アサルトリリィPRESERVED   作:核心

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今回は、ちょっとだけ早かったよ


すみません許して…


アジュガ その3

 

 

 

「……不本意ですが、アールヴヘイムは撤退します。……くっ」

 

アールヴヘイムが、負けた。

私たちの目の前で。

 

「ちぃっ、ノインヴェルトを防ぐなんて!」

「不覚ね……」

 

予想以上の知性を見せるヒュージに翻弄され、完璧に決めたと思われたノインヴェルトを止められ、天葉がCHARMを犠牲にしてマギリフレクターを破った。"そうまでしないと破れなかった"。

最大戦力である天葉のCHARMが完全に破壊され、アールヴヘイムは撤退を余儀なくされる。

 

普段なら、ノインヴェルトを止められたとて、そこで終わるアールヴヘイムではない。

しかし、今回はいろいろな要因が重なって"敗北"の2文字をアールヴヘイムは胸に刻みつけることになった。

 

「これじゃアールヴヘイムの名前が……!」

「仕方ないわよ……悔しいけど、今は一度撤退して立て直さないと」

「あかねぇ……」

 

アールヴヘイムが遠征後で、リリィ、CHARMともに疲弊していたこと。

特型ではなく普通のヒュージだという連絡が来ていて、ノインヴェルトを防がれることを予測できなかったこと。

予想外にヒュージが戦いに慣れていて、テンポを崩されたこと。

今この場にはヘッドライナーしかおらず、サブのメンバーたちは待機していること。

そして……「後ろで見ている後進たちに華麗にノインヴェルトを決めるところを見せてやろう」という慢心、油断。

それが、アールヴヘイムの敗因だったと言えるだろう。

 

「ソラ!無事!?」

「無茶しすぎなんですから、姉様……」

「……っ、ごめん」

 

天下のアールヴヘイムですら、瓦解する時はするのだということをまざまざと見せつけられる。

このアールヴヘイムの敗北を、私──白井夢結は悪いことだとは思わない。むしろ、最近ノリ過ぎていた彼女たちの気を引き締める、いい機会になるだろう。

別に、アールヴヘイムが嫌いとかでは無い。でも、私たちが名乗っていた「アールヴヘイム」を継ぐ以上、彼女たちはこれからもっと過酷な戦いに身を置くことになるだろう。リリィたちは無事なのだ、これが後への資金石になるなら、きっとそれはアールヴヘイムにも必要なことなのだ。……まあ、それが意図せず梨璃たち1年生にノインヴェルトを見せるための戦闘で起きてしまうことは想定外だったが。

 

私たちがそれを見ていたのは、アールヴヘイムの戦闘を梨璃たちに見学させようと思ったからだった。特に、レギオンの結成に伴って梨璃に渡されたノインヴェルト特殊弾。これの使い方を、梨璃や一年生たちにしっかりと見てもらおうと思ったのがきっかけだった。

 

だが結果的に、ノインヴェルトよりもっと大切なことも梨璃に見せられた。

いくら私たちリリィが強くても、レギオンが強くても、緊張感が無くなってしまえば常に死は隣にあるということ。

戦場での安心感や油断が、大きく力の離れている相手にさえも負ける要因になりかねないということ。

 

大きく開いた傘で空中をふよふよとゆっくり落ちていく天葉と、そのシルトの江川樟美さん。二人の無事な姿に一つ息を吐き、私は立てかけてあったCHARMを手に取った。

 

「お姉様!」

「ええ。行くわよ、梨璃」

「あぁん!お二人でなんてずるいですわ!」

 

私、梨璃、楓さん。そして、一柳隊のメンバーたち。天葉のCHARMが無理やりにノインヴェルト弾を押し込んで壊れるところを見て、みんな既に臨戦態勢だ。

 

まだあのヒュージは動いている。天葉たちアールヴヘイムが撤退する時間を稼ぐためにも、今一番近くにいる私たちが戦闘を引き継ぐのが最善だろう。

 

「……お姉様」

「……不安なの?梨璃」

「……はい。あのアールヴヘイムの皆さんが……」

 

行く気満々だった梨璃だが、やはり怖さもあるらしい。

それはそうだろう。亜羅椰さんの戦闘を見たことのある梨璃は、アールヴヘイムのレベルの高さをなんとなくだがわかっているはず。そんな彼女たちが撤退したのだ。恐ろしく思わないわけがない。

でも──

 

「大丈夫」

「お姉様……?」

「大丈夫よ。梨璃は私が守るわ。例え、お姉様がいなくても」

 

そう。今この場に流瑠お姉様はいない。それが梨璃の不安の原因の一つでもあるのだろう。

お姉様の背中は大きすぎる。あまりにも絶大で絶対的な力。あの人が戦場にいるだけで雰囲気がガラリと変わり、どんな絶望的な状況にも希望が生まれる。そんな人だ。

それは逆に、彼女がいなければ戦場に不安を齎してしまう危うさも孕んでいる。

 

()()()()()、流瑠お姉様は今この場にいないのだろう。私たち一柳隊が、流瑠お姉様のいるいないだけで大きくスペックが変動していては運用する方もたまったものじゃない。せめて最低限、お姉様がいなくても十全の力を発揮できなければ。そういうお姉様からのメッセージだと、私は受け取った。

 

「大丈夫ですわ、梨璃さん。アールヴヘイムだって何も残さず撤退したわけではありませんもの」

「ええ。マギリフレクターを破ったノインヴェルト。あれが通っていなければ、わたくしたちもまた、マギリフレクターとヒュージの二段構え、その両方に対処する必要があったのですから」

「だナ。ノインヴェルトも撃破までは至らなかったけど、ヒュージに結構ダメージ入ってるし、今なら梅たちでもいけると思うゾ!」

「皆さん……!」

 

楓さん、神琳さん、梅。経験豊富なメンバーからの援護射撃で、梨璃の顔にも希望が灯る。自分たちにもできるかもしれない、と。それを見て、みんなが力強く頷く。

……やっぱり、この子は笑顔じゃないとダメだ。この子の笑顔がみんなに希望と勇気、立ち上がる力を与えてくれる。そして何より、私が梨璃の笑顔を見るのが好きだから。きっと、みんなそうなのだろう。

 

「……それに。いざとなったら、私が……」

「……?お姉様?」

 

CHARMの柄をギュッと握り、感触を確かめる。鋼の冷たさが、私の心を戦場に向かうためのものへと切り替えていく。

まだ()()を実戦で使ったことはない。でも、サブスキルの習得を始めた梨璃たちのように、私だって進歩しようとしている。

 

「さあ、行くわよ」

「はい!一柳隊、出撃!」

 

いざとなれば、その時は──

 

未完成であろうと、奥の手を使うのを私は躊躇わない。

梨璃を、みんなを救うために。

覚悟を決め、私たちは戦場へ翔んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノインヴェルトを無効化するヒュージ、か……損害は?」

「人的な損失はありません。ただ、CHARMが半壊6に全損1。これだけでも甚大な損害です。アールヴヘイムは当面、戦力外となるでしょう」

「うむ。リリィが無事なら何より」

「だねぇ。みんな無事でよかったよ〜」

 

それぞれがリリィたちの無事を喜びながら、その顔には笑顔など浮かんでいない。あるのはリリィたちを見守る真剣な眼差しだけ。それはもちろん、壊れたCHARM群の補修費やらなんやらを思ってのことなどではない。ないったらないのだ。

 

百合ヶ丘女学院理事長室。そこには、生徒会の実質的なトップである出江史房、理事長代理を務める高松咬月、そして現在は一柳隊に所属する三巴流瑠が居た。史房は端末で送られてくる情報を確認しながらではあるが、それぞれが戦況に厳しい視線を向けている。

 

「バックアップは?」

()()()()、非公式にその場に居合わせた一柳隊が一時的に引き継いでいます」

「一柳隊……確か結成されたばかりのレギオンじゃな」

「ええ、そして──」

 

史房は、未だに戦況を眺めるばかりで動こうとしない流瑠の方へ意味深な視線を投げる。

 

「今は貴女の所属レギオンでもありましたね、流瑠様」

「そうだね」

「…………流瑠様」

 

そっけない返答をする流瑠に、史房は少しばかりの違和感と不信感を覚え、眉をピクリと動かした。

 

「アールヴヘイムを撤退に追い込んだヒュージですよ?それに、一柳隊は実力者は多いものの個性派揃い。レギオンとして機能するのはまだ先では?」

「そうかもね」

「流瑠様、貴女は……」

 

「口を開きにくい」とでも言わんばかりに、いつもよりもずっと言葉少なな返答ばかりを繰り返す流瑠に、史房の不信感は確信に至った。

 

「まさか、あのヒュージが来ることを知っていたんですか?しかも、それを一柳隊にぶつけようと?」

「……史房ちゃんは察しがいいねぇ」

 

緊張感を漂わせたまま笑う流瑠に、史房は「本気ですか!?」と語気を強くする。

 

「色々な負の要素が重なったとはいえ、アールヴヘイムが負けるような手合いですよ!?それを結成したばかりの、しかも貴女がいないレギオンに……!」

 

暗に「危険だ」と史房は伝えようとするも、流瑠は抱えた腕をグッと握るばかりで動かない。それはまるで、自分が今にも戦場に飛び出しそうなのを抑えているかのようだった。

 

「こうしなきゃいけないの。少なくとも、あの場には()()()()()()()()()()()()()。どうしても。

私が介入すべきじゃないの。私に頼らないで、夢結が乗り越えなきゃいけないの。これは、夢結の戦いだから」

「流瑠様……」

「それに、夢結は私がちゃんと鍛えたもの。大丈夫。あんなヒュージ如きに、夢結は負けない。それに、他のみんなだって」

 

信頼を口にしながら、しかし流瑠の拳は握りしめられて震えている。そうまでして夢結に決着をつけさせなくてはならないと語る流瑠を見て、史房の語気も弱まる。

 

「……あのヒュージは、何なんですか。何故、貴女はそうまでして……」

「……あいつは」

 

史房からの疑問に流瑠は歯を噛み締めるも、「はぁ」と息を吐いた。まるで、自分ではどうにもならないことを諦めるかのように。

 

「あいつは──美鈴の仇だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、どう攻めますか?わたくしとしては、あまり時間をかけない方が良いかと」

「そうですわね……ヒュージのマギリフレクターがいつ再発動するかわかりませんし、速攻を仕掛けるに越したことはありませんわね」

 

司令塔である神琳と楓の言葉に、私も頷く。経験上、この手合いに時間をかければかけるほど不利になっていくのは私にも経験があった。

 

「そうね。私もそう思うわ。……梨璃、どうする?」

「え!?そ、そうですね……私もそれがいいと思います!早くお姉ちゃんにも会いたいですし!」

 

リーダーである梨璃も頷き、私たちの作戦方針は「速攻」に固まっていく。

 

「とはいえ、相手はギガント級じゃ。ギガント級のマギ結合はノインヴェルトレベルの攻撃でないと引き剥がせん。フィニッシュはノインヴェルトになるじゃろうな」

「んじゃどうするんダ?初っ端からノインヴェルトで行くカ?」

「そ、それはどうなんでしょう……既にヒュージがさっきのマギリフレクターを纏っている可能性もありますし、それが無いことを確認してからでもいいのでは?それに、まだ私たちは結成したばかりでノインヴェルトの訓練なんて一度も……」

「ん……じゃあ遠距離射撃で確かめてみる?」

「……任せる。私は言われた通りにやるだけ」

「だねだね。難しいことはお姉ちゃんたちに任せるよ〜」

 

侃侃諤諤。とはいえ全くまとまりのない議論というわけでもない。普段は作戦立案にはあまり口出ししないミリアムさん、梅、二水さん、雨嘉さんらも議論に加わっていて雰囲気が良い。鶴紗さんと瑠璃さんは、逆に指示をしっかり熟そうとしてくれている。

結成されたばかりだが、段々とレギオンらしくなってきた。いい傾向だ。

 

「では、一先ず一合。相手と刃を交わしてみましょうか。目的はマギリフレクターの有無の確認と、どうもいつものヒュージとは違うと思われる彼のヒュージの動きの確認。磐石の体勢が整ったら、改めてノインヴェルトといきましょう」

「ですわね。雨嘉さんは戦況を見極めながらマギリフレクターの確認を。ミリアムさんと梅様、鶴紗さんは遊撃しつつ防御優先で。二水さんは瑠璃さんと一緒に行動して、何かあれば逐一報告を。瑠璃さんは二水さんの護衛に。夢結様と梨璃さんは────」

 

言いかける楓さんに、私は頷き返して駆け出す。既に作戦概略は理解した。

 

「梨璃、いらっしゃい!一緒に行くわよ!」

「は、はい!」

「ちょ、ちょっとちょっと!お二人で勝手にハネムーンですの!?」

 

背後で楓さんが何か言っているが、よく聞き取れない。私たちは突き抜けるだけだ。

 

「梨璃、練習通りに合わせて!」

「はい、お姉様っ!」

 

レギオンが結成されない間、レギオン訓練ができないから代わりとして行っていたコンビネーション訓練。その成果を活かす時だ。修復された跡のある大きな傷、そこを狙う。

 

(流瑠お姉様……見ていてください!私も梨璃も、一柳隊のみんなも、戦えるレギオンだというところを!)

 

梨璃が、私のために集めてくれたメンバー。梨璃が私のために作ってくれたレギオン。まだまだ連携も何もかも、経験は足りていないけれど。それでも、みんなが一つの目標に繋がっていこうとする意思を、私はこの前の訓練で感じた。

みんなが、梨璃の作ったこのレギオンを居心地の良い場所として思ってくれていること。それが私には何よりも嬉しくて。だから、私はこの居場所を守りたい。そう思った。

 

コンディションは、心身ともに良好だ。心に余裕もあり、自信もあり、ほどよく緊張感と責任感も。

そして、今の私には流瑠お姉様との訓練で身につけた「アレ」もある。

負ける気がしなかった。

 

「「はぁああああああああっ!!」」

 

 

 

そう。どんなに相手が強大でも、負ける気なんてしな()()()のだ。

 

つい、数瞬前までは。

 

 

 

 

 

 

 

────ギィィィィィィィィィッ!

 

私と梨璃のコンビネーションを受けて、軋むような声をあげて苦しむヒュージ。不快な音に耳を塞ぐも、直後、私はそんな音すら忘れて目を見開くことになった。

 

「……っ!?なんですの!?」

「あの光は……!」

 

ギチギチと音を立てて開く、ヒュージの身体。そこから溢れた青い光は……紛れもなく、マギの光。

 

「………………あれ、は」

「お姉様……?」

 

そして。先程通り過ぎた時に一瞬見えたあの金属質な輝き。

金色の大剣。

 

「は……」

 

フラッシュバックする。

美鈴お姉様を貫く私の(ダインスレイフ)

吹き出す血。

お姉様の、声。

 

「あ…………あぁ…………」

「お姉様っ!?」

 

遠くで、誰かの声が聞こえる。

でも、今近くに聴こえるのは美鈴お姉様の声で。

 

 

『夢結────お────いで』

 

「あ………………」

「お姉様!どうしたんですかお姉様っ!」

 

力が抜ける。膝をつく。触れる地面の冷たさすら、今は他人事だ。

 

「──っ!危ない、お姉様ぁっ!!」

「は──────え?」

 

だから、側に何かが迫ってきているのなんて気づくわけもなく。

 

私は()()、誰か大切な人が、私の前に出て行くことを見ているしかできなかった。

 

「……っ!きゃあああああああっ!」

「────っ!?梨璃!!梨璃ぃーーーーーーっ!!!」

 

叫び声で、やっと私は私を思い出す。

しかし、時すでに遅し。私の目の前で、梨璃はヒュージの触手に絡め取られて行く。

やがてそれは繭のような形を形成し……梨璃は、その中に取り込まれてしまった。

 

「あ…………あぁ…………っ」

 

まただ。また、私は目の前で大切な人を。また私は見ていただけ。

私を庇って、私の前に出てヒュージに向かって、そして……。それは、まるで甲州撤退戦(あのとき)の再現のようで。

 

「……………………」

 

私は、同じ過ちを繰り返す。きっとこれからも。

美鈴お姉様、梨璃、そして流瑠お姉様。私が大切に思うものは、きっと全て失われてしまうのだろう。

 

「………………………………」

 

ヒュージの触手の先端が、私を狙う。

ああ、いっそここで死んだ方がいいのかもしれない。美鈴お姉様も梨璃も殺したこのヒュージに殺されれば、もしかしたら罪深い私でも二人と同じところにいけるかもしれない。

 

でも。

 

「……………………………………っ」

 

ギリッと歯を噛み締める。

憎い。憎い。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。

私の大切なものを全て奪うこのヒュージが憎い。

私から全てを失わせるこの世界の不条理が憎い。

梨璃を助けてくれなかった一柳隊のメンバーも憎い。

 

今ここにいない、流瑠お姉様すら────

 

 

「………………ぁあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!!!!!!!」

 

心が憎しみに支配されて行く。

何もかもを壊してしまいたいという衝動が身体を蝕む。

脳を犯すその感情は、いっそ私を全てから解き放ってくれるような解放感すら伴って。

私の意識を、深い暗闇へと取り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あれ?」

 

ヒュージの触手の中に取り込まれたはずの私は、先程までのぬめっとした湿潤さとは違う暖かさに、目を開いた。

 

目を開いた私の前には────美しい天使が、いた。

 

「……大丈夫?梨璃」

「ひゃっ!?えっ!?は、はい……」

 

いつの間にか私を抱き抱えていた天使は、ふと穏やかな笑みを溢してはにかんだ。目と鼻の先に、神々しいと形容できるほど綺麗な顔がある。

 

(綺麗な人、だなぁ……)

「……?どうしたの?」

 

近い。抱き抱えられているのだから仕方ないけど、顔が近すぎる。その人の顔を見ていると、顔が熱くなって行くのがわかる。

透き通るような白い髪と輝きを湛えた蒼い瞳。そして、その人を「天使」と例えるに相応しい透明な翼はあまりにも美麗で、思わず見入ってしまう。

しかも、その蒼い瞳と透明な翼には、どこか見覚えがあって。

 

 

「────あ」

 

そうだ。思い出した。

甲州撤退戦。私の原点。あの時、私は……遠目だったけどこの人を見たのだ。

百合ヶ丘の制服のようなものを着た天使。透明な羽根は、あの時は月明かりを、今は太陽の光をキラキラと反射して美しい。

 

そういえば、私はこの人にもお礼を言いたいと思っていたのだ。

甲州撤退戦の折、この天使さんは私たちが逃げるための時間を、何か大きな壁のようなものを作って稼いでくれた。

 

「あ、あの!あの時は……」

「梨璃、ちょっと口を閉じて。舌噛んじゃうよ」

「え?」

 

聞き覚えのある声。彼女の口から出る私の名前。この天使さんは、私のことを知ってる……?

 

「飛ぶよ!」

「え…………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

と、そんな思考は、私を抱えたまま急に飛び立った天使さんによって遮られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「梨璃さん!大丈夫ですの!?」

「夢結は!?まだあそこにいるのカ!?」

 

天使さんは私を連れて、一柳隊のみんなのところへ降り立った。リリィ達が行う跳躍とはまた違う、まるで「飛行」と言えるような移動方法。大きな翼は伊達じゃないみたいだ。

 

「あ、はい。私は大丈夫です。お姉様は……」

「夢結は今、ルナティックトランサーを発動してる。一人でヒュージと戦ってるよ」

「ほ、本当です!夢結様、あんなめちゃくちゃな動きで……!」

 

レギオンの仲間達はひとまず私の無事を喜んでくれるが、心配なのはお姉様だ。どうやら天使さんと二水ちゃんが言うには、お姉様はルナティックトランサーを発動しているらしい。

 

「お姉様……助けに行かないと!」

 

あの時のお姉様の様子は、間違いなくおかしかった。あんな状態で一人で戦ってちゃ危険だ。そう思って助けに行こうとするも、天使さんは「ちょっと待って」と私を引き止めた。

 

「今は夢結にやらせてあげて。もうちょっと……あと少しでいいの。これは、あの子が乗り越えなきゃいけない試練だから……。本当に危なくなったら助けに行くから、ね?」

「でも、天使さん!あの状態のお姉様は危険で……!」

「そうだゾ!さっさと助けに行かないと、夢結が……!」

 

私と梅様の必死の訴えに……しかし天使さんは、ポカンと呆けた顔をした。

 

「……天使、さん?それってもしかして……私のこと?」

「え?は、はい。そうですけど……」

「………………」

 

天使さんは場違いなほどに目をぱちくりと瞬かせ、首を傾ける。

 

「も、もしかして……私のこと、誰だかわかってない……?」

「え……?」

 

まるで旧来からの知り合いだ、と言わんばかりの震えた声音に、私は目を見開いて天使さんの顔を見つめる。

 

「むむむ……」

 

整った顔立ち。白い髪。しかし、蒼い光が漂う目元は少し見づらい。これが私の認識を阻害しているらしかった。

 

「えぇ……じゃ、じゃあ、これならどう?」

「へ?……きゃっ!?」

 

天使さんは一言呟くと、パッと光を周囲に振り撒いた。

眩い光の中、天使さんの翼がだんだんと崩れていく。髪の白色も収まっていき……光が完全に収まる頃には、見覚えのある灰色の髪が風に靡いていた。瞳も蒼から一転、いつもの落ち着きのある赤色になっている。

 

「え……え!?お姉ちゃん!?」

「そうだよ〜!気付かなかったの?」

「え?だって……ええ?」

 

どうやら、天使さんはお姉ちゃんだったらしい。全然気が付かなかった。

 

「いや、どっからどう見てもお姉様でしたわよ?」

「そうですね。流瑠様でした」

 

他のみんなはわかっていたみたいだが、私は今でもあの天使さんとお姉ちゃんがイマイチ結び付かなかった。

だって、私の目から見た天使さんはあまりにもお姉ちゃんと別人だった。見た目もあるけれど……何というか、雰囲気が違ったのだ。

いつもは、お姉ちゃんがそばにいるだけで、こう、ふわっと優しい雰囲気が漂うのだ。私とお姉ちゃんが、何かで繋がってるような、そんな感覚。でも、あの“天使さん”にはそんな雰囲気がなかった。だから、初めてあの姿のお姉ちゃんを見た時、私にはお姉ちゃんだとわからなかった。

 

「……って!そうじゃなくてお姉様のことです!」

「うん。……これはね、夢結にとっての試練なの」

 

言いながら、お姉ちゃんはお姉様が戦っているヒュージのある一点を指さした。ちょうど、私とお姉様が攻撃したくらいのところ。何か、光が漏れている場所だ。

 

「あそこにあるの、わかる?……CHARM、なんだけど」

「……っ!?それって、つまり……!」

 

CHARM。リリィの命。それがヒュージに突き刺さったまま……そんな状況を、私は以前にも見たことがある。あの時、お姉ちゃんが今までで1番怒った時だ。その時、楓さんが言っていた。残ったままのCHARMは、それ即ち……リリィの死と同義だと。

しかし。

 

「梨璃、あのCHARMに見覚えあるでしょ?」

「え……」

 

言われ、光の中心に目を凝らす。輝いているのは、金色の大剣。あれは───

 

「……お姉様、の?」

「そう。夢結が使ってたダインスレイフだよ、あれは」

「まさか……!」

 

思い至る。あの時助けてくれたお姉様。その手に携えられていたダインスレイフ。そして、再会したお姉様の手に握られていたブリューナク。

 

『私があの時使っていたのは……ダインスレイフよ。アレは、二年前に……美鈴お姉様が持っていってしまったから……』

 

以前、お姉様はそんなことを言っていた。

つまり、あれは────

 

「美鈴様を殺したヒュージ……!?」

 

それを察した直後、私の耳に大きな爆発音が響く。

 

「っ!?お姉様っ!」

 

見ると、お姉様の身体は宙を舞っていた。髪は真っ白だ。ルナティックトランサーを完全に発動してしまったらしい。

 

「うぅ…………ぅああああああああああああっ!!!」

 

お姉様は空中で体勢を立て直し、またヒュージに突っ込んでいく。戦略も何もあったもんじゃない、ただの特攻だ。

 

「お姉ちゃん!このままじゃお姉様が!」

「それに、このままではわたくしたちも手出しできませんわ!あの状態の夢結様を放置していては、ノインヴェルトもままなりません!」

「っ…………わかった。梨璃、一緒に夢結を止めてくれる?」

「はい!」

「待ってくれ!」

 

お姉ちゃんと共に夢結お姉様を止めるために飛び立とうとした私たちを止めたのは、梅様の声だった。

 

「私も!私も連れて行ってくれ!夢結を助けたいんだ!」

「うん。行こう、梅ちゃん」

 

梅様を連れ、3人でお姉様の元へ飛ぶ。

 

(待っててください、お姉様……!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『自分と向き合う覚悟、ある?』

 

私はあの時、そう問われた。

そう、梨璃の誕生日の夜。お姉様に。

 

『はい』と、そう答えた。もう何も失わないのだと。もう、何も手放さないのだと。

 

でもきっと、私には足りてなかった。覚悟が。決意が。力が。何もかもが。

 

その結果が、これだ。梨璃を失い、狂気に飲まれ、憎しみに囚われ、無様に髪を白く染め上げる。

 

眠るような泡沫に身を委ね、虚無感と絶望感、憎悪ばかりが悪夢のように私を襲い続ける。

 

『……さま』

 

美鈴お姉様の死に様が、梨璃の叫び声が、何度も何度も私の中を駆け巡る。きっといつか、この中にお姉様の死に様も混じるのだ。

私の罪。私の罰。私は死神。大切なものなんて何も守れない、ただの憎しみの塊。

 

『……えさま』

 

大切なものなんて、なければよかった。愛なんて、知らなければよかった。失う悲しみを味わわずに済むから。

 

『……ねえさま』

 

いっそ、ずっとこのままでいようか。何も見ず、何も感じず、この微睡に私の全てを委ねて──

 

 

「お姉様ッ!!!」

 

 

「っ!?」

 

 

梨璃の、声がした。

死んだはずのあの子の声が。

 

まさか、生きているの?僅かな希望に、目が開く。

でも、私は未だ狂気の微睡に囚われたまま。暗澹たる闇は、私の覚醒を阻むかのように意識を絡め取ろうとしてくる。

 

「梨璃っ……!」

 

遠い光に手を伸ばす。その手にすらも、狂気が地の底から這い上がって引き戻そうとする。

それでも。それでも、私は必死に手を伸ばす。僅かにでも希望があるなら、私はそれを掴みたい。

 

「……っああああああああああああああ!!!!!」

 

吼える。意味なんてない。気合を入れるためだ。抗うためだ。

無数の狂気の手が、私を連れ戻そうと手繰る。でも、もう嫌だ。私を私じゃなくしてしまうこんな狂気、私はもううんざりだ。

 

私は、この狂気から逃れて────!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『逆だよ、夢結』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────え?」

 

私を呑もうとしていた暗闇が、突如晴れていく。

闇がある一点を中心に祓われ、真っ白に染め上げられていく。

 

その中心にいたのは────

 

「美鈴、お姉様……」

『やあ、夢結。元気そうだね』

 

短い銀髪。金色の瞳。あの頃と変わらないその姿は、正しく美鈴お姉様だった。

 

「なぜ……」

『うん?その問いは『何故ボクがここに』という意味かい?

だとしたら……そうだね。ボクは夢結の罪悪感を形にしたものだから、かな?』

「罪悪感……」

 

反芻の言葉に、お姉様は「多分だけどね」と頷いた。

 

『……流瑠は、元気にしているかい?』

「お姉様……」

『夢結、ボクはもう死んだ人間だ。もっと他に見るべきものがあるんじゃないのかい?』

 

たしかに、その通りなのかもしれない。私が見るべきは、今守れる大切な人たちなのだろう。でも……

 

『でも……過去に囚われてしまう?』

「…………」

 

図星だ。私はいつまで経っても、結局は美鈴様を引きずってしまっている。

 

『でも、ボクがいなくなってから、失ったものばかりじゃないだろう?』

「それ、は」

 

美鈴お姉様は、まだ迷いを断ち切れない私に近づいて……ぎゅっと、私を抱きしめた。

 

『真面目すぎるところは夢結の美徳であり、欠点でもあるね。……本当に、君はボクには勿体ないシルトだった』

「そんな……!そんなの、私の方が……」

 

私は、流瑠様のノルンになりたくて美鈴様に近づいた。下心ありきのシルトだった。そんな私に、お姉様は優しくしてくれた。勿体無いのはお姉様の方だ。

 

『見てごらん、夢結』

 

俯く私の顔を上げさせたのは、美鈴お姉様のそんな言葉。お姉様が指さす方を見ると……そこには一柳隊のみんな、流瑠お姉様、そして梨璃が映っていた。

 

『お姉様────!』

『夢結、正気に戻れ!!」

『今助けるから!夢結!』

 

「みんな……でも、ここを出たら、私は……」

 

せっかく美鈴お姉様に出会えた。でも、ここを出たら、きっともう会えなくなってしまう。そんな不安と迷いに、お姉様は苦笑した。

 

『まったく……言っただろう?ボクは夢結の罪悪感。本物じゃない。……夢結の中に、ずっといるさ』

「お姉様……」

 

わかっている。お姉様はもう死んでいて、目の前のお姉様は私の想像に過ぎない。でも……それでも、私はお姉様に謝らずにはいられなかった。

 

「ごめんなさい、お姉様。私、私は……」

『……うん。このボクは本物じゃないけど、本物じゃないからこそ、夢結の言いたいことはわかるよ。だから、本物に代わって言おうじゃないか。

君を許すよ、夢結。だから、このボクをもっと未来へ連れて行ってくれ。こんなところで、終わらないでくれ。

ボクが君たちに託した、見たかった未来は……ここで終わるようなものじゃないんだ』

「っ、はいっ!」

 

梨璃は生きていた。きっと、お姉様が助けてくれたんだ。

梨璃も、流瑠お姉様も、梅も、みんなが私を助けてくれようとしている。

あんなに大事な仲間が……あんなに大切な人たちが、私にはまだ大勢いる。

こんなところで折れている場合じゃない。誓ったじゃないか、「もう何も失くさない」と!

 

「……でも、どうやってここから出れば……」

 

とはいえ、目下の悩みはそれだった。ルナティックトランサーの微睡は、私自身では制御しづらい。早く戻らないといけないのに、私にはその方法がわからない。もどかしさが私を襲う。

 

『……さっきも言ったろう?夢結。

逆だ。狂気を拒絶していては、狂気と自分の分離を助長するばかり。その狂気も、自分自身なんだよ、夢結』

「狂気も、私自身……」

 

あの、私を引き摺り込もうとするような狂気の闇。あんなものが自分のものだなんて……考えたくない。

しかし、美鈴お姉様は『その狂気への嫌悪感は、夢結自身の自分への嫌悪から来るものだよ』と手を肩に置いた。

 

『夢結。自分を嫌わないで。

君は自分のスキルを呪いだと言うけれど、呪いと祝福は紙一重。まるで毒と薬みたいだ。

夢結のそのスキルが呪いであるなら、きっと毒をも力に変えられる』

「お姉様……」

『大丈夫。そんな君のことを大好きだと言ってくれる人が、あんなにもいるんだから』

 

『お姉様ぁああああああっ!』

『夢結ー!』

『夢結、戻ってきて!』

 

「梨璃、梅、お姉様……』

『そして、ボクもね。大好きだよ、夢結』

 

そう言って、お姉様は私の背中を押してくれた。

 

──そうだ。あんなに私のことを好きだと言ってくれる人がいる。私が私を嫌うのは、そんな思いを無碍にすることに他ならない。

私は、私のことをまだ好きになれない。大切な人を死なせてしまう死神。また傷つけてしまうかもしれない。

 

ならば。ならば私は、私が大好きなあの人たちが好きだと言う、そんな私のことを好きになってみせる!

 

あの人たちの見ている理想の私、そんな私に、なってみせる!!

 

『立ち上がって。大切なものを守るために』

 

自分(狂気)を受け入れる。

 

『立ち続けて。気高きリリィであり続けるために』

 

噛み砕いて、咀嚼して、狂気を論理的に捉える。

 

『その手は』

「この剣は」

 

そうだ。

 

『誰かを傷つけるためではなく』

「誰かを守れなかったと涙を拭うためではなく!」

 

私には、

 

『明日を』

「大切な温もりを!」

 

こんなにも、

 

『「掴み取るために!!』」

 

守りたいものがあるのだから。

 

 

不条理な憎しみを、論理的な怒りに噛み砕いて飲み込む。

正しき相手への、正しき怒り。

────思い出した。そうだ、これが流瑠お姉様との特訓、その最後の鍵。ピンと来なくて完成させられなかった、最後のピース。

 

 

 

視界が開ける。ぼんやりとした意識はもうない。

いつの間にか、周りには私の大切な人たちがいた。

 

「夢結!?戻ってきたの!?」

「お姉様!!お姉様ー!!!」

「夢結……まったく、手間かけさせるんだもんな……!」

「『足りない』と皆さんがおっしゃるので、わたくしもきて差し上げましたのよ!?全く、なんて馬鹿力ですの……?」

「みんな……」

 

どうも、私は4方向から抱きしめられて動きを止められていたらしい。

流瑠お姉様、梨璃、梅、楓さん。楓さんまで私を抱きしめてくれるなんて、意外だった。それが、例え流瑠お姉様や梨璃のためだったとしても。

 

「みんな、ありがとう。私はもう大丈夫」

「本当ですの?また突然暴れたりしませんこと?」

「ふふ……そうね。信用は無いわね」

 

まだヒュージは倒れていない。どころか、その暴威は圧を増すばかりだ。

なのに、その美鈴お姉様の仇を目の前にして……私には笑みをこぼす余裕があった。

「そんな!私はお姉様を信じてます!」とワタワタしている梨璃と、その横で何度も頷いているお姉様にクスッと笑ってしまった後、私は右手に握られていた金色のCHARMに目をやった。

 

「……名誉挽回といきましょう。美鈴お姉様、力を貸してください……」

 

────もちろんだとも。

 

どこからか聞こえた返事。それを嬉しく思いながら、私は飛び立つ。狙いは、ヒュージの中心。ダインスレイフが突き立てられていた場所だ。

 

「夢結様!そのヒュージにマギリフレクターはありません!先程、フュンフヴェルトで壊しておきました!」

「やっちゃえ!夢結おねーちゃん!!」

 

心強い言葉と応援に頷く。

落ちる。落ちる。ヒュージに向かって落ちていく。私は……自然と、口を開いていた。

 

「……ねぇ。私、今怒っているの。

あなたは私の大切な人を殺した。あなたは私の大切な人を傷つけようとした。

あなたは────私の大切な温もりを、また奪おうとしたッ!!」

 

怒り。そう、これは怒りだ。()()()()()()()

 

「以前の私なら、きっとこの怒りと不条理な憎しみに支配されて、近寄るもの全てに切りかかっていた。

でも、私はもう惑わない。守るべき誰かと、怒りをぶつける相手を間違えたりしない。

だから───私はあなたに、全力で怒りをぶつけるわ!」

 

大量のヒュージの触手が迫る。でも、今はいつも以上に目が冴えている。全て見える。全て捉えられる。

 

「きっかけは流瑠様のノルンになりたかったからだった!!美鈴お姉様のことなんて、邪魔だって思ったこともあった!!なのに!!!」

 

弾く。避ける。いなす。その全ては、私を止める妨害たり得ない。

 

「美鈴お姉様は優しくて!カッコよくて!私の内心を知っても、笑って許してくれて!!せっかく仲良くなれたのに!!3人で過ごす日々は何よりも楽しくて!!これから、もっともっと仲良くなって!!3人でずっと一緒にって思ったのに!!!」

 

さらに多くの触手が、私に向けられる。

 

「それを壊したのはあなた。そして……弱かった私」

 

それがどうした。だからなんだ。

 

「不甲斐ない……」

 

切る。

 

「不甲斐ない……!」

 

斬る。

 

「不甲斐ないッ!!」

 

斬る斬る斬る。

 

「でもッ!!!

この不甲斐なさ、全部ぶつけて!不甲斐ない自分を捨て去って見せる!!

お姉様達のシルトに相応しいリリィに!!梨璃のシュッツエンゲルに相応しいリリィになるために!!!」

 

遂に、最後の触手が千切れた。ヒュージの表面に、到達する。

 

「そして───大切な明日のため、私はあなたを乗り越えるッ!!!」

 

ダインスレイフを、振り上げる。美鈴お姉様の仇。梨璃を傷つけようとしたヒュージに。

憎しみではなく……怒りで以って。

 

「ルナティックトランサー!!ディセンションッ!!!」

 

渾身の力で、振り下ろした。

 

 

 

 

 

 




・「新たな力」
ルナティックトランサー・ディセンション。さて、その真価は…?

・天使さん
ようやく伏線を回収できたやつ。流瑠様の全力モードのこと。真の力は明かされなかったが…




というわけで、第6話完結!!…なわけもなく、まだまだ続きます。
早く7話に入ってあの子を出したい…とも思うけど、まだまだ描写不足なのでもうちょっとかかるかも。

いつも沢山のUA、お気に入り、感想などありがとうございます!!!
まだまだ続けますよ!!!

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