ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

264 / 269
誰が見ても面倒臭い

 私は婚約が決まった頃から既に分かる範囲でクヴァイル家に関わる年頃の娘について調べていた、婚約者になる可能性があるからだ。

 

「ふんっ。どうした、ロノス。妾が気になるのか?」

 

「いや、まあ……」

 

 そんな中、間違い無く婚約者、それも正妻になるだろうと思われるのは二人、そのどちらかが選ばれるだろうが、目の前に居るのは選ばれるであろう相手、妖精族の姫であるレキア。

 

 そんな彼女は水着姿でロノス様の膝に乗り、それが気になっているのがロノス様の様子で分かるのだが、当初は気にならなかっただろうに、今は笑顔を浮かべているが嫉妬の炎が燃え上がるのを感じる。

 

「お二人共、仲が良いのですね。羨ましいですわ」

 

 そう、私は二人の姿が羨ましい、少し前ならば上手く取り入る相手でしかなく、クヴァイル家内での高い地位を確立するのならば問題は無い。

 何故なら既姫の中でも女王最有力候補だと聞いている、ならば子供が生まれても妖精だ、クヴァイル家の跡取りにはなれはしない。

 つまり私の産む子は彼女の子よりも国内で高い地位に就ける可能性が高いという事……複数人生まれたのなら女王に選ばれない子供達はどうなるかは分からないけれど。

 

 

「仲が良い、か。まあ、他人から見ればそう思えるのかもな。だが、覚えておけ。此奴と妾、どちらが上なのか、それを……」

 

 ロノス様の膝の上でふんぞり返ったまま彼女はポンッという音と共に煙に包まれ元の大きさへと戻る、ロノス様はむせていた。

 

 

「……こほん」

 

 何事も無かったかのように咳払いをしてから肩の上に座る姿に思った、”面倒臭い”と。

 彼女についてはリアス様から話を聞いていた、あの方、本当に口が軽いし脳味噌筋肉だし、聖女としての彼女の噂とは大違いで戸惑う、いや、本当に

 

「お兄様の婚約者?」

 

「ええ、パンドラ様以外の方について詳しく……」

 

 話を少し聞ければ良いなって程度だったけれど、案外あっさり話してくれたのは確定している婚約者二人の事、妖精国の姫君レキアとギヌスの民ナミ族の族長の娘であるシロノ……後者については少し嫌そうにしていた。

 ……立場は兎も角、あの溺愛されている妹に嫌われている相手ならどうとでもなると思っていたのだけれど……。

 

「お兄様に兎に対するトラウマ与えちゃうし、脳味噌筋肉だし」

 

「え? 脳味噌が筋肉……ですの?」

 

「あら? 驚いて……ああ、違うわよ。本当に頭の中身まで筋肉になっているんじゃなくって、そうとしか思えない程に馬鹿なのよ、あの女」

 

「……はあ」

 

 憤慨しているけれど、憤慨したいのは私の方だと叫びたい。

 誰が本当に頭の中まで筋肉だと思うのか、本当に筋肉が詰まっていそうな相手に教えられるなんて……。

 

「それにしても……それ程ですの?」

 

「ええ、その通り!」

 

 いや、よく考えてみれば少し関わっただけでも頭の中が筋肉で覆われていそうな彼女でも、聖女としての噂は本物で、貴族としての教育は受けている。

 蛮族……とまでは言わないが、戦闘民族とは教育の質で違いが出るのだろう。

 一応もう少し詳しい情報を得ようと聞き出せば、嫌いな相手の事だからか口が随分と軽い……味方にするのは当然として、その後の扱いに困りそうな気がした。

 

 

「例えばゴリラだの同じく脳味噌筋肉だとか言われる私が敵かどうか分からない相手に遭遇した時、一応お兄様とかの判断を待って、敵だと分かったら速攻で殴るのよ」

 

 脳味噌筋肉に間違い無し、私は確信した。

 

「でも、あの女は違うわ。怪しいから殴り、それから考えるのよ」

 

「成る程、後から考えるのですね」

 

 ……確かに後者の方がどうかとは思う、だけれど考える事を誰かに任せるのが当たり前になっていて、結局殴るのならば……。

 

 ”五十歩百歩”、その言葉を私は静かに飲み込み、友人だと聞いているレキアについて尋ねる。

 

「うーん、一言で言うのなら……恋愛に関して面倒臭い」

 

「は、はあ……」

 

 この時、私はその言葉の意味が理解出来てはいなかった。

 今まで商会の一員として働く中で面倒な性格の者とは少なからず関わっては来たが、ゴリラなリアス様の言葉だけに何か分かり難い事が隠れているのではと疑い……違うと確信したのは今だ。

 

 

 

「それにしてもレキアが堂々と僕の事を婚約者として扱うだなんてさ。嫌いだ嫌いだって意地を張っていた時期が長いから嬉しいよ、仲良く出来てさ」

 

「ば、馬鹿者めっ!? た、確かに友としては認めたが……婚約者については母様が決めた事だから名乗ったまでだ。……調子に乗るな、愚か者め」

 

 他人から見れば”好き好き大好き”と丸分かり、小さいお顔で必死に不機嫌そうな表情を作っても隠しきれていない、本人は隠し通せていると思っているのだろうけれど。

 気位の高さは妖精の王族だからと皇族である私も理解するが、それでもこれは……。

 

 私も私でプライドから好きだという気持ちから目を逸らし、利用する為の存在でしかないと自分に言い聞かせていたのだから同類ではあるけれど……流石にアレよりは絶対にマシだと思う。

 

 腕組みをして上から目線の発言の割には肩に乗って今にも鼻歌でも始めそう、隣のトアラス様も苦笑……ああ、私、随分と彼女を敵視しているのか。

 好きな相手に好きと言えない、それも立場等の障害がある訳でもなく、寧ろ仲良くする方が良い相手、それなのに素直になれず、相手が怒ったり呆れたりしないからと甘えている。

 

 ……だから癖もあって脳内で相手の名前に様付けをしているのに彼女は呼び捨てにしているのか。

 

 

「しかし海か。……初めて来たな」

 

「あら、そうなのですね。それにしてもレキア様は妖精の姫君ですが、婚約者とはいえ此処にいらしても宜しかったのですか?」

 

 普通に考えて王族が危険な場所に助っ人に来るだなんて有り得ないだろう、何かあったらどうするのだ。

 私の問い掛けは当たり前の物だろう、けれどレキアは得意気な笑みを浮かべ、私に”その程度も分からないのか”と言っているようだった。

 

「妾が此奴を助け、此奴が絶対に妾を護りきる。それに……ふ、夫婦になるのなら助け合いだ。まあ、長い間の付き合いだ、信頼という物が……こほん」

 

 途中からロノス様に寄りかかって自慢するように語っていたのに気が付いたのだろう、咳払いをして誤魔化そうとする、誤魔化せていないけれど。

 肩に乗ったままなのも恥ずかしくなったのか頭に乗ってロノス様には顔を見られないようにするけれど、自爆にも程がある。

 

 

 

「貴様が勘違いせぬように何度も言い聞かせるが……あくまでも母様が決めたから婚約者と口にするが、妾の中では貴様は……友でしかない。まあ、貴様が頑張れば夫として見てやらない事もない。精進を忘れるなよ?」

 

「そうだね。せっかく君に友達だと認めて貰えたんだ、頑張って君に認めて貰うよ」

 

「……ふ、ふん! 口だけで終わらぬようにな」

 

 ロノス様、本当に口説く気で言っていないのだろうか?

 レキアは完全に顔が真っ赤になっているし、彼には見えていないからとニヤニヤが隠せていない。

 

「まあ! 本当にお二人は仲が良くて羨ましいですわ。私もロノス様とレキア様のような関係になりたいですわ。長い付き合いになると思いますし、色々とご教授お願いいたしますわ」

 

 まあ、私のロノス様への恋心が本物で、彼女とは仲良くしたくない……けれどクヴァイル家内での高い地位を得たいという事には一切変わりはない。

 彼の愛と高い地位、その二つを手に入れる、それだけだ。

 

 

 

 ……それにしても人がヤろうとしている時にやって来ていて、何を人前でやっているのだろうか。

 押し倒して想いを伝えたら逆に押し倒されて私が欲しいと言われたのに良い所で邪魔をされたから……正直言ってムラムラして来た。

 

 後で二人きりになれないだろうか?

 


▲ページの一番上に飛ぶ
Twitterで読了報告する
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。