Card World 作:さすらいのカードバトラー
「マジでなにもないな」
「……ほんとうね」
二組の組み合わせはすんなりと一回のグッパーで決まった。
俺と明日香
ミモリとまゐ
コーリンとミミ
俺たちはアパートから西の方を探索。ミモリたちは東を、コーリンたちは北の方を探索することになった。
歩き始めたのはいいが、辺りには特に建物はなく、灯りのついてない街灯とアスファルトの道があるだけだった。
「なにをしてるの?」
「んっ?」
街灯の裏を覗いていた俺に明日香が声をかける。
「カードとか落ちてないかなぁと思って。ゲームではわりとあるからさ」
「……」
「おい、そんな目で見るな」
明日香が俺に呆れてたような視線を向けてくる。
……まったく、ゲームでは定石だというのに。
しかし、デッキがないのは本当に致命だ。しかしせっかくカードゲームのヒロインたちとも会えたんだし、一緒にカードゲームしたいものだ。
「やっぱデッキ欲しいなぁ」
「そういえばあなた今、デッキがないんだったわね」
「そうそう。というかこの状況、絶対デュエルなりカードゲームしなくちゃいけない状況になりそうだし」
「集まった全員がなにかしらのカードゲームのプレイヤー……可能性はあるわね」
異世界でカードゲームなんて鉄板中の鉄板だしな。彼女たちは慣れているから良いが俺はそんなことはなかったので不安がすごい。せめて生死を賭ける闇のゲームだけはないことを願う。
「そういえば明日香は留学する予定だったんだよな」
「ええ。ただこの訳の分からない世界にとばされちゃったけど」
「なるほど」
「そういう優斗は会社員になるからデュエルリストを引退するみたいなことを言ってたけどどうして?」
「んっ、それは両立が難しいからというのもあるが、なにより身近に対戦相手もいなかったからなぁ」
実家から離れて都会でできたからデュエルする相手いなかったんだよなぁ。いても続けていたかは微妙だが。
「まぁ、明日香の世界ほど盛り上がっていたわけじゃなかったからなぁ。プロやそのデュエルアカデミアっていうデュエリストを育成する学校もなかったし」
「そう……あまりこっちでは考えられないわね」
「しかしデュエリストを育成する学校ってやっぱり楽しそうだよな。というかデュエルで飯が食べていけるなんてすごい世界だよ」
「デュエルで生きていけるって言っても、本当に強くて良い成績を上げてるプロデュエリストくらいよ。実際、デュエルアカデミアに行っても必ずプロデュエリストになれるとは限らないしね」
「それでも、プロという道があるだけすげぇよ」
「もし優斗がこの世界でデッキを手に入れたらデュエルしたいものね」
「ふっ、その時は俺の実力を見せてやる」
「楽しみにしてるわ」
俺はこれからのことに楽しみを抱きつつも、探索を続ける。しかしこれといった建物もなく時間だけが過ぎていった。そんなとき、何も変わらなかった景色に変化が訪れる。
「あれは公園じゃないかしら?」
「ほんとだ。わりと広いな、噴水もある」
「行ってみましょう」
俺たちは公園を見つけると、早速中に入って調査を進める。噴水の前にベンチがあり、近くに自動販売機があった。
「おっ、これで飲み物を確保できるかな」
「ねぇ、優斗。こっちに来て」
「どうした?」
俺は明日香に呼ばれて彼女の元へ向かう。
そこにはなにやら意味ありげなモニターが配置されていた。よく見るとモニターの下にカードらしきものが出てきそうな口がある。触っても特に反応はしなかった。
「なんか見覚えあるんだよな。この機械」
「ほんと?」
「だが思い出せん。最近、見たような見てないような」
俺はこの見覚えのあるモニターを思い出そうとするがなかなか思い出せない。すると、スマホにメッセージが届く。
「優斗、コーリンから」
「何か見つけたか?」
内容を確認する……おっ。
なんとメッセージにはスタジアムと思わしき建物を見つけたそうだ。なのでアパートに戻り合流して、スタジアム周辺を探索しようという提案が書かれている。
俺たちはそのメッセージに賛成する旨を書き返信をして、来た道を戻りアパートへ向かった。
「あれ、ミミは?」
「ミミには例の場所で待ってもらっているわ」
アパートの前に着くと、そこにはコーリンが下の階で待っていた。どうやら、ミミには現地で待ってもらっているようだ。
「一人で大丈夫なのか?」
「他に人の気配もなかったし、本人が待つって言ってたから……それに彼女強いみたいだし」
「ああ、なるほど」
彼女なら余程やばい相手じゃない限り大丈夫か。
「私たちが最後かしら?」
「お待たせしました!」
まゐとミモリが少し遅れて、こちらにやってきた。
ミミ以外がこの場に揃ったことで俺たちはコーリンに連れられ例の建物へ向かう。
「それで建物ってどんな感じだ?」
「うーん。少し小さなめのスタジアムに見えたわ。スタジアムなら周辺に人がいたり、お店があってもいいと思うんだけど……。中も入れなかったし」
「やっぱりか」
「こちらでも公園みたいな広場があって、自動販売機によく分からないモニターがあったわ」
「私たちのところには特に何も……」
「ほんとここは一体どこなのかしら」
皆んながこの不思議な世界について首を傾げる中、目的地に到着する。
「あっ、きたきた。こっちこっち!」
「わりと近いところにあるんだな。というかほんとにスタジアムのドームみたいだ」
「すごいです……あっ!」
「どうしたの、ミモリ」
「このスタジアム……私の世界にあるシャドバスタジアムに似てる気がするんです」
俺は記憶を思い出して、目の前のスタジアムと照らし合わせる。
……言われてみれば、確かに似てる気もする。
しかし、このようなスタジアムなんてあっちこっちにあるような気もするしなぁ。
……というか思い出した。
シャドバスタジアムをみたことで、俺は先ほどのモニターがなんなのかを思い出す。あれはswitchのシャドバ……シャドウバースチャンピオンバトルに出てきたシャドバベンダーだ。
シャドバベンダーではゲーム内通貨を使用して、カードを生成することができたはず。もしかしてあの機械で俺のデッキも作成できるのではないだろうか。シャドバのアニメを見ていたので、ついつい買ってしまったが、おかげでこの可能性に気付くことができた。
「ミミ、何か変化はあった?」
「うんうん、何も。やっぱり一発殴ってみる?」
「試してみる価値はあるわね」
なにやら、ヒロインたちが物騒な話しをしているようだ。俺は完全に扉をぶっ壊す流れで話しが進んでいることに戦慄していると、突如として周りにあった街灯に灯りがついた。
「なに!」
「街灯が……」
「時間になると、灯りがつく仕組みか?」
「見て、扉が開いたわ」
街灯がついた瞬間、少し遅れてスタジアムの自動ドアが開く。どうやら俺たちは歓迎はされてるらしい。
「どうする?」
俺は皆んなを見渡して問いかける。
しかし、ここで立ち止まっても何も分からないことはみんなが承知のはず。
俺は皆んなが頷くのを確認して中に入っていく。中は広い空間が広がっておりベンチや自動販売機、さらに公園にあったシャドバベンダーらしきモニターが配置されていた。
さらに前へ進んでいくとカウンターが見えてくる。
「あっ、プレイヤーさん方ですね。はろはろ、ようこそカードスタジアムへ!!」
すると、そこには一人の女性が俺たちを出迎えるようにして立っていた。
天上院明日香
作品:遊戯王GX、遊戯王ARC-V
今作では遊戯王GXから参戦。
男勝りな性格だがツンデレであるヒロイン。
サイバー•ガールの使い手。
デュエルアカデミアで優秀なクラスであるオベリスク•ブルーの女王という異名を持つ。実力はもちろん、異次元での旅を含め数々の危機を乗り切ってきた。
留学か研究生になるか悩んでいたが十代とのペアデュエルをきっかけに独立することを決める。
今作ではデュエルアカデミア卒業後にこの世界に飛ばされた。