ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい 作:ケツアゴ
ブクマも行ったり来たり……もう此処は漫画について連絡が来ないとショックが強いぞぃ
「お兄ちゃんっ!? ちょっとお兄ちゃんってばっ!」
目の前に光が戻り、前に居るのがリアスに戻っても僕は直ぐに我に返れず、その様子に戸惑ったリアスに胸ぐらを掴まれて前後にガクガクと揺さぶられて漸く落ち着いた。
そうだ、落ち着くんだ、僕。
あの人は間違い無くお姉ちゃんだったけれど、其れと同時にテュラでも……。
「お兄……ちゃんっ!」
あっ、やっば。
我に返っても直ぐに動かなかった僕に慌てたのかリアスは平手を大きく振りかぶり、僕が返事するよりも前に振り抜く。
空気の時間を止めて防御……は手を痛めたら可哀想だし、回避も胸ぐらを掴まれているから無理だし、これは仕方無いか……。
「へぶっ!?」
僕の頬に叩き込まれたのは鋼鉄の巨大なハンマーもかくやって感じの強烈な一撃、流石だよリアス。
足が地面から離れそうになったのをギリギリで堪え、痛みに耐えて僕を心配するリアスに笑いかける。
「ごめんね、リアス。ちょっとお姉ちゃんが会いに来てさ。……うん、本当にお姉ちゃんだったよ。僕達が転生しても僕達のままなのと同じでさ」
……そう、僕達が前世と今の人生を送った自分が混じっているのと同じで、あの人もテュラでありながらお姉ちゃんでもある。
いや、一部分がお姉ちゃんになったテュラだって評する方が正確なのかも知れないな。
僕達に対しては優しく温かい家族のままだけれど、それ以外の人間に対しては皆殺しの対象でしかない冷徹な女神なんだ。
「ねっ! テュラになってもお姉ちゃんはお姉ちゃんだったでしょう!」
「……そうだね」
嬉しそうに語るリアスの姿を見ていると、話すべきと思っても話し辛い、先送りにするべきでは無いと感じてもだ。
なら、リアスに優先的に会うように頼んだけれど、その時はテュラの面が強く出ない事を望むのが今出来る事だろう。
せめて妹の前だけでは優しいお姉ちゃんのままで居て欲しい。
説得は出来るのか、説得出来ず更に復活してしまった時にどうやって止めるのか考えて置かないとな……。
「どうやって話をしたら良いものだろうか……」
リアスとの話を切り上げてログハウスに戻る最中、考えるのはさっき言えなかった事だ。
単純に強い敵が居るというのなら倒せば良いし、厄介な事が待ち受けているのなら頼れる相手に頼れば良いが、これは家族の問題だ、簡単には済ませられないよ。
あの子は末っ子であり、上の僕達二人は頼るべき存在で、絶対的な信頼を向ける味方だ。
あの子はテュラとして人類を滅ぼそうとして封印されてから前世の記憶を取り戻し、ちゃんとお姉ちゃんのままだったからテュラとしての部分は気にしなくて良いと思っているみたいだけれど、大好きなお姉ちゃんが未だに人類を滅ぼしたいと思っているだなんて、ましてやそれを僕に平気で言うだなんてショックでしかないだろう。
僕とあの子が大切な家族という認識のまま人間は滅ぼすべき存在だとも認識しているだなんて知らせる訳には行かない。
なら、どうする?
当初の計画通りに復活したら集めた戦力による数の暴力で挑む、そんな真似は到底出来やしない。
あの人の計画を止める、それもリアスが知る前にだ。
根気強く説得するしかないだろう、例え女神としての部分がそれを拒絶したとしても、僕達の為に聖王国と友人は生かしておくと妥協してくれたのなら、その選択を取ったお姉ちゃんの部分を信じるしかない。
「……封印を解かない、ってのは論外だよな。封印されたままだなんて可哀想だし、そもそも方法を知らないし……」
確かリュキの悪心をリアスが取り込んだ上で死ぬ事が封印解除に繋がった筈だけれど、その他にも必要な事が有った気もする。
それが分からないのが問題で、更に言うならちゃんとした知識を持っていそうなお姉ちゃんが僅かだけれど外に干渉可能な以上、リアスとの話す前にも考えた通りに何か兆候を掴む必要が有る。
それを解決する方法に少し悩み、後押しされたけれど……はあ。
「ネーシャに会いに行こうか。……未だ起きているなら良いんだけれど」
口から出るのは情けない言葉と溜め息のみで、そのまま歩いていると何やら騒がしい。
敵対する家の間で何かあったのかと物陰から様子を窺えばアンダインが必死な様子で騒いでいた。
「頼む! 俺はこんな所で帰る訳には行かないんだ。初日で失格になったと広まればフルブラント家の名前に傷が付く!」
「うむ! それは大変だな! だが、駄目だ!」
どうやら彼奴はハンティングで条件を満たせず帰宅を命じられた事に対して嘆願しているみたいだけれど、周囲の取り巻きも必死な表情で頼み込む。
あの中の何人かは合格者に含まれていたっけな、可哀想に。
成績が上位に入っていない生徒にも合格者は居たし、成績上位で家柄も上位な彼奴が初日で帰されただなんて広まれば暫くは物笑いの種だろう。
敵対相手の足を引っ張る機会を窺い続けるのが貴族だしさ。
同じく初日だけ終わらせて帰るにしても合否がどうだったかは他の派閥から広がるし、格下と比べられ貶さればわだかまりも出来るだろうさ。
「其処を何とかっ! 貴方だって此処で帰った場合にどんな目に遭うかは分かるでしょ!?」
「分かるな! そして駄目だ!」
そしてそんな彼等の対応をしているのが一晩中森の中を巡回して負傷者の救護を行っていたのに凄く元気なニョル・ルート、まさに取り付く島も無しって感じで受け付けない。
彼処まで思い切りが良かったら僕も迷わずに済むんだけれどなあ……。
最終的に強引に帰りの馬車に乗せられる一行を見ていたんだけれど、考えれば此処でゆっくりだなんてしていられなかったよ。
ネーシャとアリアさんのログハウスは近くだけれど、早く行かないと休むために眠り出すかも知れないからな。
「……どうやって切り出そう?」
”追憶の宝玉”を使いたいって正直に言うのはちょっと良くないし、遠回しに頼むのもちょっとな。
「おい、ちょっと良いか?」
僕としてはさっさとネーシャとアリアさんが居るログハウスに急ぎたい。
流石に就寝中に訪ねるのは気が咎めるし、少しだけ質問をして……いやいや、色々有りすぎて混乱した結果焦って行動してしまったけれど、二人は残るって言っていたんだから時間を置いて行くのが一番じゃないか。
まあ、夜中に女性のログハウスを訪ねるのは外聞が悪いから明日以降になりそうだけれど、迂闊に行動した結果が今の面倒な状況だ。
「……何か用?」
敵意を含んだ複数の視線、向けられるだけなら無視していたんだけれど、こうして声を掛けられたからには立ち止まって応対する必要があるんだけれど、目当ての道具の為にネーシャとの婚約を急ごうとした天罰なのかな?
……闇の女神は前世の姉で時の女神は力を貸してくれているけれど、婚姻関連の神が怒った?
とまあ、現実逃避は即座に終了、声に敵意を込めたままの未熟な同級生の方を振り向けば、さっさと無視して行きたいのに、身分的に無視しては行けない相手であるルクスと取り巻き数人が立っていた。
「俺は戻る事にした。その前にリアスと……いや、リアスに一言告げてからと思ったのだが、お前にも言うべき事がある」
まあ、兄弟が居ない以上はその選択は評価するよ、前者だけは。
リアスのログハウスを訪ねるとかは評価に値しない選択だと言ってやりたいよ。
言葉を濁したのは取り巻きにはアリアさんについて話せないからだろうと思うけれど、そんな配慮をするなら僕への敵意を隠せよ、正確には叔母上様への敵意を僕にも向けているんだろうけれど、王国が実質的に叔母上の統治下なのは王が悪いんだからさ、王が!
「本当は殿下は戻らずとも宜しいのに!」
「我々とて脱落しなかった者は共に残り御身をお守りする筈があの女が……」
取り巻き達の言葉で僕は叔母上様が先に何かあれば戻るように命じていて、王もそれに賛同したから逆らえないけれど不満を隠せないってのは分かったよ、ちゃんと隠せよ。
跡目争いを避ける為、叔母上様はルクス以外の王位継承者は要らないって思っているから子供は居ないけれど、ルクスに何かが有れば面倒は目に見えている。
実際は王家の血の濃い家から用紙を貰うんだろうけれど、取り巻き達からすればそうは無らず王と現王妃の間に跡継ぎを設けるだろうって所か。
もう少し位が高ければ自分達が次期国王にって野心を抱くんだろうけれどさ。
まあ、こんな腹芸すら不慣れな連中じゃ家が相応しくても本人達が相応しくないって評価されるんだろう。
マトモな貴族、余程の所じゃないと先代王妃の下で色々と不遇な扱いで力を落としたりしたからなあ、だから王子の取り巻きがこんなのしか……。
「……正直言えば俺は彼奴た……彼奴を守りたいが俺の一番の義務は生き残る事だ。不要な危険は犯せない」
彼奴……達を守りたい、か。
リアスとアリアさん、惚れた相手と妹を守りたいが、王族の立場を優先するべきって選択は正しいよ。
でも……いや、言ったら取り巻きが五月蠅いだろうから黙っておくか。
「うむ! 話は聞かせて貰ったが、大丈夫だろう! 何せリアス・クヴァイルは肉体も魔法も技術面も筋肉の領域で殿下を凌駕しているから逆に守って貰う立場だ! だから安心しろ!」
まさか王国の貴族が言っちゃうとか……。
突然響いたルート先輩の声に僕は少し脱力し、此処に来て疲れがやって来た……。
うん、一旦ログハウスに戻って一眠りしたら食事に誘うって口実で訪ねようか。
取り敢えず洞窟について聞くだけなら会話の一つだしさ。
「先ずはこの状況をどうするべきか。僕、巻き込まれてるよね?」
感想待ってます
アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません
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ポチ
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アリア