ありふれた殺し屋が現代最強   作:クロネコ

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実力

「おはよう。シュン」

「おはよう。シュンくん」

 

挨拶をされたので返すと周囲から驚きのざわめきが聞こえてくる

それは優花も同じらしく、ただキョトンとしているが一番驚いていてキョトンとしていたのは俺だった

 

「おはよう。二人とも。よく寝れたか?」

「えぇ。そっちは?」

「全然。この世界入ってからまともに寝れる方が少ないから」

「そうなの?それなら回復魔法かけようか?少しは楽になるかもしれないけど」

「いや。少しは寝れているからな。いつも通りじゃないのか」

「ほんと?」

「大丈夫だって」

 

俺は笑ってしまう。心配性は八重樫ってイメージがあったけど白崎に心配されるのは珍しい

 

「そういえば、今日あなたって誰と組むのかしら?」

「俺?俺は南雲とだけど。部屋も同じだったし」

「それじゃあ」

 

と白崎。いや香織は嬉しそうに笑い俺が予想した通りの言葉を告げるのだった

 

「どうしたの?」

「いや、なんでお前ら俺と一緒に組んでいるんだよ?お前ら勇者パーティーだろ?」

 

迷宮に入り既に5時間近くだろうか?

俺たちは既に目標階層である20層にたどり着いていて休憩時間に入っていた

 

「いいじゃない。それに昨日の約束もあるから近い方がいいでしょ?」

「いや、確かに約束だってしたし、都合がいいのは分かるけど、メルド団長もいい顔してなかったぞ」

「約束って?もしかして前田くんがいない時二人と何か約束したの?」

 

すると南雲が不思議に、思ったのか聞いてくる。まぁ隠すことじゃないし別にいいか

 

「いや、こんな世界に負けないようにお互い助けあっていようって言ったんだよ」

「あら?何かあったら守ってやるって言っていたでしょ?」

「いや、確かに言ったけど雫たちも俺のこと助けてくれるんだろ?まぁ、危なくなったら助けるつもりだけど…」

「……ふふ。そういえばあなたも呼び方変えたのね?」

「そっちが変えたんだろ?元々名前で呼ぶのには抵抗ないしな」

 

俺がそういうと雫が不思議そうにしている

 

「あら?そうなの?」

「元々俺は男子一に女子三のグループにいたからな。それに基本名前呼びが普通だったし」

「へぇ〜。もしかして彼女とかもいたことあるの?」

「ない。というよりも振られたばっか。好きだった人に好きな人がいたからな」

「えっ?」

「い、いたの?」

「何驚いているんだよ。俺だってちゃんと恋心を抱く時はあるって」

 

少しだけ苦笑してしまう

そんなに人間くさくないか?

そんな恋バナをしているうちに時間が過ぎ、休憩時間が終わる

しばらく歩くと俺は気配を感知する

 

「…五体。この階層で擬態しているとなると…ロックマウントかと」

「……あぁ。それじゃあ前田のパーティーが対応しろ」

 

まぁいいか。南雲は少し危ないけどそれでもやりようがないことではない

俺と雫が前衛につくのだが

 

「……すげぇ」

 

誰かの口からそう漏れる

視線は俺に向けられていた。俺は暗殺教室に入ってまずやったことはほぼ暗殺のことに間違いはないが

まぁ4体のロックマウントの攻撃を一人で捌いていたら当然だろう

一回捕まれば大怪我もあり得るのはいつもと任務と変わらないからな

格上のやり方は覚えている。耐久もないし、耐えるだけでも一苦労

攻撃を食らってもうまく受け流しており、受け身をとっているので怪我はない

 

「……あなた、本当に規格外ね」

「生憎受け身の練習は嫌ってほど叩き込まれたからな」

 

一匹を葬った雫が俺を見る

一対多の基本戦術は致命傷を喰らわないことだ

そしてその直後

 

「グゥガガガァァァァアアアアーーーー!!」

「きゃあ!?」

「っ!」

 

 体をビリビリと衝撃が走り、雫はダメージ自体はないものの完全に硬直してしまう。ロックマウントの固有魔法“威圧の咆哮”、魔力を乗せた咆哮で一時的に相手を麻痺させる。一応備えていたが一瞬硬直が免れなかった

ロックマウントはその隙にサイドステップし、傍らにあった岩を持ち上げ香織達後衛組に向かって投げつけた

いや岩ではなくてモンスターだが

香織とその友達であり、勇者パーティでありながら俺たちのサポートを申し込んだ谷口鈴と中村恵理が、準備していた魔法で迎撃せんと魔法陣が施された杖を向ける

だがそれはロックマウントであり今でも腕をなぎはらうとばかりに後衛に薙ぎ払う体制になっている。しかし「ヒィ!」と思わず悲鳴を上げて魔法の発動を中断してしまった

 

「何してるんだよ」

 

俺は軽く後ろに飛びながらナイフに魔力を乗っけるとそして

 

「魔力撃」

 

魔力をナイフに付加し氷のエンチャントをつけたナイフで斬りふせる

両手にナイフは昔からの戦闘スタイルであり、なぜか一本より正確に振れる

そうするといとも簡単に真っ二つどころか10に分裂するロックマウント

二つのナイフがあれば1秒両手で10回は振れる

 

「ご、ごめん」

「ありがとう。前田くん」

「気にすんなって…雫、前!!」

「えっ!」

 

俺は加速した後にその勢いのままナイフをふりかぶると雫の前にいたロックマウントと斬りふせる

 

「…たく。あぶねぇな」

「…ごめんなさい。少し香織が気になって」

「いいって。困った時はお互い様ってもんだ」

 

と言いながら俺は前を向きもう一体を倒そうとした時だった

すると

 

「貴様……よくも香織達を……許さない!」

「……あれってやばくないか?」

 

俺がポツリと呟くとすると頭を抑える。彼の聖剣が輝き出すと同時に

 

「万翔羽ばたき、天へと至れ――〝天翔閃〟!」

「あっ、こら、馬鹿者!」

 

メルド団長の声を無視して、天之河は大上段に振りかぶった聖剣を一気に振り下ろした

その瞬間、詠唱により強烈な光を纏っていた聖剣から、その光自体が斬撃となって放たれた。逃げ場などない。曲線を描く極太の輝く斬撃が僅かな抵抗も許さずロックマウントを縦に両断し、更に奥の壁を破壊し尽くしてようやく止まる

 

「へぶぅ!?」

「この馬鹿者が。気持ちはわかるがな、こんな狭いところで使う技じゃないだろうが! 崩落でもしたらどうすんだ!」

 

後ろでメルド団長が天之河が何か言っているがとある鉱石を見つけた

 

「南雲、あの鉱石なんか分かるか?」

「えっ?」

「崩落したところにあるやつ。なんか妙に光っているんだけど」

 

俺が指差すところには青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。まるでインディコライトが内包された水晶のようである

女子たちがうっとりしている表情になっている

 

「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」

「グランツ鉱石?」

「あぁ。いわば宝石の原石みたいなものだ。特に何か効能があるわけではないが、その涼やかで煌びやかな輝きが貴族のご婦人ご令嬢方に大人気であり、加工して指輪・イヤリング・ペンダントなどにして贈ると大変喜ばれる」

「求婚のさいに選ばれる宝石としても有名なんだよ」

「素敵……」

「えぇ。綺麗ね」

 

女子たちがうっとりしているがどこか違和感を覚えていた

 

「それでメルド団長、この階層でグランツ鉱石って」

「取れなくもないがあれほどのものは目撃証言はないな」

「……きな臭いな」

 

おそらくトラップだと判断しようとした時だった

 

「だったら俺らで回収しようぜ!」

 

そう言って唐突に動き出したのは檜山だった。グランツ鉱石に向けてヒョイヒョイと崩れた壁を登っていく

 

「こら!勝手なことをするな!安全確認もまだなんだぞ!」

 

その瞬間、俺はぞわっと寒気がした。いやな予感が襲い俺は周囲を見渡す

 

「団長! トラップです!」

「ッ!?」

 

しかしその予感は最悪の形で実現することになった

檜山が触った瞬間鉱石を中心として魔法陣が部屋全体を包む

 

「くっ、撤退だ!早くこの部屋から出ろ!」

 

俺は瞬時に間に合わないと判断し軽く目を瞑る

トラップに吸い込まれ一瞬の浮遊感を得る

空気が変わり俺は軽く息を呑む

 

「……シュン」

 

不安そうな優花。偶然にも近い位置で転移したらしい

だけど……既に最悪の状況に巻き込まれたのだ

 

「……優花、戦闘準備」

「えっ?」

「気配感知に引っかかった。おそらくモンスターハウスだ」

 

俺の言葉の通り階段に続く通路には小さな多数の魔法陣。反対には大きな魔法陣が現れる。小さな無数の魔法陣からは、骨格だけの体に剣を携えた魔物が溢れるように出現した。空洞の眼窩からは魔法陣と同じ赤黒い光が煌々と輝き目玉の様にギョロギョロと辺りを見回している。その数は、既に百体近くに上っているだろう

そして反対側にはトリケラ頭の怪物が威圧感を放っているは赤黒い光を放ち、鋭い爪と牙を打ち鳴らしながら、頭部の兜から生えた角から炎を放っている

 

その時、現れた巨大な魔物を呆然と見つめるメルド団長の呻く様な呟きがやけに明瞭に響いた

――まさか......ベヒモス......なのか......

 

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