大日本帝国から日本国へ   作:纏天都

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第二話 空挺降下作戦

1939年4月

冬の雪がまだ残る頃霧が立ち込める山奥に小さな軍事施設があった。[中国軍新兵器開発局]の庁舎だ。小規模であるのと木々が立ち込める山奥に存在していたので日本軍から無視されてきた。普段なら警備員が数人憂鬱そうに突っ立って、幾人もの技術者があわただしく走り回っているが、今日はそれがない。異変の始まりは遡ること3時間前、午前3時に起こった。

『今回の任務は敵軍技術の奪取と我が軍初、高度7000mからの空挺降下の実践データ収集にある。我が諜報局によると、この施設には米軍が中国軍に提供した様々な技術があるという。君たちには空挺降下による奇襲によって速やかに当該施設を制圧してもらいたい。詳細な基地図面などは―――』

「以上が嘉章副司令からの通信だ。これが敵施設の図面だ、頭の中に叩き込んでおけ。第1中小隊の隊長は俺、吉田忠一郎が務める。第2中隊は纏弌華少尉が隊長を務めることになる。以上、作戦開始まで各員所定の位置にて待機。」

降下部隊を解散させると忠一郎は弌華だけを残した。

「お前は我が大日本帝国の敷島計画の数少ない成功体だ、だから無理をするな。あとお前の姉の手綱をしっかり握るように」

「了解しました」

「では行っていいぞ」

「はっ」

弌華を見送る忠一郎の気は重かった。二週間前に突然、司令の沖田楓伽から呼び出され空挺降下の練習をするよう言われたのだ。何10回か練習はしたが、不安は拭えなかった。

 

 

敵の索敵網の穴を突くため夜中、霧の濃い時間帯で高度7000mからの奇襲作戦は敵も予測できるものではなく、第一こんな辺境の地に攻撃が来るわけがないと慢心をしていたというのもあっただろう。敷地内の侵入は全くの反撃もなく成功した。

『こちら第1中隊隊長吉田だ、第2中隊応答願う』

『こちら第2中隊、纏です。無事降下完了これより担当区域の制圧に向かいます』

『了解。これより作戦開始する。以後私のコールサインはα1、纏少尉はβ1とする』

~施設内~

暗闇に包まれた廊下に一人警備員が懐中電灯片手に巡回をしていた。男の足取りは重く、眠たそうな顔でだらしなく腰に下げていた拳銃を手に遊ばさせている。

「……全く、何もこないというのに何故巡回しなきゃ駄目なんだ?今だって聞こえるのは俺の足音ぐらいなもんだしなぁ」

独り言を言いながら眠気覚ましに煙草をと思った男は窓を開けた。

「ん?」

その男が最後に発した言葉らしい音は暗闇から出てきた手によって遮られ、何か硬い物が折れる音によって次に紡ぎ出される筈の言葉は幾ら待っても出てくることは無かった。

『こちらβ1、侵入成功しました。α1応答願います』

『こちらα1、我々も侵入に成功した。作戦を続行せよ』

精鋭部隊と一部の存在を知るものに言われるだけあって全施設の制圧は約30分で終了した。

「これが米軍の新型機か。」

「どうやら戦車の類いですね。」

忠一郎と弌華は作戦完了の報告を部下に任せ、一足先に工廠に来ていた。

「我々の戦車は他国に比べ優位であるとは言えないからこれはいい手土産になるな」

「そうですね。あと少しで輸送部隊が到着するそうです。それまでに他に無いか探してみましょう」

「そうだな、東棟は任せた」

「了解」

 

 

作戦成功の一報を受けた帝機軍はすぐに輸送機を発進させ降下部隊の収容を急いだ。今制圧した基地に一式輸送機が三機着陸している。一式は帝国陸軍の九七式輸送機に帝機軍独自の改良を加えた仕様となっている。

「作戦お疲れ様」

帝機軍司令の沖田楓伽は今回指揮を取った二人を労う言葉を掛けていた。

「有難うございます」

「それで、実践データは取れたのかよ?」忠一郎は見るからに不満そうな顔を楓伽に向けた。

「うん。酸素マスクもちゃんと機能してたし、いいデータが取れたよ。そっちは何か収穫有ったの?」

楓伽は弌華に問いかけた。

「はい。まずは稼働中の電探とその資料、後はエンジンの設計図と現物を手に入れました。それと新型戦車が一台あります」

「大収穫だね。それじゃあ、後は他の部隊に任せてさっさと撤退しようか」

「了解しました」帝機軍の初めての本格的な軍事行動は成功に終わった。その後ここで得た情報は日本軍の戦力強化に大いに役立つことになる。

 

 

 




皆さんこんにちは。横浜に動くガンダムが出来たそうですね。コロナが収束したら行ってみたいと思いますが、展示期間中に収束してくれるとありがたいなと思っています。

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