オラクル船団がオラリオにやってきた   作:縁側

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十五話

冒険者

オラリオにおける冒険者は、神の恩恵(ファルナ)を得て、その力を行使する者の総称である。

冒険者を志す者は大抵の場合、一攫千金を夢見る者、神の恩恵(ファルナ)により生来の技能を強化し、それを活用する者に大別される。

しかしながら、どちらの道に進んでも、ダンジョンとは切り離せない。

神の恩恵(ファルナ)から得られる力を強化するのに、ダンジョンでモンスターを狩る必要があるためだ。

そのため、冒険者はパーティを組んでなるべく安全に、モンスターを狩るのを常としている。

ソロでダンジョンに籠り、モンスターを狩るのは、余程自分の腕に自信が有るか、余程の愚か者だけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベルくんとダンジョンに来るようになって、モンスターに会える機会が増えた。

お陰様で、モンスター調査も大分捗った。

 

それで、ベルくんへのアドバイスの件だけど、まずはどの位の知識があるか確認してみた。

すると、大体の知識はあるようで、後はその知識が、血肉になっているかの確認かな?

 

モンスターの戦闘は、基本ベルくんにお願いしている。

1-2匹なら、ベルくん一人で対応して貰っている。

3匹以上が来た場合は、1-2匹をベルくんに任せて、残りは私達が担当して、戦闘データも取れる様になった。

 

「ソロでダンジョンに入るより、物凄く楽です…」

 

ベルくんは魔石を拾いながら、今までの苦労は一体…と苦笑いをしていた。

 

「ベルくんのファミリアに、早く人が増えると良いね。それで、相変わらず人は入ってこないの?」

 

「はいぃー。神様も探していますけど、成果は無いそうです…」

 

ベルくんは、ガックリと項垂れながら、ため息交じりにそう零した。

 

「私も一緒に居てあげたいけど、ここの調査と遠征中のファミリアが戻ったら、19階層以降に行くからねぇ…」

 

今回のパーティは、あくまで一時的なものだ。

そのため、この辺りのモンスター調査が終われば、後は遠征中のファミリアが戻ってくるまで、街の散策を行う予定だ。

 

「あのー、それでさっきの戦闘は、どうでしたでしょうか?」

 

ベルくんが、戦闘する度に、戦闘のアドバイスを行っている。

先ほどは、ベルくん一人で2匹のゴブリンと戦っていた。

戦闘の様子を思い浮かべながら、私は思いついた事を指摘していく。

 

「まずは、位置取りは良かったね。うまい具合に、一対一になるように動けてたかな。あとダメなところは、相手の攻撃を避ける際、大きく避けすぎる所かな。それが隙になるからね」

 

それと…私はそう言うと、天井に張り付いていた、モンスターに対して、テクニックを放った。

テクニックを受けたモンスターは、霧散し魔石に変化すると、ベルくんの頭の上に落ちてきた。

 

「あいたっ!」

 

「油断しない事かな?私の話を真剣に聞くのは良いけど、ここはダンジョンだからね?常に注意を怠らない事!」

 

ベルくんは頭を摩りながら、はぁぃぃぃーとしょんぼりしつつ、落ちてきた魔石をバックへ仕舞った。

今回の調査同行の報酬として、ベルくんには、ここで手に入った物は、全部ベルくんへ渡すことにしている。

その話をした時、ベルくんはかなり遠慮したけど、私達は団体として動いているので、ここで収入が無くても問題がない事を伝え、無理やり押し付けた。

 

そういえば、初めてテクニックを見せた時、物凄く羨ましがられた。

まぁ魔法と勘違いしてるんだろうけど…

こっちの世界の魔法は、種族が使用する先天的な物以外だと、なかなか使えるようにならないって、ジョージが言ってたっけ。

なのでヒューマンだと、使用できる人は少ないらしい。

この世界の魔法については、アークスの方でも、まだまだ調査が必要だそうだ。

アルテミス・ファミリアで使える人も、先天的な魔法だそうなので、後天的となると物凄く高価な魔導書を使用して、覚える位しか知らないそうだ。

そういう勉強はしないの?とベルくんに尋ねてみたけど、反応はいまいちだった。

どうも、そういう勉強は苦手らしい。

テクニックもフォトンを扱う技術だから、使用方法を頭に叩き込む必要があるんだけど、勉強が苦手だと、魔法を使える様になるのは、厳しそうだね…

 

「それじゃ、まだ時間もあるし、もう少し周ろうか?」

 

その後も、基本ベルくんに戦闘を任せ、モンスター調査を行った。

 

 

 

 

 

ここ数日、ベルくんと一緒にダンジョンに潜ることにより、モンスター調査…嬉しいことに戦闘データも含め、データ取りを終える事が出来た。

その間も、ベルくんへのアドバイスは、継続して行ってきた。

ベルくんの努力の甲斐あってか、4匹位ならこの辺りのモンスターに対して、危なげなく戦える様になっていた。

ベルくんがフォトンを使えれば、戦闘方法なども教えることが出来るんだけど…まぁ使えない物はしょうがない。

模擬戦は、論外だしね…まぁベルくんにラッピーは、似合いそうだけど…

 

 

 

「ありがとう!ベルくん。お陰で目的が果たせたよ!」

 

「僕のほうこそ、ドロップ品全部譲って貰えたので、装備も良い物が買えました。ありがとうございます!!」

 

今は、ベルくんと2人で、冒険者の装備品を売っているお店に来ている。

ベルくんの装備は、ギルドの支給品だったらしく、あまり良い物ではなかった。

そのため、駆け出し冒険者が、購入できそうな装備品を売っているお店を他の調査員に聞き、ベルくんを誘って、装備品を揃えさせた。

今のベルくんは、軽装の部分鎧一式と、少し長めのナイフを装備している。

出会った頃の装備に比べれば、大分良くなっている。

やっぱり、戦い方もそうだけど、装備品も良くないと、これから辛くなるからね。

 

ちなみに、ベルくんと2人なのは、マトイは別件でベース基地へ、トラはメンテのため拠点に残っているからだ。

 

「戦い方のほうは、あんまり協力出来なかったけど…」

 

「い、いぇ!参考になってます!それに、僕の弱点も見えてきたので、これからその辺りをどうするか考えてみます。」

 

「そう言って貰えて何よりだよ。後は、ベルくんと一緒に戦う仲間が集まれば、文句なしだね!」

 

ヘスティア・ファミリアの勧誘については、相変わらずのようで、未だにベルくん一人の状態が続いていた。

 

「もう違うファミリアの人でも、一緒にパーティ組める人を探すのも有りなのかもね?ギルドのほうで、そういうの斡旋とかしてないの?」

 

「話はしてますけど、ファミリアで固まってる人が殆どなので、余り居ないそうです…」

 

ベルくんは困った顔をして、途方に暮れていますと答えた。

ここでも、ファミリア間の関係の難しさが、弊害となっている様だ。

 

「後は、ヘスティア様と仲の良い神様の所で、人を紹介して貰うとか?」

 

ベルくんは難しい顔になった。

その辺りは、結構難しいらしい…弱小ファミリアの悲しい所だそうだ。

 

「うーん。後は、良い出会いに、期待するしかないかな?」

 

私がそう言うと、ベルくんは、それですよそれ!と興奮気味になった。

 

「僕は、ダンジョンに素敵な出会いを求めてきたんです!ミケさんと出会えたのも、そのうちの一つだと思ってます!」

 

なんでも、死に別れた祖父に、ダンジョンの事や、この世界の英雄譚の話を聞いて、育ったらしい。

そして、その中で頼れる仲間や、魅力的な女の子との出会い…そういうのに憧れを抱いて、冒険者になったそうだ。

まぁ、典型的な男の子の憧れって所かな?

 

「まぁ、魅力的な女の子ってのには、ご期待には沿えていないけどね」

 

「そそっ、そんなことはないです!!」

 

ベルくんは、顔を真っ赤にして、十分魅力的だと思います…と呟いた。

ふむ、そんなこと言われたのは、初めてかも?まぁ悪い気はしないかな?

 

「それじゃ、パーティは解散だけど、暫くは拠点に居るから遊びにおいで。ヘスティア様とベルくんの事は、話をしておくから」

 

拠点は、基本的にアークスと関係者以外の人は、立入禁止にしている。

アークス技術の漏洩を防ぐためだ。

ヘスティア・ファミリアは、現地協力者ではないので、本来は入れないけど、私の部屋以外に入らなければ、問題ないはずだ。

 

「はいっ!!今までありがとうございました!」

 

その後、装備を慣らすためダンジョンに行く、というベルくんと別れた後、私は拠点へ戻った。

 

 

 

 

 

そして、数日後にベルくんと再会したけど、血で真っ赤に染まっていた。

なんで?




ベルくんは、真っ赤になるのは定めらしい…
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