ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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漫画、今日くらいに線画が来るらしい


ウサギとお風呂

 湯船に入って少し熱めのお湯に浸かれば一晩魔法を使いっぱなしだった事の疲れが溶けて消えて行くみたいで、僕は気分上々のまま気が付けば鼻歌まで歌う程の上機嫌、但し曲はさっき聞いたばかりの”メロリンパッフェ”、気が付いて歌詞を思い出したら精神的な疲れが襲って来た。

 あの曲の元になったポエム、どんな心境で考えたんだろうかと気にはなるんだけれど、考えた本人であるグレーシアさんからすれば曲を聴くだけで殺意を覚える程の黒歴史だ、触らぬ神に何とやら、わざわざ蜂の巣を刺激する必要は無いさ。

 

 

「よし! 他の事を考えよう。ポチの事! ……は時間が掛かって湯当たりしちゃうから他の事で何かあるかな? 今、一番印象的だったのは……アンリからのお誘いだよなあ。いや、向こうは親切心と友情から提案したんだし、変に取るのは悪いんだけれどさ」

 

 臨海学校開始前の下見で水着姿の彼女とお風呂で泳ぎの練習をしたけれど、あの時みたいに一緒に浴室に行こうって感じのは冗談で、僕も冗談で返した。

 変に取る必要は無いんだからさ、親友だよ?

 

 先ずそもそもの話からしてアンリに僕を誘う理由は無い、強いて上げるとしたら戦闘で気分が高ぶった事と年頃から来るその手の事への好奇心、だってヒージャ家には特に問題は起きていなんだし、僕を誘惑する筈が無いんだ。

 まあ、気分と興味で関係を持ったとして、それで二人の友情が壊れちゃったら最悪のパターン、気まずい関係性じゃ関係を持ったからって婚姻を結ぶのも……って、だからアンリにその意図は無いんだよ。

 

「これは僕も随分と気分が高ぶっているのか……。アンリが寝ているなら、いっその事、夜鶴に頼んで……って、友人が居る所で何をやろうとしているんだ、ナニを……」

 

 知らない声が聞こえたら新手かと思って僕を助けに来るだろうし、夜鶴に消えて貰ったとしても誤魔化すのは大変に決まっている、色々な理由で却下だよ、却下。

 

「はあ……。まあ、落ち着いてから速攻眠れば……って、体は洗ったのに髪は洗ってなかったよ。やれやれ、ちょっとした事で慌て過ぎじゃないか。何をやってるんだ……」

 

 体は洗っているのはセーフだけれども、髪もちゃんと洗わないと、そんな風に自分に呆れながら湯船から上がり、外から聞こえる海の音に少し記憶が蘇った。

 

「……うん、可能性は絶対に無いけれど、一応ね?」

 

 思い出すのはギヌスの民の所に行った時、こうして一人で露天風呂に入っていた僕を襲おうとしたシロノ、あの胸は魅力的だったけれど、急に子作りを迫られて了承する筈が無いじゃないか、胸は凄かったけれど、二人とも子供なんだからさあ。

 あの時に僕の中にはウサギへの恐怖心が植え付けられ、思い出しただけで体はポカポカなのに寒気を感じるし、誰も来ないだろうけれど腰にタオルを巻き、結び目の時間を停止して補強。

 

「ま、まあ、寝ぼけもあってアンリがさっきの冗談を続けて顔を出す可能性も有るんだ…し……」

 

 急に感じた隙間風、風が来た方を見れば今開いたばかりのドアの隙間からウサ耳が覗く。

 

 ひぃ!?

 

 思わず出そうになった悲鳴を押し殺し、恐怖も顔に出さないように頑張るけれど冷静に判断出来そうにないかも……あれ? あの耳の色って……。

 

 

「情けない。ナミ族の小娘に襲われたとは聞きましたが、それでもクヴァイル家の当主ですか」

 

 もしやと思えば正解で、辛辣な事を言いながら顔を覗かせたのは灰色をしたウサギのキグルミ、神の配下が覗き見ですか、グレーシアさん。

 

 

「……いや、何の用?」

 

「おや、冷たい対応ですね。まあ、あのパンダの仲間なのですから警戒も仕方が無いのですが」

 

「それはそうとして対応の理由は別だから」

 

 年上だろうし一応神の配下だしサマエルから服を取り戻した上で追い払ってくれた恩もある、本来なら丁寧に接するべき相手だろうけれど、トラウマはトラウマなんだし、部外者に家の事をとやかく言われたくはない。

 

「伝え忘れた事がありまして・・・・・・あのパンダがですよ? 適当な仕事をしたのが私ではない事を念頭に置き、伝え忘れを知って戻って来た私に妙な誤解を向けぬように」

 

 言われたくはないんだけれど・・・・・・この人の声って既視感と共に逆らえない何かがあるから反論はしない・・・・・・出来ないんだ。

 うーん、グレーシアって名前も同様に何処かで聞いた憶えはあるんだけれど、何処でだっけか?

 

 淡々と事務的に用件を告げる彼女に好感は持てないけれど、アンノウン様が伝え忘れたのなら重用だろうし聞いておくか、大人しく。

 そして速攻で帰って貰わないと、だって髪を洗う前に現れたんだからさ。

 

「では、報告と共に少し聞き取りをさせて貰いましょうか」

 

 ……嫌だなあ。

 

 どうも上から目線で物事を決める相手だなと思いつつも、所詮は人間じゃなくて神獣なのだからと諦めるしか無いのだろう。

 情報は欲しい、味方は多い方が良い、僕の少しの我慢で済むのだったら仕方が無いか……。

 

 

 

 

「それで学園はどうですか? 他の国に行くのですし、苦労は多いでしょうが情けない姿は見せないように。ロノス個人としてではなく、クヴァウル家の代表として向かっていると忘れぬように」

 

 そんな理由で多少の事は受け入れる予定だったけれど、今の状況は少し意味が分からないんだ、ウサギのキグルミに髪を洗われているんだからさ、どうしてだろう?

 

 

 何で僕の頭を洗おうって思ったのかは知らないけれど、向こうから結構強引に申し出て来て、冷静な感じの態度を見ていただけに思わず了承してしまったけれど、実は只今絶賛後悔中なんだ。

 先ず、キグルミのまま他人の髪を洗う事に慣れていないのか……いや、キグルミのまま髪を洗うのに慣れているってのも妙な話なんだけれど、兎に角下手だ。

 それにシャンプーの泡がポタポタ落ちている最中だから口は開けられないのに一方的に話し掛けて質問ばかり、それも親戚の子供にでもするような日常の些細な事、それと貴族としての小言だ。

 

「……しかしウサギのキグルミを相手に少し怯えたのが一瞬ですが見えました。風呂で兎の獣人に襲われたとのが理由でしょうが……情けない。ほら、流しますよ」

 

 これまた慣れていないのか大量のお湯を頭から掛けるんだけれど前髪の先に少し泡が残っているのを感じるし、事情を知る理由は聞いたからだけだろうにちょっと失礼じゃないかな?

 

「貴方は事前の手合わせで勝ったからこそ配偶者として認められ、それ故に種を求められたのでしょう? クヴァイル家に嫁いで来るという関係性上、貴方が優位に立たずにどうするのです。組み伏されそうになるのではなく、組み伏せて力の差を再認識させなさい。私も夫には抱くのではなく抱かれるのだと教え込みました」

 

「言っている事は尤もなんだろうけれど、他人にその辺の事まで言われたり教えられるのはなあ……」

 

 いや、相手は戦闘民族だし、向こうの方が強いとか思われたら今後の生活に関わるから何としてでもねじ伏せろってのは理解するけれど、だからって初対面の相手に此処まで言われる事に僕は流石に怒りすら僅かに覚えていた。

 

「他人……そう、私達は赤の他人……忘れる所でした。では、一番大切な用件を。今後、広範囲に散らばった大勢を守らなくてはならない状況に陥った時、毎回その全てを背負う必要はありません。私……私達が貴方の代わりに守りましょう。勿論、頼り切りになっても困るのでその時だけ顔を出しますが」

 

 急に優しい声になったグレーシアさんは僕の頭を洗ったせいで水を吸ってビチャビチャの手で僕の頭を慣れない様子で数度撫で、振り返った時には既に何処かに消え去っていた。

 

 

 

「絶対に妹を守り、そして守られなさい。今度こそ失敗しないように」

 

 最後に耳元で囁かれたみたいに聞こえた声、本当に何処かで聞いた筈なのに何処の誰なのか全く思い出せない。

 

 

 ……あの人、本当に神獣なのかな?

 

 

 

 

「アンリは……既に寝ているのか」

 

 体を拭いて出て来れば静かに寝息を立て、枕を抱きしめながら眠るアンリ姿。

 今はしっかりと毛布が掛かっているのを確認しつつ僕も同じベッドに入り込み、彼女に背中を向けて目を閉じる。 

 気になる事は沢山あって、問題も山積みだけれども……いや、だからこそ今はゆっくりと休もう。

 休んで万全の体調で立ち塞がる壁に立ち向かう、だって現実にはコンテニューも無ければ失敗してもやり直せるセーブポイントも存在しないのだから。

 

 

「……お休み」

 

 まあ、あの人が言った通りに僕には守り守られる相手である頼もしい妹が居て、仲間だって大勢居るんだ。

 だから大丈夫、何とかなる筈さ……。

 

 

 

 ああ、こうやって寝る瞬間には昔を思い出すけれど、どうしても思い出せない事が。

 誰かが歌ってくれている下手糞な子守歌、誰が何時まで歌ってくれていたのか、それが全く思い出せない。

 

 誰だったっけなあ……。

 

 




あと2!ブクマ残り2で1500突端のに中々進まない


アンノウンのシーンも発注予定

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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