ありふれた職業がダークライダーなのはおかしい   作:LEGION ONE

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オルクス大迷宮

オルクス大迷宮。

 

前にも話した通り、この世界に存在する七大迷宮の一つだ。

 

全100階層から構成されており、階下に進めば進むほど手強い魔物が待ち構えている。

 

そんな迷宮に今日俺たちは挑むのだが…

 

「危険の場所なんだろ?」

 

危険な場所だというのに上は活気づいていた。

 

特に人の多く来る迷宮の入り口に造られたゲートなど、まるでお祭り騒ぎだ。

 

屋台とかもある。

 

「これから迷宮に挑むと言うのに何とも緊張感に欠ける景色だ」

 

「それ、一夜が言えること?」

 

俺がそこら辺の屋台で買った唐揚げを食べながらそう言うとしたが俺に呆れたように言う。

 

「食べる?」

 

「………一ついただくわ」

 

雫に唐揚げを差し出してそう言うと雫は唐揚げを一つ取って食べた。食べるんだ…

 

『(なんともまぁお気楽なものだな)』

 

「(うるせぇな…俺たちがいた地球には『腹が減っては戦ができぬ』という言葉があるから別にいいんだよ)」

 

エボルトとそんなことを話していると…天之河が出張ってきた…あ〜鬱陶しい奴がきた…

 

「雫打ち合わせもあるし、こっちにおいで。黒木は南雲と一緒に後ろに控えるつもりらしいからね」

 

「打ち合わせなら昨日の夜散々したじゃない」

 

雫のその態度に何を思ったのか、天之河は見当違い甚だしいくらいに俺を睨んできた。

 

『おー睨んでる睨んでる』

 

「(あ〜鬱陶しい…自業自得なのになんでこっちを睨んでくるんだよ…)」

 

「黒木…お前は特定の人物だけでなく、もっと他の皆とも関わったらどうなんだい? そうやってろくに会話をしないから、皆が心配してお前なんかに時間を取られることになるんだ」

 

「……………」

 

『気持ち悪い勇者(笑)だな…』

 

天之河の言葉に俺とエボルトはめんどくそうにしながら天之河の言葉を無視した。

 

「おい!これから共に戦う仲間に何だその態度は!」

 

「んん? お前、さっき俺の事を『お前なんか』と見下した癖に、何都合の良いことを言っている?」

 

「それはお前が真面目に取り組まないからだろ!」

 

「真面目か… 俺は俺なりに真面目にやっている。お前の言う真面目の定義が全てだと思ってんじゃねぇぞ…人それぞれ真面目の度合いが違うんだよ」

 

「一人だけ安全な場所に行こうなんて、虫の良い事を考えるな。そんな考えが雫に移ったら、救える世界も救えない」

 

いや…別に俺は世界を救う気はさらさらありませんが?早く家族が待つ家に戻りたいんですよ…。

 

「はぁ〜てか…俺はお前に『黒木…お前は危険な存在だから後ろに行ってくれ』て、言われてその通りに後ろに行ったんだが?少し前のことも忘れたのか?この鳥頭」

 

「なっ!!」

 

そう…俺は今日、迷宮に行く前に天之河に危険な存在だから後ろに行ってくれ、と言われんたのだ…最初はこいつ馬鹿なのか?と思ったが…エボルトと雫の話を聞いて理解した俺は後ろに行くことにした。

 

てか…エボルト…お前、俺が意識を失っている間に小悪党四人組をボコボコにしたらしいな…檜山に至っては顔面が腫れていたり傷があったりするぞ…

 

小悪党四人組は俺を見るなり…ビクビクと様子を伺っている…いや、檜山だけは殺気のこもった視線で見ているが…

 

『あの馬鹿共は力を持っただけで調子に乗っていたからな。鬱陶しいから上には上がいるぞという意味でぶっ飛ばしたんだよ。別に構わないだろ?』

 

「(まぁ…あいつらがどうなろうが…俺は知ったこっちゃないしな…)」

 

俺とエボルトが話していると天之河が口を開け、怒鳴った。

 

「は、話を逸らすな!お前みたいに努力をしない奴のせいで、皆が危険な目に会ったらどうするんだ!」

 

「お前が逸らしているだろ…。はぁ〜口を開けば努力努力。努力して実るのは才能がある奴だけなんだよ。努力したら誰でも報われる…そんな夢をいつまで見るつもりなんだ?夢ばかり見てないで…いい加減現実を見ろ…」

 

『(この小僧が現実を見ると思うか?)』

 

無理だよ…地球にいた頃から雫や俺が言っているのに全く変わっていない。こいつ…人のことはあれだけ言うのに…自分は何一つ変えないんだな…。

 

「ふざけるな!黒木!!お前は自分がさぼる言い訳だけじゃなく俺の努力まで侮辱する気か!」

 

「努力して俺に勝ったことはあるか?」

 

「なんだと…」

 

「お前が努力して俺に勝ったことあるのか?剣道や運動で?負けているだろ?あ、でも勉強だけはお前が勝っていたな。良かったな〜ガリ勉勇者君〜。勉強だけは俺に勝ってたぞ〜」

 

「「ブフォ!!」」

 

俺は笑みを浮かべながら天之河がこれでもかと煽った。俺の煽りに雫とハジメは我慢出来ずに「ブフォ!!」と吹き出し、クツクツ笑いを堪える。

 

そんなことを話していると迷宮の入り口が見えてきた。

 

「んじゃ…俺はお前に!!言われた通り後ろに居るからな〜。自分が言ったことだから俺に文句を言うなよ〜鳥頭勇者君」

 

俺は天之河に手を振りながらハジメと合流するために後ろに向かった。

 

『クックク…お前もよく言うな〜ますます気に入るぜ』

 

「俺はお前に気に入られたくないんだがな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緑光石という不思議光石のおかげで中は意外と明るい。

 

俺たちはメルドさんに言われ、隊列を組みながらゾロゾロと進む。

 

しばらく何事もなく進んでいると、それなりに高いドーム状の広間に出た。

 

その時、物珍し気に辺りを見渡している俺たちの前に、壁の隙間と言う隙間から灰色のムキムキマッチョな2足歩行のネズミが湧き出てくる。

 

「(エボルト…あのネズミもどきは?)」

 

『あれはラットマンだ。すばしっこいネズミだが…お前の敵じゃねぇよ』

 

へ〜そんな名前のネズミなんだな…すると、メルド団長が俺たちに命令してきた。

 

「よし、光輝たちが前に出ろ。他は下がれ!交代で前に出てもらうから、準備しておけ!あれはラットマンと言う魔物だ。すばしっこいが、大した敵じゃない。冷静に行け!」

 

メルドさんの言葉通り、ラットマンたちが結構な速度で飛び掛かってくる。正面に立つ雫の頬がひきつっている。気持ち悪いようだ。

 

間合いに入ったラットマンを天之河、雫、坂上の三人で迎撃し、その間に、香織と特に親しい女子二人、メガネっ娘の中村恵里とロリ元気っ子の谷口鈴が詠唱を開始。

 

魔法を発動する準備に入る。クラスメイト達が何度も行ったフォーメーションだ。

 

天之河は純白に輝くバスタードソードを視認が難しい速度で振るって纏めて切り裂く。

 

アイツが持つ剣はハイリヒ王国が管理するアーティファクトの一つで、聖剣と言う名前らしい。

 

『遅い剣撃だな〜これで視認することが難しいのかよ。笑ちまうな』

 

確かにな…。どうやら俺とエボルトには結構見えているらしい。

 

坂上は空手部らしく、天職が『拳士』である事から籠手と脛当てを付けている。

 

これもアーティファクトで衝撃波を出す事ができ、また決して壊れないのだという。

 

『脳筋という存在か…暑苦しくてやだね〜』

 

エボルトは坂上と天之河を見ながら興味なさげにそう言う。

 

雫はサムライガールらしく『剣士』の天職持ちで、刀とシャムシールの中間のような剣を抜刀術の要領で抜き放ち、一瞬で敵を切り裂いていく。

 

『だが…この娘…雫だけは別だ。いい腕をしているな…鍛えればあの馬鹿勇者(笑)を超えるぞ?』

 

しかし、エボルトは雫だけは興味を示していた…

 

「(お前…フレンドリーな奴かと思ったら…以外とそうでもないんだな)」

 

『俺が興味があるのはお前と八重樫 雫だけだ。後いえば…そこの錬成師の小僧だけだ。あとは興味なんてねぇよ』

 

ハジメも興味を示しているのか…。そんなことを話しているとラットマンがこっちに飛び掛ってきた。

 

『キィイイッ!!』

 

「鬱陶しいんだよネズミ野郎が」

 

『キィイィィッ!?』

 

俺は飛び掛ってきたラットマンを蹴りを飛ばした。これには騎士団員達はおろか、生徒達も雫を除いて驚愕していた。

 

因みに雫は自分事のようにドヤッている。ドヤるなドヤるな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

探索を続けると、メルドさんがいきなり立ち止まり、戦闘態勢にはいる。

 

「擬態しているぞ!周りをよ~く注意しておけ!」

 

どうやら、近くに魔物が潜んでいるようだ。

メルドさんが忠告をした直後、とつぜんせり出していた壁が突如変色して起き上がった。壁と同化していた体色は、今は褐色になっており、見た目はカメレオンの体表にゴリラの体格のようだ。ネズミの次はゴリラかよ…。

 

『へ〜ロックマウントか。気をつけろよ?あの二本の腕には剛腕があるからな』

 

「(了解…)」

 

エボルトの忠告を聞くと、メルドさんが俺たちに忠告を出した。

 

「ロックマウントだ!二本の腕に注意しろ!剛腕だぞ!」

 

飛びかかってきたロックマウントの豪腕が坂上が拳で弾き返す。

 

天之河と雫が取り囲もうとするが、無数の鍾乳石のせいで足場が悪く、思うように囲むことができていない。

 

龍太郎を抜けないと感じたロックマウントが後ろに下がって大きく息を吸い込んだ。

 

『おい耳を塞いでおけ』

 

「(え?なんで…)」

 

『いいからしろ』

 

「(わ、わかった…)」

 

俺はエボルトの指示を聞き、耳を塞いだ。すると…

 

「グガガガァァァァアアアアーーーー!!」

 

部屋全体を振動させるような強烈な咆哮が放たれた。

 

「(うるせぇ!!)」

 

俺は耳を塞いだおかげでどうにかなったが…

 

「ぐっ!?」

 

「うわっ!?」

 

「きゃあ!?」

 

咆哮を喰らった天之河、坂上、雫の体が硬直してしまった。

 

『あのゴリラの固有魔法、威圧の咆哮だ。魔力を乗せた咆哮で相手を麻痺させることができる』

 

なるほど…だから俺に耳を塞げて言ったのか…。

 

雫達が硬直した瞬間、ロックマウントは突撃はせずにそのまま横に跳び、傍らにあった岩を持ち上げ、白崎達後衛組に向かって投げつけた。

 

それはそのまま前衛の頭上を越えて、後衛の白崎達に迫る。

 

白崎達が準備していた魔法で迎撃せんと、魔法陣が施された杖を向けるが、次の瞬間、硬直する。

 

投げられた岩もロックマウントだったのだ。

 

空中で見事な一回転を決めると両腕をいっぱいに広げて白崎達へと迫る。

 

さながらル○ンダイブだ。

 

「か・お・り・ちゃ~ん!」という声が聞こえてきそうだな…。

 

しかも、妙に目が血走ってて鼻息が荒い。

 

「オラァァァァッ!」

 

『グギャァァァッ!』

 

俺は跳躍しゴリラをぶん殴り殴り飛ばした。殴り飛ばされたゴリラは壁に激突した。

 

「大丈夫か?」

 

「あ、ありがとう…黒木君…」

 

「別に…ただクラスメイトを守っただけだ…」

 

そう言うと俺はハジメの元に戻った。

 

「ラットマンのときも思ったけど…一夜…凄いね、坂上君のように魔物を殴り飛ばすなんて」

 

「まぁ…ある人のおかげでな…」

 

「?」

 

『いや〜嬉しいね〜』

 

俺が急激に筋力が上がった理由はこのエボルトのおかげだ。雫が部屋に戻り寝た俺は夢の中でこいつに鍛えられた…。

 

その結果…ある程度の魔物には対抗できるようになった。

 

「(たく…夢の中で鍛えられるとは思ってもいなかったぜ)」

 

『そう言うなよ〜。これぐらいしなきゃ…俺たちの力には耐えられないからな…

 

「(なんか言ったか?)」

 

『いや別に〜』

 

なんだよ…そんなことをしていると…何故か、天之河は怒っていた。

 

「貴様……よくも香織達を……許さない!」

 

どうやら気持ち悪さで青褪めているのを、死の恐怖を感じたせいだと勘違いしたらしい。

 

彼女達を怯えさせるなんて!と、なんとも微妙な点で怒りをあらわにする天之河。

 

すると、それに呼応してか、天之河の聖剣が輝き出した。

 

「万翔羽ばたき、天へと至れ──天翔閃!」

 

「あっ!! こら、馬鹿者!」

 

『あーぁ後先考えずによくやるな〜』

 

「(馬鹿だから仕方ねぇよ…)」

 

俺たちが天之河のしようとしていることに呆れていると天之河は大上段に振りかぶった聖剣を一気に振り下ろした。

 

その瞬間、詠唱により強烈な光を纏っていた聖剣から、その光自体が斬撃となって放たれた。

 

曲線を描く極太の斬撃が僅かな抵抗も許さずロックマウントを縦に両断し、更に奥の壁に直撃、破壊し尽くしてようやく霧散する。

 

「ふぅ〜」

 

息を吐いてイケメンスマイルで香織達の方に向き直るのだが、メルドさんの拳骨が炸裂した。

 

「へぶぅ!?」

 

「この馬鹿者が!気持ちはわかるがな、こんな狭い所で使う技じゃないだろうが!崩落でもしたらどうすんだ!」

 

そう言ってメルドさんは天之河を叱った。ざまぁねぇな。

 

不意に白崎が破壊された壁の方に視線を向けた。

 

「あれ、何かな? キラキラしてる……」

 

白崎の視線を追って全員が視線を向ければ、そこには青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。

 

白崎を含め女子達は夢見るように、その美しい姿にうっとりした表情になった。

 

「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。煌びやかな輝きが貴族層に受けがよく、また求婚の際に選ばれる鉱石だ」

 

へ〜そんな高価な鉱石なのか…。

 

「綺麗…」

 

白崎はメルドさんの説明を聞いてグランツ鉱石を見つめていた。時折、チラチラとハジメの方を見ていたが…。

 

「………」

 

そして…雫さん?貴方も俺をチラチラ見るのは辞めてください…。

 

『ひゃ〜青春だね〜』

 

「(黙れエボルト)」

 

「だったら俺達で回収しようぜ!」

 

すると唐突に檜山がグランツ鉱石の元に向かっていき、壁を登っていった。

 

「待て!勝手な事をするな!まだ安全確認も済んでいないんだぞ!」

 

メルドさんが慌てて檜山を止めようとするが、彼はそれを無視して鉱石に手を伸ばす──

 

「止めろ馬鹿が」

 

の前に俺は瞬間移動で檜山に接近し後頭部に膝蹴りを突き刺し、檜山の顔を壁に埋め込んだ。

 

しかし…それが悪手になった。

 

壁に顔面が陥没した檜山の手が鉱石に触れたのだ。

 

瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がり、瞬く間に部屋全体に広がり輝きを増す。

 

『どうやらトラップのようだった。やっちまったな〜一夜』

 

「(チッ!)」

 

「くっ、撤退だ!早くこの部屋から出ろ!」

 

メルドさん叫ぶが、一足遅かった。

 

部屋に光が満ち、その場の全員を飲み込んだ後、一瞬の浮遊感が襲った次の瞬間、床に叩きつけられる。

 

俺はそのまま着地していたが。

 

俺たちが転移した場所は巨大な石造りの橋の上だった。

 

長さはざっと100メートルはありそうだ。

 

天井までの高さは20メートルはあるだろう。

 

橋の下は川などなく、全く何も見えない奈落が口を開けていた。

 

橋の横幅は10メートルくらいありそうだが、手すりどころか縁石すらなく、足を滑らせれば掴むものもなく奈落に真っ逆さまだ。

 

ハジメ達はその巨大な橋の中間にいた。

 

橋の両サイドにはそれぞれ、奥へと続く通路と上階への階段が見える。

 

「お前たち、すぐに立ち上がってあの階段の場所まで行け!急げ!」

 

今までで一番響いた号令に、クラスメイトたちはわたわたと立ち上がって動き出す。

 

だが、このトラップはまだ終わりではなかった。登り階段の橋の入り口に魔法陣が現れ、骸骨のモンスターが大量に湧き出した

 

更に、通路側にも一つの魔法陣が現れ、そちらからは一体の巨大な魔物が現れる。

 

その魔物を見た瞬間、メルドさんは茫然と言った様子で口を開いた。

 

「まさか……ベヒモス……なのか……」

 

目の前の巨大な魔物を見て、俺は小さく舌打ちをした。

 

「(めんどくさいことになったな…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『予定にはなかったが…早めに来れてよかったぜ…後は…一夜が何らかの形で奈落に落ちてくれれば…後はこっちのものだ…!!』

 

 

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