大日本帝国から日本国へ   作:紫雷電

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第十三話 ポーランド侵攻④

1939年9月5日 U-1基地

 

ドイツとフランスとの国境で起こった戦闘から二日後ヴェーアヴォルフはU-1基地にて補給と点検を受けていた。彼らの扱う兵器はどれも新型で試作の域を出ていないから念入りな点検が必要となる。U-1基地とベルリンの総統官邸は地下の高速鉄道で繋がっていて、それを使ってヒトラーの元へ忠一郎、弌華、征爾が来ていた。

 

「先の戦闘では君達の奮戦があって防衛線が突破されずに済んだ。良くやってくれた」

「いえ、軍人としての務めを果たしたに過ぎません。して、今回我々を呼び出したということは新しい任務ですか?」

 

忠一郎がヒトラーに聞いた。

 

「そうだ。私の予想ではフランスとイギリスは介入してこないと思っていたがフランスは我が軍に対して攻撃を仕掛けた。よって私はフランスに攻撃をするのを速めようと思う。君達はポーランド侵攻主力部隊と入れ替わってできるだけ速く、ポーランドを降伏させて欲しい詳細な作戦は後で基地に送っておくからそれを参照してくれ」

「了解しました」

 

緒戦での戦闘にで圧倒的な戦果を上げたことによりドイツ軍は圧倒的な優位を保ちながら白作戦を成功に導きつつあった。ポーランドが降伏するのはそう時間が掛からないと見たドイツ軍参謀本部は主力をフランス侵攻に送ることを決定した。そしてドイツはソ連との交渉により、当初予定していた地域以外全てソ連に譲渡することでソ連のポーランド侵攻を速めさせた。

 

 

 

1939年9月9日

この日、ソ連は80万人もの兵力を擁してベラルーシとウクライナから二手に分かれ、まだ戦闘地域ではなかったポーランド東部国境地帯に侵攻した。ソ連の突然の襲撃に対し、ポーランド軍のルィツ=シミグウィ元帥は国境防衛隊に対し、ソ連軍とは直に交戦することを避けて退却せよと命令した。それでも多少の小ぜり合いや戦闘は避けることができなかった。同じ頃ワルシャワの西に位置するブズラ川付近でポーランド侵攻最大の戦闘が始まろうとしていた。

ブズラ川付近にはドイツ第8軍とヴェーアヴォルフが作戦開始時刻を待ちわびながら待機していた。

忠一郎は第8軍の指揮官ヨハネス・ブラスコヴィッツと作戦の確認のために会っていた。

 

「お初にお見え掛かります。ヴェーアヴォルフ指揮官吉田忠一郎です」

「初めまして。ヨハネス・フラスゴヴィッツだ。本当にアジアの方なのだな」

 

二人は握手を交わして野営テント内に設置された椅子に座った。

 

「今回の作戦だがこの流れで良いかね?」

 

ヨハネスは作戦を忠一郎に説明した。

 

「……そうですね、これですとポーランド回廊から撤退してくる敵に挟み撃ちされる可能性があります。そこで我々の部隊を投入して挟撃の危険を下げた方が良いかと思います」

「それは良いが、そんな少数で対応できるのか?」

「はい。恐らくここから出てくる敵は歩兵中心でしょうから我々の秘密兵器で十分対応出来ます」

「分かった君達を信じよう。作戦は十分後に開始する」

「了解しました」

 

忠一郎はテントから出て、仲間が待つ所へ向かった。ヴェーアヴォルフは既に装備の最終確認を終えて、後は出撃するだけだった。

 

「作戦はどのように?」

 

忠一郎が帰ってきたことに気付いた征爾が話しかけた。忠一郎は地図を取り出し説明を始めた。

 

「俺らはポーランド回廊から出てくるであろう敵を迎え撃つためここで待機する」

「成る程。しかし、敵の戦力が此方を上回っている可能性の方が高いのでは?」

「安心しろ。俺らにはあの二人がいる」

 

忠一郎は後ろで芝生に座って瞑想している弌華と弌華に縒りかかって寝ている狂璃に視線を向けた。

 

「……あの二人を信用しすぎるのも考えものですな」

 

征爾は腕を組み、二人の方を睨みながら言った。

 

「そうか?二人は戦果を確実に挙げているだろ。それに今のところ表立って反抗する意思は見られないしな」

「私はあのような人間の紛い物など信用してませんよ。私以外にも彼らを危険視している人がいることを覚えておいてください」

 

そう言って征爾は自分の持ち場へ戻っていった。

 

 

 

ヴェーアヴォルフは予定とほぼ同時刻に目的地に着いて敵が来るのを迷彩を施してかれこれ一時間は待っていた。既にブズラ川付近ではポーランド軍とドイツ軍が激突している。

 

『こちら偵察班、敵は発見できず。引き続き監視を続ける』

『了解』

 

偵察班からの定時連絡を受けた後、忠一郎は無線機を置いた。

 

「本当に敵は来るでしょうか?」

 

弌華は指揮車両の中で無線機を手にしている忠一郎に話しかけた。

 

「来ないなら来ないでいいさ。そのときはお前ら二人に先行して大将の部隊の援護に行ってもらう」

「分かりました」

 

弌華が頷いてすぐに無線機が鳴った。忠一郎は無線機を手に取って電源を入れた。

 

『こちら本部、何があった?』

『敵部隊を捕捉した。約120秒後にそちら側に到着する』

『部隊の内容は?』

『輸送車両30台、戦車15台だ』

『了解。即座に撤退しろ。20秒後に砲撃を開始する』

 

忠一郎は無線機を一度切り今度は全部隊に向けて発信した。

 

『敵部隊を発見した。これより先制攻撃を仕掛ける、各員気を引き締めてかかれ』

 

忠一郎は各部隊に通達を行った後弌華の方を向いた。

 

「聞いての通り二人とも出番だ、急ぎ用意をして向かってくれ。こちらの砲弾に当たるなよ」

「了解しました」

 

弌華達が到着する前に曲射砲による飽和攻撃が行われた。敵は狭い道を通って来ていたので避ける術は無く次々と撃破されていった。それでも残った敵は回廊を抜けるため全速力で走り、あと一歩で突破できるというところで待ち構えていたヴェーアヴォルフの戦車部隊から目一杯の砲撃を浴びせさせられた。多量の徹甲弾で撃ち抜かれた車体は穴だらけになり、その場で動かなくなった。そして衝撃により勢いよく飛び散った鉄の破片は車両に乗っていた兵士に襲いかかり無慈悲にその命を奪っていった。突破口を絶たれた敵は反転して撤退しようとするもそこに弌華と狂璃の二人が敵の頭上から襲撃した。敵は甚大な被害を被りながらも何とか撤退したが回廊を通っていたソ連軍と鉢合わせになりポーランド軍は降伏した。

 

「戦闘終了しました。敵はこちらに向かっていたソ連軍に降伏したそうです」

 

弌華は部隊の元へ帰り、作戦結果の報告をした。

 

「そうか。顔は見られていないな?」

「はい。大丈夫です」

「よし、このまま第8軍の援護に向かう。お前らは先行してくれ」

「了解しました」

弌華と狂璃は重火器を装備して次の戦地へ向かった。

 

 

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