ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい 作:ケツアゴ
「ふぅ。良いお湯だった。おっと、今日も大量だね」
風呂上がり、窓の外を見れば縛られている不審者達を囲んでいるメイド達の姿。彼女達には怪我が無いみたいで安心だ。不審者の方は……うん。口が利けるなら誰の差し金かは分かるかな? 殆どが気絶しているし、中には血溜まりに倒れているし、未だ未熟な子が相手したのか。
「毒とかは大丈夫?」
僅かな切り傷であっても暗殺者相手に受けたのなら心配だ。但し今回は彼女達の心配だけじゃなく、口を割る前に毒で死なれたら厄介だって話だ。
「奥歯に仕込んでいたのを神経ごと引っこ抜きましたので安心かと」
まあ、その辺はちゃんと訓練受けているから言うまでも無かったか。それにしても淡々と答えているけれど結構怖い事を言っているよね。クヴァイル家、正確には現当主のお祖父様は孫である陛下よりも力があるし、だから跡継ぎの僕の所にこんな感じの連中が現れる。何処かの誰かが送り込んだ暗殺者。年齢一桁の時から狙われている僕だけれど、うちの使用人は頼りになるからこうやって誘い込んで一網打尽に出来るんだ。
「……」
但し、庭に居るのは第二陣。少し目立つ感じの第一陣を囮に侵入した本職達。拷問の訓練も受けているから吐かせるのが厄介な連中で、第三陣の本命が僕の背後に気配を消して忍び寄る。騒ぐ囮を鎮圧、忍び込んだ本職がやられたとしても安心した隙を狙う、そんな風に今まで大勢が失敗した事から使用人の力を計算しての策略。息を殺し、殺気すら感じさせない。いや、本当に凄腕になると殺しは作業、殺意なんて抱かない。
「若様、お客様がお見えです」
そんな風に狙われた僕の背後からレナの声が掛かる。
「こんな時間に? アポがあるとか聞いてないけれどな」
時間帯は朝食を摂る頃、普通だったら格下の相手であっても訪問は躊躇う時間帯だ。ましてや事前の約束も無し。侮られているのかと思ったけれど、それならレナが少しは怒るなりする筈だし、寧ろ目を逸らしているって事はもしかして・・・・・・。
「私が連絡を受けたのですが、若様に犯され逆に犯す妄想をしていたら伝え忘れていました」
やっぱり!? じゃあ向こうからすれば約束したのに待たされてるって事はだよね。しかも伝え忘れって事は到着した時に面倒な事になってそうだし。いや、うちの使用人なら、うちの使用人ならどうにかしてくれている筈!
「何やってるのさ、レナ。二重の意味で……」
「ナニをやっているのかって、それは勿論オナ……」
「言わせないよ!?」
レナったらメイド長が不在だからって気を抜いちゃってさ。あの人の事だから”神速で戻って来ました”とか言って失敗を聞きつける気がするんだけれどな。昨日だって僕の部屋の掃除を任せたんだけれど、隠していた読みさしの本が何処かに行ってしまってたしさ。
少し責めるような視線を送れば彼女も気にしていたのか畏まった表情で頭を下げる。熱でもあるのなら休んだら良いのにさ。
「大変申し訳御座いません。こうなれば私を後ろ手に縛り、下着をずらして鞭でお仕置きをして下さいませ」
「それって見えなくなった本の内容だよねっ!? 読んだの!? そして持って行ったっ!?」
反省していると思いきや、レナは壁に手を当ててお尻を突き出しながら鞭とロープを差し出して来る。照れた様子は勿論皆無だ。……尚、思わず目が向かった布は紫の上にスケスケ。
「恥ずかしいとかは……」
「羞恥や屈辱の表情がお好みならしますが、必死に耐えている感じと反抗するけれどなすがままのどっちに致しましょうか?」
準備万端にも程があるし、まさか仕事のミスも口実作りじゃ無いよね? 流石に有り得ない……とは思いたい。いや、レナスが戦闘方面に欲求が傾いてるみたいに娘のレナも性欲方面に傾いているんだけれど……。
そして分かっていたけれど無いかあ。だよねぇ・・・・・・。
「それでコレはどうします? お客様が居ないのならどうとでもなりますが困った物ですね」
僕が乗って来ないと見るや何事も無かったみたいに向き直った彼女が持ち上げたのは本命の暗殺者。気配を消し、僕に襲い掛かる瞬間に更に背後で周囲と気配を同化させていたレナに一瞬で首をへし折られて絶命したのが床に転がされている。
「どうも本職の中でも熟練者みたいですし、吐かせるのは不可能だと判断したから殺しましたが不味かったですか? お仕置きにします?」
「しないしない。レナの仕事には僕達の護衛も含まれるんだし、何も問題は無いよ。……向こうの連中なら話が少しは通じそうだしさ」
チラッと囮を使っての本命に見せかけた囮の暗殺者達に視線を送れば舌を噛んで自害するのを防ぐ為にか布を噛まされている。これが只の小物だったら依頼主の寝起きに生首とご対面のドッキリを開催するんだけれど、時期が時期だけに警告だけで済ませるのは駄目だろう。
「帝国関連だよね、時期的に。クヴァイル家の敵なのか、帝国と聖王国の結び付きの強化を嫌った連中に雇われたのかは分からないけれどね」
「その可能性は高いですが、そう見せ掛けた可能性もあるのでは? 連中も虚偽の情報を与えられている可能性も有りますが、裏で遣り取りする為にも今回は此方も本職に依頼しましょうか。”拷問貴族”ことルルネード家に」
ルルネード家か。クヴァイル家傘下の貴族の一つであり、担う役目はレナが口にした異名から察する事が可能だ。
「ああ、じゃあリアスに頼んでおこうよ。一応彼はあの子の派閥だしさ」
そして、次期当主は僕達兄弟と同じくアザエル学園の一年生。但し僕じゃなくリアス側。実はちょっと苦手な相手なんだよね。
「どんな目に遭うのでしょうね。詳細は知らなくても良いですが」
僕と同様に捕まえた暗殺者達に視線を向けるレナ。その目は今から肉にされる家畜に向ける目の方が優しかった。
「所でこの死体ですがポチの朝ご飯にします?」
「いや、止めてね。あの子に変な物を与えたくないからさ。薬でも常用してたらポチが可哀想だよ。お腹でも壊したらどうするのさ」
「じゃあ刻んで庭の池の魚の餌に?」
「あの魚って時々食べるし、それも何だかなぁ……」
さて、本当にどうしようか。暗殺者の死体とか何を仕込んであるか分からないから下手に焼いたり埋めたりは無理なので悩む。今は時間も無いし……
「あっ、居た居た。若様、レナさん。こんな所で何をしてるんですか? お客様がお待ちですよ。・・・・・・げっ!」
そんなタイミングで姿を現したツクシ。よし、ラッキー! 彼女にとってはアンラッキーだけれども。
悩んでいる所に掛かった声。そして死骸を見るなり猫の耳と尻尾が警戒からかピンって立ち、夜勤明けだったのか眠そうにした彼女は被っていた猫が剥がれている。視線の先には使用人達の部屋に続く階段。でも、声を掛けるよりも前に行う筈だった逃走はレナに捕まえられて失敗だ。
ごめんね、ツクシ。
「ツクシさん、ちょっと死体を匿って下さい」
「は~な~せ~!」
背後から腰と胸に手を回された彼女は逃げる事が不可能で、僕は申し訳無く思いながらもその場から去っていく。
「ごめん。臨時ボーナスは出すから」
お金で釣るみたいでちょっと嫌だなあ……。
「お任せ下さい、若様!」
あっ、これで良いんだ。じゃあ後はツクシに任せて僕はお客様の所に行くとしようか。………って、肝心な部分が未だだった!
「レナ、お客さんって何処の誰なの?」
「アマーラ帝国の方です」
凄く重要な相手じゃないか、何やってるのさっ!?
「……レナ、暫く減俸ね。ボーナスも長期休暇も覚悟しておいて」
「ええっ!?」
当たり前だよっ!
アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません
-
ポチ
-
レキア
-
夜鶴
-
ネーシャ
-
ハティ
-
レナ
-
パンドラ
-
サマエル
-
シロノ
-
アリア