オラクル船団がオラリオにやってきた   作:縁側

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二話

 アルテミスとの会話の後、ミケは上層部への報告があるジョージと別れて、ミケとマトイの部屋がある居住用トレーラーへ向かった。

 部屋にはマトイが居て、飲み物の準備をしつつミケの帰りを待っていた。

 ミケはマトイから飲み物を受け取り、マトイに話しかけた。

 

「マトイ、早かったね」

 

「うん。工作隊の人たちが頑張ったから、施設設営が早く終わったんだよ」

 

 第一次先遣隊は、本来であれば現段階でベース基地の建設任務を終えて、地域住民との交流と情報収集という、次の任務に赴くはずであった。しかしながら、アンタレスの眷属の襲来によりベース基地設営の作業を中止し、警戒態勢を維持していた。

 数日の間、第一次先遣隊+ミケ達による警戒態勢を維持していたが、当面の安全は確保できたと判断し、漸く本来の設営任務を始めた。

 現在ベース基地には、フォトン集積用のタンク3基、転送装置1基、防御ソケット5基が設営されている。後は、防衛要員である部隊が到着すれば、ベース基地として機能するようになる。

 マトイは、念のための護衛要員として設営作業に参加していた。

 

「話し合いの方はどうだった?その様子だと、良い事合った見たいだけど?」

 

 マトイは、始終にこにこして飲み物を飲んでいるミケを見て、質問した。

 

「ん。概要しか聞いてないけど、面白そうなのがあったよ!ダンジョンってのがあるんだって!きっと見た事ないようなものがあるよ!」

 

 ミケは赤い瞳を輝かせながら、マトイにアルテミスから説明されたダンジョンの事を語った。

 ミケの説明を聞きながら、マトイは微笑んでいた。

 

「ミケそういうところ大好きだもんね。一時期アムドゥスキアの火山洞窟に籠ってたし」

 

「うん。あそこは調査初期の時は人もいっぱい居たし、珍しい物もいっぱいあったからね。籠ってた時に友達も沢山出来たし」

 

 ミケはそう言いながら、懐かしそうに目を細めた。

 ミケを見つめながらマトイはふと思った……んー?そのダンジョンって、封印されてるって言ってたから、中に入れないんじゃないかな?でもミケの楽しそうな姿を見ていると、水を差すのは悪いかと思い、その言葉を飲み込み別の話題へ話を変えた。

 

「この世界は一次接触世界(コラボワールド)だけど、ミケはこの世界の衣装とか持ってないの?」

 

 ミケは、一次接触世界(コラボワールド)が発見される度に、開発される服等をよく買い漁っていたので、マトイはどんな服があるかの興味と、話題転換のために聞いてみた。

 

「あーその時私、浄化のためコールドスリープ中だったから……あんまり詳しくは知らないんだよね」

 

 ミケ達『アークス』は、ダーカーとの戦いで体内に溜まったダーカー因子を除去するため、コールドスリープを定期的に行っていた。ミケの髪はその影響で、毛の先端から変色してしまっている。

 ミケは、自分の髪の先端を弄びながら、話を続けた。

 

「えーっと。確かワンピースだったかなぁ。但し、胸部の真ん中辺りと背中はお尻のところまでバッサリ開いていたけど。あと何故か青い紐があった。後は服じゃないけど、正しい歯磨きの仕方?とかいうのが在ったかなぁ。まぁ、私は持ってないけど」

 

 それって本当に服なのかな?とミケの説明を聞きながらマトイは、アルテミス達の服装を思いだそうとした。

 歯磨き云々についてはスルーする事にした……

 

「アルテミスさん達は、そこまで奇抜な服装ではなかったと思うけど……」

 

「まぁ、鎧着てたしね。普段着は案外ああいうのかも知れないよ?『アークス』でもすごい恰好してる人いるし」

 

 ミケとマトイは、アークス・ロビーにいた殆ど裸だよね?と突っ込みたくなるような服装をした『アークス』達を思い出していた。

 それから、お互いの服装についても考えていた。

 ミケは、マトイも十分露出度高いと思うけどなぁ……と思っていた。

 マトイは、ミケはミニスカートの時が多いから、戦闘中下着が丸見えなんだけどなぁ……と思っていた。

 話が変な方向になってしまったので、マトイは更に話題を変える事にした。

 

「そういえば、設営しているときに聞いたんだけど、近々近くの街に調査隊を派遣して、情報収集するって聞いたよ。ミケはどうする?」

 

 ミケは一瞬行きたそうな顔になったが頭を左右に振って、行きたいけど今回はいかない、と答えた。

 

「楽しみは、アルテミスさんの護衛の時まで取っておくよ!」

 

 護衛の話が出たため二人は、護衛任務についての詳細を詰めるための話し合いを行った。

 話し合いの後、ミケはマトイにこの後どうするか確認した。

 

「んー?設営も終わったし、警戒態勢も解かれたから、今日はもう休もうかなって思ってるけど?」

 

 ここ数日の警戒態勢で交互に休みを取っていたため、二人一緒に居る機会が無かった。

 ミケは数日ぶりに一緒に過ごしたいなと思い、マトイを誘った。

 

「私もこの後は予定ないし、久々に一緒にいよっか」

 

 マトイは、自分が言った「ずっと一緒」の言葉を事ある毎に守るミケに改めて感謝し、笑顔で答えた。

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 ジョージはミケと別れた後、指揮用トレーラーへ戻り、カスラへアルテミスの話の内容について報告をしていた。

 

『神の恩恵(ファルナ)』に万能薬(エリクサー)ですか……『神の恩恵(ファルナ)』は兎も角、万能薬(エリクサー)については、是非詳細が知りたいですね」

 

 カスラは『神の恩恵(ファルナ)』があれば、『アークス』になりたいがフォトン適正のない人々も、ダーカー対応以外の『アークス』の仕事を任せる事が出来るかもしれない。そうなれば万年人手不足を解消できるのに……との考えが頭をよぎったが、流石に他世界とはいえ神の力を解析する事は難しいだろうと思い、過度な期待は控えた。

 それよりも、万能薬(エリクサー)である。まずは現物の入手、できれば材料及び製造方法の入手……それから解析してこちらでも製造できれば、怪我に苦しむ一般市民へ適用できるかもしれない。

 こちらについては現実味があるなと考え、調査の進捗状況について質問した。

 

「現地の情報収集の方は、どうですか?」

 

「はい。敵性生物(エネミー)の襲撃で遅れておりましたベース基地の設営も無事に終わり、防御部隊の要請も申請済みです。防御部隊の到着を待ち、調査隊を派遣する予定です」

 

 ジョージは、現在の状況を簡潔に答えた。

 

「分かりました。それでは、調査隊には万能薬(エリクサー)の件は、特に念入りにと伝えておいて下さい」

 

「了解致しました」

 

 報告を終え、通信を切った後ジョージは笑みを浮かべながら、カスラが万能薬(エリクサー)の件を気にしている事に、カスラさんらしいなと呟いた。

 ジョージは、カスラとは上司部下の関係ではあるが、長い付き合いだった。

 カスラは他の仲間からは、「うさんくさい」「何を考えているか解らない」などと言われているが、ジョージはカスラが情に厚く正義感の強い人物である事を知っていた。

 ルーサーが台頭していた時代、カスラは非情の選択を良く迫られていた。その苦しむ姿をみて、どうする事も出来ない自分に歯がゆい思いをしたものである。

 そのためジョージは、守護輝士(ガーディアン)のミケに対して、カスラを苦しみから救ってくれる切っ掛けを作ってくれた者として、特に尊敬をしていた。

 

「さて、仕事するか!」

 

 両手で自分の頬を叩き気合を入れなおしたジョージは、自分の仕事へと赴いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミケ達との話し合いから更に数日たったある日、漸く【ファミリア】達と面会する事が出来た。

 皆はベットに寝ており、全身に包帯を巻かれて、細長い管のようなものが各所につけられていた。一部の者は、足を布状の帯で吊るされている者や、腕を固定されている者もいたが、皆元気であった。

 私が顔を見せると、皆ベットから起き上がろうとしたが、看護官に止められていた。

 私はひとりひとりベットの傍に近づき、皆から話を聞いた。

 皆総じて、私が無事である事を喜んでいた。また自分たちが動けない状態であるため、傍に居られない事に憤りを感じでいると語っていた。

 私は、万能薬(エリクサー)が、アンタレスとの戦いで失われた事、近いうちにホームへ戻り、万能薬(エリクサー)を入手するためオラリオへ向かう事を皆に話した。

 オラリオ行きの話をした時、自分が行きます!と手を挙げる者も居たが、流石に動ける状態ではないため、看護官から無理はいけません!と窘められていた。

 私は、私達を助けてくれた者たちと向かうので大丈夫だと伝え、皆を安心させた。

 

 

 

 短い時間ではあったが、【ファミリア】達が元気である事をこの目で確認でき、改め安堵した。

 そして早く万能薬(エリクサー)を手に入れなければ……と気合を入れなおした。

 

 

 

 私は鈍った体を解すため、看護官に外出の許可を求めた。看護官は暫く考えた後、激しい運動を行わなければ大丈夫と答えてくれた。

 

 

 

 私はここに来て初めて、外の様子を見る事が出来た。部屋は窓が無いため、外の様子を伺う事が出来なかったからだ。

 まず最初に目についたのは、エルソスの遺跡であった。木々に囲まれて全体は見えないが、遺跡の頂上部分が確認できた。意外と近くだったのだな……と思いつつ周りを見渡した。

 周りは、木々が伐採された広場になっていた。その広場の中心に、大きな筒状の物体が3つ鎮座していた。

 ここにある物は用途不明の物ばかりだな……と若干諦めの表情で更に周りを見ると、ベンチに座るミケとマトイの姿を見かけた。二人は楽しそうに談笑をしていたが、何故だろう?傍から見ると物凄く口の中が甘くなってくる……

 私は何となく居心地が悪くなり離れようとしたが、丁度ミケが私を見つけたようだ。

 

「アルテミス様?もう動き回って大丈夫なんですか?」

 

 ミケが私に話しかけた途端、先ほどの甘い雰囲気が霧散した……私はほっとしつつ、二人に近づいて行った。

 

「看護官からは許可は貰っている。体が鈍っているから少し体を動かしたくてな。ただ激しい運動は禁止されているが……」

 

 私がそう答えると、ミケはマトイのほうをちらりと見た。マトイは、ミケが言いたい事が解ったのだろう……軽く頷いた。

 

「それじゃぁ、散歩がてらこの辺りを案内しますよ」

 

 ミケはそう言うとベンチから立ち上がった。マトイも付いてくるのだろう、同じくベンチから立ち上がり、ミケの隣に並んだ。

 

「君たち二人は仲が良いのだな?」

 

 私は先ほどの事を思い出し、何となくそう質問してしまった。

 

「まぁ、任務で別々になる事が多いけど、一緒に居れる時は必ず一緒にいますね」「わたしも、ミケと一緒にいれればとても幸せかな」

 

 ミケは愛おしそうにマトイを見つめながらそう答え、マトイも幸せそうにミケを見つめ返した。

 いかん、藪蛇だったようだ。

 私は再び先ほどの甘い雰囲気を醸し出した二人を後悔と共に眺めつつ、何とかこの空気を霧散させようと、話題を変える事にした。

 

「そういえば、外に出たときに気になったのだが、あの3つの筒状の建物は何なのだろうか?」

 

 どうやら私の目論見は成功したらしい。二人は、先ほどの雰囲気を霧散させ、質問に答えてくれた。

 

「あれは、大気中のフォトンを集積して蓄えるための物です。蓄えられたフォトンはこの基地のいろんな施設で使用されています」

 

 ミケ達の話を聞くと、私が泊っている部屋の明かり、【ファミリア】達を治療するための道具等を動かすのにフォトンが使われているらしい。

 先日説明があったフォトンとは、色々な事に使えるのだな……と実感した。

 また、フォトンを使えない事を若干残念に思った。

 

 

 

 それから私は、基地の中を色々案内された。

 その最中、全身を勇ましい甲冑で覆った人物を見かけた。なかなか勇ましく頼もしい姿だなと眺めていると、ミケから声が掛けられた。

 

「あー、あの人はキャストですよ」

 

 なんと、あれが話に聞いたキャストか。

 看護官もキャストらしいが、どうもそうは見えないので想像できなかったが……という事はあれは甲冑ではなく肉体という事か。なんとも不思議なものである。だが、勇ましさと頼もしさを感じたのも事実。

 私はその勇壮なキャストを見つめながら、

 

「キャストか、看護官もそうらしいが、実感がわかなくてな……でも勇ましくそして頼もしく見えるな」

 

 そう答えた。

 私の声が聞こえたのだろう……件のキャストがこちらへ向き胸を叩き礼をすると、その場を後にした。

 

「キャストは見た目もそうですけど、実際強い人が多いですよ。頑丈だし、私よりも遥かに力が強いし」

 

 キャストが立ち去る姿を見ながら、ミケはキャストについてそう評した。

 

 一通り基地の案内が終わった後、若干の疲れを感じたため、私は部屋に戻る事にした。

 かなり体が鈍っているなと実感した。

 旅に出る前に体を鍛え直さねばと思い、看護官にその旨を伝えたが、あまりいい返事は貰えなかった。

 但し、良い事も聞いた。旅の際は、乗り物を使用するため長時間歩く必要はないらしい。馬車か馬でも用意してくれるのだろう。徒歩と比べれば、体の負担も少なく、時間も短縮できるため有難く思う。

 私は疲れた体をベットに横たえ、オラリオへの旅を思いながら、眠りについた。




次話以降で、ダンまちの世界のことを掘り下げていこうと思っております。
そのため少し投稿が遅くなるかもです。ダンまちの方はいまいちよい資料がないので原作読み直しているところです。

キャストいいよね!
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