大日本帝国から日本国へ   作:紫雷電

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第五話 日蒙戦争開戦

1939年6月

先月、ソ連の後ろ楯を得たモンゴルは満州国及び大日本帝国に対し宣戦を布告した。これにより後に日蒙戦争と呼ばれる戦闘が始まった。

 

 

チチハルに戻ってきた帝機軍は新たな作戦のため行動を開始していた。

 

「今回の攻撃目標はシベリア鉄道だよ!さぁ皆張り切っていこう!!」

 

帝機軍司令の沖田楓伽は何故か酷く興奮した状態で会議に出席していた。今回の会議には現帝機軍主要メンバーが集まっていた。

沖田楓伽(おきた ふうか)現帝国海軍大佐兼帝機軍司令

河上嘉章 (かわかみ よしあき)帝機軍中佐(副司令)

吉田忠一郎 (よしだ ちゅういちろう)元帝国陸軍大尉

島田征爾(しまだ せいじ)元犯罪者。 現帝機軍大尉

松本宗一(まつもとそういち)帝国海軍少佐

伊織癒乃 (いおり ゆの)元死刑囚。現帝機軍大尉

纏狂璃(まとい くるり)帝機軍中尉

纏弌華(まとい いちか)帝機軍少尉

 

 

「それで何でそんな機嫌が良いんですか?」

嘉章がため息混じりに聞くと「久し振りに戦場に出れるから」と年頃の少女からは出てこないような答えが返ってきた。その言葉に眉をひそめる者や無表情な者、うすら笑みを浮かべる者、端から興味の無い者と様々な反応がみられた。

 

「では、今回の攻撃目標はさっきも言った通りシベリア鉄道だよ」

 

そう言うと楓伽は黒板に地図を貼った。そこには赤丸で三ヶ所印が付けてあってどうやらそこを爆撃するらしい。

 

「初めに部隊を3つに分けて、1つ目はイルクーツク。2つ目はチェレンホウォ。3つ目はトゥルンだよ」

 

そこは山脈を通っているので破壊されたら修復するのに暫く時間がかかってしまう場所だった。ソ連からの支援物資が届かなければたちまちに物資不足に陥るモンゴル軍にとってはシベリア鉄道はこの戦争の動脈他ならなかった。

 

「ねぇ楓ちゃん。どうせだったら来た鉄道から物資奪えばいいんじゃない?」

 

口を開いたのは優しそうなお姉さんという感じの雰囲気を纏う伊織癒乃だった。

 

「でも癒乃姉ぇ、私達は敵に知られちゃダメなんだよ?」

 

帝機軍は敵はもちろん、味方にすら知られてはならないため癒乃の言ったことは行動方針上認めがたいことだった。

 

「そんなの簡単よ。全員殺しちゃえばいいのよ」

「死人に口なしってね」と薄ら笑いを浮かべながら付け足す。

 

「確かに癒乃姉ぇの実力なら簡単だろうけど……」

「では、私達姉弟が大尉の援護にまわります。それなら万が一討ち洩らしがあっても大丈夫でしょう」

 

姉の狂璃は会議前から寝ていたので代わりに弌華が発言した。

 

「それなら安心だね。じゃあ吉田君は物資輸送部隊の指揮を執ってもらえるかい?」

「応よ。任せてくれ」

 

忠一郎は握り拳を作って不敵な笑みを浮かべた。

 

「じゃあもう一度以上のことを踏まえて作戦を練り直しましょう」

 

嘉章が壇上に立って新たな作戦が練られることになった。

 

 

帝国本土???

「我々の戦いがやっと始まったか……。これで世界が変わってくれると良いが……」

「安心召されよ、必ずや彼らが成し遂げてくれる」

「そうだな。そのために15年の月日を掛けて我が祖国を変えたのだから……」

その言葉にその場にいた全員が力強く頷いた。

「我らが祖国――大日本帝国に栄光あれ」

男たちは持っていた盃を一斉に呷った。

 

 

1939年6月27日

モンゴル上空に何機かの航空機の編隊があった。もちろん帝機軍の航空部隊である。飛んでいるのは九九式戦闘機と九九式爆撃機だ。九九式戦闘機はキ28を原型としている。キ27とのとの競合に敗れたキ28だったが楓伽がフォルムを気に入ったので川崎からもらい受け、帝機軍技術局によって改修・量産化された経緯を持つ。後に搭載されている液冷エンジンは飛燕。そしてその後継機の燕龍に搭載されたエンジンの原型となる。九九式爆撃機は帝機軍独自に開発された機体で後に富岳へと基礎設計が開発に生かされることになる。

陸上部隊は前日にチチハルを出発して、敵の目を掻い潜るため険しい山脈を移動していた。

 

「ん……。寝れない……」

「我慢してください姉上。もう少しで着きますから」

 

不整地を走っているため車体が安定せずグラグラ揺れるため、眠りにつけない狂璃は少し不機嫌だった。……不機嫌な理由は他にもあるが。

 

「あぁ~りーちゃんは暖かくて柔らかくていい匂いがするから癒されるわぁ~」

 

不機嫌になった原因の一つが癒乃に抱かれていることだった。普通に抱けば良いものの匂いをかんだり、服の中に手を入れて胸や腹など触るセクハラ?行為を働いていた。

 

「大尉、あまりやり過ぎると……あ、自業自得ですね」

 

度を越えた行為に堪忍袋の緒が切れたのか狂璃が癒乃の左顎に見事なアッパーをお見舞いしていた。その衝撃で後ろに倒れた癒乃はガンと音をたてて頭をぶつけ、痛みのあまりに呻いていた。

 

「ほら言わんこっちゃない。大丈夫ですか?骨、折れてませんか?」

 

癒乃は弌華の問いに大丈夫と答えつつ目に涙を浮かべている。

 

「ねぇりーちゃん、私の妹にならない?」

「ヤだ。フウカがいい」

 

その言葉に癒乃はフラれたと言って気を落とすのであった。

 

 

 

 

 

 

 




皆さんこんにちは。突然ですが液冷エンジンを搭載した戦闘機って格好いいですよね。彗星とか飛燕とか……。彗星は爆撃機ですけど
空冷は四式戦かな。

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