ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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男装少女のお楽しみ

「全く、何をやっているんだ、僕は……」

 

 家の掟で成人までは男として過ごす、それは生まれた時から決まっている事だから違和感も覚えないし嫌だとも思えない、秘密の部屋で女の子を堪能するのは好きだけれど、男として振る舞い力を鍛え上げて行くのにも誇りを感じているんだ。

 

 でも、中身は男になったって事も無いから男なら平気でも女なら駄目な事は駄目なんだ。

 僕は跡取りの男児……ではなく、跡取りである弟を持つ女の子なんだから……。

 

 何度か起きるけれど眠気に負けて惰眠を貪る事数度、頭がボケッとするのに耐えつつ毛布をはねのけてベッドから起き上がり、全裸のままで歩き回る。

 あっ、鏡を見たら涎が垂れてるのに気が付いたし、もう一度風呂にでも入ってスッキリ綺麗になろうか。

 

「ピッ」

 

「え? 風呂で寝たら危ないからついて来るって?」

 

 敵が一度襲って来ているからとログハウスの外ではなく中で待機していたタマは僕が風呂場に向かおうとすると器用にくちばしで着替えを持ち上げて後を追って来る、僕だって風呂場で寝たりなんか……した事有るな。

 不眠不休での行軍訓練とかは頻繁に受けているんだが、どうも普通の時は起きるのが苦手になる。

 

 戦場で死ぬのは仕方無く、老いてから家族に看取られて逝くのは理想、でも風呂で寝て溺死するのは勘弁して欲しい。

 ロノスにはポチを風呂場に入れないように言った手前、タマを連れて行くのはな……。

 

「まあ、謝った後でポチの入浴も許してやれば良いだけか。何なら背中でも流してやって機嫌を取れ…ば……」

 

 一緒に風呂、つまり混浴、要するに裸の付き合い……つまりは僕がさっきまでベッドの中でやっていた事で……この言い方だとヤったと間違われそうだな、頭の中のことを誰が間違うんだ、落ち着け、僕。

 

 混乱しながらも思考を続け、冒頭の呟きに戻る、今更ながら羞恥心で頭が働きそうにないのだが……。

 

  僕は彼に何をした?

  答えは簡単、裸になって同じベッドに誘ったんだ。

 

 彼奴の分の毛布が無かったし、僕は裸じゃないとゆっくりと眠れない、そんな理由に付け足して彼奴が変な勘違いをして襲っては来ないと信頼しているし、その信頼も伝わっているから、何も疚しい事は無かったが……。

 

 端から見ればそんな関係に見えるのだと、今更ながら自覚してしまった途端に恥ずかしいし、他人がしそうな何があったかの想像を僕もしてしまった。

 

「……そうだな。僕が目を覚ますと後ろから抱き締められて、抵抗するんだけれど敵わずに……」

 

 正直言って魔法無しの単純な近距離戦なら僕が有利だろうが、想像の中で僕はロノスに敵わずに押さえ込まれ、そのまま純潔を奪われる。

 やがて快楽に負けた僕からも彼奴を求め、彼奴の前では完全に女にされて……。

 

「はっ!?」

 

 我に返った時はもう遅い、頭の中はピンクな妄想で一杯で追い払おうにも追い払えない。

 軍での仲間達は男が多く、猥談を結構しているから性欲は男の方が強いのかも知れないが、女の子だってそんな気分になる時があるんだ。

 

「彼奴のせいだ……」

 

 理不尽だとは思うが、目を覚ましたらロノスが多い被さっていて、その後で何も無かったが僕が裸のまま一緒のベッドで眠ったし、責任を頭の中だけでも押し付けさせて貰う。

 

「……ピ」

 

「分かっている、分かっているさ……」

 

 ”理不尽かと”、そんな風にタマに言われるまでもないが、別に責任を本人に追求する訳じゃないんだ。

 別の形で僕の中だけで責任を取らせる、それだけだ。

 

「タマ、ちょっと脱衣所で待っていてくれるか?」

 

「……ピィ」

 

 僕が今から行うのが、その時に思い浮かべる相手が誰なのか察したのか、タマは困った風に溜め息を吐きながらも脱衣所への扉を閉めた。

 タマはサンダー・ドラゴン、価値観も種族も人間とは違うけれど、知能は高いし言葉が通じる相棒だ。

 以心伝心、一心同体、そんな存在とはいえ、見られたくない姿だってある。

 

 

 

「ひゃっ、ロ、ロノス……」

 

 誰も居ないからと妄想の中の言葉を実際に口に出し、溜まった物を発散させる。

 親友をそんな事に使う背徳感は興奮を加速させる反面罪悪感すらあるが、僕の本当の性別を知っていて、ちゃんと女の子扱いしてくれるのは彼奴だけなのだから許してくれ、絶対に教えないから謝る機会は無いだろうが。

 

 ポチと一緒に出たし、妹の所に行ったのなら帰るのに時間が掛かるだろうが、何かあった時の為に早く終わらせよう。

 

「……何をやっているんだ、僕は」

 

 我に返る事数度、僕は普段から溜めている欲求を何度も何度も発散させるのだった。

 

 

 

「さて、後一度だけ……」

 

 もう何度もロノスを使って……うん、色々と気持ち良くなったが、流石に疲れて来た。

 でも、これで彼奴の顔をちゃんと見れるだろう。

 ”ムラムラしたから君の顔が見れない”、だなんて親友に対して言えないからな。

 

 

 ……ちょっと思う、僕と彼奴は性別関係無しに友情を結んでいるが、芽生えたのが恋愛感情だったらどうだったのかと。

 恋愛と性欲は別だからそんな目で見てしまったが、恋をしているのかと問われれば答えられない。

 

 只、一つだけ言えるのは……。

 

「ロノス、君は何があっても僕の親友だ。例え祖国が争い敵に回っても、それこそ君の所に嫁入りしてもな」

 

 何となく口にしたが、気軽に関わる事を考えれば悪寿はない考えだが……うん、”友情に口出しされるのは嫌だから結婚してくれ”とか言われたら彼奴は困るだろうし、僕だって困る。

 

 だからまあ、これは笑い話の種にしかならないが……ちょっとだけ面白そうと思った。

 

 

「さて、残り一回はどの様なシチュエーションにすべきだろうか? 強引に迫られるのも、恋人として人目を忍んでのもやって……ふむ、矢張り互いにおふざけで触り合っていたら興奮の勢いで、これだな」

 

 そうと決まれば邪魔が入る前に、僕は早速状況を思い浮かべながら胸に手を持って行き、魔法で桶の中のお湯を冷水に変えるなりのぼせた頭に被って冷やす。

 

「……お客様か」

 

 軍人一族としての物か、それとも男装を続けて身に付いたのか、直感がログハウスに接近する存在を知らせてくれる。

 文字通りの意味の客か、招かれざる客かは知らないが、真正面から迎え撃とうじゃないか。

 脱衣所に飛び込んで手早く体を拭くとサラシで胸を潰し、チョーカーで首を隠す。

 武器は持ち込んでいて、タマも臨戦態勢を整えて全身が膨らんでいた。

 

 

 

 

「お楽しみを邪魔してくれたんだ。招いていない無粋な客人には早々にお引き取り頂こうか」

 

 

 

 

 

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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