ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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黒山羊とフラフープ ③

 上から降り注ぐ礫の一つ一つから灼熱の炎が吹き出した瞬間、感じたのは火の中にでも突っ込んだ時みてぇな痛みだった。

 俺様みてぇに火属性持ちは持つ魔力の影響なのか火に強いし、戦う上で火に囲まれる事も有るから火に慣れる為に多少の無理な訓練を受けさせられて育った。

 篝火に囲まれた状態で耐え続け、火の中の物を素手で取り出し、時に火に突っ込んだりな。

 それで火が怖くなるなら其奴は其処までだったって厳しい内容だったんだが俺様は無事に耐え抜いた。

 だって俺様だぜ?

 親父だの祖父さんだのが耐えきったのに俺様が駄目な訳がねぇだろうがよ。

 

 そんな俺様でも死を覚悟する程の熱量は息をすれば肺が焼き尽くされるのを悟る程で、思わず目も閉じちまったが瞼を貫いて熱と赤い光が届く。

 

 だが、それは一瞬だった。

 声が聞こえたと思ったら周囲は闇に包まれ、周囲の熱が遮断されたまま浮遊感の後に落ちて行く。

 

 ああ、声の通りだ。

 俺様は本当に情けない。

 

 足元がせり上がり、周囲の炎から俺様を守った岩の壁が崩れて周囲の景色が目に入る中、俺様はテメェの情けなさに泣きたくなりつつも嬉しさから笑みを浮かべる。

 

 

 

「助かったぜ、チェルシー」

 

「ったく、どうせ変な意地張って無理してたんでしょ」

 

 背後から聞こえる呆れかえった声。

 オレンジの髪を揺らしながら歩み寄って来たチェルシーが俺様の横に並んだ。

 

 

「アンタの義務は何? 死んでも男の誇りを貫く事? それとも生きて大公家の次期当主として努力を続け、ちゃんとした領地経営を行う事?」

 

「へいへい。後者ですよ。俺様が悪かったでーす。ああ、それと……」

 

 チェルシーの腰に回して引き寄せようとした腕ははたき落とされる。

 照れるな照れるな

 

 ……おっと、こりゃ後で怒られそうだ。

 

 こんな状況でしたのが不満だったのか威圧だけで殺せそうな勢いで睨んで来るチェルシーから目を逸らし、忌々しそうに俺様達を睨むビリワックに勝利を確信した笑みを向ける。

 

「そしてお前を愛して生涯を共に歩む事だっ! ってな訳で、テメェはもう用済みだ。さっさと倒されろや、やられ役の怪物野郎っ!」

 

「……やられ役? 貴様、私に今……」

 

「”グランロック”!」

 

「ぎっ!? お、女、貴様……」

 

 俺様の挑発に乗って怒りで震えるビリワックの両側から地盤が持ち上がり、本を両側から閉じるみてぇに挟み込む。

 

 

「相手の言葉の途中だろうと攻撃をしちゃ駄目ってルールはねぇんだ、悪く思うなや。チェルシー、そのまま抑え込んでくれ。美味しい所は俺様が貰うからよ」

 

 返事は聞かずに直ぐに駆け出す俺様だが、返事なんて聞く必要は無いんだよ。

 左右の岩を力で破壊したビリワックは今度は地面の表面を削るように腕を振るい、赤く染まった土を俺様に振り掛けようとした。

 

「”デスロックロール”」

 

 俺様が跳んだ瞬間、背後から回転する極太の岩の柱が突き進み、炎を吹き出そうとした土砂を弾いてビリワックに迫る。

 回転速度は上がり続け、表面はヤスリみてぇに細かく鋭利な刃がビッシリ生えている状態だ。

 

「この程度……ぬぅっ!?」

 

 破壊しようと腕を振るうも反対に蹄が削られ腕は跳ね上がる。

 まあ、俺様が片足潰してるしな。

 踏ん張りは効かないだろうよ。

 

「良くやったぜ、チェルシー。んじゃ、締めは貰ったぜっ!」

 

 そのまま柱はビリワックの肉体をガリガリ削りながら後ろの岩壁まで押し込んだ。

 

「このっ! この程度の物など破壊してくれる!」

 

 腕を振り上げ蹄を何度も叩き付けるビリワックだが表面が僅かに壊れるだけで直ぐに再生する。

 体の表面が削られ血飛沫が上がり、抜け出そうとするも抜け出せない。

 

「無駄よ、無駄無駄。ぜーっんぶ無駄っ! それにはたぁ~っぷり地中の鉱石を練り込んでいるんだからっ! ……まあ、消耗が激しいからさっさと決めちゃいなさい、フリート!」

 

「糞っ! こうなったら……」

 

「何かする気だろうが……させると思ったのかよっ!」

 

 俺様はビリワックの頭に向かって剣の切っ先を突き出す。

 毛皮を突き破り、分厚い頭蓋骨すらも貫いて突き進む中、激しく暴れるビリワックに仕留め損なってなるものかと力を込めていたんだが、手元に嫌な感触が伝わる。

 

 

「うぇっ!? マジか……」

 

 思った以上に負担が大きかったのか手にした剣は途中からポッキリと折れてしまっていた。

 刃はビリワックの頭に刺さったままだが柄に残った部分はとてもじゃねぇが鈍器にすらならねぇガラクタ同然の状態だ。

 

「馬鹿っ! 何やってんのっ!」

 

 思わず固まってしまったって様子の俺様に向かって慌てたって様子のチェルシーの声が響き、ビリワックの口が開かれる。

 喉の奥が真っ赤に染まり、俺様は咄嗟に顔を両手で庇いながら後ろに向かって飛び退き、岩の壁が俺様とビリワックの間を遮る様にせり上がるが、灼熱の炎は壁をぶち破って届いた。

 

「熱っ!」

 

 火に耐性がある俺様だからギリギリ耐えられたが、雑魚生徒なら炭すら残らないぞ。

 

「フリート!」

 

「はははっ! すいませんね、強過ぎてっ!」

 

 激痛で意識が飛びそうになる中、聞こえたのはビリワックの得意そうな声。

 体から血を流しながらも柱と岩の間から抜け出す中、笑い声が耳障りだ。

 

 

 

 

 

「ああ、俺様も悪かったな。騙しちゃってよ」

 

「魔性の美少女でごめんなさいね。……おい、笑ってんじゃないわよ、殴るわよ」

 

 俺様とチェルシーも同時に笑う。

 くっくっくっ、チェルシーの奴って偶にノリが良くなるけれど自爆もするんだよな。

 

 つい吹き出しそうになるのを堪えつつ不審そうにしているビリワックにネタばらしだ。

 但し、知った時がテメェの最期なんだがな。

 

 

 

 

 

「さっき炎の矢は全部無くなったと言ったよな? ありゃ嘘だ」

 

 ビリワックの背後から忍び寄る炎の矢は明るさに気が付いて振り向いたビリワックの頭に刺さった刃に命中、それと同時に炸裂して押し込む。

 

「じゃあな。強過ぎて悪い」

 

 さっき言われた勝利宣言を真似して返す。

 ちょいと性格悪い気もするが、まあ良いだろうよ。

 

 

 

「……あー、疲れた。もう限界だわ。チェルシー、森の外まで運んでくれや」

 

 ビリワックが動かなくなったのを確かめた俺様は安堵からかドッと疲れが押し寄せるのを感じて座り込む。

 多分ポイントが足りなくて失格だろうが流石に無理だわ。

 せめて此奴からポイントを貰えれば良かったんだが、そんな様子は無いし……。

 

 

 

「はいはい、しょうがないわね。相変わらず世話が焼けるわね……」

 

 チェルシーは相変わらずの呆れ顔だが俺に肩を貸して……うん? いや、これは……マジかっ!?

 

 

 

「何か文句有るの?」

 

 俺様、只今お姫様抱っこ中……。

 そして先程吹き出したの怒ってる様子の婚約者。

 

 

「なあ、本当に止めて……」

 

 突如響く衝撃音と振動、そして周囲一帯の地面が真っ赤に染まる。

 

 

 

 

「最早、最早此処までっ! こうなれば……任務など知った事かぁ! あの人形も貴様達も纏めて焼き尽くしてくれるわぁああああああああっ!!」

 

「彼奴生きてたのかっ! てか、マジギレしてやがる! おい、チェルシー! さっさと降ろせ!」

 

 今から近付いてトドメ刺すのは難しいと判断した俺様は逃げる為に降ろすように指示したんだが、チェルシーは降ろす気無しって感じで速度を上げる。

 

「アンタが走るよりも私が抱えて逃げた方がずっと速いっ!」

 

「あっ、はい」

 

 言うなよ、傷付くだろうが……。

 確かに俺様よりもチェルシーの方が強いんだが、こうも堂々と言われると落ち込むんだよな。

 

 

「あー、糞っ! 加速するから黙っていなさいよ、舌噛むから! ”エアロブースト”!」

 

 チェルシーの背中に風が集まり、後ろに向かって吹き出して前方へと押し出した。

 

 

 

 

「なあ、流石に糞ってのは……」

 

「アンタだって言ってるじゃないの。文句有るの? 有るなら言ってみなさい。聞いてあげるから」

 

「……無いです」

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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