ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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自由大熊猫UNKNOWN

 百倍の重力によって黒子が動けない中、小さなパンダは謎の歌を歌うんだけれど、曲名”メロリンパッフェ”という妙な歌詞はこれがポエムだったのなら間違い無く黒歴史になりそうな内容、聞いているだけで力が抜けそうだった。

 そもそも小さなパンダ(ヌイグルミ)が何故喋って動いてるのかと思いきや、よく見てみれば胸には名札が付いていて、書かれているのは”喋るパンダ”と成る程納得可能な内容……な訳があるか!

 書かれているから一体どうした、どうしてそれで納得しようとしていたんだよ、僕!?

 

「そりゃ僕の洗脳能力によるものだよ。ツッコミ役には効果が薄いんだけれど、君はボケ役でもあるから少し効果があるみたい」

 

「洗脳っ!?」

 

 何でもないみたいに言っているし、洗脳に近い教育で自分達の地位を守っているのが王侯貴族ではあるんだけれど悪徳貴族が開き直っても平然と洗脳をしているなんて言わないぞ、普通はっ!?

 

 それにボケとかツッコミとか、意味が分からない事まで言っているし。、このパンダ!

 

「おや、知らなかったのかい? 僕達パンダは主食である笹を守る為に伐採しようとする奴を遠ざける為に洗脳を親から子に受け継ぐのさ。詳しくは僕が出版した全パンダ愛読の”パンダでも可能な洗脳”を買ってよ。売ってないけれど」

 

「売ってないの!?」

 

 パンダが差し出した分厚い装丁の本で、この世界では高い料金を払わないといけない写真が表紙なんだけれど、常夏のビーチでパラソルの下、カイゼル髭のパンダがビールジョッキを手にしているって物だった。

 尚、中は白紙だ。、手の掛かる悪戯だなぁ・・・・・・。

 

「売ってる訳ないじゃない。そんな本なんて出版してないのにさ」

 

 やれやれって感じで肩を竦めながら溜息を吐くパンダ、其れを物凄く蹴り飛ばしたい葛藤に襲われながらも、”パンダは絶滅危惧種だから蹴っちゃ駄目だ”と謎の声が頭に響いて動きが止まる。

 

「それも洗脳さ」

 

「パンダでさえ、パンダでさえなかったら……。怪しいから使いっぱなしだったけれど、彼に悪いか」

 

 苛立ちのせいかコントロールを誤り、百倍から一気に通常に戻してしまった重力によって押しつぶされて空気が希薄になっていた場所めがけて風がなだれ込む中、百倍重力の中でも辛うじて這って動けていた黒子は少しフラつきながらも立ち上がる。。

 ……彼、彼だよね、多分、は結構な使い手っぽい。

 百倍の重力に襲われて立てない状態だったのに今は平然として居るし、骨や内臓が自重でどうにかなった様子も無い。

 少なくてもユニコーンやリザードマン系の神獣なら即死ではなくても瀕死だろうにさ。

 

「そりゃそうさ! 何せこの子は僕の創造した神獸達のリーダーだからね」

 

「神獸……矢っ張り神か」

 

 感じる力が妙だと思っていたんだけれど、神獣だったらなら納得するし、人並み所か並の化け物並を外れた頑丈さにも説明が着くんだけれど、どうも彼がリーダーって聞いても信憑性が無いんだよな、声すら聞いていないし、体格だけで判断は出来ないんだけれども。

 

 彼、筋肉の付きは服装が服装なだけに分からないけれど、どうもウチのメイドのツクシみたいに何処か抜けている上に苦労人で気弱、そんな感じがするんだよ、根拠は無いけれど。

 

「うん! アイアムゴッド! アーンド、プリティーパンダ!」

 

 そしてこのパンダは神の中でも特に性格が面倒だなって確証があったよ、短時間の会話だけれども充分だ。

 

「そう。神様だったかぁ・・・・・・」

 

 さっきから普通に心を読まれていたからって言うのも有るけれど、見た瞬間から感じていた妙な感覚、其れが何かを察したから僕は連れである黒子を重力から解放したんだ。

 でも、其れを本人……本熊? の口から聞くまでは何となく目を逸らしたい現実だからと確かめなかった、そして遂に言われてしまったから、其れを前提に進めるしかないのかぁ……。

 

 このパンダ、神であり、何を司る神なのかは短い会話で検討が付くけれど、これは関わらない方が良いと降臨した神の口から出る訳だ。

 

「僕の名前はアンノウン! 自由と悪戯、そして最近はパンダを司る神にもなったのさ! 森の安全は僕が保証するからお話ししよう! 因みに強制!」

 

「最近なったのか。自由だなぁ……」

 

 その他はスルー、そっちの方が良いと本能で察した。

 

「僕だからね!」

 

 両手を腰に当てて自慢する風に胸を反らすアンノウン・・・・・・様をどうにかして欲しいと黒子の方を見れば助けを認めたのが伝わったのだろう、自分を指さしてからサッと顔を逸らされ、それから顔を左右に振って”無理”だと伝えて来た。

 

「うーん、流石に彼に僕のコントロールを任せるのは無理があるんかないのかな? だって僕は僕だし! それに彼……リッ君は僕の神獸の中でも一番若手で一番小さい女の子が好きで一番気弱で一番って言うか唯一のロリコンで一番ヘタレで一番未熟だからね!」

 

 

「……ロリコン関連を二回も言ったのはスルーとして、どうしてそんな人をリーダーに?」

 

「そっちの方が面白いから! それに今の君もリッ君同様に本来の君達兄妹と違って面白いからお気に入りなんだ。POP高めだよ!」

 

「POP……?」

 

「パンダのオモチャポイントさ!

 

「うわぁ……あれ?」

 

 予想以上に邪悪な存在っぽいし、撤退も考えていた僕が気が付くのが遅れたのは仕方が無いと思うんだけれども、流石に気が付いたなら流せない。

 今、”本来の”って言ったよね?

 

 神様なら僕が前世の記憶が有るって事に気が付いたとしても不思議じゃ無いのだけれど、今の言い方ならば本来の僕……つまりはゲーム通りの僕の事を知っている、それも詳しくだ。

 

 記憶を読んだ? それともそうならなかった歴史について知っている?

 

「知ってるよ~! 君達三兄弟がどんな理由で転生したのかもちゃ~んと知ってる。まあ、教えてあげる気は今の所無いんだけれどね」

 

「僕達が転生した……理由? それは自動車事故で……」

 

「ふっふっふ、湯どーふ! まあ、僕は濃い味が好きなんだけれどもさ。違う違う、それは死因であって……君達があの世界に来た理由は別……おっと、今日は此処までだ。帰るよ、リッ君」

 

「あの…世界?」

 

「さっきも言ったけれど、今は語るべき時じゃないんだ、面白くないし。ほら、僕って君みたいに面倒な運命の子を弄くるのが好きじゃないか、知らないだろうけれどさ。リュッッキーが神として動けないんだから僕が代理で来たし、今は言える事だけを教えてあげよう」

 

 目の前の神様が何を考えているのか、何を知っているのか、そして僕達兄妹に何が起きたのか、気になる事は多いけれど、少し安心した事も。

 今、”三兄弟”って言ったし、つまりはテュラは本当に……。

 

「うん、そうさ。君達のお姉ちゃんはテュラだったのさ!」

 

 ……また変な言い方をしているな。

 それでも……良かった。

 そっか、本当にお姉ちゃんもこの世界に来て、リアスはちゃんと会えたんだし、僕もきっと近い内に……。

 

 

「それで君って運命変える為に色々として来たでしょう? それで良い効果が出ているけれど、悪い効果だって出ているんだ。その責任を追求する気は無いけれど責任は取って貰うよ、どうせ巻き込まれるんだけれどさ」

 

「……それ、責任取らせる気なのと同じじゃない?」

 

「同じだけれど?」

 

 キョトンとした感じのアンノウン様、黒子はペコペコ頭を下げて謝って来ているし、この短時間で疲れた……本当に疲れたんだけれど、本当に知りたかった情報を手に入れたんだから会えて良かった……のだろう。

 

 どうせやる事は変わらないし、何か起きたなら立ち向かうだけだ。

 

 

「ふっふっふ! それでこそだね。POPを多めにあげちゃう」

 

「要らない」

 

 うん、本当に要らない。

 

 

 

 

「……まあ、本当に今日は帰ろうか。今後何かしらの手助けをするだろうから僕と僕の神獸である”偽獣師団キグルミーズ”の絵を渡しておくね」

 

 そんな言葉の後で瞬きをしたら目を開けた瞬間に既にアンノウン様と黒子の姿は消えていて、邪魔になりそうな位巨大な絵が置かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

「因みにメロリンパッフェを作詞したのはウサギのグレちゃん、実は君の身内だよ!」

 

 あっ、何か聞きたくなかった情報を伝えられた。

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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