ハードモード地球で平成から令和を駆け抜ける 作:ありゃりゃぎ
高評価がうれしくて今回はちょっと長めです。
でももう空戦なんて書かない。
計12機のWING試作機が一斉に大空に飛び出した。
6機と6機によるチーム戦。次世代航空技術の結晶であるWINGシステムが実践形式でどれほどの活躍を見せるのか。各国の注目が集まっていた。
「α2、先行する」
シミュレーションではもっとも射撃精度が良かったマキが先頭に躍り出る。6機が編隊を組みながら、相手チームであるβ隊を迎え撃つ。
タタタタタッ!! という軽快な射撃音は先行するα2から。模擬戦故にペイント弾だが、当たれば衝撃は大きい。
開始早々に急襲を仕掛けるというのが、α隊の作戦だった。
WINGシステムの性能は従来の戦闘機を遥かに凌ぐ。とすれば、当然操作感覚も異なってくる。いかにシミュレーターで訓練を積もうとも、実機による稼働時間の絶対数は少ないため、まずこの機体に慣れるまでは、両チームとも控えめな動きとなるだろうというのが多くの見立てであった。
「その思い込みを利用する」
マキの射撃は目論見通りβ隊を動揺させた。ゆっくりと隊列を組んでいたβ隊の挙動が乱れる。
習熟度はどっこいどっこいだ。攻める側もまた機体に振り回されることになるが、何事も攻める側の方がイニシアチブを握りやすい。
α2に続いてα1、α3も射撃を敢行。相手の1機が被弾して撃墜判定を食らった。
「射撃精度は要調整、か」
開始早々に数の利を取った。だが、敵方もまた各国の精鋭である。彼らは2機と3機に分かれて逃げ飛ぶ形になった。
「どうする?」
「α1、α2、α3で2機を追う。α4、α5、α6で3機の側を追え」
今回リーダーを務めることになった米国の最年長の指示に従う。ちなみに俺はα6だ。
分隊した場合はα4のオーストラリア人が指揮を執ることになっているのだが、
「α6先行する」
「ダメだ!! このまま3機で隊列を維持したまま圧力をかける!!」
舌打ちを一つ。α4はブリーフィングの段階から、俺の提案を悉く蹴っていた。最年少故か、隊内でも軽んじられている。
──いや、俺だけが戦場を飛んだことがないからか。
各国の精鋭として召集された彼らと比べ、俺はあくまで開発チームのパイロットだ。俺のパイロットとしての腕については、彼らと遜色はないどころか俺の方が成績が良いのはシミュレーションの結果から明らかだった。当たり前だが、開発チーム専属の俺の方がWINGシステムの習熟度は高い。
だが鉄火場を経験しているかいないかは、彼らにとって重要な判断材料なのだろう。それもまた理解できる感情ではあった。
意見こそ通らなかったものの、α4の指示自体は真っ当なものだ。だが、個人的にはこの勢いのまま追撃をかけたかった。
事実、β隊の3機はすでに落ち着きを取り戻しつつある。彼らが仕掛けてくるならこのタイミングだ。
そして、お互いにWINGシステムの習熟度は高くないのなら、仕掛けられた側が圧倒的に不利だ。
追われる3機が機首を上げる。
「この速度でその挙動!? 墜落したいのか!?」
α4の驚愕する声を通信越しに聞く。だがWINGシステムはそもそも軌道の読めないUFOなどの追跡を考慮した設計になっている。であるならばこれぐらいの曲芸は序の口だ。
彼らはやはりどこかで通常の戦闘機を基準に判断していた。
一瞬で背後を取られ、最初にα4が、次いでα5が撃墜判定となった。彼らは口汚く罵りながら離脱していく。
一対三。これはなかなかしんどい状況だ。
「なんだってこう逆境続きかね……!!」
不規則に機体を振って的を絞らせないまま速度を上げる。
進行方向の先には、分隊したもう片方のα隊の3機がいたはずだが。
「あっちももう1機しか残っていないのか!?」
残っているのはα2──マキの機体のみだ。
ここでようやくβ隊の意図を察した。
カウンター。
一手目をあえて譲った。受けに回るリスクを背負ってもWINGシステムに慣れるまでの時間を欲したのか。
慣れると言ったって、この短時間で? という当然の疑問。
しかし彼らは結果をすでに出している。あの鮮やかな切り返し。速度、角度ともに従来の戦闘機ではできない挙動だ。彼らはあの数分でWINGシステムがどこまで出来るかを把握したのだ。
敵の残機は5機。こちらは2機。戦況は絶望的だ。だが、
「α6、まだ折れていないな!?」
マキからの呼びかけに間髪入れずに答える。
「当然だ」
諦めるという言葉だけは、あの日に真っ先に俺の辞書から消した。
頭を回せ。秀作よりも拙作を。二の手、三の手くらい秒で出せ。
「貴方が俺のを!! 俺が貴方のを!!」
拙劣な言葉。だが、彼は俺の意図を正しく汲んだ。
「頭が悪い!! だが好みだ!!」
俺とマキが、向かい合って高速ですれ違う。
この交錯の瞬間、俺たちそれぞれの後ろにいるβ隊同士もまた向かい合う形になる。畢竟、彼らはフレンドリーファイアを恐れて、射撃を止めざるを得ない。
銃声のない、ただ鋼鉄の羽が空を切る音だけが支配する空間。僅か1秒にも満たない安全地帯。
ここで、二つの集団の先頭は、それぞれ俺とマキだ。何せ追われている立場だから。
そして二集団が対向してすれ違うときは、当然、先頭からすれ違っていく。
とすれば、先頭を逃げる俺たちの方が、一瞬だけ、視界に敵機しかいないタイミングがやって来る。
コンマ数秒。
β隊は、未だ射撃野にお互いの仲間がいる状況で引き金を引くことを躊躇った。
瞬きの間だけ、狩る側と狩られる側が入れ替わった。
「うっそだろ!?」
英語で聞こえた驚愕は、β隊の声か。それとも管制室のものか。
俺の後ろを追いかける3機の内1機が離脱していく。マキ機を追う機体もまた1機脱落した。
あっちの方は、後はもう任せるしかない。
───あと2機、俺の後ろ…!!
1対2は依然不利。だが、想定外に動揺しているのが手に取るように分かる。
WINGに1番乗っているのは俺だ。
もう一手の仕掛け。従来戦闘機のほとんどができなくて、WINGにだけできること。
バーニアを前に吹かして急減速を駆けた。メーターの示す速度は急速に0に近づいていく。
本来なら自殺モノの挙動。ただ落ちるだけに思われた俺のWINGはしかし空中に静止した。
WINGシステムには、UFOのあらゆる軌道に対応できるように設計されている。急加速に急停止、そこからのホバリングだって可能なのだ。
そして、追う側だったβ隊の2機が通り過ぎていく。
「乱れたな───!!」
2機の内、1機はそのまま飛んでUターンを選択した。そうだ。従来の飛行機乗りならそれを選択する。
しかしもう1機は迷った。俺も彼らも今乗っているのはWINGで、彼もまた俺と同じ挙動が可能なのだ。なまじWINGの挙動・操作に慣れてきた彼らは、どちらの選択が最善手か判断に差ができた。
1対2ではなく、1対1の構図が出来上がった。数に劣るならば各個撃破。結論は単純だ。
手近に止まった1機を落とす。
残り1機───!!
操縦桿を握りしめる。急降下からロール回避。そして追いかけてきたところもう一度上昇する。
後は1対1をもう1度するだけ。もう小細工はない。純粋なドックファイト。互いに後ろを取り合う挙動は鋏の軌道を描く。
幾度目か。交錯の刹那に、捉えた。だが、
パスンという間抜けな音。
「弾切れぇ!?」
ここにきて、俺は今回のWINGの装備が、レーザーではなくペイント弾だったことを思い出した。
べちゃりという音とともに、撃墜判定の警告音が機内に鳴り響いた。
※
「いやあ、WINGシステム……ここまでとは」
管制室で見守っていた各国首脳陣や国連事務員らに、WINGシステムは驚愕を与えていた。従来の航空技術ではありえない速度と挙動。配備には相応のコストが掛かるだろうが、彼らにはそれを補って余りある成果に見えた。しかもこれでまだ試作機段階なのだ。
そして養成パイロットクラスのギャラリーたちにもこの模擬戦は衝撃を与えていた。だが、彼らはすでにWINGシステムのスペックを知りえていた。彼らが驚いたのは、普段彼らに教鞭を執る、自分たちとさして年の変わらない男の技術を垣間見たからだ。
「…………この目で見ても、いまだに分からない。何をどうしたらあの速度であんな挙動ができる?」
ハヤテに至っては、興奮を通り越してすっかりと息を潜めるようにしていた。クラス内での彼の腕前はトップクラスだ。その彼だからこそ、あの教官の動きは異様さが理解できた。
一方のイルマもまた、驚愕は隠せなかったが、レベルが段違い過ぎてよく分からないというのが本音だった。
そうしているうちに、模擬戦に参加していたパイロットたちが次々に降下してきた。
「と、とにかくまずはおめでとう、だろう。うん」
昔馴染みの教官の活躍を称賛すべく、彼女はハヤテの腕を引いてカツヒトの下へ急いだ。
※
WINGシステムの成果は、おおよそ各国に正しく評価された。その夜に行われた懇親会では、各国代表が入れ替わり立ち替わりで、WINGシステムの開発責任者であるカシムラ教授を訪ねていた。
「カシムラ君め。見せつけてくれるな」
一人孤独に会場の隅っこでもぞもぞと飯をかっくらっていた俺のもとに歩み寄ってきたのは、痩せ型の40代後半の男だった。
「ヤオ教授、こんばんは」
ヤオ・ナバン教授は、カシムラ教授と同じく東京メトロポリス大学に研究室を構えている。
東京メトロポリス大学は、近未来における技術革新の可能性を秘めた研究を数多く抱えている。カシムラ教授のWINGシステムと同様に、ヤオ教授もまた革新的な技術テーマの研究を行っていた。
「ヤオ教授の『マキシマ・システム』ももうすぐ実験段階ではないですか。すぐに今のカシムラ教授みたいになれると思いますが」
「……そうだがね。何分、論文発表時の学会の反応が堪えていてね。自分で言うのも何だが、いささかナイーブになっている」
彼の発表した『マキシマ・システム』は、宇宙開発に欠かせないロケット推進システムにヘリウム3を応用し、物質と反物質を反応させて光子を生み出してエネルギーとするという斬新な論文だった。発表初期でこそ学会に嘲笑されたが、サワイの目に留まったことでこの大学で支援される運びとなった。
「だが、君の飛行には勇気をもらえたよ」
「撃墜されちゃいましたけどね」
最後の最後の凡ミスで盛大にやらかした俺は、あまりの羞恥に耐え切れず、こうして輪を離れて食事をしていたのだ。
なお、あのあとマキがしっかり2機とも落として今回の撃墜王となっている。
ヤオ教授は苦笑した。
「確かに撃墜こそされたが、WINGを一番使いこなせていたのは君だろう。あれほどの腕ならば君にマキシマ・エンジンの試験飛行を任せたいのだが」
「ほ、本当ですか……!! ぜひ参加させてください!!」
「お、おおう。随分と良い反応だな」
「んんっ。申し訳ありません。……開発初期から一緒に携わった身として、一番最初にこの手で飛ばしてみたかったもので。でもよろしいのですか?前に聞いたときは『マキシマの試験飛行を任せるならば、世界一とは言わずとも日本一のパイロットでなければ絶対認めない!!』とおっしゃっていましたが」
だから俺は『日本一のパイロット』なんて、小学生みたいな目標を掲げる羽目になったのだが?
咳払いをして答える俺に、ヤオはうっすら笑った。
「言っただろう。あの場で最もWINGシステムを使いこなせていたのは君だった。素人の僕にだって分かるよ。……それに君には言葉では言い表せないほど感謝しているんだ。研究に参加させてほしいだなどと、最初のころはパイロットが何を言っているんだと思ったものだが。いやはや、パイロットとしても研究者としても一流だとは。天は二物を与えたな」
これには頭を掻くほかなかった。マキシマ・システムに関して、俺は最初から完成形を知っていたのだ。それを自分の成果に見せたに過ぎない。自慢できることではないが、それをここで明かすわけにもいかない。
「試験飛行の予定が決まったんだ。2週間後に、WING1にマキシマ・エンジンの試作機を搭載する。そのテストフライトを君に任せるよ」
「光栄です」
その後、二三言葉を交わし、ヤオ教授はカシムラ教授のもとに向かった。彼らは古い友人であるらしい。
やっと、ここまで漕ぎつけた。同時に、この後のことを想うと酷く心苦しくもある。
『マキシマ・エンジンを搭載したWING1のテストパイロットになり、試験飛行中に事故を装って機体をロストさせマキシマ・エンジンを頂戴する。壮大迂遠かつ大胆不敵な窃盗計画です』
慌てて周囲を見渡すが、懇親会の騒がしさで、会場の隅っこにいる俺に注目する人間はいなかった。
「ユザレ、誰が聞いているか分からないんだぞ?」
『……私は、この計画には反対です。人道に悖る行為だ』
当初から、AIユザレはこの計画に反対だった。どうやらこのAIはユザレの人格を基にしているからか、規則を必要以上に守りたがる節があった。要は、融通が利かない。いや融通が利くAIというのもそれはそれで怖いが。
ごねる彼女に、俺は今一度説明しなければならなかった。
「現状、君の本体を動かせないことには、君の演算能力も遺跡に眠る計測機器も使えないんだ。情報収集の必要性は君も分かるだろう」
喧噪はいい感じに俺の小声をかき消している。それこそ携帯越しに不機嫌な彼女のご機嫌を取ろうとしている哀れな男にでも見えていることだろう。実際はAIのご機嫌を取っているわけだが。
「『マキシマ』の光によるエネルギー生産が3000万年前においては普遍的なインフラで、だから本来希少なはずのヘリウム3も遺跡には多く残存していて、あとはハードさえ揃えられればって状況なんだぞ?こんな渡りに船、乗るしかないだろ」
そもそも『マキシマ・システム』とは、ティガ本編で核に次ぐ新たなエネルギーとして登場したシステムだ。この『光』を利用したエネルギーシステムは、ティガ本編中盤にようやくトライアル段階に突入するのだが、なんと実は3000万年前にも存在していた技術だったらしい。『闇』に対抗すべく『光』を求めた3000万年前の民らしいというべきか。
このマキシマ・エンジンの経年劣化による破損が、ユザレのシステム不良の原因だった。問題は『マキシマ・システム』を用いられたこのエンジンが、オーパーツであったことだ。
故障したエンジンをバラして構造を理解することは出来たが、個人ではあの精密なエンジンを作成することは出来ないと、俺は判断した。
それこそ、最先端技術を扱う大学の研究室レベルでようやく試作機をつくれるくらいだろう、と。
そこで俺は破損した遺跡のエンジンの仕組みをそのまま丸パクリして、ヤオ博士の研究室に乗り込んだ。人類の技術レベルを強引に引き上げることで、エンジンを調達しようと画策したのだ。
もちろん、怪しまれぬように、情報は小出しにしたりヒントを与えて他のメンバーに閃かせたりと小芝居したが。そのせいで、だいぶ時間がかかった。
『……電気での代替は』
「あんな地下に電気なんて引けないし、あれだけの計測機器を稼働させるだけの電力を使用できる資金もない」
『このまま、組織に残り防衛隊組織に身を置くのはどうです』
「もっとダメだよ。必要以上に組織に取り込まれれば身動きが取れなくなる。それにこの状態で防衛隊組織に所属したら、絶対現場でパイロット乗りにさせられる。自惚れじゃないけどWINGシステムを一番使いこなせているのは俺だからな。……知ってる? ミウラ・カツヒトってティガ本編だとWINGの試験飛行中に死んでるんだよ?」
マキシマ・システムに近づくためにやむを得ずパイロットの道を選んでしまったが──残念ながら、マキシマ・システムは極秘計画のため研究員を新規募集していなかった──俺は飛ぶたびに、今日こそ死んでしまうんじゃないかと気が気でなかったのだから。
「……それに、マキシマをこの状態で完成させてみろ。人類同士で戦争になるし、宇宙から変なもの呼び寄せる誘蛾灯になる」
TPC設立前のこの地球は、まだ一つになれていない。一枚岩とは言えないこの状態でマキシマ・システムなんて出来上がった日には、新エネルギー争奪戦が絶対起きる。具体的には、このシステムに必要なヘリウム3が豊富に存在する、『誰のものでもない』月を巡って戦争になる。
そしてさらに問題なのは、このマキシマ・システムの放つ光が『ゴブニュ』を引き寄せるきっかけになったり、デシモ星系人を刺激したりすることだ。
ウルトラシリーズでは、過ぎた科学技術は必ず人類に牙をむくのだ。もはやお約束の領域である。
「これでマキシマ・エンジンが事故でロストすれば、研究はしばらく止められる。2機目を作るのにも時間がかかるし、研究室で確保できているヘリウム3は現状テストフライト一回分だけだ。研究が止まっている間にTPCが設立されれば、研究が再始動しても世界戦争を回避できるし、俺はマキシマ・エンジンが手に入る。地下で起動する分には宇宙からは見えないしな」
これだけ筋道だった理論で詰められれば、流石にAIユザレも黙らざるを得ない。
『これ以上の反論は不可能ですね。……確かに、正しい。だが、そのやり方は、光の巨人のやり方ではないと、そう思います』
「お前それ、マジでへこむからやめてくれない……?」
その言葉、ジャグジャグだって耐えられなかったんだぞ。
限られた手札で俺にできる範囲はこれくらいだ。そもそも俺のような平凡で卑小な人間が、正しい光の戦士など名乗れるはずもない。そういうのは原作主人公に任せておきたい。
「いや、そんな心構えだから、未だに俺は『光』に成れないのかもしれないな」
巨人はいまも応えてはくれない。まだその時ではないのか、それとも俺に原因があるのか。
ユザレは俺に『成れる』と言った。だが、無理に変身して暴走する可能性を俺は排除できなかった。それこそ、マサキ・ケイゴのように。
俺と彼に、どこか違いがあるだろうか。彼のような『間違った心』を俺が有していないと誰が証明できるのか。
マドカ・ダイゴのように、もしくは他の光の戦士のように、本当に心から『光』というものを信じられるのか。
ただの凡人である俺が、彼らのような高潔な魂を持つ人間と並び立つことができるのか。
そんな益体もないことを考えていると、向こうから見知った顔がやってくるのが見えた。せっかく息を潜めて飯を食っていたというのに、そんな大声で呼んだら居場所がばれるだろうが。
近づいてきたのは3人。
一人は、先の模擬戦で開始前に個人回線で話しかけてきた精悍な男。本日の撃墜王となり、そこかしこで酒を注がれた彼はすでにかなり顔が赤い。
もう二人の方は良く知っている。将来月面基地ガロワで隊長を務めるであろう顔のいい男と、将来GUTSの隊長を務めるであろう、昔馴染みの冴えた美人。こんな俺を、教官と慕う生徒たち。
生返事で答えながら、俺の手は無意識にそこに伸びていた。
懐に仕舞い込んだままの、スパークレンスにただ触れる。
『光』は、俺に答えを与えてはくれなかった。
戦闘機の訓練でペイント弾なんてもう使わないらしいんですが、ダイナ本編では訓練でもバカスカ撃っているので、いいかなってそのまま押し切りました。許してください