うーん。
私はベルくんの強化案について、思考を凝らしていた。
ベルくんの希望で1回だけ模擬戦やったけど、ベルくんは死んだ魚のような眼をして、ラッピーを撫でていた。
うん。案の定ラッピーまみれになっていた。
あの時のベルくんは、ラッピーリュックを背負い、両腕、両肩、両足、頭にラッピーを装備し、数匹のラッピーがベルくんの近くで、必死に歌や踊りを行いベルくんを癒していた。そしてその様子を空からエンペ・ラッピーが見守っているという、中々カオスな状態になっていた。
やはり、私が直接やるのはダメだね……
私は、別のアプローチを考えることにした。
私が行った様々な訓練を思い出し、ここでも出来ることが無いか当てはめていた。
そういえば私が飛躍的に強くなったのは、早さを競う実戦演習からだっけ?通称
演習だけど当時は報酬も良かったので、主催者のクロトの所には長い行列が出来てたっけ。
冒険者のベルくんには、培うものが似通っているので良いかもしれない。
まぁベルくんの強さがどれ位か今一つ分からないので、どの階層でやるかは考えないといけないけど。
私がどうしたものかと頭を悩ませている横では、ヘスティアがソファーに腰掛けて本を読んでいた。
あれ以来ヘスティアは、暇を見つけると私の部屋に入り浸るようになった。私の部屋がホームよりすごしやすいそうだ。また、アークスの衣装にも興味があったようで、私が持っている衣装を試着して楽しんでいた。ちなみに今はスペース・ツナ服を着ている。
何故に?
それと、一度連れて行った温泉施設も非常に気に入っており、事あるごとに入浴しに来ている。
私はヘスティアに、ベルくんの強さがどのくらいか尋ねることにした。これが分からないと、演習をするにしても何処で行うのが妥当か分からないし。
ヘスティアは本から目を離し暫く考えた後、ミケ君なら大丈夫か、とひとりごち1枚の紙を取り出し私に手渡した。
渡された紙を見ると、ベルくんの名前の下にレベル1と書かれており、後は力や耐久といった文字の横に数字が書かれていた。
なにこれ?
私が首を傾げていると、ヘスティアが説明をしてくれた。
この紙は、
そして冒険者は、そのレベルにより呼び方が変わるらしい。
レベル1で、下級冒険者
レベル2以上で、上級冒険者と呼ばれ、レベル2は、第3級冒険者
レベル3、4で第2級冒険者
レベル5以上で第1級冒険者
このレベルとステータスの数値により、ギルドの方で適正のダンジョン階層が定められているそうだ。
ふむふむ、これを参考に演習場を決めれば良いかな?
そしてレベルを上げるのに、手っ取り早いのが格上のモンスター討伐らしい。今のベルくんのステータスだと格上を相手にするのは、無理なのかなぁ?もう少しその辺りを調べないと……
私が紙を見つつ考え込んでいると、ヘスティアが何かを決意したような顔になり、私が持っている紙を手から引っこ抜くと、ある一部分をなぞり再度渡してきた。
「この紙は本来、本人以外には見せないものなんだ。それこそファミリア内でも。しかしベル君は今、強くなりたいという思いで頑張っている。そしてミケ君は、ベル君の思いに答えるためにいろいろと手を尽くしてくれてる。なんの見返りもないのにだ。そして何よりも僕の直感が、ミケ君を信用しても良いと言っている。だから……そんなミケ君になら、ベル君の本当の状態を見せても良いと思っている。スキルの欄を見てくれないか?」
私が、スキルの欄に目を向けるとこう書かれていた。
【
・早熟する
・懸想が続く限り効果持続
・懸想の丈により効果向上
これが
しかし、懸想ねぇ。
「ベルくんは、誰か好きな人でも出来たの?」
私がそう聞くと、ヘスティアは物凄く不機嫌な顔になって、知るもんか!といってそっぽを向いた。
地雷だった様だ。
私は、改めてスキルの欄を見直した。早熟するってあるから、きっと成長が早くなるってことかな?
好きな人を思い成長が早くなるかぁ。ベルくんはロマンチストだねぇ。
ん?という事は、今もベルくんはダンジョンで己を鍛えている。そして戻ってきたら、また強くなっているって事かな?
「ベルくんって、日を追うごとに強くなっているの?」
ヘスティアにそう聞くと、不機嫌な顔を少し不安そうな顔にして頷いた。
「ベル君の成長スピードは異常とも言って良い。このスキルのお陰だとは思うけど、こんなスキル聞いたことも無いんだ。きっと希少なスキルだと思う。だから他の神にこの事が知れたら厄介なことになる。ミケ君もくれぐれも内密に頼むよ!」
ヘスティアはそう言った後、日々更新しているベルくんのステータスを渡してくれると約束してくれた。それを使ってベルくんを鍛えて欲しいと。
「私の出来る範囲で協力するよ!」
私はダンジョン調査があるので、四六時中面倒を見ることはできないけど、空いている時間を使いベルくんの鍛錬に協力することを伝えた。
話は一段落し、ヘスティアは再度本へ、私はベルくんの訓練メニューを考えていると、私の部屋にマトイが訪ねてきた。
「ミケ、っとヘスティアちゃん来てたんだ?ご飯の用意が出来たって。ヘスティアちゃんも一緒にどう?」
マトイは、相手の名前を呼ぶときは基本ちゃん付けを行う。流石にマリアさんとかはしないけど。ヘスティアに対しては、最初にちゃん付けで呼んで、ヘスティアも特に何も言ってこなかったのでそのまま定着した様だ。
「お?いいね!ここのご飯は美味しいから大歓迎だ!さぁミケ君!君が行かないと食事が出来ないから早く行こう!」
ヘスティアは本を閉じると、私の腕を引っ張りながら促してきた。ヘスティアはトラの料理が気に入ったようで、ほぼ毎日食べてるような気がする。
まぁトラも満更でもなさそうだから良いけど。
そして食休みの後に温泉施設でお風呂に入って、ベルくんがヘスティアを迎えに来て、帰宅の流れになるんだろうなぁ……
食休み後のお風呂に4人で入っている。うん、予想通りの展開だね。
私とヘスティアで湯船に浸かり、マトイとトラは体を洗うため、崖の向こう岸へ行っている。
私は何となく、湯船に浮かぶヘスティアの胸を見ていた。大きいと湯に浮かぶんだよね……
ぼーっと、ヘスティアの胸を眺めていると、ヘスティアから声を掛けられた。
「ミケ!すまないが君が持っているドレスを貸してもらえないか?」
なんでも、近々神の宴と言う催しがあるそうで、そこでベルくんのための武器を知り合いの神に作って貰うよう頼みに行くらしい。……確かに、ベルくんの武器を更新することは良い事だ。アークスの武器は、ベルくんでは使いこなせないから渡せないしね。
それで宴用の衣装を用意する必要があるが、今持っているものだと見劣りするらしいので、貸してほしいとの事だ。神々の間でも、見栄の張り合いがあるそうだ。
私は、そういう事なら好きなのを持って行くと良いよ、とヘスティアに伝えた。
「ミケ助かるよ!」
……これでロキが来ても馬鹿にされないな!
ヘスティアが小声で何か言いつつ、ぶくぶくと湯船に口まで浸かった。
「ミケさーん。神様のお迎えに来ましたー!」
風呂から上がり、まったりとした時間を過ごしていると、ベルくんのお迎えが来たようだ。
「ベルくんおつかれー。今日はどうだった?」
私はヘスティアを迎えに来たベルくんを部屋まで案内しつつ、今日の進捗状況を聞いてみた。
「はいっ!今日は5階層に行ってました。数が多いと手こずりますけど、何とかなってます!」
ベルくんは、にこにこしながら自分の成長を報告した。
うん。元気になった様で何よりだよ。今はラッピーも消えている。
以前パーティを組んでいた時は、5階層だと1匹倒して息切れしてたから、凄く成長してるね。
これって、私が訓練メニュー作らなくても勝手に成長しそう……
でもまぁ、身体能力だけ上がっても戦闘技量は上がらないかなぁ。身体能力だけのごり押しも出来るけど、それだと何処かで限界が来るだろう。戦闘に関してのアドバイスが出来ればいいんだけど、私はフォトンを使用した戦い方だから、ベルくんに教えても使えない。悩ましい所だ。
今は身体能力を中心に上げる方向で行くしかないかな?成長が早いと言ってもまだベルくんは駆け出しさんだし。技量に関しては時間を設けて、いかに早くモンスターを倒せるかという
そういう方面で師事出来る人が居れば良いんだけど……今度模擬戦に行く時にでも、アルテミス・ファミリアの人にでも聞いてみるかな?
アルテミス・ファミリアの人達とは、定期的に模擬戦を行うことを約束している。あれだけラッピーまみれになっても、是非にと頼まれた。
そういえば、まだ教導隊の人が派遣されたって話は聞いていない。いつ来るんだろう?
ベルくんがヘスティアをホームへ連れて帰った後、ジョージから連絡が来た。
なんでも、近々
アークスで捕獲を行う場合は、空間隔離を行い誰も入れないようにして使用するそうだ。
それで、その面子がどの階層に行くか分からないため、
そういう事なら、ベルくんの訓練にもう少し時間を割けれるかな?
話の都合上、神の宴とモンスターフィリアの開催タイミングを変えております。
追記
現在、改定作業も並行で行っております。
経過については、活動報告にて行っておりますのでそちらをご覧ください。