私はルーナ、姓はありません。
【アルテミス・ファミリア】で第3級冒険者の筆頭を務めさせて頂いております。
私の仕事は、【ファミリア】内の資材管理と財政管理を行っております。
団長や幹部の仕事だとは思うんですが、あの
私は元々商家で育てられておりましたので、この手の仕事は苦ではないのですが、釈然としません……
現在【アルテミス・ファミリア】の主要メンバーは、辺境の地にあるエルソスの遺跡へ遠征に出ております。
メンバーは、アルテミス様、団長、そして
私達の【ファミリア】は定期的に、封印されたモンスターの監視のため遠征を行っております。
普段の遠征は数班に分かれ、それぞれの目的地へ遠征を行いますが、今回は1か所に対しフルメンバーでの遠征です。そのことが少し気に掛かります……
そろそろ遠征から、ひと月と半ば程が過ぎております。
エルソスの遺跡は、どんなに急いでも帰還までふた月以上は掛かります。
多少心配ではありますが、あのメンバーなのでその内帰ってくるでしょう。
私は資材管理の一環として資材のチェックを行い、在庫が不足している物の買い出しを手の空いているメンバーにお願いしています。
ある程度お願いしていると、手の空いている人がいなくなりました。
買い出しに行っているメンバーが戻ったら、またお願いすることにしましょう……
買い出しに行ったメンバーが戻ってきましたが、残念ながらこれから座学の講義をやるそうなので断られました。
私達の【ファミリア】はそこそこの人数が在籍しています。
そのため足りない知識等を教え合う事が出来ます。
私も、私の仕事を手伝える人を求めて講義を何度か行いましたが、残念ながら私の求めるレベルの人がいませんでした。
冒険者って脳筋が多いですからね……アルテミス様が帰ってきたら、頭脳労働ができるメンバーについて相談しますか……
仕方がないので残りの買い出しは、私が行う事にしました。
そこそこ量があるので、一人ではちょっと厳しいですが……
買い物を終えた私は、予想以上に多い荷物と格闘しながら帰路に就いていました。
帰路の途中で、覚えのある気配を感じました。
アルテミス様が帰ってきたようです。
予想よりはるかに速いですが、折角いるのであればこの荷物を
そう思いアルテミス様の所へ向かいましたが、
私はなんとなく嫌な予感を覚えました。
アルテミス様は、ホームに全員いるかどうか尋ねました。
私が買い出しに出たときは全員食堂で講義を行っておりましたので、全員いる旨を伝えました。
アルテミス様は急いでホームに戻ると言い、足早にホームへ向かっていきました。
私は慌てて、荷物を拾い後を追います。
私は先ほど挨拶したミケ様とマトイ様に何かあったのでしょうか?と尋ねましたが、ミケ様から詳しい話はアルテミス様から聞いた方がいいよと言われました。
ホームの食堂にミケ様、マトイ様を案内して簡単に紹介をした後、アルテミス様からのお話がありました。
話の内容は衝撃的でしたが、皆無事である事が分かり私はほっとしました。
その後、アルテミス様よりホームの防衛について言い渡されました。
私以外のメンバーは、訓練通りに食堂から出て行きそれぞれの持ち場に就く事でしょう。
私には一緒にオラリオへ向かい
ミケ様とマトイ様が、ダンジョンの情報が必要とのこと。
私はアルテミス様と団長達の命の恩人である、ミケ様とマトイ様のお役に立てるならと了承し準備に取り掛かります。
途中でアルテミス様から不思議な依頼をされましたが、まさか騎乗用のワイバーンでも用意しているのでしょうか?ワイバーンならまだいいですが、ロック鳥クラスになると私のトラウマが刺激されますので、できればワイバーンでありますように!と願いながら準備を行いました。
私がまだ商家の家で過ごしていたころ、別の街へ馬車で旅行をしたことがあります。
その時の私は幼く初めての馬車の旅でしたので、大はしゃぎで馬車の窓枠に掴まり外の景色を眺めていました。
暫く進んでいると、どこからともなく大きな鳥が飛んできて私が乗る馬車を掴みました。
私と養父様達は、馬車の中で揺さぶられました。
そしてその鳥が飛び立とうとした時、護衛の冒険者がその鳥──ロック鳥を倒したそうです。
私は少し宙に浮いた状態の馬車の中で、揺さぶられ非常に怖い思いをしました。
その経験から、ロック鳥は大の苦手です。
まぁ会うことはそうそうないのですが……
それから荷物の準備を行い、オラリオへ出発しました。
そして街はずれに着いた時、アルテミス様からこれから乗り物が来るので少し離れるよう言われました。
私は空を見上げながらワイバーンを探しますが、見当たりません。
首を傾げていると、風を叩きつけるような音と共に巨大な……そこで私は意識を失いました。
私は気が付いたら、ホームの自分の部屋に居ました。
確かアルテミス様と一緒にオラリオに向かったはず?と思い周りを見渡すと、アルテミス様が心配そうな顔で私を見つめていました。
アルテミス様の説明によると、私が気を失う前に見たものはミケ様が持っている空を飛ぶ箱だそうです。
ワイバーンよりも早く飛ぶそうですが、箱の中に居れば外も見えないし揺れないので安全だと、アルテミス様がおっしゃいました。
私はロック鳥ではないのかと尋ねましたが、違うそうです。
私は、過去のトラウマのことを話し本当に違うか再度尋ね、アルテミス様から違うと言われほっとしました。
そしてアルテミス様から、黙っていたことを謝罪されました。
私もトラウマの件は、誰にも話したことがないため謝罪を受け入れました。
そして今度こそオラリオへ向けて出発しました。
私が気絶したことにより、本日のオラリオ入りはかないませんでしたが、日が沈む前に外壁前までたどり着けました。
ワイバーンよりずっと早いのですね……
そして夕食の準備をしている時、ある事に気が付きました。
私は最初に出発した時と服装が違っていました。
何故でしょう?
ギルドでアルテミス様と別れた後、私はダンジョンの階層情報をギルド員より受け取り、
やはりポーション類なら、ここが一番品質が良いため良く利用しています。
私は、
流石に予備を買う余裕は無いです。
元気になったら団長達に稼いで貰うとしましょう。
店員が
「ルーナではないか」
声のした方へ振り替えると、そこには【アポロン・ファミリア】の団長である、ヒュアキントス様がいました。
「ヒュアキントス様、お久しぶりでございます」
【アルテミス・ファミリア】と【アポロン・ファミリア】とは、良好な関係にあります。
主神同士が姉弟の関係であり、自分たちの眷属達を大切にしているため、私達眷属もお互いを尊重しあっております。
とはいっても【アポロン・ファミリア】の眷属達は、2種類に分かれておりますのでその片方の方達だけ、という但し書きが付きますが……
ヒュアキントス様は、良好な関係の方々の一人となります。
もう片方の方々は、アポロン様に無理やり改宗させられた方たちの中でアポロン様を恨んでいる人たちです。
まぁ他の【ファミリア】の問題なので、私達は不干渉としております。
アポロン様は、自分の目にかなった方たちを他の【ファミリア】に入っていようとお構いなしに眷属にしようとします。
狙われた方達は、たまったものではないでしょう。
しかし改宗して暫く経つと、結果良かったとおっしゃられる方も多くいました。
それだけ大切にされたのでしょう。
実際、アポロン様は自分の眷属が死んだ時は、遺品を肌身離さず持っておりました。
持てなくなった遺品は、古い方から宝物庫へ保管しております。
一時期オラリオ内が不穏だった頃、遺品の保管場所に悩んでたアポロン様がアルテミス様に相談し、私達のホームで預かることになったそうです。
厳重に封印された宝物庫が私達のホームにありますので、そこに収められているのでしょう。
ヒュアキントス様は、私の周りを見渡し団長達は居ないのかと尋ねられました。
私の口から本当の事を話すわけには行きませんので、今は一緒ではない旨伝えます。
それから、今日はホームへ寄るかどうかも尋ねられました。
アルテミス様とアポロン様は、不定期ですがお会いになられて近況報告をしております。
私も何度か【アポロン・ファミリア】のホームへお邪魔したことがありますが、あまり行きたい場所ではありません……
本日はホームへ寄らない旨を伝えると、ヒュアキントス様は了承し私から離れました。
私の方も
アルテミス様達と合流した後、団長達の下へ向かいます。
困った人たちではありますが、【ファミリア】にとって必要な人たちですので早く元気になって貰いたいものです。
次回から本篇に戻ります。