オラクル船団がオラリオにやってきた   作:縁側

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ダンジョン突入-上層まで


九話

 私達はダンジョンの入り口に通じる、バベル内の螺旋階段を下っていた。

 地上部には荷物の搬入をするためか、巨大な滑車が取り付けられていた。

 私はそれを眺めながら……こんな大きな滑車で何を運ぶんだろう?と考えながら階段を下りて行った。

 螺旋階段を降り切るとかなり広い広間になっており、その一画にさらに下へ降る階段があった。

 そこがダンジョンの入り口へ通じる道のようだ。

 地階にはギルドが管理している施設もあるようで、ダンジョンで流した汗や汚れを流すためのシャワーがあるそうだ。

 まぁ私達は使えないけど……

 それよりも先ほどから気になっていた事があった。

 

「ここって……」

 

 マトイも感じているのだろう、しきりに周りを見渡していた。

 

「うん。螺旋階段を下りていた時から気になったけど、段々フォトンの濃度が上がってきてるね。この様子だと、ダンジョンの中はフォトンで満たされていそう」

 

 ここまで高濃度のフォトンがあるなんて、まるでマザーシップの中のようであった。

 

 

 

 マザーシップ

 オラクル船団の全アークス・シップの管理管制や環境維持、そして各シップへフォトンの供給を行っている惑星クラスの巨大な船である。

 2隻存在していたがとある事件により1隻は放棄され、現在は1隻のみとなっている。

 

 

 

 私とマトイは、何度かマザーシップに入ったことがあった。

 そのたびに大変な目にあったけど……

 ダンジョン部分が近づくにつれて、その感覚が蘇ってくる。

 私はマザーシップの中はとても懐かしい、という不思議な感覚があった。

 アークスになる少し前の記憶からアークスになってからの記憶は有るけど、それ以前の記憶は無いんだけどね。

 

「うーん。マザーシップに近い感覚ではあるけど。少し違うかな?」

 

 そう私が感想を述べながら進んでいると、ダンジョン部分へ到達した。

 いよいよここからが本番だ。

 

 

 

 

 

 私達が最初に行ったのは、興奮したオペレーターへの対応だった。

 想定外の環境データの数値、マザーシップに近いフォトンの量を検出したためベース基地の指揮所は大騒ぎだそうだ。

 私達はとりあえず、オペレーターが落ち着くのを待ってからダンジョンの中の感想──自分達もマザーシップにいる感じがする──を伝えさらに奥へ進む事にした。

 

 

 

「ダンジョンって聞くと何となく人工物のイメージがあったけど、本当に天然の洞窟だね。それにフォトンのせいか、明かりがなくても明るいし」

 

 私はダンジョンの壁とか天井を見渡しつつ、感想を言った。

 

「一応資料にも書いてあったけど、自分の目で見ると不思議な感じ……」

 

 マトイも私に釣られるように、感想を述べた。

 私はトラの方を見たが、トラはなにも感じていないのか黙ったままだった。

 

「トラは感想とかない?」

 

 トラは特に御座いません。と返した。

 トラと探索する時は、なるべくトラに話しかけるようにしている。

 最初は無反応だったけど、最近は返事をしたり笑顔になるためだ。

 

 私達はそれぞれの感想を語った後、さらに奥へ進んでいった。

 

 

 

 1-5階層について一通り回ったが、モンスターには会わなかった。

 2-4人組の冒険者の集団と何度かすれ違った程度であった。見た感じだと、装備も簡素であったため、駆け出しさん達だろう。

 私は、初めて惑星「ナベリウス」に行った時のことを思い出した。

 あの時は、いきなりダーカーに襲われるわ、周りの人たちはアフィン以外殆ど倒されるわで、自分達が生き残るのに必死だった。まぁお陰でマトイと出会えたけど……

 その様なことを考えながらすれ違う冒険者たちに心の中で、がんばれ……と応援をした。

 そういえば、白髪の少年は見かけなかった。今日はダンジョンに居ないのかな?

 

 

 

 時間もまだまだ余裕があったため、私達は6階層へ降りることにした。

 ここにきて、ようやくモンスターと遭遇した。

 資料の情報からウォーシャドウってモンスターだろう。

 

 私達はダンジョンに入る際に役割分担を決めていた……大雑把にだけど。

 私が前衛、後衛がマトイ、補助をトラ、トラは私の後ろマトイの前の位置で臨機応変に動いて貰う様にしている。

 

 ウォーシャドウは、前方に数体いた。

 そのため私が突撃して、フォトンを乗せた攻撃を行った。

 私の攻撃を受けたウォーシャドウ達は、呆気なく霧散し魔石へと姿を変えた。

 

「うーん。弱い?」

 

 私は魔石と自分の武器を見比べながら首を傾げた。

 

「まだ上層だし、強い敵は出ないのかも?」

 

 マトイはそういいつつも周りを警戒している。

 まぁ敵は弱かったけど資源も手に入ったし良いのかな?

 そう思いつつトラに資源の回収をお願いし、私も警戒しつつ周りを見渡した。

 

 そうしていると、壁のほうから破砕音が聞こえてきた。

 そちらに目を向けると、壁の中からモンスターが現れようとしていた。

 現れたのは、先ほど倒したのと同じくウォーシャドウだった。

 

 モンスターってこうやって出てくるんだ……不思議だなぁ……

 他の惑星だと原生生物は、茂みや物陰から現れた。ダーカーは、空間侵食して出てきた。

 世界が変わると、出現方法も変わってくるのかな?

 

 私はそのようなことを考えつつ、壁から出てきたモンスターへ向け武器を振るった。

 

 それからもちょくちょくモンスターに遭遇したが、強力なモンスターに遭遇することなく12階層まで走破した。

 そこで時間を見てみると、かなり遅い時間となっていたため一度帰還することにした。

 まぁ続けてもいいんだけど、一人じゃないしね。

 

 私は帰還するために、テレパイプを13階へ続く道の近くに設置した。

 フォトンが使えないと使用できないけど、念のため分からないようにカモフラージュを行い拠点へ帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私達はとりあえずダンジョンから帰ったらお風呂だよね?という謎のマトイの誘いにより湯船に浸かっている。

 

 今使っている家具類はすべて私が用意したものだ。

 そのため一人用しかなく、お風呂もそれぞれ別の物を使っている。

 マトイが入っているお風呂は、花びらを浮かばせている物、私が使っているのは、ダンジョンで感じたマザーシップの感覚を思い出して、マザーシップで作られている水を使ったお風呂を使用している。

 トラは専用のお風呂があるため、そちらを使用して3人並んで湯船を堪能していた。

 

「今日のダンジョン探索はどうだった?」

 

 私は皆に今日の感想を聞いてみた。

 

「うーん。壁からモンスターが出てきた時はびっくりしたけど、でもダンジョンの中は落ち着く感じだったかなぁ?こう、なんとなくシオンさんに抱きしめられてるみたいで」

 

 そういってマトイは、湯船に深く沈み目を閉じた。

 きっとダンジョンでの感覚を思い出しているのだろう。

 私もマトイと同じ感覚だった。きっと2人の生まれが特殊なせいだろう。

 あのダンジョンにはきっと何かがある……私はそういう予感がした。

 

「トラはどうだった?」

 

「マスターの期待に応えられるよう、頑張りました」

 

 そう言い、口元に笑みをたたえていた。

 口調は相変わらずだけどいい傾向だ。

 この調子で、どんどんコミュニケーションを図っていこう。

 

「私もマトイと同じ感覚だったけど、見る物すべてが新鮮で楽しかったなぁ。食糧庫(パントリー)だっけ?あのモンスターまっしぐらなの見てると、ちょっとモンスター倒すのが可愛そうになったよ」

 

 私も感想を述べ湯船に深く沈み、今日見たことを思い出していた。

 そして、明日もいろんな発見があるんだろうなぁ……と期待しつつ目を閉じた。

 

 

 

 お風呂から上がりテラスで涼んでいると、ジョージからの通信がきた。

 なんでも今日提出したダンジョンの環境データでオラクル側も大騒ぎになったらしい。

 シャオはあまり乗り気でなかったため、追加の調査員が派遣される以外は大きく変わらないらしいけど……

 

 私もシャオに賛成かな。

 この世界のことはこの世界の人達で……てのが基本的な私の考えだ。

 但し、目の前で助けられる事があれば手を出しちゃうけど……

 後は、ダーカーが関わっていたら私達のせいになるからがんばるけどね。

 

 ジョージにはやりすぎないようにしてね、とお願いし通信を終えた。




ダンジョンの設定は原作でも語られていないため、オリ設定マシマシてお送りしております。
原作でその辺りが出てきたら練り直すかも?
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