オラクル船団がオラリオにやってきた   作:縁側

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ダンジョンがさらに遠く…


七話

 私は昼間に教えて貰ったお気に入りポイントの一つにある、倒れかけている柱に腰掛け夜の街並みを眺めていた。

 周りは薄暗く、倒壊した建物の柱部分が影の様になっている。そしてその奥に、オラリオの街並みから漏れる明かりが地平線の様に浮かび上がっていた。

 

「なかなかいい景色だね。流石おすすめポイント」

 

 私が何故ここに居るかと言うと、拠点設置作業の邪魔になるからだ。

 ジョージに座標を指定した後、空間隔離された瓦礫地帯に入った私は瓦礫撤去を行おうとしたが、一緒に転送されて来たお手伝いの人達に止められた。

 お手伝いに来たのは、調査隊(獣耳フレンド)の人達だった。

 なんでも自分たちが撤去作業から拠点設置まで全てを行うので、この拠点において欲しいと頼まれた。

 彼らは元々は保安部門へ異動予定だったらしいが、衣食部門で人員派遣の募集がありそちらに志願したそうだ。そのためオラリオ内で拠点が必要になったそうだが、丁度私も拠点を作る予定だったのでそれなら一緒にしてしまおう……とジョージの一声があったそうだ。

 それで、一応私の許可を貰って来い!と言われたらしい。

 

 私は小型拠点を想定していたが、今後色々な事で人員が増える可能性が高いため、大型拠点を用意したそうだ。

 その代り、最初に言われていた拠点の管理は専用の人を配置するので、自分達でしなくて良くなった。

 

 私はそういう事ならと了承して設置作業をお願いし、手持ち無沙汰になった私はここで暇を潰していた。

 

 

 

「そういえば、神と接触したら報告しろって言われてたっけ」

 

 私は、ジョージに昼間神に会ったことを通信で報告した。

 

「それで、なんという名前の神ですか?」

 

 私は名前を思い出そうとしたが、とても面倒見の良い神であること、例の服を着ていたこと、後は身体的特徴位しか思い出せなかった。

 

「あっ、名前聞いてない」

 

 通信越しに、ジョージは呆顔でため息をついた。

 

「では、特徴を教えて下さい」

 

 私は、特徴を思い出しながらジョージに説明した。

 

 面倒見の良い神である事。

 初回接触時に開発された服を着ていた事。

 私と同じ位の身長である事。

 髪をツインテールに纏めていた事。

 胸が大きいから服がとてもよく似合っていた事。

 

「あの服ですか……であればすぐ分かるかもしれません。少しお待ちを」

 

 

 

 暫く夜景を眺めていると、ジョージから回答があり「ヘスティア」という神である可能性が高いらしい。

 確認のために、アルテミスさんに通信を繋げるので確認して欲しいそうだ。

 

 現地協力者の所には、円滑な情報伝達のため通信機が配られている。

 ウラノスさんの所にも配られているが、ウラノスさんは非常に忙しいため、緊急の場合以外は連絡は控えて欲しいと言われている。

 

「これに話し掛ければよいか?」

 

 通信からアルテミスさんの声が聞こえる。

 私達が使用している「通信」は、フォトンを介して行っているためいろんな情報が一度に見えるけど、現地協力者では使用できないため音声のみ伝える事ができる「通信機」を渡している。

 

「アルテミスさん、数日ぶりです。アークス・シップではおつかれでしたー」

 

 アルテミスさんは、数日前にアークス・シップへ招待している。

 その時いろいろあって「様」呼びでなく「さん」呼びに変わっていた。

 

「ミケか、あぁ、そちらも元気そうで何よりだ」

 

 私は早速、今日あった神のことについて伝えた。

 

「ヘスティアで間違いないな。そうか、降臨してたのか……」

 

 

 

 炉の女神ヘスティア

 3大処女神の一柱であり、家庭生活の守護神、祭壇・祭祀の神、孤児院の保護者などと記されている神である。

 

 

 

 私は以前ジョージから借りた、「神々について」という本に記載されていた内容を思い出していた。

 うん、確かにそんな感じかなぁ……面倒見が良くてなんか安心する感じだったしね。

 

「ヘスティアが居るのであれば、私も近いうちにオラリオへ行こう。ヘスティアは神友だしな」

 

 来るときは連絡してくださいと伝え、通信を終えた。

 通信を終えた後再度夜景に目を向け、これからの事に思いを馳せながら拠点設置が終わるのを待った。

 

 

 

 

 

 空が明るくなり朝霧に廃墟が包まれだした頃、拠点設置が終わり空間隔離を解いたと連絡を受けた。

 設置作業をしていた彼らは、一度転送で外に出て門から入り直すらしい。

 余計な干渉を防ぐためだそうだ。

 私は自分達の新しい拠点に向け、朝霧をかき分けるようにして廃墟の中を歩きだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うん。

 絶叫にはびっくりした。

 

 顔引きつってないかな……

 

 

 

 ダンジョンに行くという少年と別れた後、私は早速拠点の中に入っていった。

 中に入るとエントランスになっており、上の階へ行く階段と各施設へ通じる扉があった。

 

 1階は、転送装置や食堂などの共用部となっていた。

 転送装置は、登録されてる「テレパイプ」の帰還用とベース基地への移動用として使用する。

 当面はダンジョンからの帰還に使う予定だ。

 ダンジョン基地が出来れば、ここからダンジョン基地へ直接飛ぶことも出来る。

 まぁそれまでは歩きかな?

 

 2階からは、居住スペースになっている。

 私とマトイの部屋は最上階だそうだ。

 そこは融通してくれたらしい。

 

 最上階の部屋は、とても広く私のマイルームと同じく3部屋に分かれていた。

 これなら中央の部屋を共用にして、私とマトイの部屋で分けていいかな?

 

 そんなことを考えながら、家具を設置していく。

 ちなみにマトイはオラクル船団に戻っている。

 私がサポートパートナーを連れに戻る際、一緒に付いて来たけど向こうで用事が出来て一旦分かれている。

 ダンジョンへ行く場合は必ず呼んでね!と念を押されている。

 

 私は家具をある程度設置した後、パートナー端末を共用部へ設置した。

 

 

 

 サポートパートナー。

 アークスに支給されているAIを内蔵された、所謂ロボットである。

 マスター登録した者の戦闘補助や、身の回りの世話等を行う。

 支給の際、アークスの種族と同じ外見を選択できる。

 

 

 

 私は、私と同じ見た目にしてるけどそれだと混乱起きるかな?

 まぁ似た別人ってことにして、服と髪型変えればいけるかな?

 

 そんなことを考えつつ、髪型や服装を変更し端末を起動した。

 

「お待ちしていました」

 

 そう言いお辞儀をして、私の次の言葉を待っていた。

 相変わらずの真面目さんだ「トラ」は……

 

「今の状況は入力したとおりだけど、トラには私とマトイのお世話をおねがいねー」

 

「かしこまりました」

 

 相変わらず硬いなぁ。

 性格を変更する機能もあるけど、それをすると今までのトラを否定するみたいで嫌んだよね。

 なので変更はしない。

 それに、たまに笑ってくれるしね。

 

「それじゃ、こっちでもよろしくー」

 

 

 

 私のマスターであるミケさんは、事あるごとに私を人のように扱います。

 

 話し方を変えてみよう!

 

 もう少し気楽にいこう!

 

 等と……

 私はミケさんに、

 

「話し方や性格を変えたいのでしたら、変更して下さい」

 

 と伝えますが、それは嫌!とおっしゃいます。

 

 なんでも、私が私でなくなることが嫌だそうです。

 私はAIですので、気にする必要はないのですが……

 とても不思議な状態です。

 でも私は、その状態がとても良い状態だと、認識しています。

 ミケさんがマスターで良かったと。

 

 トラは笑顔になっているが、それをトラは認識できていなかった……




書きたいこと書いているとダンジョンに行けない法則。
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