大日本帝国から日本国へ   作:紫雷電

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皆さんこんにちは。
地下基地って格好いいなと思うんですよ。ナチスには地下基地を造る計画が有ったとか。よしならば実際に造らせようという事で今回はナイスに地下基地を造ってもらいました。


第十話 戦狼部隊結成

1939年8月5日

「少尉殿、着きましたよ」

「ありがとうございます」

 

弌華は運転手に礼を言って車を降りた。目の前には自分が指定した家がある。弌華は運転手に貰った鍵を使って家の中に入った。一人で住むには少し大きいだろうか。少なくとも確実に一部屋は使わない。リビングに行くとテーブルに電話と束のマルク紙幣が置いてあった。電話の方は掛けるとベルリンに直接繋がるのだろう。

弌華は私室に指定した部屋にそれらを持って行き、紙幣はデスクの引き出しに入れて鍵を掛け、電話は一本脚のダイニングテーブルに置いた。時計を見ると午後八時。これから夕食を作るには遅い時間だったので店を探しに外へ出た。

 

 

 

弌華は家の横に停められていたオートバイを使って付近を散策して三十分ほど経った後飲食店を見つけた。ヨーロッパらしい風情ある建物だった。弌華は店先に取り付けられたランタンの火がゆらゆら燃えているのがとても気に入った。

 

「いらっしゃいませ。あら?親衛隊の方がいらっしゃるのは珍しいですね」

声を掛けてきたのはこの店の看板娘と思われる少女だった。これが彼女――エルフリーデ・イェーガーと纏弌華の出会いだった。

 

「この店で一番人気のメニューをお願いします」

「分かりました。何処に座ります?」

 

弌華はカウンターの一番奥を指差した。

 

「あそこでお願いします」

「分かりました。水を持ってくるので座って待っててくださいね」

 

始めは弌華しか人がいなかったが時間を経るに連れてどんどん人が入ってきて、十分もしない内に満席となった。頼んだものを食べていると弌華の横に座った男に声を掛けられた。

 

「兄ちゃん、アジアの人間だろ?どうして親衛隊の制服なんか着てるんだ?」

 

当時の親衛隊入隊条項には人種的な制限があった。

1,純粋北方人種

2,圧倒的に北方人種であるかファーレン人種

3,基本的に先の2つの人種だが、それにアルプス山地人種、ディナール人種(南欧)、地中海人種が少し混じっている人種

4,東方(=東欧)系。もしくはアルプス系混血

5,ヨーロッパ人以外の外人種との混血

上記の内、親衛隊選考対象になり得るのは三番までで弌華はそのどれにも当てはまらなかった。

 

「総統閣下が私の事を認めてくださったからです」

 

弌華は当たり障りの無い言葉を選んで返答した。

 

「そうか。俺の予想だと君は日本人だな」

(この男、勘が良い……。警戒対象にすべきですね……)

 

弌華は妙に勘の良い男を探るような目で見つめた。男は手を降り敵対意思がないことを示す。

 

「別に何かしようって事じゃない。ただ、最近面白いことが何もないからそっちの話を聞きたいだけなんだ。勘が良いのは昔からだから気にしないでくれ」

「……あんまり面白いと思う話はありませんよ」

「それでも構わんさ」

 

弌華はポツポツと機密は伏せて自分の事を語りだした。八割方は嘘であるが気付かれずに済んだらしい。いつしか店内にいた殆どの人が弌華の話に耳を傾け、笑い話には笑い、悲しい話には涙を流した。その中にはエルフリーデもいた。

弌華は白作戦発動までの二十七日間この店に通い、様々な人と親交を深めた。

 

 

1939年8月15日

大日本帝国派遣団の軍人はU-1基地に集結していた。前日に理由を言われず明日総統官邸に来るように言われ、来てみると大きなトラックに乗せられここまで来た。

派遣団の到着に少し遅れてヒトラーが到着し、その専用車から降り立った瞬間全員がナチス式敬礼をとった。この軍服を着ているときだけはヒトラーに忠誠を誓う軍人だ。ヒトラーはそれに答礼を返す。

 

「さて今回諸君らに集まってもらったのは他でもない、白作戦についてだ。私は諸君らを深く信頼し、共に闘うものとして諸君らだけの特別部隊を編成することにした。部隊名はヴェーアヴォルフ、専用の装備も用意した」

 

ヴェーアヴォルフを日本語訳すると戦狼という意味になる。

ヒトラーの乗った車の後ろに控えていたトラックの荷台が開かれ中から装備一式が出された。通常礼装は親衛隊の礼装をベースに微章を取り外して赤いラインが入っており、左右上腕部にはハーケンクロイツの刺繍がなされている。弌華、忠一郎、征爾の三名の礼服だけは親衛隊であることの証である微章が取り付けられている。弌華達は一度更衣室に行き、着替えてからもう一度集合した。

 

「では今後諸君らが使用する兵器類を紹介しよう」

 

ヒトラーは兵器廠へ弌華達を案内した。着いた後ヒトラーはここから先の説明をDr.ソフィーに一任した。

 

「君達の目の前にあるのはME-330戦闘機と言うもので私たちは《ヴィント》と呼んでいるわ。これの最大の特徴は三基のWaジェットね。初期は故障が多かったけど今はレシプロより速く安定した性能を引き出せるわ」

 

彼女の説明を補足すると元はME-328として計画されていた機体でパルスジェットの性能が著しく低かったため正式採用されなかった。そこでDr.ソフィーは元々研究していた水素を使ったエンジンを製作した。それが《Waジェット》である。燃料の水素は水を電気分解することにより得られるので石油を輸入に頼っていたドイツでは重宝された。

 

「続いて此方はE-40戦車と言うもので愛称はジーク・ティーガよ。車高が低く砲身が長いのが外見上の特徴かしら。特筆すべき点は装甲の厚さに対して機動性が高いことね。性能が高い分、大量生産には向いてないわ」

 

ヴェーアヴォルフにはこれらの新兵器が配備されることになる。新兵器の実験部隊とも言えるだろう。弌華達は早速慣熟訓練を始めた。

 

 

 

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