ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

237 / 393
肉を切らせろ、骨も断つ

「発見っ! そして排除!」

 

 ゴリラネコを二人掛かりで追い詰めていた生徒の背後から忍び寄るリザード・アサシンの首を狩り、次の場所へと向かう。

 

「あれ? 誰か通った? うわっ!?」

 

「油断するな、馬鹿!」

 

 背後からゴリラネコの一撃を貰って驚く声が聞こえたけれど気にしない気にしない。

 だってリザード・アサシン以外には事前の間引きで本当に厄介なモンスターは居なくなっているし、本当に戦いの鍛錬を怠っていなければ倒せる相手だし、その辺りは自己責任って事で事故みたいな物だと諦めて貰うしかない。

 まあ、監督補佐だって居るし、死にもしなければ重傷だって防げるだろう。

 

「えっと、大体こんな所かな? 流石に疲れたな。肉体的には楽勝だけれども、精神的に……」

 

 今の僕は”加速(アクセル)”によって超高速であって広い森を端から端まで駆け回って三分の一位まで到達しら所だ。

 右から左と駆け、端に到達したら奥に進んで再び端へと虱潰しに進んで行くんだけれど、予想通りに入らない筈のエリアにまで入っている生徒が少ないとはいえ幾らか。

 

 話を聞いていなかったのか、それとも甘く見ていたのか、腕試しだったり普段は家が許してくれない夜の森の探索が物珍しいのか……凄く迷惑な話だよ!

 

 血気盛んは大いに結構、敵じゃないなら別に良い……んだけれど、時と場合によるんだよね。

 特に今は非常事態、自信に実力が伴っているなら気にしないけれど、明らかに慢心や学校行事の範囲だからと甘く見ているんだろうって感じのもチラホラと。

 

 何と言うか、事前に森の特定エリアの間引きを行ったのが何の為なのかって溜め息が出そうだ。

 

「……もう事故死で済ませようかな。駄目だよなあ……」

 

 エリア外にも居たリザード・アサシンの頭を切り落としてから蹴り砕き、パートナーになった事と夜の森ってシチュエーションに興奮したのか野外でおっぱじめた二人を発見して余計に疲れた所で余計な疲労が押し寄せる。

 ……近くに石を投げて驚かせば少しは緊張感を持つだろうか。

 

「あっ、逃げ出した。まあ、武器と服は掴んでいるから大丈夫か。あーあ、平和になったのは良いけれど、平和ボケで緊急事態に対応出来ないのは問題だよ」

 

 前世よりも増えた独り言を呟きつつ動き出し、本来は監督補佐の役目だけれども気絶したりで動けない生徒を発見すれば森の出口まで連れて行き、また森でリザード・アサシンを狩って行く。

 

 先代王妃の死と共に追随していた膿共の排除が始まって、デカい顔をして大っぴらに動いていたから逃げ隠れが難しかったのだろう。

 現王妃こと叔母上様の手腕もあってか今や僅かにこびり付きが残っている程度の感じな為か基本的に王国は平和だ。

 尚、残った膿に例えた貴族の領地は除く。

 領民にとって必要な事であっても国の介入に対し、被害の報告をしない等あの手この手で防ごうとして、ただ今絶賛叩き潰され中だ。

 

 叔母上様が実質的に国を運営する事に反発する貴族が多少なりとも居るとは言え、今まで行った国策によって今までは存在する領地の領主任せだった……尚、管理がどんなのだったのかはお察しなダンジョンの国による管理やモンスターの駆除によって人的被害は減ったし、周辺国間で目立った小競り合いも無し。

 昔は懸念材料だったらしい桃幻郷の侵攻だってギヌスの民をリュボス聖王国が受け入れてからは特に被害報告は上がっていない。

 

 だからだろう、家の方針として領主一族が戦う事にしている一部の家を除いて王国の貴族は弱い。

 いや、貴族の本分は領地を如何に富ますとかだけれども、実力主義のアマーラ帝国や険しい山岳地帯が多く、竜騎士を筆頭にした強大な軍を持つエワーダ共和国、そして桃幻郷の侵攻ルートの最前線であり、お祖父様による改革で戦力増強に熱心なリュボス聖王国に比べるとどうしてもね。

 

 ……あれれ? 叔母上様は王国に嫁いでからは先代王妃によって衰退した王国の立て直しに尽力なさってはいたけれど、まさか王国貴族が平和ボケで弱いのって……いや、考えるのは止そう。

 政治闘争を避ける為に子供は作らず、先代王妃の息子であるマザコ……ルクスに次期国王になって貰う予定だしさ。

 彼奴、母親が継母と比べられ貶されるからって叔母上様に対して強い敵意を持っているけれど政治関連の教育の方は大丈夫なのかな?

 

 僕の両親はお祖父様に暗殺されたし、叔母上様はそんなお祖父様に性格も優秀な所もそっくりで、大義の為ならば身内を排する事も厭わない人なんだけれど、身内なのには変わりないから王座を手にしたマザコン王子に何かされないと良いけれど。

 

 ……あの人なら自分の死を織り込み済みで王国や聖王国の敵も纏めて道連れにしそうではある。

 

「……癒やしが欲しい」

 

 さっさとリザード・アサシンの駆除を終えてログハウスに戻ったらポチに癒されよう。

 

「ああっ! 寝ていたら起こすのは可哀想だから無理だ。夜更かししていたらそれはそれで駄目だけれど、ポチは言いつけを守る賢くて素直な良い子だからな。……それにしても何匹居るんだ、此奴等」

 

 今、僕を取り囲むようにして接近して来る神獣を目測で数えれば少なくても十匹、リザード・アサシンも何処かに隠れているだろうとも思う。

 そう、目の前に居るのはリアスが戦ったリザードマン・ホーリーナイトらしき武装したリザードマンや妖精郷で僕が倒したユニコーン。

 神獣って大層な肩書きの割には量産されているんだと思いつつ、これもゲーム関連の記憶が朧気なせいかと思う。

 

「……矢っ張り帝国との政略結婚をさっさと進めて追憶の宝玉を使わせて貰わないとな。予想外の事態に困る事になる」

 

 今の所、ゲームに関する記憶と現実との違いは行動内容に関する事が殆どだけれど、ゲームの記憶を取り戻す事で認識が固定されて痛手を負う可能性だって有るんだけれど、参考にはなるだろう。

 そう、あくまでゲームはゲームで現実は現実、あくまでも参考だ。

 

「君達がこうして此処に居るのに何処の誰が犠牲になっているのかは知らないけれど、確証を得る切欠やこんな事態を防ごうってモチベーションにはなるしさ。って、何を言っているのか分からないか」

 

 明烏を抜けば手に興奮が伝わって来る。

 

 ”早く斬らせろ。じっくりと肉を切り骨を断つ感触を味わいたい”ってさ。

 

 

「あの時のユニコーンからして神獣の復活には生け贄になる人間が必要。つまりは元人間だってのにさ」

 

 いや、だからこそ尚更興奮しているのか。

 

「うん、君って矢張り妖刀だね。夜鶴とはだいぶ違うよ」

 

 彼女も実は人を斬る事に興奮しているんじゃって疑問が脳裏を過ぎるけれど無視をする。

 

 あっ、夜鶴といえば屋敷に戻ったらまた相手を頼みたくなって来た。

 さっき森の中で堂々と始めていたバカップルを思い出した僕はそんな風に考えつつ一歩踏み出す。

 

 それと同時に先頭のユニコーンが角を突き出しながら突進して来た。

 

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

  • ポチ
  • レキア
  • 夜鶴
  • ネーシャ
  • ハティ
  • レナ
  • パンドラ
  • サマエル
  • シロノ
  • アリア

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。