Card World 作:さすらいのカードバトラー
「俺の切り札たちを見せる日は近そうだ」
「はいはい、分かったからそこの箸をとってよね」
「おい、やっぱ俺のデッキ興味あるだろ。なんだその薄い反応は」
「このお肉美味しいですね!」
「ダメだ。誰も聞いてない……」
俺たちチームハンドレッドはスタジアムの調整をしていたマイに誘われ皆んなで鍋を囲っている。
俺は自分のデッキを発見後、俺以外のヒロインたちのショップを確認した。するとそれぞれの俺の各カードゲームのデッキがヒロインたちのショップで販売されていることが判明した。ポイントはそれぞれのカードゲームのポイントで300ポイント。スタジアムマッチやレイドマッチで順調に勝ち上がっていけば、一カ月以内には手に入れられるかもしれない。
「まぁ、冗談はともかく。優斗がデッキを持てば戦える人数が増えて、ポイントを獲得できる手段を増やせるのは確かね」
「そうね……でも優斗って強いの?」
「おい、なんだその信用なさげな目は。少なくともミミよりは強いぞ」
「ふーん、なら今度やってみる?」
「上等だぜ」
「ともかく、スタジアムが使えるようになったら誰が最初に戦うかね」
『……』
明日香の言葉に空気がピリつく。
俺はデッキがないからともかくとして、皆んなは歴としたカードゲームのプレイヤーだ。誰もが一番に戦いたいと思うだろう。だがスタジアムマッチでもポイントの増減は発生する。責任は重大だがそれは承知の上でこの空気を出してるようだ。ちなみに俺はどのデッキを最初に持つべきか見極めるためこのスタジアムマッチ参戦は見送った。
しかし、二人がこの話し合いから離脱した。
「あの〜、私は遠慮しておきます」
「私もここは他の皆んなに譲るね」
ミモリ、まゐの二人が静かに後ろに下がる。
さてさて、どうこの場を収めるか。
「ここはジャンケンとかでどうだろうか? 皆んなのカードゲームの勝率とかは当てにならないし、決め手にかけるからな」
「……そうね。二人もそれでいいかしら?」
「仕方ないわね」
「それで問題ないわ」
明日香の提案にミミとコーリンも頷く。
どうやら揉めずに誰が戦うか決められそうだ。
「じゃあ、いくわよ」
「おっけー」
「わかったわ」
三人は箸を置き、拳を振り上げる。
誰が最初に戦うか、それはすんなりと決まった。
鍋を食べ終わると、俺はミミと一緒にスタジアムの外で夜風を浴びながら話していた。
「あーあ、負けちゃった。残念」
「運がなかったな」
「まぁ、初手を譲っただけだしね」
スタジアムマッチの記念すべき一戦は明日香が勤めることになった。選ばれなかったミミはふてくされると思っていたが、そんなに気にしてないらしい。
「しかし、どんな相手が出てくるんだろうな」
「うーん、どうだろう。そうだ、白凰様はこちらの世界に来てないかしら」
「……白凰様って一体」
「白凰様を知らないなんて。これは説明するしかないわね」
という形でミミから白凰様の説明が正味、30分続いた……いや長いわ!
白凰
デュエルマスターズに登場した主人公の友人であり、光文明のカードを扱うデュエリスト。
主人公に会うまで冷血な性格であったり、ザキラに洗脳されて悪役のイメージもある。しかし根は心優しい性格を持ち皆んなから白凰様とも言われて慕われていた。
ミミはその白凰様に仕えていた元四天衆の一人だし、物凄く慕ってたからここまで熱心に説明してくるのも納得だな。
「そりゃすごい人だったんだな」
「ふふーん、まぁね。この世界にいるならやっぱり高ランクにいるのは間違いないわね」
その大きな胸を張り、自信ありげに話すミミ。
しかし、チームの説明で思ったが俺のような立場のプレイヤーは多いのだろうか。アニメのキャラたちだけがプレイヤーとしているのなら白凰もいたとして高ランクにいるだろうが、俺のようなプレイヤーたちが沢山いるのならそうとも限らないし……。
「あら、心配ごと?」
「んっ。まぁ」
「デッキのことなら心配ないわよ。すぐにポイント手に入れて回収してあげるから」
どうやら、俺のデッキがなく不安そうに見えたらしい。
しかし……
「おっ、心配してくれてるとはな」
「まっ、一応リーダーだし。元気でいてくれないとね!」
こんな彼女の優しい一面に主人公や白凰も助けられていたんだろうな。
すると、彼女は話しを変えてくる。
「そういえばショップ見た?」
「ああ、確認したよ」
「ここのレアカードってやっぱりランクが上がったら増えたりするのかしら」
「だろうな」
明らかにカードが少ない、それに種類も。
「というか、カードのバラ売りもノーマルカードばっかだしな」
「デーモンハンドが500Dポイントって確かに強いけど……」
「高いよな」
「うん」
ショップのカードのバラ売りだが、在庫は無限にありそうで重要なカードは売られていたがいかんせん種類の少なさとポイントの高さがあった。しかもこれはデュエマに限った話しではなく他のカードゲームも同じようになっていたのだ。
「何か欲しいカードとかはあった?」
「うんうん。ほとんど珍しいカードではなかったし、私のデッキに入るカードはないかな。優斗は?」
「こっちもデッキを取り戻してから入れるカードはないかな。そうそうアルカディアスとか売ってないか」
「もう、アルカディアスなんてレアカードそんな簡単に売ってる訳ないじゃない」
「……そうだな」
ミミだけの話しではないが、レアカードの価値観が皆んなと違うから話しづらいんだよな。例えば明日香の世界でいうブラックマジシャンで家買えたりとか、まゐの世界の十二宮Xレアとか。ミミとの世界は割と価値観が違うと思っていたが、やっぱり差はあるか。恐らく唯一同じなのはミモリの世界か。
いや、伝説のカードがあったな。
……なんか、俺の世界が特殊みたいになってる気がする。
俺は欲しいカードを自由に手に入れた自分の世界を懐かしむ。しかし、この世界はどうだろうか。現時点で嫌な予感はするが……。勝ちあげれば手に入れられると信じたい。
俺がカードの入手方法を考えていると、マイから連絡が入りスタジアムの準備が出来たようだ。少し夜遅いが明日香に確認したところ、問題ないという旨をもらったので今晩デュエルすることとなる。
俺とミミはメッセージを見て頷くと、スタジアムの中へ戻っていった。
「皆さん、こっちです!」
「うわー、すごい!」
「結構、広いわね」
マイの手招きに応じて、皆んなでスタジアムマッチが行われる部屋に入っていく。そこで明日香はデュエルを行うため、デッキを持ちプレイヤーが立つエリアに入った。
「あっ、明日香さんはデュエルモンスターズですよね。これを」
「これはデュエルディスク?」
「はい、それを装着してちょっと待っててください」
離れててよく見えないがどうやらデュエルディスクを借りたようだ。明日香はそのデュエルディスクに自分のデッキを入れて準備を行う。なんかじっと見てるようだが、なにかあったか。
すると、見学予定の俺たちの元にマイがやってきた。
「では、皆さんはこちらへどうぞ。見学ルームへ案内します!」
どうやらマイが向かう制御室の横に見学ルームがあるようだ。マイの後ろをついていき、見学ルームにたどり着く。そこにはベンチや自販機、さらにデュエルを行うプレイヤーを移すモニターがあった。さらに明日香がいるところはガラス越しからも少し遠いが見ることができるようだ。
「わりと広いな」
「はい。スペースはとってあります。ではではマイは制御室にいってきますね! デュエル開始時にはアナウンスを流しますのでよろしくよろ!」
「ほいほい」
マイが隣の制御ルームへ入っていく。
するとミモリが俺に声を掛けてきた。
「優斗さんもデュエルモンスターズをやってたんですよね?」
「んっ、ああ」
「もし良ければルールとか少しでいいんで教えてもらえませんか。その方が明日香さんの戦いも見やすいと思って」
「あっ、それ私も知りたい!」
ミモリの言葉にミミも便乗する。さらに少し離れていたまゐやコーリンも集まってきた。二人もデュエルモンスターズのルールについて知りたいようだ。
「んじゃ、説明するか。デュエルモンスターズとはな___」
デュエルモンスターズについて説明を始める。
デュエルの始め方や勝敗の付け方、モンスターや魔法、罠カードについて解説を行った。
「なるほど。ライフがなくした方が勝ちなのはバトルスピリッツと共通してるわね」
「えっと、シャドバでも同じです」
「まぁ、確かにな」
しかし、そういえばここのデュエルモンスターズのルールがどうなってるか聞き忘れたな。
……ルール?
俺はふと首を傾げる。何か重要なことを忘れているような……。
「マッチングが成立しました。ではでは対戦相手が出現します!」
マイのアナウンスが入ると、明日香から正面に少し離れたエリアが光り出す。光りが止むとそこには一人の男が立っていた。またモニターにその男の情報が映し出される。男は虫らしいマークが書かれた緑の服を着ており、丸いメガネを書けていた。明日香はその人物について知っていたのか驚きの表情を見せる。
「しっしっし、まさか対戦相手がFランクのプレイヤーとはこれは楽勝だね」
「あなたは確か……」
インセクター羽蛾
遊戯王、遊戯GXに登場するデュエリスト。
昆虫族デッキを使用し、切り札はグレートモス。
遊戯王GXではプロデュエリストになったという話しがあった。しかしこのキャラが有名なのはあのバーサークソウルのシーンに他ならない。
モニターに表示されたランクを確認すると、Eランクのプレイヤーのようだ。ランクは自分たちより上だがそう離れていない。これなら大丈夫だろう、羽蛾だし。
「まさかプロデュエリストが相手なんてね。相手にとって不足ないわ」
「ひゃっひゃっひゃ、いいかもだね」
『デュエル!!』
明日香 ライフ8000
羽蛾 ライフ8000
「僕が先行だね」
「ライフが8000……というかドローはしないの?」
「おや、この世界のデュエルモンスターズのルールを知らないのかい? ライフは8000で先行はドローができないんだよ、しっしっしっ」
「何ですって……」
なにやら、早速揉めているようだ。
というか、思い出した。色々な世界のデュエリストが集うこの世界じゃ明日香の世界のルールな訳ないじゃいか。
しかも……。
俺が苦しい顔をしていることに気づき、ミモリがこちらに話しかけてくる。
「優斗さん、大丈夫ですか?」
「あはは、大丈夫大丈夫」
全然大丈夫じゃない。というかやばいかもしれん。
「なんか雲行きが怪しいわね」
コーリンの呟きに俺は心の中で頷く。
しかし、相手はインセクター羽蛾である。デュエルモンスターズの世代も明日香と同じだし、確か実力もそこまでじゃなかったはずだ。まだ勝機はあるはず!
「僕はモンスターをセット。カードを1枚伏せてターンエンドさ。しっしっしっ、君のターンだよ」
「くっ、私のターン!!」
なんだ、人喰い虫でも伏せたか?
明日香が勢いよくドローする。
彼女は引いたカードを確認し、魔法カードを発動させた。
「私は融合を発動するわ。手札のエトワール•サイバーとブレイド•ブレイダーを融合…… サイバー•ブレイダーを攻撃表示で融合召喚!!」
明日香のフィールドに凛々しい女戦士が現れた。
サイバー•ブレイダー
融合・効果モンスター
星7/地属性/戦士族/攻2100/守 800
このカードは相手フィールドのモンスターの数によって効果を得るカード。今回は相手のフィールドのモンスターは1体。よって戦闘で破壊されない効果が付与された。
「ひゃっひゃっひゃ、攻撃かい?」
「……バトル。サイバー•ブレイダーで裏守備表示のモンスターを攻撃!!」
サイバー•ブレイダーの攻撃が裏守備表示のモンスターへ迫る。そしてそのモンスターが姿を現した。
……えっ
俺は驚きで言葉を失った。だってそのカードは……。
「クローラー•レセプターの効果発動!!」
出てきたカードは一瞬、機械族と思わされる昆虫族のモンスター。リンク環境でも暴れたあのクローラーのカード。
そう、俺はいつから羽蛾が昔のカードを使うと錯覚していた?
俺の驚愕を他所に羽蛾の笑い声がスタジアム中に響いた。
黄昏ミミ
作品:デュエルマスターズ
常識人ヒロインであり、ツッコミ役も担当していたりする一面がある。さらに空手20段であり戦車では破壊出来ない壁も破壊できるパワーも持つ。
四人衆であった頃から白凰には憧れと恋心を持っている。使用デッキはジャイアントを切り札にしたトリガーデッキ。また今作ではアニメのチャージ終了後から数年後、この世界に飛ばれされた。