ありふれた職業がダークライダーなのはおかしい 作:LEGION ONE
月曜日。それは一週間のうちで最も憂鬱な始まりの日。きっと大多数の人が、これからの一週間にため息を吐き、前日までの天国を思ってしまう。
それはこの俺…『黒木 一夜』も例外ではない。俺はため息を吐き、めんどくさい気持ちを持ちながら学校に向かっていた。
「よぉ〜雫」
「おはよう、一夜」
そんなことを考えながら歩いていると、俺はポニーテールの少女に挨拶をした。
彼女の名前は『八重樫雫』俺の幼なじみであり、実家が剣道場のためか女子にしては高い身長としっかりと引き締まった体つきをしている。
「相変わらず眠たそうね」
「別にいいだろ?俺は朝が弱いんだから…」
俺は雫とそんなことを話しながら学校にへと向かった。
学校に着くと、雫は友人と他愛ない会話をする一方で俺はオタク友達からもらった漫画を読んでいた。
「あ…もう終わりかよ…」
面白かったな…また、貸してもらうか。そんなことを考えているとその親友が教室に入ってきた。
その瞬間、親友は男子と女子から舌打ちや冷たい視線を一斉に浴びてしまった。全く…毎朝毎朝…鬱陶しいな…。俺はそんなことを考えながら親友の元に歩み寄った。
「おーす、ハジメ」
「あ、一夜。おはよう」
親友の名前は『南雲ハジメ』父親がゲーム制作会社、母親が漫画家の、わりと筋金入りのオタクで小学校からの親友だ。
「ほらよ…貸してもらった漫画面白かったぜ」
「良かったよ一夜がそう言ってくれて」
俺とハジメがたわいもない会話をしていると…
「よぉ、キモオ…『あ?なんだよ檜山』…ゲッ!黒木!!…チッ!」
男子四人組がハジメにちょっかいを出そうとしたが、俺が睨みつけたことにより男子達は舌打ちしながら去っていた。
「懲りないな…あの小悪党組も」
「アハハハ…そうだね」
さっきの奴らは檜山大介、斎藤良樹、近藤礼一、中野信治。俺たちがこっそり【小悪党組】と呼んでいる四人組だ。
ハジメを一方的に憎んでいる檜山達は、以前ハジメを集団リンチしていたが俺がその場にたまたま通りかかり檜山達をボコしたことで実力行使にこそ出なくなったが、陰口などの陰気臭い方面に切り替えただけで実情は変わっていない。
「(そんなことだから小悪党て呼ばれているんだぞ…)」
「南雲君、おはよう!今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」
そうしていると、ニコニコと微笑みながら一人の女子生徒がハジメの元に歩み寄った。
彼女の名前は『白崎香織』雫と同じ学園の『二大女神』の片割れで男女問わず絶大な人気を誇る途轍もない美少女。
彼女はハジメに恋心を抱いているが… それはもう、周りから見てハッキリと判る程に…。俺もよく白崎にハジメの事に相談されている。主に好きな漫画とかゲームとか…
「南雲君。おはよう。毎日大変ね」
「香織、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな」
「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」
と、 そこに雫と2人の男子生徒が来た。
熊のような体つきの少年は『坂上龍太郎』脳筋タイプで何処ぞの漫画のような努力とか熱血という言葉が大好きな人間で、ハジメのように寝てばかりのやる気がなさそうな人間は嫌いなタイプらしい。
一人は茶髪のイケメン野郎『天之河光輝』いかにも、ザ・主人公なキラキラネームの彼は、容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能と三ツ星が揃った完璧超人と名高い人物。正直俺が最も嫌いな人物だ。
「おはよう、八重樫さん、天之河くん、坂上くん。はは、まぁ、自業自得とも言えるから仕方ないよ」
「それが分かっているなら直すべきじゃないか? いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって、君に構ってばかりはいられないんだから」
こいつは自分が正しいと思うことを押し付けるのだ。思い込みが激しいだけならまだマシだ。このバカは自分が正しいと感じた事を信じて疑う事を知らないと、本気で思うご都合主義野郎だ
「はぁ〜あのな〜天之河。香織は好きでハジメに話しかけているんだ。そこに茶々入れるんじゃねぇよ」
「いきなり何を言っているんだ黒木。俺はただ、南雲の態度を直した方がいいと教えているだけだ。いつまでも香織に甘えてばかりでは、南雲はずっと香織の優しさに依存してしまうかもと」
それはお前の考えだろ?たく…本当にコイツは…
「そうだよ光輝くん。黒木君くんの言う通り、私は南雲くんと話したいから話してるだけだよ?」
白崎…お前も何爆弾を投下しているんだよ…お前のせいで教室の殺気がさらに充満したぞ。
「え?……ああ、ホント、香織は優しいな」
そんでもって全く気づいていない天之河は、白崎の発言を南雲に気を遣ったと解釈したようだな。どこまでご都合主義野郎なんだ… あーもう、ほんとうにこいつといるだけでイライラしてきた。
「……… ごめんなさいね?二人とも、悪気はないのだけど……」
「お前は一々謝るな雫…もう慣れた」
俺は雫にそう言うと席に戻っていた。
午前中の授業が終わり昼休みになったので、俺は持ってきていた弁当を取り出し、食事を取ろうとした。
「隣失礼するわよ」
そう言って雫が俺の隣に座り弁当を取り出し、食べ始めた。
「言う前に座るなよ」
「いつものことでしょ?」
「そうだな…やれやれ」
俺は雫と話しながら食事を取り始めた。
一方で目を覚ましたハジメは定番のチャージ食で済ませ、また眠ろうとするも。
「珍しいね、南雲くん。よかったら一緒にお弁当どうかな?」
白崎がチャンスとばかりにハジメに話しかけ、一緒に食べようと誘ってきた。ハジメはもう済ませたと言い、白崎に残骸を見せるも。
「ええっ!?それだけなの!?私のお弁当、分けてあげるからちゃんと食べようよ!!」
全然逆効果だった。その瞬間、クラスの殺気がたった一人の男子に集約された。何人かは、目線だけで人を殺せそうなレベルだ。朝に続いて昼もかよおい…本当にいい加減にしろよ?
「一夜落ち着いて…」
「楽しい食事もこれだと…マジで鬱陶しいな…」
「わかるけども…ね?」
雫もため息を吐きながら俺にそう言った。
「香織、雫。そんな奴等とじゃなく、こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。折角の二人の美味しい手料理を寝惚けたまま食べるなんて俺が許さないよ?」
天之河が爽やかに笑いながら気障なセリフを吐いた。なんでこんなに空気が読めない男なんだ?それでもって、白崎には天然属性が入っているわけで。
「え? なんで光輝くんの許しがいるの?」
「「バフォ!!」」
素で聞き返す白崎に、俺は思わず吹き出してしまった。ちらりと隣に視線を向ければ、雫も同じように吹き出している。これがあるから、面白い。
「(ハジメなら、異世界召喚とかされないかなぁ~、とか思ってそうだな)」
オタクのハジメなら、本気で思ってそうだな…。
そう思った次の瞬間、天之河の足元に純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れた。それの光教室全体にへと拡大していった。
(これって、もしかして・・・)
ハジメとともにゲームをしたりアニメや漫画をみた俺はわかった。わかってしまった…これは、魔法陣だ!!
「っ、お前ら!すぐに教室から出ろ!」
俺はすぐに我を取り戻して皆に叫ぶ。おいおい…確かに面白いことは好きだが… 異世界召喚されたいなんて願望は持ち合わせてねぇよ!
だけど、それは一歩遅かった。
俺が叫んだ直後に光は膨れ上がり、その光は教室を埋め尽くした。
数秒か、数分か、光によって真っ白に塗りつぶされた教室が再び色を取り戻す頃、そこには既に誰もいなかった。
蹴倒された椅子に、食べかけのまま開かれた弁当、散乱する箸やペットボトル、教室の備品はそのままにそこにいた人間だけが姿を消していた。
『うん…』
『どうした?アークさんよー』
『どうやら我らの力を継ぐ存在が来たそうだ…』
『マジかよ!!』
『アークそれは1000%本当なんだね?』
『私の予測を舐めるでは無いぞ… サウザー』
『ついに我の主が来るのか!』
『やった〜主様に会えるんだ〜』
『華麗に激しい奴だといいな!!』
『さぁ…来たまえ…我らの力を受け継ぎし少年よ…貴様なら我ら闇の戦士達の力を十分に発揮できるだろう…』