ゆり〜ゆりゆりゆ〜
ゆ〜り〜ゆ〜り〜
(訳:遅くなってごめんなさい!)
「さて……私のところに来たってことは、AZでも目指したいのかしら?」
一柳隊が集った訓練場の一角。サブスキルを習得するとい目的で訓練をすることになった一柳隊の面々は、それぞれの指導者の元に別れていったわけだが、
ワシの隣には、楓もいる。楓も亜羅椰の指導を受けに来た、ということなのだろう。正直意外だったが、二人は最近、割と仲良しだと言う話も聞く。流瑠様を取り合う関係の二人だが、シンパシーでも感じてるのだろうか。
亜羅椰はワシらに「AZを目指したいのか」と問いかけるが、もちろんそんなわけもない。ワシも楓もTZやBZの適正の方が高いのはわかりきっている。亜羅椰もわかって言っているようだったから、きっといつもの軽口なのだろう。
「んなわけありませんわ。とはいえ、今のわたくしはどちらかというと防御偏重。もう少し攻撃手としての能力を上げられれば、取れる手段も増えますわ。それには攻撃的なサブスキルの習得が手っ取り早いでしょう?」
「まあそうね。対ラージ級以上に於いて、楓に足りないのは何を差し置いても火力。というか、一柳隊はかなり防御寄りのレギオンよね。レギオン全体において火力不足は否めないわ。それを補えるメンツが、エースである夢結様と──」
「ワシ、じゃな」
このタイミングで、ワシも二人の会話に入る。実際、ワシや夢結様、ギリギリ鶴紗も入るが、この3人以外は正直火力不足だ。その上ワシがフェイズトランセンデンス1発打ったら動けなくなるようでは、ジリ貧になってしまうこともあるだろう。
だから、ワシは亜羅椰の元に来た。
「ミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウスさん。ふふ、聞いていた通り、確かにお人形さんみたいね?」
「言われ慣れとる。一応褒め言葉として受け取っておこうかの」
「あら、気に障ってしまったかしら?ごめんなさいね」
「いや、気にしとらんぞ」
遠藤亜羅椰。アールヴヘイムの問題児……と言われていたAZ。その果敢なる戦い方から「紅き獅子」とも呼ばれる世界最高峰のAZにしてデュエルの天才でもある。
中等部時代に聞いた彼女の噂ではかなり素行が悪いとのことだったが、流瑠様と関わったことで大人しくなったのだとか。その代わり、流瑠様への求愛が激しいらしいが。
亜羅椰の瞳がワシをじっと見つめる。輪郭を舐めるような視線だが、下品な不快さは無い。見定めている、という感じだろうか。
「なるほどねぇ……貴女、フェイズトランセンデンスだったわよね。だから私のところに来たの?」
「まあの。自分で言うのも何じゃが、ワシはこのレギオンの貴重な火力じゃ。今のままフェイズトランセンデンスの制御に苦労するだけの状態では、土壇場でジリ貧になることもあるじゃろう」
ワシの言葉に、亜羅椰は一つ頷いた。
「流瑠お姉様は万能で最強のリリィだけれど、でも一人しかいないの。だからこそ、貴女たち一柳隊は流瑠お姉様とともに戦いながらも、流瑠お姉様に頼り切りになるべきではないわ。
言葉を切るや否や、亜羅椰は目を鋭くし、CHARMにマギを込めて地面に勢いよく突き刺した。
地面が揺れるような衝撃。圧倒的な威圧感。それらは錯覚なのかもしれないが、今、自分が明確に「世界トップの戦力の前にいる」ことを否応なく自覚させられる。
「──やるからには本気でやるわよ。お姉様と同じレギオンにいて、恥ずかしくないリリィにしてあげる……!」
いつもの亜羅椰とはまるで気迫が違う。ごくり、と生唾を飲み込んだ。ふと隣の楓を見ると、平然としているように見えて、額に一筋汗が流れている。やはり、楓の目から見ても亜羅椰の様子は尋常じゃないらしい。
「まずミリアムさんは
どうやら、かなりキツい訓練になるかもしれない。……だが、だからこそやりがいがある。
「望むところじゃ!よろしく頼むぞい!」
「その徹底的という言葉、
普段はアーセナルとしての活動が本業なワシじゃが……今は、一柳隊の仲間という楽しくて騒がしいメンツに囲まれて、柄にもなく「この仲間達と共に戦いたい」と熱い思いが滾っている。
なら少しは、「強さ」というものに焦ってみようではないか。
「貴女たち二人が私のところに来るとは思ってなかったわ」
「そうですか?夢結様の戦い方は大変参考になりますから」
「うん、夢結様はすごいと思う」
わたくし達の言葉に、夢結様は綺麗な黒い髪を少しいじって、「そ、そうかしら……」と頬を染めた。こういう、ストレートな褒め言葉に弱いところは可愛らしいと思う。
実際、生え抜きとして長く経験を積んできたわたくし……郭神琳の目から見ても、夢結様の強さは圧倒的だ。
初代アールヴヘイムの
ぜひ、この人から戦い方を教わりたいと思っていた。それを叶えられるちょうど良い機会だ。
それに、そもそも夢結様は長く一人で戦っていたこともあって、戦術家としてもかなりのものだ。多少、ゴリ押しで解決してしまいがちな脳筋っぽい部分もあるが。
「がんばろうね、神琳」
隣にいる雨嘉さんは、わたくしと話し合って夢結様のところに来ることに決めた。わたくしと同じところに行きたい、という理由もあったようだが……それだけではなく、自分で考えた結果でもあるようだった。
「AZの夢結様から教われば、BZとしてもっとAZのサポートもしやすくなる……」
普段共に戦う仲間だからこそ、この訓練を通してAZとBZとのコンビネーションにも役立てれば。そう思っているようだった。
本当に、いい傾向だ。最近の雨嘉さんは積極的になり始めている。
確か、瑠璃ちゃんと出会った頃からだっただろうか。元々、姉と妹に挟まれた三姉妹の真ん中だから、瑠璃ちゃんという妹のような存在を前にして「頑張らなきゃ」という意識が出てきたのかもしれない。
「瑠璃さんがいるから」……という理由に、少し思うところがないわけではないものの、いい傾向なのは事実。この少しばかりのモヤモヤは、今日の夜、ベッドの上で晴らせば良いのだから。
「さて。今回はサブスキルの習得を目標にするのだけど……何か希望はあるかしら?」
夢結様からの質問に、わたくしも意識を切り替える。
実の所、わたくしは既に、どのサブスキルを習得するか…つまりリリィとしての方向性を定めていた。
「はい。わたくし、『リンカー』を目指そうと思っています」
「リンカー?」
わたくしの言葉に、雨嘉さんは首を傾げる。そんな彼女に、夢結様が口を開いた。
「リンカーというのは、ファンタズムとレジスタの間を取り持つことのできるスキル構成のリリィのことよ。ファンタズムとレジスタは、同じ戦場にいると戦術的に反発しやすいのだけど、リンカーはそれを解消することができるの」
「へー……!」
感心したように頷く雨嘉さん。確か雨嘉さんのお姉さんもリンカーだったはずだが、それは今は言わないことにした。
「テスタメント持ちの目指すところとしては王道ね。たしかに、このレギオンにはレジスタとファンタズムが一人ずついるし、良いと思うわ」
「ありがとうございます。頑張りますね♪」
お墨付きをくださった夢結様は、次は雨嘉さんに顔を向ける。
「それで、雨嘉さん。あなたはどんなサブスキルを?」
「え、えっと……」
言い淀む雨嘉さん。わたくしも、雨嘉さんがどんなサブスキルを望んでいるのかイマイチ把握していない。
……だから、次に雨嘉さんの口から出たその名前は、私にとって予想外だった。
「わ、私……虹の軌跡を習得したいんです!」
「えっ……?」
「なるほどね……」
雨嘉さんの口から出た予想外の名前に、わたくしは思わず驚きの声をあげてしまった。
虹の軌跡。「ファンタズム」のサブスキルだ。そもそもファンタズムというスキルは、高いスキラー数値を要する貴重なレアスキル。そのサブスキルとなれば習得難易度は高く、要求されるスキラー数値も高い。
無論、雨嘉さんは優秀なリリィだし、スキラー数値も足りているだろう。でも正直に言ってしまえば、自身無さげな雨嘉さんが難易度の高いサブスキルを希望するとは思っていなかった。
「楓がレジスタ、鶴紗がファンタズム。神琳がリンカーになって……きっと神琳は、
「雨嘉さん……」
「できるかはわかんない。でも、やってみたい!私を信じて頼ってくれる瑠璃や梨璃の前で、もうちょっとカッコつけたいって、そう思ったの!」
レジスタとファンタズムという相反する二つのレアスキルの間を取り持つ存在、リンカー。わたくしは雨嘉さんの言う通り、テスタメントに軍神の加護を組み合わせることでリンカーを目指していた。
そして、わたくしが
(雨嘉さん、そこまで考えて……)
本当に、最近の雨嘉さんは積極的だ。自分はダメだと、やる前から落ち込んでいた頃とは全く違う。
その意識の変革の真ん中にいるのは──
(きっと、一柳隊のみなさん)
雨嘉さんは、鶴紗さんが狂化リリィになりかけた時、すぐに駆けつけられなかったことを悔やんでいた。
雨嘉さんは、流瑠様に元気付けられて、梨璃さんに信頼されて、瑠璃さんに庇護欲を抱いて……きっと、多くのものを皆さんに貰って、前に進もうとしている。
(わたくしも……負けないようにしなければなりませんね)
そう。雨嘉さんを焚き付けたのはわたくしだ。彼女の行く末を見守るのはわたくしの責務。
それに……わたくしの夢、「故郷の奪還」。それを、もしかしたらこのレギオンでなら、叶えられるのかもしれない。そんな期待を、わたくしは梨璃さんを見た時から抱いていた。
そして、なによりも。
わたくしはこの、居心地がよくて笑顔の溢れる「第二の故郷」を守りたいと、そう思っているから。
「夢結様。ご指導のほど、よろしくお願いします!」
「お、お願いします!」
「ええ。……良い目ね。鍛え甲斐があるわ」
だからわたくしも、みなさんと一緒にもっと強くなってみせる!
「さて、梅のとこに来たのはお前らか〜」
「よろしくお願いします、梅先輩」
「梅様に直接教えていただけるなんて、光栄です〜!」
流瑠様に指導を頼まれた梅のところに来たのは、二水と鶴紗の二人。まあある意味予想通りの結果ではある。
私の「縮地」と鶴紗の戦闘スタイルである「スピード型ファンタズム」は相性が良い。それに、二水は高速で戦場を駆け回る梅を正確に観測できるレアスキルの持ち主だ。ある程度スキルを共有しておくことのメリットはあるだろう。
「んじゃ、さっさと始めるかー。何が覚えたいんダ?」
「……梅様、なんか今日は積極的ですね?」
「うん?」
そんな梅を見咎めたのは、二水だった。二水だけじゃない、鶴紗も二水の言葉に頷く。
「梅先輩、いつもなら『ゆっくりやるか〜』って言いそうなのに」
「おいお前ら、先輩のことなんだと思ってるんだ……」
二人からの嬉しい信頼に、思わず眉がピクッと動いてしまう。いや、普段の行いが原因なのだろうが。
「……あのな、亜羅椰がここでサブスキルの充実を提案して来たのがどういう意味かわかるか?」
二人にそう問うと、二人は揃って首を傾げた。
「どういう意味、ですか?うーん、基礎ができて来た、とかそういうことでしょうか?」
「戦力アップを図れってことじゃないのか?」
二人の答えに、思わずため息を一つ吐く。
「全然違う。……いや、鶴紗のはある意味合ってるんだけど。
サブスキルってのはな、一流のリリィなら、『高等部に上がる時点ではもう持ってるもん』なんだよ。特に百合ヶ丘なら尚更だ。現に、アールヴヘイムは1年生でもみんなサブスキル持ってるだロ?」
梅の説明を聞いた二人は、「ああ」と手を打った。
「確かにそうですね……百合ヶ丘のみなさんは凄いです!」
「……つまり?」
……ここは心を鬼にしなければ。この期に及んでわかっていなさそうな二人に、私は敢えて強い言葉を使うことにした。
「お前らは弱いってことだよ。高等部に上がってからのサブスキルの扱いは、『もっと増やす』か『ランクを上げる』か。そんなもんだ。お前ら1年生には圧倒的に力が足りてないんだって、亜羅椰はそう言ってるんダ」
「「っ……」」
脅かすように言った言葉に、二人は少し身を竦ませる。ただのレギオン訓練とはいえ、ここでしっかりと意識を変えておかないと。
「で、でも、私たち以外にもそういう一年生はいますよね?亜羅椰さんは何故私たちにだけ?」
尤もな疑問だが、これも答えは決まり切ってる。
「あのな、普通のレギオンならそうだろうけど、梅達のレギオンは特殊だ。その理由は……」
「流瑠ねぇがいるから、ですか」
さすが鶴紗は鋭い。流瑠様を長くそばで見てきただけある。
そう。流瑠様はあまりにも規格外な存在だ。それをいちレギオンに抱えるとはどういうことか。
そのレギオンには圧倒的な戦力が期待される、ということだ。流瑠様だけじゃない、レギオンメンバー全員に、だ。『あの』流瑠様が所属しているレギオンのメンバーが弱くあっては、流瑠様が所属している意味がなくなる。それは、レギオン単位で「流瑠様が対処するレベルの強いヒュージと戦う時についていくことができない」ことに由来する、流瑠様の単独行動化が危惧されるからだ。それなら、レギオンには所属させずにフリーで動いてもらった方が動かしやすいだろう。
流瑠様というSSSランクのレギオンに匹敵する戦力が一つのレギオンに、しかも自分がリーダーとならずに身を置くということの重大さを、みんな把握していない。楓や神琳あたりはそうでもないかもしれないが、やはり意識の改革は必要だろう。
「今の梅達じゃ、流瑠様にはついていけない。そう言ってるんだよ亜羅椰は。梅達は焦らないといけないんだ」
説明を終えると、二人は少し俯いていたが、やがて鶴紗が顔を上げた。
「……梅先輩の言うことはわかった。それは正しいんだと思う。……でも梅先輩、それだけじゃないんじゃないですか?」
「……どういうことダ?」
鶴紗の言葉に首を傾げる。身に覚えがなかったからだ。
「梅先輩、なんか焦ってません?流瑠ねぇについていくとか、そういうのじゃなくて」
「…………」
焦っている?梅が?そうなのだろうか。
──『梅◼︎◼︎ゃん』
まただ。鶴紗や二水達を見ていると、どうしてもあの顔が過ぎる。
違う。鶴紗や二水、梨璃達は大切な後輩であって、仲間であって、◼︎じゃない。◼︎◼︎じゃないのだ。
それを認めてしまったら──梅は、もう戻れなくなってしまいそうで。
「……そんなことないゾ。ほら、さっさと訓練始めるカ!」
「は、はい!」
「……梅先輩」
結局私は、何かから逃げるように二人の訓練を進めることしかできなかった。
「……じゃあ、私たちも始めようか」
「「はいっ!」」
流瑠は、自分が呼びつけた二人を見やって満足そうに頷いた後、口を開いた。
呼ばれた二人……梨璃と瑠璃は、気合十分といった様子だ。
「まず、サブスキルのことだけど……」と話を始めようとした流瑠を遮って、二人は自分の主張を始めた。
「はいはいはい!私ね、虹の軌跡とかやってみたい!鶴紗みたいにできるんでしょ!?」
「わ、私、お姉様のルナティックトランサーのサブスキルとか学んでみたいです!少しでもお姉様の気持ちがわかるかもしれないから……!」
二人の意欲的な態度にうんうんと頷きながらも、流瑠は申し訳なさそうな顔をした。
「お、落ち着いて。えっとね、サブスキルのことなんだけど……多分、私たちは習得できないと思うんだ」
「「へ……?」」
予想外の言葉に二人はしばし唖然として顔を見合わせ、流瑠の方を見るが、流瑠の顔は冗談を言っているようにはまるで見えない。
「いじわるで言ってるわけじゃないんだよ?ちゃんと説明するから。
私と梨璃と瑠璃ちゃん。私たちはすごく、マギの波長が似てるの。マギの波長の違いがどういうことかって言うと、どんなスキルに適性があるかってことなんだけど……私、今まで一つもサブスキルを習得できてないんだよね……」
流瑠がそう言うと、二人は意外そうに目を丸くした。
「お姉ちゃんが、習得できてない……?」
「あんなに強いのに?」
「うーん、強さとはまた違うんだけどね。で、百由に調べてもらったの。もしかしたら「フリーレン」の影響で習得できないのかもって思ったから。でも違った。私の場合、サブスキルに全然適性が無かったんだ」
梨璃も瑠璃も、黙って聞いて続きを促す。
「厳しいことを言うようだけど……多分、二人も適正はほとんどないと思う。だから、二人には別の課題をやってもらおうと思ってね。だから呼んだんだ」
そこで言葉を切って、流瑠は黙ったままの二人を不安そうに見る。
「……あの、やっぱりショックだった?もしかしたら習得自体はできるかもしれないけど、実戦に足るレベルになるかまでは私もわかんなくて……」
言い訳のように言葉を紡ぐ流瑠だったが……しかし、顔を上げた流瑠を待っていたのは、二人のやる気に満ちた笑みだった。
「流瑠お姉ちゃんと同じ!?それって私たちも強いリリィになれるってこと!?」
「お姉ちゃんといっしょなら、サブスキルなんてなくても大丈夫です!私、頑張って強くなります!」
「二人とも……」
二人の健気な言葉に感じ入るような表情を見せた流瑠は「よしっ!」と顔を上げた。
「二人がそこまでやる気なら、私も負けてられないね!じゃあ体力作りを兼ねて、ランニングしよっか!」
「「…………へ?」」
どこかで聞いたような提案に、二人の口からはまたも唖然とした声が漏れ出た。
先程散々批評を浴びた梨璃の「ランニング」という提案が蒸し返されるとは思っていなかったからだ。
「もちろんただのランニングじゃないよ?私たちのレアスキルを高めるための特別な訓練なんだから!」
自信ありげに言った後、流瑠は説明を始めた。
「まず、二人は私の背中に手を置いて」
何はともあれ、とりあえず言うことを聞くしかない。これが自分たちが強くなるための訓練なら尚更だ。流瑠の指示通り、梨璃は左から、瑠璃は右から、流瑠の背中に手を置く。
「じゃあ目をつぶって」
これにも言われた通り、二人は従う。二人が言われた通りにしたのを確認すると、流瑠はニコリと笑った。
「じゃ、走ろっか!」
「え──?」
「あ、私の背中から手を離しちゃダメだからね!もちろん、目を開けるのも禁止!」
「「ええーー!?」」
流瑠は動揺する二人をそのままに、前に走り始めた。
次いで、二人も流瑠の背について行く。
流瑠の足はそこまでの速度を出していない。目を瞑っていても、なんとかついていける速さだ。
「うんうん、いい感じだねー。そのまま一周しよっか」
「ええええー……」
「お、おねえちゃ、これきつ……」
目を閉じたまま、しかも流瑠の背から手を離さないように走る、というのはなかなかに難しい。流瑠より早すぎても、遅すぎてもダメ。地面が見えないから小石などがあったら転んでしまうかもしれないし、流瑠も特に何も言わずに走るので、カーブとかそう言う指示もなく、いつのまにか流瑠の身体が手から離れそうになったりする。
何より、目を瞑って走るのはかなり怖い。暗闇の中で、手の先に感じる流瑠の背中だけが頼りだ。
最初は、カーブで曲がるどころかまっすぐ走るだけでも一苦労……だったのだが、しばらくしてくると二人は流瑠のスピードを段々と覚え、広い訓練場を一周する頃にはしっかりとついていけるようになってきた。
「これくらいなら余裕だよー!」
「お姉ちゃんの背中が頼りになるから、どこまででも行けそうです!」
少しずつ余裕を見せ始めた二人に、流瑠は笑みを溢した。
「ふふ、いいねいいねー!じゃあ次からはもっと難しくするよ!」
「ほえ?」
「なんですと?」
「目を瞑って私の背中に手を置いたままなのは今まで通り。次の一周からは、私はピッチ走法*1とストライド走法*2を交ぜたり、ぐにゃぐにゃ曲がりながら走ったりするから、ちゃんと
流瑠からさらに追加された条件に、さしもの元気っこ二人も白目を剥く。
「る、流瑠お姉ちゃん?流石にそれは無理が……」
「そ、そうだよお姉ちゃん。目を瞑ったまま歩幅を正確に合わせたり曲がったりなんて……」
自信なさげな様子の二人に、しかし流瑠は自信ありげに微笑んだ。
「……大丈夫だよ。梨璃ならできる」
「え……?」
梨璃に対する絶対的な信頼。どこからくるのかわからないその信頼に、しかし梨璃は、自然と「応えたい」と思ってしまう。
それが、梨璃が流瑠を好いているからなのかそうでないのか、それはわからなかった。
でも──
「ちょっと流瑠お姉ちゃん!?『梨璃なら』って何!?わーたーしーはー!?」
「瑠璃ちゃんは梨璃に教えてもらってー!」
お姉ちゃんに「できる」と言われたなら、それはできることなんだと、梨璃は背中を押される。
「瑠璃ちゃん、やろう!」
「梨璃お姉ちゃん……」
今も目を閉じている暗闇の中で、しかし梨璃は瑠璃の手をぎゅっと握った。
「大丈夫!私がいるから!」
「……うん!」
──その途端。
「……え?」
目を閉じているはずの梨璃の視界は、一気に開けた。
訓練場の地面を見るのは、戦闘を走る誰かの目線。少し横に目を向ければ、訓練しているお姉様たちの姿が目に映る。
(見える……なんで?目は閉じてるはずなのに)
そして更に、梨璃は流瑠の走りに何かを感じ始める。
「……っ!?瑠璃ちゃん、左に曲がるよ!」
「えっ?えっ?」
直後、先頭を走る流瑠は梨璃の言う通り左に曲がる。
梨璃に言われ、瑠璃はどうにかついてくることができた。
「梨璃お姉ちゃん……?」
「……なんか、お姉ちゃんの考えてること、わかる気がする……!」
(──そう。それでいいんだよ、梨璃)
目を閉じながらも正確に自分の後をついてくる梨璃に、流瑠は笑みを深めたのだった。
「はい、みんなしゅーごー!」
訓練場を使い始めて2時間。限られた時間での訓練を終えた一柳隊の面々+亜羅椰は、流瑠の元に集められた。
駆け足で集まってきた面々はそれぞれ、疲労を隠せず肩で息をする者もいれば、反対に汗ひとつかかず澄ました顔をする者もいる。
「おね、ちゃ、まって…………」
「はぁっ、はぁっ、きっつぅ……」
その中でも特にキツそうだったのが、梨璃と瑠璃だった。へろへろと走っているのか歩いているのかわからないスピードで流瑠の元まで辿り着き、膝に手をついて息をしている。
「り、梨璃?大丈夫?」
「瑠璃……流瑠ねぇに何されたの……」
梨璃と瑠璃に課せられたランニングのトレーニングは、周を重ねるごとにどんどんキツくなっていった。スピードが上がるのはもちろん、流瑠の考えを読み取れるようになった梨璃の脳を酷使するかのように、ピッチ走法とストライド走法をおりまぜ、他の訓練しているチームの隙間をぐにゃぐにゃとすり抜けて走らされ、さらに最後に全力ダッシュ。それを訓練時間終了までぶっ続けでやらされたものだから、梨璃も瑠璃も自分の目が見えることのありがたさをこれでもかと味わったのだった。
「さて。みんな一通り終わった?」
流瑠が問いかけると、それぞれのチームが頷いていく。
「楓もミリアムさんも、なかなか見所あるわ」
「神琳さんと雨嘉さん、これからのリリィとしての方針が固まってきたわね」
「鶴紗も二水も、結構いい線いってると思うゾ!」
亜羅椰、夢結、梅の高評価に、それぞれのリリィが嬉しそうに笑顔を浮かべる。流瑠も頷いて、「梨璃と瑠璃もいい感じだったよ」と笑った。
「サブスキルは一朝一夕で身につく物じゃない。でも、みんなそれぞれ自分の方向はわかってきたんじゃないかな?それが大事なの。目標もなく努力するのは、見えない敵と戦うくらい難しいからね」
「ね、梨璃?」と流瑠が話しかけると、梨璃はまだフラフラしながらも頷いた。
「は、はい……見えないのがこんなにきついなんて思いませんでした……」
「いや、それよりも普通に1時間半くらい流瑠ねぇと一緒にランニングはキツいでしょ……」
「だナ。瑠璃、ちゃんと立ってられるか?」
「そ、そうですね。あはは……」
「だ、大丈夫!私だってリリィになったんだもん!っていうかCHARM使えなかった!せっかく百由お姉さんに道具もらったのにー!」
鶴紗や梅は、流瑠がギリギリまで追い詰める天才だということをよく理解している。二人を少し心配するが、梨璃も瑠璃も逞しいもので、「むんっ!」と気合を入れてしっかりと立ち上がった。
「うんうん。基本は大切だからねー。……さて、梨璃!レギオンリーダーとして一言、びしっと締めちゃって!」
「えっ!?えっとえっと……」
雑談に耽っていると、いつのまにかもう次のレギオンに交代する時間だ。今回の訓練の成果に満足した様子の流瑠は、梨璃にまたも唐突な無茶振りをふっかける。
とはいえ、流瑠の顔に悪意など全くない。「今から梨璃は何を聞かせてくれるんだろう」と言わんばかりの期待と信頼感ばかりが流瑠の目を輝かせている。
周りを見渡しても、どうやら訓練開始の時と同じく、誰も助けてはくれそうにない。そろそろリーダーとしての自覚を持たねばならないのかもしれない、と梨璃も覚悟を決める。
「えっと……さ、最初の1回目だったけど、みんなで頑張れてよかったです!きょ、今日はお疲れ様でした!解散!」
流瑠の見様見真似で解散の宣言をした梨璃に、他の面々は
「「「「ありがとうございました!」」」」と声を揃えた。
その乱れのない声に、梨璃も「私がリーダーなんだ」とイヤでも思わされる。
そんな梨璃の強ばった肩に、暖かい手が優しく添えられる。
「不安?梨璃」
「……うん。ちょっと」
流瑠の問いかけに、梨璃はおずおずと頷いた。
「やっとレギオンも結成したんだし、自覚を持たなきゃっていうのはわかってるんだけど……やっぱり、ちょっと不安で」
少し弱々しい笑顔を浮かべる梨璃に、流瑠は元気付けるように明るい笑顔を見せた。
「みんなね、気付いてたよ。梨璃が『自分のレギオンじゃなくてお姉様のレギオンを作ろうとしてる』ってこと。
でもね、ここにいるみんなは『梨璃だからついていきたい』って思ったの。もちろん、私もね」
「お姉ちゃん……」
不安に震える梨璃の手を、楓と夢結も取る。
「そうですわ!ここに集まったみなさんは、梨璃さんの人徳あってこそ!」
「あなたは、あなたのやりたいようにやればいいわ。それが正しい道なのだと、私も思っているから」
「楓さん、お姉様……」
漸く、手の震えは止まった。
そうだ。きっかけはお姉様から「レギオンを作りなさい」と言われたからだったけど、ここにいるみんな、私と二水ちゃんと楓さんで必死に勧誘してきた。そして、みんなそれに応えてくれた。
信頼されているんだ。「信頼」というものは少しだけ重いけれど、少しくらい重い方が、「リリィとして何も背負えていない」と思うよりも良い。
それに──お姉様が、楓さんが、お姉ちゃんが、みんなが。一緒に背負ってくれている。
「……みんな、ありがとう!私、これからも隊長として頑張ります!」
その言葉に頷いた一柳隊の面々も、梨璃も。みんなが笑顔だった。
気持ちの良い笑顔で、一柳隊の面々が解散していく。
そんな光景を見て、亜羅椰は区切りをつけるように一つ頷き、流瑠の腕を胸元に引き寄せた。
「これでよろしかったですか、お姉様?私としては一番適した訓練だったと思いますが」
「うん。ありがとね、亜羅椰ちゃん」
亜羅椰は流瑠に礼を言われて嬉しそうな顔こそ見せたが……それだけでは満足はしない、と言うように、甘えた顔で流瑠を見上げた。
「ねぇお姉様。私、お役に立ちましたでしょう?だからぁ……ね?ご褒美、下さいませんか?」
唐突に、示し合わせもせずにレギオン訓練に乱入して自分と関係ないリリィの面倒まで見た亜羅椰の魂胆はここにあったらしい。
「いいよ、どんなご褒美がいいのかな?」
とは言え、それが分かったからと言って断るような流瑠でもない。
相変わらず無警戒に安請け合いする流瑠の身体に、亜羅椰はするすると手を這わせていく。
「それはもう……ねぇ?私、おあずけを食らってもう暫く経ちますのよ?そろそろあの子達だけじゃなくて、私にも構ってくださいな」
艶麗な表情と仕草で相変わらずな要求をする亜羅椰に、流瑠は「もう……」と顔を染めた。
「好きだねぇ亜羅椰ちゃんも。私、そんなに胸大きいわけじゃないし、私なんかとして亜羅椰ちゃん楽しいの?」
「もう、はこちらのセリフです。流瑠お姉様、こんなにスタイルがよろしいのに何をおっしゃるのやら。
……それに、普段反応の薄い流瑠お姉様が啼いた時の声は、それはもう極上ですから。貴女の感じている声だけで私も達してしまいそうなほど……ふふっ♪」
亜羅椰の艶めかした言い方に苦笑する流瑠だったが、それでもその誘いを断ることはない。
「いいよ。……あ、でも今日は梨璃にご褒美もあげないとだから、その後でいい?」
楓や梨璃たちが聞けば忽ち怒り出すこと必死な返事をする流瑠に、しかし亜羅椰は「もちろんですわ」と頷いた。「梨璃、頑張ってましたものね」と。
しかし───
「ああ、なんなら梨璃も一緒に可愛がってあげますわよ?」
「────────」
亜羅椰の付け加えた余計なその一言は、流瑠にとっての地雷だった。
「──────」
「…………流瑠、お姉様?」
流瑠の、数瞬ほどの沈黙。
第三者から見れば、沈黙はほんの一瞬でしかなかった。
なのに……亜羅椰からしてみれば、その光景はゆっくり、ゆっくりと流れていって。
流瑠の目が、細められていく。
今まで笑顔だった流瑠の顔が、ただの笑顔ではない顔に変わっていく。
細められたその瞳の奥にあるのは───燃えるような思いの焔だった。
亜羅椰は今まで、流瑠に散々可愛がられてきた。
徹底的に扱かれ、キツい訓練もさせられてきた。
──でも、今の今まで、一度たりとも流瑠のことを「恐ろしい」と感じたことはなかった。
「……今日は、私がちゃんと相手したげる。だから──
梨璃に手を出しちゃ、やだよ?」
「───え、ええ。お約束致します」
底無し沼のようなドロドロの慕情を湛える流瑠の眼に、亜羅椰は一瞬たじろぐ。目を合わせていられなくて、亜羅椰は流瑠から視線を外した。
怖い。初めて、この人のことが怖くなった。
その瞳の奥にある情念が怖かったんじゃない。自分を拒絶されることが怖かったんじゃない。
───ただ、敬愛し親愛し恋焦がれるお姉様の心が、誰かの虜になってしまっているという事実が、何よりも恐ろしかった。
「で、ではまた後ほど」と一声かけて流瑠から離れる亜羅椰の顔には、険しい焦りが浮かんでいた。
今まで、流瑠はそんな顔をしてこなかった。誰のことも大好きで、誰のことも愛していて、だから亜羅椰のことも心の底から愛してくれている。
その愛は分け隔てないもので、夢結や楓といった少し特殊な例はあれど、その愛は他のリリィへの愛の延長線だと。そう思っていた。
なのに、あの顔は。
(……そう。そうなのね、一柳梨璃。あなたは、流瑠お姉様にこんな顔をさせるのね──)
「……負けられない」
何度抱いて、何度啼かせても完全には自分に落ちてくれない流瑠。そんな流瑠だから、亜羅椰は惹かれた。落としたいと思った。
なのに──梨璃は、楓は、いとも簡単に流瑠を射止めてしまった。
流瑠を誰より長く思っていた人間として、負けられない。負けたくない。そんな思いが、自然と口から出ていた。
(流瑠お姉様と幸せになるのは私……!)
そのためには、いち早くお姉様にシュッツエンゲルになって貰わなければ。
「私も、この子達の指導ばかりにかまけてる場合じゃないわね」
流瑠に背を向けながら、亜羅椰は久しぶりに、自分の力への焦りというものを感じたのだった。
「……ふーん?亜羅椰お姉さん、ねぇ」
そんな亜羅椰の後ろ姿を意味深な微笑みで見送る、燻んだ金髪に気付くことなく。
流瑠様のお悩み相談室 〜江川樟美〜
コンコン
「どうぞー、入っていいよー」
「流瑠様、失礼します」
「はーい。樟美ちゃん、久しぶりだねぇ」
「ごぶさた、してます」
「いいのいいの、そんなに硬くならなくて。んと、大喧嘩の時以来かな?」
「はい……あの時は、その、ありがとうございました」
「うん。今はみんなと上手くやれてるみたいだね?まぁおいでよ。座って座って」
「あ、はい……」
「お菓子、食べていいよ。樟美ちゃんの好きなマドレーヌ焼いてあるから」
「……あの」
「普通に喋っていいよ。甘えんぼさんな樟美ちゃんも大好きだから」
「……うん、流瑠様。マドレーヌ、食べていい?」
「もちろん!食べて食べて!樟美ちゃんに味の感想聞かせて欲しいな〜」
「それで?樟美ちゃんは今日はどうしたの?」
「はむはむ……ごくん。えっと、今日は……その、天葉姉様のことについて……」
「あー、天葉ちゃん。どうしたの?喧嘩するようには見えないけど」
「うん。姉様とは全然喧嘩しない。……何もなさすぎて困るくらい」
「ふーん?というと?」
「……あの、流瑠様、わかってるよね?」
「うん。でも樟美ちゃんの口から聞きたいなって」
「……流瑠様のいじわる」
「えへへ、ごめんね。だって赤くなってる樟美ちゃん可愛いんだもん」
「むぅ……だから、姉様が手を出してくれないんです」
「ふふ、そっかそっか。樟美ちゃん、最初は天葉ちゃんに警戒心剥き出しだったのに、今じゃこんなに……」
「そ、そんな前のことはいいから!だって、あのころは、誰も信用できなくて……」
「うん。……ごめん、嫌なこと思い出させちゃったね」
「……ううん、いいんです。私、今はみんなと仲直りできて、幸せなので……。
それにあの時、両横から天葉姉様と流瑠様にギュッてされて、安心して。あったかくて、心の氷が溶けていくのがわかって……私、私を助けてくれたのが二人だったから、今こんなに幸せなんだって思うから……」
「……おいで、樟美ちゃん。あの時みたいにギュッてしてあげる」
「流瑠、さま……」
「……姉様じゃなくてごめんね?」
「ううん。流瑠様も、もう一人の姉様みたいだって、思ってるから……」
「………ありがと」
「さて、話を戻そっか。天葉ちゃんが襲ってくれないって?」
「あ、うん。……姉様、私のことそういう目では見てくれてないのかな……。私、姉様に私の全部をあげたいのに……」
「……健気だねぇ。こんないい子の想いに気付いてないなんて、ほんとあの子は……」
「だ、だから、流瑠様にアドバイス貰いたくて来たの!どうやったら姉様は手を出してくれると思う?」
「うーん……樟美ちゃんから襲っちゃうのじゃだめなの?」
「それは……その、なかなか勇気が出なくて……。それに、私、姉様にはしたない女の子だって思われちゃうかもだし……」
「……ふふっ。でも樟美ちゃんが言ってるのは、『天葉姉様にはしたない女の子になって欲しい』ってことだよね?」
「あっ……その、そういうわけじゃ」
「あはは、ごめんごめん。いじわる言っちゃった」
「もう、流瑠様!」
「ふふふっ……でも、そうだねぇ。待ってるだけじゃ何も始まらないかもよ?」
「……どういうこと?私に魅力が足りないんじゃ……」
「魅力があっても、手を出しにくい心境っていうのはあるものだよ。例えば、姉様としての威厳を保ちたい、とかね?」
「……姉様はそんなタイプでしょうか」
「見えないでしょ?でも天葉ちゃん、あれで『レギオンリーダーとして』とか『シュッツエンゲルとして』ってそういう体裁を結構大事にしてるんだよ。人の上に立つからには弱みは見せられない。誰かの導き手となるからには模範的で、理想のリリィでなければならない。そういう子なの」
「……姉様」
「多分、リリィとしての強さにこだわりのない天葉ちゃんが未だに世界一だって言われるほどの活躍をしてるのは、樟美ちゃんのため。樟美ちゃんが、『私の姉様は世界一のリリィなんだ』って胸を張れるように頑張ってるんだと思う。だから天葉ちゃんは理想のお姉様、百合ヶ丘のリリィとして、樟美ちゃんのことをどんなに思っていても手を出せない。
その牙城を崩すのは簡単じゃないよ?さて、どうする?樟美ちゃん」
「…………」
「悩んでいいよ。美味しいお茶と、マドレーヌでも食べながらね」
「…………うん」
「…………ねえ、流瑠様」
「うん?なあに、樟美ちゃん」
「流瑠様は、私と姉様の仲、応援してくれる?」
「もちろん。だって、樟美ちゃんも天葉ちゃんも、お互いのこと大好きだもんね」
「………そう、かな」
「うん。私が保証したげる。私、二人のこと応援してるよ」
「……えっと、じゃあ。流瑠様、マドレーヌを1つ、貰って行ってもいいですか?」
「うん?いいよ。一つと言わずにいくつでも」
「ううん、1つでいいの。これで、天葉姉様と……ごにょごにょ」
「……ふふっ!うん、情熱的だねぇ樟美ちゃん!姉様とうまく行くといいね!」
「……うん!」
というわけで、アニメ6話(?)の2話目でした。
久しぶりのお悩み相談室とか1月ぶりの更新とか色々ご意見あると思いますが、もう少しこんな感じのシリアス(?)な話が続く予定です
6話本編……どうするかなぁ……
一柳隊の面々は各々、サブスキル習得に向けて歩き始めました
今回は中々出番がなかったですが、次あたりには瑠璃ちゃんの戦闘シーンも入れられるかも?
いつも沢山のUA、お気に入り、感想等ありがとうございます!!
今後とも更新が滞るかもしれませんが、頑張って続けていきます!