ありふれた職業がダークライダーなのはおかしい 作:LEGION ONE
どこだ…ここ…確か…教室にいきなり光が…溢れて…
『早く来い…』
誰だ…俺は声のした方を向くと…そこに居たのは禍々しいオーラを放つ仮面の戦士達だった。
「(なんだ…あの仮面の戦士達は!?)」
『早く来い…我らの力を継ぐ存在よ…』
あんたらは一体!?それに力を継ぐなんだよ!!
俺が仮面の戦士に向けて聞こうとした時… 周りが光に包まれて仮面の戦士達が少年から離れていった
光が晴れると俺は何かの神殿の様な場所にいた。周りには教室にいた他の生徒達と教師である愛子先生にいた。
「あの夢は一体………」
なんだったんだ…あの仮面の戦士達は…力を継ぐ存在…て言っていたよな…。
「....一夜」
すると、急に服の袖を引っ張られた。振り向くと、雫が不安そうな表情で俺を見ていた。
「ここは一体…何処なの」
「さぁな…。だが、嫌な予感がする」
俺は雫にそう言って辺りを見回した。すると、巨大な壁画が目に入った。背景には草原や湖、山々が描かれており、中心には後光を背負った金髪の中性的な人物が描かれていた。
「(なんだろう…コイツを見ていると無性にコイツの顔面を殴り飛ばしたくなる…)」
そんなことを考えながらもう一度辺りを見回すと、鈴を付けた杖を持った、無駄に派手な衣装の年寄りがいた。
「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」
△▼△▼△▼△▼
イシュタルと名乗る爺さんに連れられて、俺達は大広間にいた。大広間には十メートルを超えるテーブルが幾つも並んでいた。俺は後ろの方に座り、周りの様子を伺っていた。
「(どいつもこいつもメイドに見とれて呑気なもんだ.......)」はぁ」
「さて、あなた方においてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞き下され」
そう言ってイシュタルからの説明が始まった。俺たちがここに召喚された理由は、ファンタジーのテンプレで、どうしようもないくらい勝手な理由だった要約すると…
・この世界はトータスという世界で、この世界には大きく分けて三種類の種族がいる。イシュタル達人間族と魔神族、そして亜人族が存在している
・長年人間族と魔人族は戦争をしてきており、ここ近年魔人族が魔物を使役し出したことで均衡が崩れた
・このままでは人間族が滅んでしまう。だからこの教会や人間族が崇める唯一神「エヒト様」があなた達をこの世界に召喚した。
結論、「私たちのために魔人族倒して♡」
マジ巫山戯んなよクソジジイ…そんなことで俺たちを召喚して戦争に出そうとするな…
「あなた方を召喚したのは『エヒト様』です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。恐らくエヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避する為にあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方という『救い』を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、エヒト様の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」
そう言ってイシュタルは恍惚とした表情をする。何がそんなに頬を染める原因となるのか、誰得な感じに気持ち悪かった。一瞬吐きかけた。
「(あ〜こうやって押し付ける宗教は嫌いなんだよな〜)」
「ふざけないで下さい!結局、この子達に戦争させようってことでしょ!そんなの許しません!ええ、先生は絶対に許しませんよ!私達を早く帰して下さい!きっと、ご家族も心配しているはずです!あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」
そんなことを考えていると…ちびっ子担任こと愛子先生がイシュタルに抗議した。だが、どうにも威厳とかが足りないため、ほんわかした様な空気が流れていた。威厳ねぇな…
クラスとしては和むばかりだが、しかし続くイシュタルの言葉に凍りついた。
「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」
「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!? 喚べたのなら帰せるでしょう!?」
「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」
おいちょっと待て…てことはそのエヒトがどうにかしないと俺たちは帰れないのかよ…もう一度言うが巫山戯んなよ…クソ神。
「嘘だろ? 帰れないって何だよ!」
「嫌よ!何でも良いから帰してよ!」
「戦争なんて冗談じゃねぇ!ふざけんなよ!」
「なんで、なんで、なんで…!」
そう言って周囲も口々に騒ぎ始めた。雫は未だに無言で俺の袖を掴んでおり、しかも震えている。
俺は剣呑に目を細めながらイシュタルを睨みつける。イシュタルは騒ぐ生徒達を侮蔑の目で見ていた。なんだあの目は…大方神…エヒトに選ばれておいて何故喜べないのか、とでも思ってるのだろうな。
「この狂信者め…」
俺がイシュタル…クソジジイを睨みつけながらボソッとそう言うと…
『さぁ…お前はどうする…』
「ッ!?」
あの夢で仮面の戦士が発した声が頭に響いた。俺はビックと驚き辺りを見回した。すると…
バンっ、とテーブルを叩きながら光輝が立ち上がる。
その音に思わずと言うように生徒達は光輝に視線を向ける。
「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」
「ええ、そうです。ざっとこの世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」
「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」
光輝のその言葉を聞いて、俺はため息を吐いた。雫はじっと光輝の方を向いている。
「龍太郎……」
「今のところ、それしかないわよね。……非常に不本意で気に食わないけど……私もやるわ」
「雫……」
「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」
「香織……」
いつもの四人が賛同して、次々に椅子が倒れる勢いで生徒達が起立して光輝に賛同し、愛子の制止も聞かず戦争への参加を決める生徒が増えていく。
馬鹿だろコイツら…自分達が人殺しをしようとしていることに…俺はイライラしながら見ていると…
「皆! 俺達が力を合わせればこの世界の人達を助けられる筈だ! だから俺について来てくれ!」
その言葉を聞いた瞬間、俺の苛立ちは限界を超えた。俺は勢いよく持っていたカップを置くと天之河を睨みつけながら立ち上がった。
「お前らは馬鹿か?」
俺がそう言った瞬間、全員の視線がこちらに向いた。
「黒木!それはどういう意味だ!」
俺の言葉に、案の定天之河は突っかかってきた。それを聞き、俺は天之河に近づき
「そのままの意味に決まってるだろ?お前ら…戦争に参加するって事は人殺しをするってわかって言ってんのか」
『『『ッ!?』』』
俺の言葉に天之河に賛同していたアホ共は驚愕の表情を浮かべた。
「く、黒木!! 皆を怖がらせる様なことを言うな!」
「なんでだ?俺は事実を言っただけだ… 第一何で俺たちが戦争に参加しなくちゃいけないんだ?戦争を始めたのはこの世界の人だろ?なんで関係ない…しかも異世界人である俺たちが関係の無い世界と人達を命を賭けてまで救う必要があるんだ?必要無いだろうが」
「そんな事はない!俺達はこの世界の神に選ばれたんだ!それに俺達には力がある!その力はこの世界の人達を救う為に使うべき『馬鹿かお前は』なんだと!?」
「戦闘経験のない俺たちがそう簡単に力を使いこなせる訳ないだろ?力を貰って特別と思ってるのか?笑わせんなよクソ野郎が…」
俺は大きくため息を吐くとまた口を開いた。
「そもそも、お前は戦争をするってことの本当の意味がわかっているのか?」
「は?」
俺の質問に光輝は固まった。わかってないのにあんな事を言っているんじゃねぇよ…
「さっきも言ったが戦争をするってことは、俺たちはこれから人殺しをしなくちゃならん日本では犯罪…殺人なんだぞ?それを扇動してクラスメイトに進めるというのはどういうことだ」
「俺はみんなを人殺しなんてさせない!俺はみんなを救ってみせる!」
「じゃあどうやって?」
「え…」
俺の言葉に天之河は反論し、そう言うが…俺は逆に天之河にどうするか聞いた。
「え、じゃねぇよ…どうやって俺たちを人殺しなんてさせないんだ?救ってみせるんだ?ほら早く言えよ…あるんだろ?言ってみろよ」
「そ、それは…」
「話し合えば…なんて言うんじゃねぇぞ…そんな甘たれな考えが戦争で通じる訳ないだろ。話し合って分かり合うことが出来れば苦労はしないんだよ…出来ないから戦争が起きているんだろ」
「………」
俺の発言に天之河は口をモゴモゴさせる。やっぱり話し合えば…と言おうとしたな。
「図星か…呆れた…後先考えずにみんなを守るとか救ってみせるとか…そんなこと言っているんじゃねぇよ…。現実を見てから言えこの偽善者が」
天之河にそう言って振り向くと雫と目が合った。が、すぐに雫は自分と目線を逸らした。自分が天之河に賛同したことを悔やんでいるな…。
「まあ、落ち着いてくだされ黒髪の方。いきなりこの世界に呼び出されて気が立っているのは分かります。先程皆様もそんな感じでしたからな。ですがあなた方を危険に晒すことは絶対にしません。教皇の名に誓います。あなた方を、決して一人も欠かさず、あなた方の世界に返すことを約束いたしましょう」
さっきまで俺と天之河の様子を見ていたクソジジイが俺に声をかけてきた。
「チッ…(どうだか…)」
俺は舌打ちをすると、席に戻った。
『ほぉ〜やはりあの少年なら我らの力を継ぐことが出来るかもしれないな』
『あぁ!にしてもアイツ…黒木だったけ?よく言うな〜!』
『全くだ…他のガキどもは馬鹿だが…あの小僧はよく分かっているな』
『ふむ、彼なら僕の研究を更に進ませることが出来るかもしれないね…楽しみだよ』
『全てはアークのままに…滅亡せよ…偽物の神…エヒトよ』