ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい 作:ケツアゴ
「もう、ロノス様ったら。裸を見られてしまうなんて、貴方以外には嫁げませんわね」
あの後、一旦外に出た僕は着替えたネーシャと向かい合って話をしているんだけれど、どうも”裸を見られて恥ずかしい”ってよりは”作戦が上手く行って嬉しい”といった様子、元々色仕掛けをされていたし、チャンスを掴んだと冗談めかした態度を取って居るんだけれど……どうも妙だな。
僕ってよりはクヴァイル家の持つ力を見ている風に見えた彼女だけれど、今は熱が籠もっていると思える、ちょっとアリアさんが僕を見るb目に似ている……な訳がないか。
この短時間に恋に落ちるとは思えないしさ。
「あらあら、私の方をジッと見てどうなさいました? ……まさか私の裸を思い出しているとか? そうなら嬉しいですわね」
バスタオルが床に落ちた前後の恥ずかしいって態度は何処に行ったのやら、今はニコニコと嬉しそうで冗談まで向けているし、ちょっと真意が分からない。
……あ~、駄目だ、あんな夢を見たせいで変な意識をしているよ、だからネーシャの瞳が恋する瞳に見えているんだよ、自意識過剰だぞ、僕。
「……えっと、ごめんね。もう少し声を掛けるべきだったよ」
「いえいえ、どうせ何時かはお見せする予定でしたし……昨日、私がやろうとした事だって忘れてはいませんわよね? あの時は勇気を振り絞ったのに邪魔が入って……」
今の僕とネーシャは二人きり、リアスには少し席を外して貰っていて、外からポチと遊ぶ音が聞こえて来る。
向かい合わせで座り、微笑むネーシャと、彼女を抱く夢の途中で起きたばかりのせいで変に意識してしまう僕、どうも今は僕の方が不利な流れだ。
そんな話し合いの中、向かい合わせで座っていた彼女はテーブルを挟んでの状態から隣に座ろうと移動、途中でフラついたから咄嗟に支えると嬉しそうに僕に掴まってそのまま隣に座り込んだ。
あっ、谷間が見えた。
少し大きめの服を着ている為か首の辺りに余裕があって前屈みになると間近からなら見えるんだよ……ワザとかな?
「す、少し服が大きいんだね……」
「あら? あらあら、見えてしまいました? ……まあ、見せる為に用意した服ですから。お気に召して下さいまして?」
ネーシャは僕が反応するのが嬉しいのか、少し照れた様子だけれどグイグイ来て、余計に谷間が見えてしまう。
ピンクか……はっ!?
「あのさ……少し離れようか。確かに婚約者……候補だけれど、正式に決まる前から……そのさ」
自分の事ながら情けない言葉だとは思うよ、突っぱねるなら突っぱねて、受け入れるなら受け入れろって話だけれど、普段ならあしらえているのが、どうしても彼女には上手く行かない。
え? まさか自分では上手く行っていると思っていただけ?
自信を喪失しながらもネーシャの肩を掴んで少し離す、石鹸の良い香りが漂って風呂上がりだと改めて意識してしまった。
だが、普段の彼女なら此処で無理にグイグイ来ない、焦って仕損じる事を避ける慎重さを持って居るからね。
皇帝の本当の娘であり、帝国有数の大商人の養女、クヴァイル家との婚約を誰にするか決めるなんて結果の決まった出来レース、色仕掛けはそれを更に確実にする為に僕を籠絡する為だけ……。
「嫌です」
「えぇ……」
その筈、だったんだけれど今日の彼女は何かが違う。
僕の拒絶に拗ねたように頬を膨らませ、気遣ってそれ程力を込めてなかった手を振り払うと僕に抱き付く。
ど、どういう事!?
こんなの、僕の知るネーシャらしく……。
「私らしくない……そう思っていらっしゃるのでしょう?」
今の彼女は僕の胸に顔を押し当てているから表情は分からない、分かるのは密着しているからかドキドキと鼓動が高鳴っている事。
この子、色仕掛けを平気でする割には根本的にウブで目的よりも羞恥が勝つ、だから今まで中途半端だったり失敗したりするんだけれど、今回は意を決したって様子。
少し心配になる僕の心を見抜いたネーシャは少し震えた声だった。
「今までは婚姻後に有利になる為に好意を持っている演技をしていましたし、色仕掛けだってしました。……お分かりだったでしょう?」
「……さあね」
「私が皇帝陛下の実の娘である事から婚姻がほぼ決まっているからと気を使わずとも宜しいですわ。……急にこんな事を話されて困惑なさっているでしょう?」
「……」
沈黙だけれど肯定も当然だろう、ネーシャが僕に抱き付く力は強まって僕まで鼓動が高鳴りそうだ。
……それにしても一体どうしたんだ?
僕が知っている事を知っていても、知らない振りを続けて来たのに、昨日までとは違って自分が不利になりそうな事を急にどうして?
「……私、ずっと否定していた事がありまして。自分がそんなに単純な筈が無いと言い聞かせていましたの。……命を救って頂いた時からロノス様に心惹かれていた事を」
「え? ちょっ……」
急な告白に僕は何かの作戦かと疑うけれど、上げた顔に浮かんでいたのは不安からの泣きそうな表情、演技ではないと伝わった事で固まる中、不意を打たれて顔を近付けられ……唇が重なった。
強く求めるように押し付けられ、離した時には顔を紅潮させて惚けた表情に色気を感じる。
……あっ、駄目だ、抑え込んでいた物が出てきそうになっている。
このままネーシャを押し倒し僕から唇を奪いたい衝動を抑える中、耳に息が掛けられ囁かれる。
「愛は時間を掛けて育めば良いだけ。……私を好きにして下さいませ」
「っ!」
後少し、後少しの所で踏みとどまれた。
それでもネーシャと密着して体を擦り付けられる状態じゃ何時まで持つかは分からない。
それでも彼女の存在を間近に感じ続けていたいと理性が飛びそうになる中、再びのキスの後に耳元での囁きが繰り返された。
「私にロノス様の存在を刻んで下さい」
その言葉は夢の中で目の前の少女から向けられた言葉、偶然にしては出来過ぎて戸惑いが生まれる中、僕の中に強い感情が流れ込んだ。
「ネーシャ!」
「きゃっ!?」
僕に流れ込んで来たのは彼女への想い、今まで何度か起きた事と同じく知らない記憶、彼女と過ごした日々と共に何が何でも手に入れたいという執着めいた物さえ生まれ、気が付けばソファーの上で覆い被さった体勢になっている。
此処で止める……気にはなれない。
アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません
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ポチ
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夜鶴
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ネーシャ
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ハティ
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レナ
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パンドラ
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サマエル
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シロノ
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アリア