崎、八重樫だって友達だと俺は思っている。二人がかなり悩んでいることも知っている。優花だって心配していることも知っている」
そう、分かっているのだ。
俺を心配してくれていることも、俺について悩んでいることも、そして受け入れてくれることを。
「だから友達を守りたい。例え俺より強く一緒に戦って、隣で歩けるくらいに強くなりたい。それが俺の想いかな」
「……あなたって強いのね」
「強くなんてないんだよ。ただ俺の理想なだけ。まぁ八重樫は、普段から自分で完結するくせがあるからな。よく見ないと、お前はすぐに壊れるだろ?」
「壊れるってあなたね?」
「怖いんだから、こんな夜中に剣振っているんだろう?」
実際そうだ。すでにこの世界では日を跨いでいるのだ。
八重樫は、戦争の意味を理解している節をしている発言がいくつもあった。
「俺だってさすがに今日は寝れそうにない。それになんとなく嫌な予感がするんだよ」
「嫌な予感……」
「あぁ。どこか……誰かを失ってしまうような。そういう不安がな。……よくわからないけど、あんまり良い雰囲気ではないしな」
「……私も、そんな気がする。私も夢を見たの」
「夢?そういえば香織も、今日珍しく私の訓練についてきたわよね?」
「うん。私と雫ちゃんが暗闇に落ちて、諦めそうになってしまうところに、前田くんが助けようと手をさし出すけど、最後にはみんなで闇の中に落ちて消えてしまうの」
雰囲気が重くなるのを感じる。今の現状そのことがありえないとは言い切れない。
「……でも一人じゃないだろ」
「えっ?」
「その夢の中の俺たちだよ。八重樫と白崎も一緒にいて、俺が手を差し出しているだろ?いつもの俺たちじゃないのか?困ったときは助け合う。苦しい時には誰かが側にいる。一人じゃ何にもできないけど……俺も八重樫も白崎もそこにはいるんだろ?別にそれならいつも通りだろ?」
「……そうかも」
「だからいつも通りにしてたらいいんだよ。困ったら助けてやるし、怖かったら愚痴でもなんでも吐き出せばいい。でも、この世界を生き残るためには、俺一人の力では到底無理だしな。それに……嫌だろ?俺だけが生きていても、友達や幼馴染が死ぬなんて」
実際命については何度も考えさせられていたことだった。
俺は特に先生との繋がりは強いものであったし、生徒と教師だけではなく、プライベートでも色々連れて行ってもらったりしていた。
だからこそ思ってしまう。
あの時俺は約束したんだ。大切な人たちを守るって決めたから。
「俺はもう、手がとどくところで大切な人たちを失うのは…嫌なんだよ」
俺の言葉に八重樫はどこか驚いている。
もう二回も大好きだった先生を亡くしている俺にとっては、もう耐えられないことだった。
「私も雫ちゃんも大切な人なの?」
「ダチだからな。大切な人に決まっているだろ?」
「…う、うん」
「なんか照れるわね。そうズバズバ言われると」
「……自分も少しだけ恥ずかしいこと言っているような気がするけど……それでも少しばかり女子にはカッコつけたい生き物なんですよ。男子って奴は」
俺は苦笑してしまう。それに嘘を言っているつもりはない。
気分が落ち込んでいる時に話しかけてくれたのは、この二人だった。
何があったのか聞かず、いつも通り変わらずに接してくれたのが優花だった。
だから先生。みんなごめん。
会えなくなるかもしれないけど、自分がやりたいことのために無茶するから。
すると白崎も八重樫も笑顔になる。冗談で言っていることもわかっているのだろうしな。
深夜にも関わず会話が弾む。
でも、この時に気づかなかったことを後悔することになる。
後ろから見る一つの影に。
アンケートにつきましては6票差だったこともあり、ユエがヒロインいり、奈落ルートとヒロインに加えない地上ルートの二通り書こうと思います。投稿は遅くなりますしが週に一本ずつ投稿できるように頑張ります
なおここではユエのヒロイン入りのルートを書きます
分岐まで後二話になりますがよろしくお願いします
ユエをヒロインに加えるか
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