体が揺れる、宙をたゆたう様に……
体が揺れる、水の上で浮かぶ様に……
体が……
「ミケ、起きて」
私はその声で意識を浮上させた。
目を開けると、私が寝ているベットに腰掛け私を揺すっているマトイと目が合った。
マトイに挨拶をし、体を起こすと伸びをした。
最近色々やっていたのでまともに寝ていなかった。
そのためかベットに入るとすぐ眠りについて、起こされるまで起きれなかったようだ。
「あれ?起こすならトラがいたと思うけど?」
トラが私を起こそうと私の部屋に向かおうとした所をマトイが見つけ、普段出来ないから是非やってみたいといってトラに代わって貰ったらしい。
トラの方は食事の準備をしてるそうだ。
マトイ曰く、
「ミケを起こすのはわたしの仕事!」
マトイは、そう言って胸を張った。
偶に、マトイの言っていることが良く解らない時がある……
大型拠点を設置したことにより、食堂等共用施設の管理を行う人が来たため食事などはそちらで摂っても良かったけど、最初に施設管理は自分たちでと言われていたので、色々準備をしていた。折角準備したので、食事等は自分達で行う事にした。
トラも連れて来たしね。
私達はトラが用意してくれた食事を摂りつつ、今後の事を話し合った。
といっても準備等は、ほぼ終わったので後はダンジョンで行う事についてだ。
ダンジョンで行う事は大きく6点ある。
・環境データの取得
・戦闘データの取得
・鉱物資源の取得
・その他資源の取得
・ダンジョン基地設営ポイントの策定。
・モンスターの確保
環境データは、私達がダンジョンに入るとフォトンを通じてデータがベース基地へ送られる。
そのため私達は、特に意識する必要は無い。
戦闘データは、ダンジョン内の
こちらもデータはベース基地へ送られるため、私達はダンジョンの中で普通に戦闘をするだけで良い。
以前手に入れたダンジョンの情報にモンスターの事もあるけど、中層までの情報しかないのとデータの信憑性確認も兼ねているそうだ。
鉱物資源については、最初の内は目についたのを適当に拾ってくるだけで良いらしい。
そこから解析して有用そうなのを選別するそうだ。
その他資源は、モンスターの落とす魔石や、倒した際にまれに落とすというドロップアイテムの取得がメインである。
ダンジョン基地設営については、近くにある町の様子を確認して近くに設置するか、離れて設置するかを見めるための調査を行う。
実際設置場所を決めるのは、私達の報告を受けてからだそうだ。
モンスターの確保については、ダンジョン基地を設営するまで出来ないそうなので今の所不要との事だ。
「というわけで、当面は18階層を目指すことになるかな」
私はそう言いつつ話を終えた。
「18階層かぁ……どのくらいで到着するのかな?」
と言いつつマトイは首を傾げていた。
「アルテミス・ファミリアの団長さん……セレーネさんの話だと、最短で行けば半日も掛からないらしいけど、私達は各階層くまなく回るから数日は見たほうがいいかもね」
私がそう答えると、じゃぁその間はずっと一緒だね……とマトイは微笑んだ。
「マスター、私はどのように致しましょう?」
トラからも質問が来た。
当初はトラに拠点の管理をお願いしようと思ったけど、大型拠点になったのでそれも不要となった。
だったら……
「トラも一緒にダンジョンにいこう。資源の取得はトラの得意分野だし。私だと言われないと判らないしね」
サポートパートナー達は、戦闘もある程度できるが資源取得に関しては特に得意である。
オラクル船団に居た時は何時もお世話になっていた。
「かしこまりました」
トラはそう答え、空いたお皿の片づけを始めた。
トラも最初に比べたら随分と物腰が柔らかくなってきた。
口調は相変わらずだけど……
私はそんな事を考えつつ、トラの後姿を眺めていた……
時刻は丁度お昼を過ぎた頃、私達は準備を終えダンジョンへ向けて出発するため部屋を出た。
この時間を選んだのは、他のファミリアの人達との接触を極力避けるためだ。
先日あった神「ヘスティア」や白髪の少年など、いい人もいるだろうが大多数はやはり接触は危険との事。
そのため私達がダンジョンに入るのは、昼間か夜間になっている。
中に入れば誰かいるだろうから一緒だとは思うんだけど……と思っていたが、少しでもリスクを減らすための措置だそうだ。
管理人さん──実態は拠点防衛の防衛隊の人達で、私は心の中で管理人さんと呼んでいる──に挨拶をし、拠点を後にする。
今日はギルドがある通りではなく、別の通りを通ることにした。
オラリオの街の中もまだまだ行ってない所が沢山あるため、ダンジョンに行きがてら周ることにした。
今通っている通りは、飲食店が多いようだ。
私達の食事は、基本拠点で摂るようにしている。
この辺りの食事に出る飲み物は、お酒が多いらしく他のアークスの人達は行かないからだ。
私とマトイは、お酒を飲んでも何ともなかったけど、他の人達は一口でダウンしてしまうそうだ。
この世界の食事自体も興味はあるけど、その内フランカさんがふらっと現れて再現してくれるのを期待している。
通りは人がまばらだった。
お店の方も閉まっている所が多い。
この世界の人は1日2食が基本らしく、朝と夜で摂るらしい。
お昼もとる人もいるらしいが、そういう人たちは所謂お金持ち(冒険者が多い)の人達だけだそうだ。
その様な事を考えている内に、バベルへ到着した。
バベルの前にある広間には殆ど人が居ない。
ここに集まる人たちは、冒険者が殆どらしいから当然だろう。
そして、いよいよダンジョンへ……私の冒険の始まりである。
このために色々準備もしてきた。
私はどきどきわくわくしながら、マトイ、トラと一緒に、ダンジョンの入り口がある塔の地下へ向かって歩き出した。
短いですが、切りがいいのでここで切ります。
次回はやっとダンジョン突入です。