アサルトリリィPARABELLUM 作:苗陽さんガチ恋勢
その提案は、夢結と美鈴の首を傾げさせるのに、十分なものだった。
「白井さん。俺と模擬戦して貰えないかな」
「模擬戦、ですか。訓練ではなく……?」
久方ぶりとなった、三人での茶会。
世間話もそこそこに、“彼”は「唐突だけど」と断ってから、こう告げたのである。
「そうなんだ。どうしても確かめたい事があって、白井さんに協力して欲しい」
「私でお役に立てるなら、喜んで。でも、確かめたい事とは……」
「それは……スキル関連の事だから、感覚的なものでさ。言葉にして説明するのが難しいというか……」
「なるほど。私達が使うレアスキルは、分類こそされているけれど、全てが全く同じではないからね。そんな事もあるだろうさ」
一般的に、リリィが使うレアスキルは16種類存在するとされ、サブスキルも含めれば32種類の多岐にわたる(未発見のサブスキルもあるので、あくまで理論上はである)。
しかしながら、その全てが、必ずしも一定の効果を発揮するとは限らない。
同じ縮地の使い手でも、身体能力によって最大速度や旋回半径などが変化したり、滅多にない事だが、スキルと本人の才能や気質が噛み合わないという可能性も、無くはない。
要は、レアスキルも個人差が大きく、計測機などで測れる数字だけでは、持ちうる資質を全て把握できない……という事である。
また、スキルの熟練度・強化手術に寄らず、その人物だけの特殊な効果が発現する場合や、スキルとは関係ない状況で、特殊な効果を発生させられる場合もある。
これは異能持ちと呼ばれ、中でも比類なき異能を有するリリィを、“特異点のリリィ”と呼称する。
S級となるまでレアスキルを熟達したリリィの多くも、同じく特異点のリリィ、もしくはS級特異点と称される。
上記の事から、“彼”は模擬戦を通して、自らの能力に、普通ではあり得ない“何か”を見出そうとしているのだろう。
夢結自身、自分のレアスキル・ルナティックトランサーに振り回されている感が否めないため、それを改善したいという気持ちはよく分かった。
けれど……。
「おじ様は……」
「なんだい?」
「……いえ、なんでもありません。いつにしましょうか」
どうして貴方は、そんなに焦っているんですか。
思わずそう問いかけようとして、作り笑いに誤魔化す。
“彼”が数日ほど百合ヶ丘を離れたのが、一〜二週間前。
詳しい事情は聞けなかったけれど、再会した時には、まるで別人のような暗い表情をしていた。
酷く胸をざわつかせる、痛みを堪えているような表情。
でも、夢結達が話しかけたりすると、それはすぐに作り笑いで消えてしまう。
もちろん、美鈴もこの事に気付いていたのだが……。
『誰にでも、踏み入って欲しくない領域はある。今はそっとしておこう』
敬愛するシュッツエンゲルからこう言われてしまえば、もはや夢結に出来る事はなく、実際、どう慰めていいか、そもそも慰められるのかすら分からず、何も出来ない日々が続いた。
だからこそ、この模擬戦で少しでも役に立てればと、夢結は疑問を飲み込んだのである。
……と、このようなやり取りがあったのが、三日前。
定番となった朝の地下訓練場には、訓練服姿の夢結と美鈴、同じく訓練服姿の“彼”に加え、珍しい顔があった。
訓練嫌いでも有名な吉村・Thi・梅だ。ちなみに、一人だけ制服である。
「見学とはいえ、梅が自分から訓練場に来るなんて、珍しいわね」
「失敬だなー。わたしだって、必要なら訓練くらいちゃんとするゾ? それに、おっちゃんには少し前に負けたばっかりだから、研究しとかないと」
「え? 梅が、負けた……?」
機材を準備する傍らの雑談で、夢結は驚かされた。
今、美鈴に手伝って貰いながら、同じように準備をしている“彼”が、梅に勝った?
梅は強い。
持ち前の高い運動神経に、レアスキルの縮地は強力な組み合わせで、意外に思えるが、戦術論もしっかり持っているし、経験に裏打ちされた戦闘技術は言わずもがな。
如何に経験豊富な元防衛軍マギウス相手と言えど、おいそれと負けるはずは……。
そんな気持ちが顔に出ていたのか、梅は声をひそめて続ける。
「なんていうかさ。最近のおっちゃんの動き、変なんだ。ヌルヌルしてるっていうか、ヌメヌメしてるっていうか?」
「なんなの、その表現。全く想像できないわ……」
「まぁ、それだけじゃないんだけど、とにかく気をつけろ。油断したら、今の夢結でも危ないゾ!」
難しい顔で唸るのに飽きたらしく、いつもの快活な笑顔で忠告する梅。
腑に落ちない部分はあるものの、彼女がこんな嘘をつく理由もない。
夢結は気を引き締め、訓練用に刃留めされたダインスレイフを握る。
すると、“彼”もほぼ同時に準備を終えたようで、美鈴と共にフィールドの中央へ。夢結もそれに倣う。
「二人とも、準備はいいかい」
「はい。お姉様」
「問題ない」
「では…………始め!」
掛け声に合わせて、CHARMを構える夢結。
“彼”もまた構えるのだが、使っているのはアガートラームではなかった。
不測の事態に備え、前々から調整していたという、二つ目のマギクリスタルコアを組み込んだ、第一世代の長剣型CHARMである。
いつもなら、百由が喜び勇んでデータを記録するはずなのだが、今回は都合が悪かったらしく席を外している。美鈴が手伝っていたのは、彼女に代わってデータ収集用のデバイスを取り付けていたからだった。
だがしかし、問題はそこではなく。
(あの構えは、私の?)
“彼”がCHARMを構える姿は、夢結と瓜二つであった。
足を広めに開けたスタンス。刀身と地面を水平に握る型。明らかに夢結のものだ。
正直に言って、あまり乗り気ではなかった夢結の心に、小さな火が灯る。
決して短くない時間を共に過ごし、手合わせした回数も数十になる中で、“彼”がこういった事をするのは初めて。
年若い少女には不似合いな、武人としての純粋な興味がそそられた。
構えが同じならば、その戦法は待ちを基本とするはず。
夢結はどう攻めるかを考え、次の瞬間、己が失策を悟る。
「っく⁉︎」
驚異的な踏み込みからの突きを、辛うじて受け流し、ダインスレイフで薙ぐようにしながら跳躍、距離を取る。
インビジブルワンを併用したのだろうが、予備動作が全く無く、完全に虚を突かれた。
あの構えは、敵の攻撃を受け流し、生み出した隙に一撃を叩き込む──いわゆるカウンターを放つスタイルだ。
が、それはあくまで戦法の一つでしかなく、他にも選択肢はあったはず。なのに、“彼”が待ちを選ぶと思い込んでしまった。
無意識のうちに、自分で自分の行動をパターン化していたのか、“彼”が積極的に攻撃しないだろうと高を括っていたか……。
(梅の言った通りね)
いずれにせよ、夢結が油断していたのは確か。
こんな心持ちでは、“彼”の役に立つ以前に、ヒュージと戦う仲間として申し訳が立たない。
軽く深呼吸。
改めて気合いを入れ、追撃せずCHARMを構え直した“彼”に向け、夢結は吶喊した。
「はぁあっ!」
油断も侮りも無い、全身全霊の袈裟斬り。
“彼”は身じろぎ一つせず、真っ向から受け止める。が、違和感を覚えたのは、またしても夢結の方だった。
(え? 手応えがない?)
CHARM同士がぶつかり合う、激しい金属音はした。
けれども、それに相応しい衝撃が伝わって来ない。まるで、水でも斬りつけているような。
戸惑いながらも攻撃し続ける夢結だったが、時間が経つにつれ、やがて確信に至る。
(これが、梅の言っていたヌルヌメ……! 確かにやり辛い……っ)
果敢に攻める夢結と、冷静に凌ぎ続ける“彼”。
お互い、一歩も譲らずといった風にも見えるが、その実、夢結は酷く焦っていた。
こちらの攻撃は訳も分からず無効化され、なのに相手の攻撃は、防御の上から確実に体力を削ってくるのだ。暖簾に腕押し、糠に釘、とはこの事だろう。
“彼”の術中に嵌っているという自覚があり、泥の中で戦っている……否、闘わされている感覚だ。
一体、いつの間にこんな技術を習得したのか。梅の表現が言い得て妙だった。
時間的には僅かに数分。夢結の体感では十数分にも及ぶ斬り合いは、不意に“彼”が距離を取った事で小休止が入った。
少しだけホッとしたのも束の間、今度は何をしてくるのかと、夢結は身を硬くする。
「白井さん。今から“試す”。心の準備を」
「……は、はいっ」
やはりというか、わざわざ宣言してからCHARMを構える“彼”。
今度は夢結の構えではなく、左脚を後ろに、右手で持ったCHARMを、左脇を通して背中に隠す、奇妙な構えだった。見ようによっては居合抜きにも見える。
そして、まだ本気を出されていなかったという事実にも気付き、いよいよ戦慄してしまう。
男子三日会わざれば……とは言うが、この変わりぶりは異常だ。どこでこんな戦闘経験値を?
思わず考え込みそうになるけれど、“試す”と言われたばかり。
夢結は何が来ても対処できるよう、“彼”も使ったあの構えで迎撃態勢を取り────首に冷たさを感じた。
「………………え?」
気付いた時にはもう、首元に“彼”のCHARMがあった。遅れて届く風が、夢結の髪を今さらのように揺らす。
一切、気を逸らしてなどいない。
隙があったとすれば、瞬きで眼を閉じた時の、刹那の一瞬だけ。
「な、なんだ、今の⁉︎ 全然見えなかったゾ⁉︎」
「これは、一体……」
観戦していた梅と美鈴も、この異常事態に驚いていた。
特に梅は、自身が縮地を使うだけあって、非常に動体視力が優れている。それでも見切れない動きをされたとあっては、驚かないはずもない。
しかし当の夢結は、驚きよりも困惑が大きかった。
何をされたのか、全く理解が及ばなかったのもあるが、あれだけの事をして見せた“彼”が、土気色になった顔を左手で覆い、膝を折るように蹲ってしまったからである。
「お、おじ様?」
「……大丈夫。ちょっと、予想よりもマギの消耗が、大きかったから。それだけ」
「でも……」
CHARMを支えにする“彼”の体は、寒さに凍えているかの如く震えていた。
嘘だ。何かを誤魔化そうとしている。
夢結はそう直感したが、それを問い正す事は出来なかった。
また、あの表情をしていたから。
胸がざわつく。
「勝手を言って申し訳ないんだけど、今日はこれで終わって良いかな? 午後から人と会う予定で、それまでに体調を戻しておきたいからさ」
「……はい。私は問題ありませんけど……今のは……?」
「明日にでも、キチンと説明するよ。自分の中で理論立ててからの方が、きっと理解して貰えるだろうし」
ごめん、と苦笑いする“彼”を前に、夢結は何も言えない。
美鈴に言われた事と、初めて“彼”に負けた悔しさと、胸のざわめきが入り混じって、ただ曖昧に微笑み返す事しか。
役に立ちたいと買って出た模擬戦は、結果として、言い知れぬ胸騒ぎを残すだけに終わってしまった。
(……でも、大丈夫よね。明日には話してくれるのだし、その時こそ、的確なアドバイスとか出来れば……)
不安をかき消すよう、夢結は自分に言い聞かせる。
明日は変わらずやって来るのだから、と。
そう信じて。
時は経ち、数時間後。
百合ヶ丘女学院、附属病院の裏口に存在する、小さなロビーにて。
中等部の制服を着た一人の少女が、忙しなく長い髪の毛先をいじりながら、ソファで待ちぼうけていた。
と言っても、待ち合わせた時間にはまだ早く、三十分近くの猶予があるのだが。気が急いて、早く来過ぎてしまったのだった。
と、そんな少女に近づく人影が。
「ご機嫌よう、石上さん。待たせたね」
「あ、おじ様。だ、大丈夫です! わたしもさっき来たばかりですから! ……あっ、ご、ご機嫌よう!」
待ち人が見えるや否や、少女──石上碧乙はすっくと立ち上がり、緊張も隠せないままに挨拶を返す。
まるでデートの待ち合わせのようになってしまっているが、それにも気付けないほど緊張しているらしい。
それがおかしいのか、和装に着替えた“彼”は小さく笑っている。
「あの一件以来、まともに話すのは、これが初めてだね。ずっとお礼を言いたかったんだ」
「お礼、ですか……?」
「うん。助けてくれて、ありがとう。あの時、石上さん達が来てくれなかったら、きっと、俺も死んでいただろうから」
面と向かって、しっかりと眼を見つめながらの、感謝の言葉。
本当なら嬉しいはずなのに、碧乙はそれを受け止めきれない。
胸に湧き上がる苦さが、勝手に顔を俯かせてしまう。
あの夜、“彼”の友人を助けられなかった、罪悪感だ。
「……でも、わたしは……っあう」
ぐりぐりぐり、と。
やや強めに頭を撫でられ、溢れ出そうになった言葉は途切れる。
困惑しつつ“彼”を見上げれば、穏やかな笑みがあって。
「素直に受け取って良いんだよ。
まだ気持ちは切り替えられないかも知れないけど、俺が君に助けられたのは、紛れもない事実なんだから。
それに、そんな落ち込んだ顔で見舞いに行ったら、逆に心配されるぞ?」
少し雑で、気安い言葉遣い。
普通なら嫌だと感じそうな扱いなのに、不思議と心が楽になった。
ロザリンデや特別寮の仲間とは違う形で、何か、通じ合っているような感じがした。
その不思議な感覚に任せ、碧乙は怒ったように頬を膨らませる。
「……もうっ。髪が乱れちゃったじゃないですか。せっかく綺麗に整えたのに!」
「ごめんごめん」
口では怒っているけれど、自然と笑顔になっているのが分かった。
“彼”も楽しそうに笑っており、ようやく碧乙も、自分が必要以上に緊張していたのを自覚する。
「ところで……石上さんは、もう何度か会ってるんだろう?」
「はい。まだ三回ですけど」
受け付けを済ませ、碧乙が先導をする間、話すのはもちろん、見舞い相手の事である。
北河原伊紀。
長らく検査入院が続いていた、例の強化リリィ。
体調、精神状態、共に良好だという結果を踏まえ、年の近い碧乙が面会を続けていたのだが、今回の面会──“彼”の同席は、伊紀からの要望だった。
「どんな子、なのかな。あちらからの希望とはいえ、意識がある状態では初対面な訳だし、失敗しないように前情報が欲しいんだ」
「失敗って、そんなに身構える事じゃ……」
「なんでも良いんだよ。話が途切れて気不味い沈黙が広がったりしたら、色んな意味で辛いじゃないか。頼む!」
エレベーターで地下へ下りた先は、いわゆる隔離病棟だ。
こう言うと聞こえが悪いかも知れないけれど、好奇の目線から守る必要がある患者にとっては、こういう環境も必要なのである。
それはさて置き、拝むように手を合わせる“彼”に、碧乙は苦笑いしつつ答えた。
「そう言われましても、あんまり多くは知りませんよ? 言葉遣いが凄くお嬢様っぽい事とか、気配り上手って事くらいしか」
「なるほど。という事は……どういう話題を展開すれば良いんだろう……」
「大丈夫ですっ。そういうのも含めて気を遣ってくれますから! ……本当に、わたしなんかより、ずっとずっとしっかりした子で……」
……が、思い出すほどに自分の不甲斐無さが身に染み、落ち込み始めてしまう。
気落ちしているだろうからと、無駄にテンションを上げて行ったら、会話中に噛みまくって笑われた事や、彼女の話を聞くはずが、いつの間にか逆に自分の身の上話をしてしまっていた事など、正直、やらかしの方が多い。
決して嫌われてはいないと思うけれど、あまり尊敬もされていないだろうなぁという、悲しい確信があった。
「あー、その、あれだ。あんまり待たせてもいけないし、そろそろ行こうか。ね?」
「そ、そうですねっ」
うっかり足も止めていたらしく、碧乙は慌てて歩き出す。
足早になっているのは、“彼”が微笑ましいものでも見ているような表情をしていたからだろう。気恥ずかしさも手伝い、以降は顔すら見れない。
程なく目的の部屋に到着したのが、せめてもの救いか。
事前の打ち合わせでは、まずは碧乙だけで入室し、伊紀の準備が出来たら“彼”が入る、という手筈である。
確認するために控えめに振り返ると、頷いたような気配。それに頷き返し、碧乙は病室のインターホンを鳴らす。
『どうぞ』
すると、スピーカー越しにも儚さが伺える、可憐な声が入室を促した。
失礼します、と断りながら足を踏み入れ、目線避けのカーテンを回り込めば、入院着にカーディガンを羽織った少女が、ベッドの上で微笑んでいた。
「ご機嫌よう、伊紀さん」
「まぁ、碧乙お姉様。ご機嫌よう」
まずは百合ヶ丘女学院の生徒らしく、優雅に挨拶。
正確には、伊紀はまだ百合ヶ丘の生徒ではないのだが、在籍する事は確定なので、間違ってはいない。
本人の纏う雰囲気も相まって、生え抜き──幼い頃から百合ヶ丘で教育を受けたリリィとも遜色のない、気品があった。
「体の調子はどう?」
「はい、すっかり良くなりました。明日には外出も許可されるんですよ」
「そうなんだ! じゃあ、これからは一緒にお散歩とか出来るわね!」
碧乙がいつもの定位置……ベッド脇の椅子に座ると、そこから些細な世間話が始まる。
明日の天気、今日のカフェテリアの日替わりメニュー、碧乙お勧めの癒しスポット。
話は尽きないように見えたが、ふと会話が途切れた瞬間に、伊紀が恐る恐るといった様子で口を開く。
「えっと、碧乙お姉様? 今日は、その……」
「ええ。約束だったものね。来てもらっているから……おじ様?」
上目遣いに訴えかけられ、碧乙は自動ドアの向こうへ呼び掛ければ、ややあって、ドアのスライドする音と靴音が続いた。
けれど、そのまま姿を見せるかと思いきや、カーテンの際で何故か立ち止まり、約十秒。
どうしたのだろう? と二人が首を傾げた頃になって、ようやく“彼”は顔を見せた。
「初めまして、になるかな。北河原伊紀さん」
「はい。初めまして。このような格好での御挨拶となってしまい、お恥ずかしい限りです……」
定型文の挨拶は、しかし重い空気感を伴って交わされる。
いや、緊張感と表現した方が正しいかも知れない。
実際、碧乙は重々しい雰囲気を取り繕う事も出来ず、ただ見守るしかなかった。
「ずっと、お会いしたいと思っていました。直接お会いして……謝りたいと……」
「謝る……?」
「……わ……私を助けるために、大変な…………ご、ご迷惑、を……」
伊紀の体と声は震え、薄桃色の瞳も揺れている。
何故なら、知っているからだ。
自分を救出するために、多くのリリィが怪我を負った事を。
同系列の実験を施された一人の人物が、戦いの最中、命を落とした事を。
そしてそれが、“彼”の古い友人だった事も。
「本当に、申し訳ありませんでした……。ごめんなさい……私の、せいで……」
体勢の許す限り、深々と頭を下げる伊紀。
これが彼女に許される、唯一の気持ちの表し方だった。
他にどうすれば良いのかなど、まだ幼く、ただ巻き込まれただけの少女に分かるはずもない。
沈黙が続いた。
耳鳴りがする程の静寂の後、“彼”は小さく溜め息をつく。
「酷な言い方をさせて貰うよ。……俺達は、君にお礼を言って貰ったり、謝って貰うために助けた訳じゃない。そんな風に頭を下げられても、嬉しくはない」
「お、おじ様……⁉︎」
「……そ、そうですよね……。私の謝罪になんか、なんの意味も……」
突き放すような物言いに、碧乙は驚き、伊紀は自嘲する。
どうしてそんな言い方を……と視線で責めるが、“彼”はそんな碧乙を置いてベッドの反対側に回り込み、床へと膝をついて、眼の高さを伊紀と合わせる。
伊紀は、顔を上げられなかった。
“彼”がどんな顔をしているのか、恐ろしくて堪らなかった。
だが、続く言葉の響きに、予想していた冷たさは無く……。
「俺や石上さんが、みんなが命を賭けたのは、君に生きて欲しかったからだ。
でも、それは勝手にやった事だから。君が負い目や責任を感じる必要なんてない」
「で、ですが……」
「……そうだね。そんな風に言われたって、難しいよね。けどさ。それがきっと、生きる、って事だと思うんだ」
おずおずと、伊紀が顔を上げる。
そこにあったのは、悲しげな笑みだった。
笑顔というには不恰好で、泣き顔というには温かな、心からの労りを感じる、複雑な……。
「すぐには気持ちが前を向かないだろうし、辛い気持ちが蘇る事もあると思う。だけど、そんな時は周りを頼ればいい。だろう?」
「……あ、は、はい! おじ様も、わたしも側に居るわ! どんな時だって、力になっちゃうから!」
不意打ち気味に水を向けられた碧乙だったが、未だ震える伊紀の手を握るのに、迷いは無かった。
伊紀は茫然と二人の顔を見比べ、やがて、端整な顔立ちがくしゃりと歪められる。
「……はい。私、嬉しいです……っ!」
溢れそうになる涙を拭いながら、それでも笑おうとする伊紀。
きっと、本当に嬉しい気持ちが半分、空元気がもう半分、といった所だろう。
心と体に傷を負い、すぐに立ち直れる人は少ない。それどころか、立ち直れずに折れてしまう人だって居る。
けれど、一緒に立ち止まり、手を繋いで待ってくれる、誰かが居るのなら。
それならきっと、いつか前を向ける日が来ると、そう思えた。
少なくとも、碧乙自身がそうだったのだから。
「さぁ、湿っぽい話はここまで。もっと明るい話にしよう! 北河原さ──」
「あ、それなのですけど」
「ん?」
柏手一つ、空気を変えようとする“彼”だったが、早速そこで伊紀が手を上げる。
「苗字だと、どうしても長くなってしまいますので。どうか私の事は、伊紀と呼んで下さいませんか」
「え。あ〜…………じゃあ、伊紀さん?」
「伊紀、です」
「……伊紀ちゃん」
「い、の、り。ですよ」
「………………」
「……駄目、ですか……?」
「………………………………」
先程までと打って変わり、妙に強く推す伊紀。
かと思えば上目遣いにしおらしく、同性であっても絆されそうな、愛嬌たっぷりの照れ顔でお強請りを。
“彼”の頬は引き攣っていた。間違いなく困っている。
が、ここで碧乙にも、ふと悪戯心が湧いた。
突き放すような言い方で肝を冷やされた分くらいは、仕返ししても許されるのでは?
いつも余裕のある言動の“彼”が本気で困っている姿を、もう少し見ていたい気もするし。
こんなチャンス、滅多にないはず。
という事で、碧乙も全乗っかりする事にした。
「良い機会ですから、わたしの事も碧乙って呼んで下さい。苗字だと、他人行儀な感じがして寂しいです。ね、兄さん?」
「ちょ、石上さんまで何を……」
「碧乙お姉様、兄さん、とは?」
「身分を偽る必要があった時に、ちょっとね。……それとも、わたしなんかが妹じゃ、嫌ですか……?」
「ぐ、う……っ、そ、その言い方はズルいんじゃないかなぁ……⁉︎ というかだね、百合ヶ丘女学院の生徒ともあろう者が、みだりに男性から名前で呼ばれたいだなんて……」
「大丈夫です! わたし、理事長代行と家族とおじ──兄さん以外に男性の知り合い居ませんから! みだりに、じゃありません!」
「屁理屈を捏ねないでくれ、頼むから」
「……いいなぁ……」
意味もなく胸を張る碧乙。
盛大に溜め息をつく“彼”。
気の置けないやり取りを羨ましげに見つめる伊紀。
そこにはもう、重苦しい空気感など微塵もなかった。
普段はしない意地悪を楽しんで。困っているようで顔は笑っていて。二人に釣られて、笑ってしまって。
心温まる触れ合いが、確かにあった。
「……っと、もうこんな時間なのか。すっかり長居しちゃったな」
「あ、本当ですね。根が生えると良くないって言うし、今日はそろそろ……」
「えっ。もう、行ってしまわれるのですか?」
なんやかやと時間が過ぎ、そろそろ日が暮れるという頃合い。
やおら立ち上がる二人を、伊紀が寂しそうに見つめる。
仕方がないと言え、閉鎖空間での入院生活だ。一人で居るのは退屈なのだろう。
それを受けた碧乙も、慕ってくれる後輩が可愛いくて仕方ないのか、年上ぶった素振りで微笑む。
「そんな顔をしなくても、また来るわ。ですよね?」
「もちろん。君が望んでくれるなら、だけど」
「はい、是非にも。……それと、一つお願いが」
“彼”の返事に、はにかむ笑顔を見せる伊紀だったが、言葉を付け加えるのと同時に、心細げな苦笑へと変わってしまう。
「明日の外出に、お付き合い頂きたいのです。一人だと、どうしても……勇気が、出せそうになくて」
胸元で拳を握り、意を決したように声を絞り出す。
言葉足らずな願いだったけれど、それの意図する事は分かりやすかった。
彼女にとって、勇気を振り絞らなければ出向けない場所。
彼女にとって、言葉にしにくい事柄。
すなわち……霊園に行き、墓参りをしたいのだろう。
“彼”は一も二もなく頷いた。
「分かった。時間を教えて貰えれば、迎えに来るよ。石上さんは、どうする?」
「…………行きます。行かせて下さい」
「……うん。にしても、両手に花か。なんだか祟られそうだ」
「こら、駄目ですよ兄さん? そんな言い方」
おどける“彼”を碧乙がたしなめ、病室には小さな笑いが響く。
どこか切なく、胸を締め付けるような、寂しい笑い声が。
唐突だが、百合ヶ丘女学院中等部二年生、高畑聖咲は困っていた。
とても、とても、困っていた。
(ううう……。どうして、どうしてちゃんと反応してくれないの……?)
場所は、主に学院の生徒達が使用する、様々な書物が蔵された図書室。
既に日が暮れてかなり経つそこで、聖咲は書籍を検索するための端末前に、もう三十分は居座っている。
何故ならば、端末が思い通りに反応してくれないからだ。
文字を打とうにも、タッチパネルは押した部分の隣の文字を認識し、やっと打てたかと思ったら、誤変換してしまってやり直し。
何度も何度もこれを繰り返していて、利用者の全く居ない時間帯でなければ苦情が入っていたであろう有り様である。
リリィとしては、肉体・精神、共に才能に溢れた有望株。
日常においては、やけに不器用で、見事なドジを踏みまくる少女。
これが高畑聖咲の周囲からの評価だった。
今も無言で涙目になっている(無言過ぎて図書委員にも気付かれていない)彼女だが、検索開始から約三十六分後にして、ようやく救いの手が差し伸べられた。
「……君、大丈夫かい?」
「へっ⁉︎ あ……え、と…………おじ、様?」
「久しぶりだね、高畑さん。ご機嫌よう」
「……ご、ご機嫌、よう……」
聖咲に声を掛けたのは、少し前に知り合った、百合ヶ丘女学院で数少ない男性……通称、おじ様であった。
一部の生徒からは存在自体を忌避されたり、逆に“彼”のファンを自称する生徒も極小数存在するなど、両極端な評価が混在する人物であるが、聖咲は特に嫌ってはいなかった。
むしろ、一度会っただけの聖咲の顔と名前が一致している辺り、記憶力いいんだ、と感心していた。
そんな“彼”は、聖咲の手元……滅茶苦茶な文字列が表示される検索端末と、聖咲の顔とを見比べ、何かを察したらしく。
「……代わろうか?」
と、申し出た。
かあぁ……と顔が熱くなるのを自覚する。
間違いなく、残念な子扱いされている。単純に恥ずかしい。
けれどこのままでは、欲しい資料がいつまで経っても借りられない。
恥を忍んで、聖咲は頷いた。
探している書籍名が書かれたメモを渡すと、“彼”は簡単に検索し終える。
「奥の書棚だね。C2の上から三段目に纏まってる」
検索結果を教えてもらい、聖咲は無言で深々と、何度も頭を下げた。
根っからのぶきっちょである彼女だが、百合ヶ丘に来てからというもの、困っている時には必ず誰かが助けてくれて、ぶきっちょ故の損害は少なくなっている。
それだけが理由ではないけれど、とにかく感謝の気持ちは伝えなければ。
しかし言葉にすると、無駄に噛んで笑われてしまう可能性も低くないため、ひたすら頭を下げているのだ。
ところがどっこい、それすらも別のドジを引き寄せ……。
「あ、高畑さん前──」
「っづぁうっ⁉︎」
頭を上げきらない内に、急いで奥へ向かおうとした結果、手前の書棚に頭から激突した。
ゴスッ、という鈍い音が響き、脳内では火花が散っている。よりにもよって角に当たった。とてつもなく、痛い。
思わず頭を押さえ、その場にうずくまる聖咲を見て、“彼”が心配そうにしている。
「なんか、心配だから着いて行くよ……。いいかな」
「……っ、はい……」
しばらくして、やっと痛みが引き始めた頃、“彼”はそう言って手を差し出す。もう恥ずかしくて顔も見られない。
少々悩んだ末、聖咲は“彼”の手を取り、ゆっくり立ち上がる。
今日はいつもより“やらかし”が多い。一人で居るとまたやらかして、貴重な書物などをダメにしてしまったりするかも知れないし、誰かに見守ってもらう方が、色んな意味で安心だろう。
そんなこんなで、二人連れ立って図書室を進む。
「CHARMに興味があるんだね。アーセナル志望?」
間を保たせようとしたのだろう問いかけに、聖咲は少し考えてから首を振った。
探していたのは、現代魔科学技術応用・CHARM編と、真島百由謹製の論文・CHARM構成部品の今昔、である。
これを見れば勘違いされても仕方ないが、アーセナルになりたい訳ではなく、純粋に興味があり、かつ将来的にも必要になるかも知れないので、予習しておこうと思っただけである。
もちろん、アーセナルの道に進む可能性もあり得るけれど、まだ聖咲は中等部。焦って決めるよりも、じっくり学びながら進路を決めたかった。
そうこうしている内に、目的の書棚の前に着いた。
上から三段目という話だったが……手が届かないほど高い位置にある。図書室の天井自体が高いせいだろう。
「ここだね。足場を持って来るから、少し待っていてくれるかな」
「あ……わたしが……」
「いいからいいから」
まごまごしていると、“彼”は早々にキャスター付きの足場を持って来てくれる。
結構な大きさで、聖咲が自分で動かそうとしたら大変だったかも知れない。
他の棚にぶつけまくったりして。
「はい、お待たせ。それじゃあ、うっかり足を踏み外したりしないよう、一応気をつけて」
「……あ、ありがとう、ございました……」
「どういたしまして」
今度は言葉と一緒に頭を下げ、軽く手を振って離れた“彼”を見送る。
それを横目に、聖咲も目的の資料を探し始めた。
(……そう言えば、おじ様は、何を探してるんだろう)
ふと気になり、“彼”の様子を見てみると、少しだけ離れた棚で立ち止まり、並べられた書籍の背表紙を確認していた。
聖咲の探しているのが科学技術関連で、そう離れていない棚にあるなら、同じ技術関連だろうか。
ともあれ、聖咲は程なく資料を探し当て、足を滑らせないよう、慎重に慎重に足場を降りる。
すると、ほぼ変わらないタイミングで探し終えたらしく、何冊かの資料を手にする“彼”と目が合った。
「探し物は見つかったかい?」
こくり、と頷く。
それは良かった、と“彼”。
助けてもらったのだから、後で何かお礼を……と考えつつ、なんとなく“彼”の持つ資料を気にしていると、それを察した“彼”がタイトルを見せてくれた。
最新版・防衛軍公式装備目録。
一般には公開される事のない、いわゆる機密資料の一種だ。
ちなみに、聖咲の探していた資料は、手順を踏めば一般人でも閲覧可能である。
「少し、昔の知識を復習しとこうと思ってね」
「……昔……?」
「今ではCHARMを使って戦えるけど、少し前まで、防衛軍のマディックとして働いてたんだ。その時の戦術だよ」
元マディックであると聞き、聖咲は少し驚いた。
あまり“彼”個人に興味がなく、友人達の噂話も聞き流していたせいだが、“彼”はそのまま付近の机に着き、資料を広げる。
借りずに読んでいくつもりらしい。それか、貸し出し禁止なのやも。
声を掛けずに帰るものあれかな……と、タイミングを逸した聖咲は、なんとなくそれを眺める。
「マディックは、リリィと肩を並べて戦えない。
それでも前線に出なければならないし、ヒュージとの戦闘も強いられる。
では、どうやって生き延びるのか。分かる?」
ページを捲りながら、“彼”は背後の聖咲に語る。
若干の興味が湧き、隣の席へ。
手が止まったのは、各種爆発物の解説が始まる項目だった。
「答えは、徹底的に相手の行動を妨害する、だ」
「妨害……」
「そう。逃げに徹するのもありだけど、それは逃げられる場合だけだからね。
接近してきそうなら足を狙って遅らせる。
撃たれそうなら、先に攻撃部位を撃って狙いを外させる。
逆に逃げられそうなら、退路を塞ぐために建物を破壊する。
言うのは簡単だけど、全てタイミングが命だし、何より爆発物とかが必要にもなってしまうのが難点だね。AHWでは、ほぼ倒せないのが辛かったよ」
「……なるほど……」
まだ本格的な実戦経験の乏しい聖咲にとって、現場の意見を聞けるのは貴重だった。
実戦ではリリィだけが戦うのでなく、マディックと共闘する場面も多いらしいので、どんな風に動くのかを知っておけるのは、大きなアドバンテージとなるだろう。
「でも、新兵器は常に開発されてるし、より効果的な手榴弾とかも出てきてる。
上手く使って連携できれば、リリィの支援にもなる。
だから、今まで使ってた装備や、新しく開発された物を、一通り見ておこうと思って」
そう言うと、聖咲にも見えるようにページが示される。
昔ながらの成形爆薬や手榴弾、発煙弾や焼夷弾に閃光弾、グレネードランチャー、ロケットランチャー、対戦車ミサイル、地対空ミサイル、果てはEMP爆薬や、最新のマイクロフィルム爆薬……。
多岐に渡る装備をどうやって、どんな風に使うか、“彼”は思い返すように教えてくれた。
特に興味深かったのは、災害救助に際しての爆発物使用時の注意点や、ヒュージの視覚素子に対する閃光弾の使用限界などだ。
実際の使用感から、ちょっとした失敗談まで交えての語り口は、退屈せずに聞くことが出来た。
「おじ様は……勤勉、なんですね」
「……そうでもないさ」
「え……?」
「そういえば、安藤とはあれから仲良くなれた?」
「あ……安藤さんとは、その……はい……」
不意に聞こえた重い声は、共通の知人の話題に掻き消える。
まだ知り合って間もない同級生だが、時折、猫と戯れる安藤鶴紗を見つけ、それを遠目に見つめてホッコリしていると、手招きされて混ぜて貰える……といった交流をしていた。
特に会話も無く、猫に対して「可愛い……」「うん、可愛い」と呟き合うだけの時間が、何故か心地良いのだ。
訥々と、しかし聖咲としては珍しく饒舌に、他愛ない思い出話が語られる。
“彼”は右腕をさすりながら、それを楽しそうに聞いていた。
図書委員が閉室を告げるまで、この穏やかな時間は続くのだった。
夢だ。
また夢を見ている。
夢の中で、俺は一人の少女になっている。
白髪の、年若い少女に。
(……寒いなぁ)
雨が降っている中を、傘も差さず歩いている。
雨粒に煙る視界には、整然と張られた軍隊色のテントや、複数の車輌が見え、迷彩服姿の人影が幾人も歩いていた。
どうやら、防衛軍の前線基地にでも居るらしかった。
そんな中、体に叩きつけていた雨が、不意に遮られる。
「……体に障ります」
誰かが、傘を翳してくれていた。
声から察するに、初老の男性だろうか。
彼も迷彩服を着ている。
「……どうも」
少女はお礼を言うけれど、男性が予備の傘を持っていないのを見破ると、受け取らずに歩き出す。
しかし、少女が歩くのに合わせて、傘もまた移動して。
「どちらに向かわれるのですか?」
「……貴方には、関係ないですよね」
関わらないで欲しい、と暗に告げる少女。
身長差があり、そもそも男性を見ようとしないせいで不確かなのだが、彼は苦笑いを浮かべたように感じた。
「そうですね。関係ありません。……ですが、心配になりまして」
「心配……?」
「随分と、疲れているように見えましたから」
その言葉に、少女は少なからず動揺したらしかった。
唇をキュッと噛み締め、拳も握り、己を奮い立たせるようにして、男性に反論する。
「問題ありません。私は普通の人間じゃありませんから。例え疲れても、風邪をひいても、少しマギを使えば大丈夫です。心配は無用です」
普通の人間じゃない。
強化リリィ、という事だろうか。それとも、マギを宿す人間全てを含めた皮肉か。
どちらにせよ、とても強い感情を伴った言葉だった。
まるで、強くあらねばと、言いたげな……。
「だったら、そんな顔で大丈夫なんて、言わないで下さい」
「……え?」
そんな少女に対し、男性は静かに、そして悲しそうに語りかけた。
少女が初めて、彼を見ようと顔を上げる。
「今の貴方の顔は、見ているこっちの方が、辛くなります」
どこかで聞いたような……言ったようなセリフを口にする、男性は。
その、顔は──────
驚愕の新事実! なんと碧乙ちゃん、口が悪いらしい!(公式ツイートより) やぁっちまったなー!
でも大丈夫、この作品の碧乙ちゃんはまだ中学生だから!
二年もあれば世の荒波に揉まれて、スれて言動が荒くなる事くらいあるから! 洗濯科学だ(アリエール)から!!
まぁ覚悟はしてましたんで、原作前は今のまま、作中時間が経過したら寄せていく事にします。ご了承下さいませ。
さて、こっからラスバレ話。ユリの花咲く場所、良かったですよね……。
アニメの補完がしっかりされてて、お陰で結梨ちゃんの不在がより悲しくなりましたありがとうございます…………おのれG.E.H.E.N.A(運営)!
あ、メモリアは神引きしたんで普通に完凸させましたぜ。チアコスえっちくて好き。
というか最近のメモリア、えっちいの多くありません? 和風怪盗コスもそうですけど、千香瑠さんの競泳水着とか角度が……良いぞもっとやれ。
んで、出来れば今年中に終わらせたかったPC編ですが、ご覧の通り無理でした。ごめんなさい。多分、来年一発目の更新で終えられる、はず。
シリアスな話は手を抜けないので、どうしても時間かかってしまい……。申し訳ない。
何はともあれ、いくつも感想や評価を頂いたり、誤字報告などで助けて頂き、ありがとうございました。
来年も、どうぞ宜しくお願い致します。だいぶ気が早いですが、良いお年を!