ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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懸賞で当たったカードが高く売れた これは新しい絵を発注? 1p漫画でも良いか


頭の良さ ペット>聖女

 洞窟で出会ったのはパンツを探しに来た変な女の子だった。

 

「……不味い」

 

 襲い掛かって来たコウモリキャンサーを一蹴した後で私が思い出して呟いたのよ、”そう言えば此奴って美味しいのよ”、って、

 塩茹が一番美味しいんだけれど、焼き蟹も美味しい、但し問題が一つだけあって甲羅が異常にエッグイ味がするから身とミソだけ取り出して調理するんだけれど……。

 

「いや、どうして甲羅ごと生で食べるのよ。確かに生で食べても美味しいけれど」

 

 この子、何を思ったのか辛うじて生きていた一匹を手に取るとハンバーガーみたいにガブッと行って、ガリガリ甲羅を噛み砕いて飲み込み、数秒後に口元を押さえて表情を変える。

 ロザリーとは出会ったばかりだけれど、無表情だった彼女が一番表情を変えた瞬間だったわ。

 どうして生きているのをわざわざ選んだのかって訊ねたら、”活きが良いのが美味しいって聞いた”、ですって。

 なら甲羅は一緒に食べるなって教えておきなさいよ。

 

「嘘吐き……」

 

「甲羅ごと食べるからって言ってるでしょ! こうやるのよ、こう!」

 

 私は甲羅を素手で握りつぶして欠片を取り除き、そのままプリップリの身をロザリーの口に突っ込む。

 僅かに驚いた顔をした後で甲羅と一緒の時よりゆっくりと時間を掛けて食べて、飲み込むと私の手の中のコウモリキャンサーの残りをジッと見ながら餌を強請る小鳥みたいに口を開けた。

 

「おかわり」

 

「いや、自分で食べなさい」

 

「うん、そうする」

 

 ロザリーは残ったコウモリキャンサーを手に取ると素手で甲羅を引き剥がして顔を付けて身を食べる。

 ズルズル音を立てるなっての、私がやったらレナスかメイド長に大目玉よ、それ。

 

「それ、塩茹でにするか焼くかした方が美味しいのよ」

 

「……やってみる!」

 

 そのまま残りを纏めて手に取るとダッシュで外に向かおうとする、慌てて首根っこを掴んで止める。

 

「こらこら、何処に行くのよ」

 

「?」

 

 え、いや、蟹を見せて”教わったばかりの美味しい食べ方を試すけれど、わざわざ聞くのは何故?”って顔されても困るんだけれど。

 

「パンツを探すんじゃなかったの?」

 

「……パンツ? パンツなら穿いている」

 

 ほら、この通り、とスカートを捲り上げて青と白の縞パンを見せて来たロザリーだけれど、そうじゃないでしょ!

 

「アンタの友達のパンツを探しに来たんでしょうが!」

 

「……あっ。蟹に夢中で忘れてたけれど、ミントの紐パンを探しに来たんだった」

 

 ハッとした顔で我に返ると捨てていくのは勿体ないとでも思ったのかその場に座り込んだロザリーは次々に甲羅を剥ぎ取っては身を啜る。

 本当にマイペースな子ね。

 

「ったく、しかりしなさいっての」

 

 馬鹿だのゴリラだの言われる私だけれど、この子の天然っぷりはそれ以上ね、絶対に。

 食べ物に夢中で紐パン探しを忘れるだなんて……。

 

「……あれ? 私は何をしに来たんだっけ?」

 

 何かを壊しちゃったから代用品を探しに来たのは覚えているんだけれど、ロザリーを助けたり蟹を食べるのに夢中になっていたら忘れちゃったわ。

 

「ねぇ、ポチ。私達は何を探しに……あっ」

 

「キュイィ」

 

「わ、分かったわよ。悪かったから恨めしそうな目で見ないでって。屋敷に戻ったらお兄ちゃんに内緒でお菓子沢山あげるから」

 

「キュイ! キュキュイ、キュキュイ、キュキュキュキュイ!」

 

 ふぅ、危ない危ない、玩具に良さそうな骨を探しに来たんだった。

 何とかポチの機嫌を取って先に進もうとするけれど、足下に転がったコウモリキャンサーに視線を向ける。

 その中でも一番大きな奴のハサミの部分を手刀で切り落としたら堅さも重さも中々の物。

 

「ねぇ、これって骨の代わりにならない? ちょっと生臭いし、中身が腐るけれど」

 

「……ハァ」

 

 私の質問にポチは溜め息と同時に奥へとスタスタ歩いていく。

 呆れられたっ!?

 

「ちょっと待ちなさいよ、ポチ! 行くわよ、ロザリー!」

 

「……待って。あと三匹食べたら行く」

 

「良いから来なさい!」

 

 未だ蟹の身に夢中になっているロザリーの手を引っ張って慌ててポチを追い掛ける。

 

「ちょっとポチ! ったく、お兄ちゃんと私じゃ扱いが天と地の差よね、彼奴」

 

 何で此処まで態度に違いがあるのか首を傾げたくなった時、不意にポチの動きが止まり、私に向けていた呆れかえった感じの眼差しから鋭い捕食者への物へと変わっていた。

 翼も大きく広げ、全身の羽毛を膨らませて体を大きく見せながら威嚇の鳴き声を出す中、静かに奥へと流れていた水面が波打ち、通常の三倍は有りそうな巨大なイルカが姿を現した。

 

「クゥイィィィィ!」

 

「キュイィィィィ!」

 

「あのイルカは……」

 

 私達の目の前に現れた巨大なイルカ、特徴的なのは全身に血管のように走った赤い模様、血が流れて居るみたいドクンドクンと脈動するそれは時々鈍く光っていた。

 そして錆色の皮膚の上からでも分かる程にゴツゴツと盛り上がって浮き出た骨にポチの視線が奪われ、尻尾が無意識なのか左右に揺れている。

 どうやら彼奴の骨を新しい玩具にしたいみたい。

 左右に三つ、合計六つの瞳は白銀に輝きながら知性を感じさせ、頭には水晶か氷みたいな透明の王冠っぽい突起物。

 このモンスターの名前は……。

 

 

 

「此奴、何って名前だっけ? 図鑑で見た覚えがあるのよね」

 

「……私も忘れた」

 

 まあ、その図鑑も途中で寝落ちしてヨダレで大きな地図を描いちゃったんだけれど。

 忘れているのが私だけじゃないと安心する中、ポチは知っているらしく小さな声で教えてくれる。

 

「へぇ、”イルカイザー”って名前なのね」

 

「ハァ」

 

「溜め息がわざとらしいわよ、ポチ。それで何処の骨が欲しいの?」

 

「キュ!」

 

「尻尾の辺りね? 了解したわ」

 

 人が素直に感心してやったのに酷い態度だと思いつつも目的を思い出したからには達成しようと構えればイルカイザーも全身を震わせて額に魔力を集中させるんだけれど、よく見れば鼻先に何かを引っかけている。

 

「……あっ。ミントのパンツ」

 

 そう、紐パンが全然可愛くないイルカの鼻先に引っ掛かっていたのよ。

 まさか本当に洞窟で発見するとは思わなかったと私がビックリする中、明らかに何かする気のイルカイザーにロザリーは不用心に接近すると思ったら腰を屈めて目線を合わせると手を差し出した。

 

 

「そのパンツちょうだい。……ついでに尻尾の骨も」

 

 いや、くれる訳無いじゃない。

 うん、ハッキリと分かったけれど……この子は馬鹿だ。

 

 

 

 

 




応援待ってます!

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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