ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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道化

「にょほほほほほほ! 私様がシアバーンからお主の指揮権を預かったのじゃ。まさか不満など一欠片も無かろう?」

 

「はっ! 我等神獣は将たるお三方の指揮下で動くべく創造されていますので」

 

 何時も通りの馬鹿みたいな笑いを馬鹿面でする小娘……正確には私よりも先に創造された存在ではあるが、見た目も中身も餓鬼であり、付け加えるならば少々どころではなく頭が足りないサマエルが嫌いだった。

 

 難しい言葉は理解せず、教えて貰った事も直ぐに忘れ、炎を真正面から受けても何故か尻だけが燃え上がり、大きなダメージを受ければタンコブが異様に膨れ上がって小さな星が目の前を回る。

 

 ……正直言って何故この様な者なのか理解に苦しむばかりだ。

 将でさえなければ、それこそネームレスだったならば邪魔だとして始末している所だ。

 

我等神獣は女神リュキ様の御手ずからお創りになられた特別な存在であり、私はその中でも自分は特に優れた存在であると自覚していた。

 

 神獣は三つに分けられる。

 

 ”リザードマン・ホーリーナイト”の様に種族名は持ち、複数体居るが個体名を持たぬ”ネームレス”

 知能もさほど高くなく、命令に従うだけの飼い慣らされた獣のような存在だ。

 

 そして私がビリワック・パフォメットという名前を持つのと同じく個体名と言葉を扱える程に高い知能、そして高い戦闘力を持ち合わせた”ネームド”

 単純な身体能力であればネームレスに軍配が上がるのだろうが、各自が持つ独自の能力や知能によって埋め合わせ余りある。

 それに一部の者は私と同様に変身能力によって真の姿になれば更に強化される。

 

 最後はネームレスとネームドを統率する存在であり、圧倒的な力を持つ三体の”神獣将”。

 私はその中でも特に優秀なシアバーン様に選んで頂けた。

 

「君は面白い。私と考えが似通って居ますねぇ! アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」

 

 残忍にして狡猾、そして執拗。

 他の二体は理解不能な程に頭の足らぬ小娘や、雄々しいを通り越して鬱陶しい程であり、独断行動の末に厳しい罰を与えられた愚か者。

 

 並べる事など許されない程に優れたシアバーン様こそが神獣将のトップであり、その様なお方に直々に選出された私はネームドの中でも特に優秀に決まっているだろう。

 

 ネームレスはネームド以上にとって道具同然、獣同然、一部の者を除いて同胞だとは思っていない。

 数ばかりで知能も力も足りないからだ。

 

 そしてネームドもベッドネームレスも等しく神獣将に付き従う。

 ……リュキ様も何を考えてあの様な愚か者を将にしたのやら。

 

 我等神獣は人類殲滅を目的として創造され、リュキ様の心変わりによって闇の女神であるテュラとリュキ様の悪心と共に封印された。

 悪心を捨てた、そんな風に語る者も居るのだが、私はそう思わない。

 

 悪心を捨てたのではなく、悪心が他の部分を不要として自ら別れたのだ。

 

 その様な不要な部分がサマエルという愚かな小娘をシアバーン様と同等の地位に据えたのだから、後から変えても構わないでしょうね。

 

「さあ! 私様について来るのじゃ!」

 

「御意」

 

 今は従ってやるが、機を見てその地位を必ずや頂こう。

 ネームドの中でも特に優れた神獣である私にこそ将の座は相応しい。

 

 私の野望に気が付く様子も見せぬ小娘に表面上だけは従いながらも首に視線を送る。

 

 ああ、あの首を背後からかっ切る日が実に楽しみだ……。

 

 何時か将の座を手に入れる私が人間如きの回収を任される等と屈辱でしかなく、更には私への指揮権を預かっただけの愚かな小娘の尻拭いなのだから怒りは頂点に達しようとしていた。

 

 何時か抹殺し、私が神獣将の一体になる事が最も神獣の為であると確信しながらの任務は邪魔な人間を消して直ぐに終わる……その筈だった。

 

 

 

「おのれっ! おのれっ! 死ね死ね死ね死ね死ねっ!」

 

 頭に深々と突き刺さった剣によって私の命は間もなく尽きる事だろう。

 神獣と同じく神の力によって誕生した神殺し達でもなく、それらが再び裏切った時に抹殺する為に生まれた神殺し殺しでもない火属性の小僧と風と土の複合属性の小娘の手によってだ。

 

 

 許されぬ!

 

 許してはならぬ!

 

 許される筈が無い事だ!

 

 選ばれた存在である私が選ばれていない凡夫の手によって死ぬ?

 それも凡夫の中でも特に平凡ですらない出来損ないで嫌がらせ道具の回収の為に?

 

 その様な事、あってはならぬ!

 だから消そう。

 回収が出来ぬのなら消してしまえ!

 敵の手に渡す位なら私の手で消し、この様なゴミの為に死んだのではないと証明するのだ!

 

 文字通り死力を尽くし、残った生命力さえも魔力に変化させて大地に送り込む。

 このまま森全体に広げ、一人でも多くの餓鬼共を焼き殺して争いの火種としてやろう!

 

 

「ははははははは!」

 

 子を失った事で貴族が引き起こすであろう争いを思い浮かべ、それが己の手で引き起こされる物であると考えるだけで笑いが込み上げて来る。

 

 

「さあ! このまま何もかも焼き尽く…し……?」

 

 何故、体を動かす感覚が伝わって来ない?

 

 何故、私は首から上が存在しない己の体を目にしている?

 

 何故、私の頭をフェンリルが咥えている?

 

 有り得ない事態であり、理解が全く追い付かない。

 首から上が切り離された影響か私が命を注ぎ込み周辺一帯を灼熱の業火で焼き尽くす炎の為の魔力が急速に失われていった。

 

 

「フェンリル! 貴様、まさか裏切り、人間に尻尾を振って……」

 

「駄目ですねぇ、ビリワック。命令違反は重罪ですよぉ」

 

 こ、この声は……。

 

 私の耳に届いたのはシアバーン様のお声。

 だが、姿は見えず……。

 

 よく見ればフェンリルの額の毛の奥に僅かに光る魔法陣。

 其処から声が出ているのだ。

 

 

「役立たずの上に命令無視とは……前から思っていた通りの無能ですし、せめて賢く優秀なフェンリルを夜食になって下さい。それが君の働きの中で最も私の役に立つ事ですよぉ。アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」

 

 そん…な……。

 

 餌?

 私が餌?

 

 ネームレス如きの餌……?

 有り得…ない……。

 

「尚、この音声はこの展開を予想して予め録音した物ですよぉ。君には端から性格の悪さ以外は一切期待してませんでしたからねぇ」

 

 予想して…いた?

 そんな……。

 

 誰よりも優秀な私が失敗するのを最初から計算に入れていただなんて……。

 

 

 

「ああ、一つ教えて差し上げましょう。……貴方、本当はネームレスですよぉ。知能の低いネームレスを改造し、精神と記憶を弄くったのですが、将に逆らおうとする失敗作に終わって残念です。まあ、リュキ様の創造物に手を加えた事自体が間違いだったと反省し、これ以上は行いませんが」

 

 

 最後に聞こえた声の内容を受け入れられないまま私の頭は噛み砕かれた……。




パワハラ受けたので明日休みます

最近感想こないなあ 評価やブクマもほぼ凪だし

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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