ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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今はこれだけで

「おや、お早いお帰りだったな。今は日差しが強いのだし、わざわざ魔法で遮るのならば建物の中で良かったのではないのか?」

 

 一頻り砂遊びをしたんだけれど、童心に帰ったみたいで楽しかった。

 前世では庭木に水をやる為に外にも蛇口があったからバケツとスコップで山や池を作ったりした思い出が蘇り、ついつい夢中になっていたんだけれど何時までも遊んではいられない、何せ僕達二人は抜け出した身だ。

 

「特に貴様。出会った時にヘンテコな奴だと思ったが、眠いからと茶会に参加しなかった者がまさか外で遊んでいたとはな」

 

 特に今こうして玄関で腕組みで待ち構えたレキア。

 そんな彼女に不満そうな顔でビシッと指先を向けられているアリアさん、彼女は嘘ついて抜け出したからなぁ。

 ”これだから王国貴族は信用出来ぬのだ”、とか目で訴えて来ているよ。

 アリアさんの方を見たら誤魔化す事を考えてなかったみたいだし、僕にまで波及しそうな気が……。

 

「貴様もだぞ、ロノス! ……貴様は妾の婚約者(オベロン)候補という自覚が不足している。改めよ」

 

 波及、しちゃったかぁ……。

 責めるように強い口調の後、ジト目で呟くような口調、怒っているってよりは拗ねている感じ。

 長い付き合いだから僕は知っている、こんな時のレキアは本当に面倒だ。

 

 何かは分からないけれどして欲しいのは分かる、でも彼女は素直に口に出来ないし、プライドが高いから聞き出すのは困難だ。

 でも、今回は何となく分かるんだよね、レキアが何を望んでいるのか。

 

 

「そうだね。じゃあレキアから君の夫に必要な事を教えて欲しいな。海岸を散歩でもしながらさ」

 

「ふんっ。少しは自覚を持ったか。良かろう、じっくりと教えてやるから暫し待て」

 

 ほら、矢っ張りだ。

 僕が散歩に誘うとレキアは仕方無さそうにしながら部屋に戻って行き、妖精サイズの日傘を持って窓から出て来る。

 普段は妖精の領域を管理している忙しい身だし、折角海に来たのに友達の僕が他の子と遊びに行って自分は放置されていたのが面白くないんだ。

 相変わらずの定位置として僕の肩に座り、一瞬だけ楽しそうに笑うと直ぐに不満そうな声を出しながら僕を急かす。

 

 

「未だ日は高いが急げ。貴様には普段から言い聞かせるべきだと思っていた事が多くある。夕食時まで戻れると思うなよ」

 

「はいはい、覚悟しているよ。大変だけれど、君と一緒なら楽しい時間だ。寧ろ直ぐに終わってしまったと残念に感じるんじゃないのかな?」

 

「……無駄口を叩かずに行け」

 

 本当に素直じゃないんだから、この子は。

 一緒に遊びたいならそう言えば良いのに、僕やリアス以外に友達が居ないんだからどうやって接するべきか分からないんだよね。

 一番優秀な姫で長女だし、母親には気軽に相談出来ないんだろうし、だからまあ、僕が気持ちを汲んであげれば良いか。

 それが友達ってものだし、このままじゃ結婚するんだしさ。

 

 

 

 

「大体、貴様は妾への敬意が足りておらぬ。姫であり、やがて妖精の女王となる者だぞ」

 

「うん、君は優秀だしね。君の事は本当に凄いと思っているよ」

 

「ふふん。ならば良い。分かっているのならば態度に出すべきだが、貴様は素直では無いせいだろうしな。もう少し己の本心を表に出せ」

 

 それ、君が言う?

 言ったら怒り出して拗ねるだろうし、少し可哀想だからね。

 

「そうだね。君にはもっと素直になりたい。夫婦になっても誰にも見せたくない部分があるだろうけれど、君相手には出来るだけ減らしたいよ」

 

「……そうか。精進せよ」

 

 話は終わったし、丁度良いタイミングだからと岩に座り込んで海を眺める事にすると不意に肩が軽くなる。

 ……こう言うとレキアが重いみたいだけれど、かなり軽い。

 人間サイズになった時に見た限りじゃ胸やお尻の肉付きは悪く無かったし。

 

「こうして貴様と並んで過ごすのも久し振りな気がするな。ロノス、お前の肩や頭は乗り心地が良い。喜べ、妾が誉めてやっているのだぞ」

 

「それは嬉しいね。誰かに誉められ認められる、それが君なら尚更だ。大切な相手だからね」

 

「妾にとってもな。貴様は妾の大切な……友人だ」

 

 真っ赤になりながらプイッと顔を背けるレキア、思わず”可愛い”とか口にしちゃったら石を投げられたけれど、本当に可愛いよね。

 

 

「ああ、そうだ。貴様の学習態度を評価し、少し褒美をくれてやろう」

 

 パチンと指を鳴らす音、ポフっと煙が手元で広がって、僕の手には蜜がタップリ詰まった花が握られていた。

 横を見ればレキアも両手で花を酒杯みたいに持って蜜を飲んでいる。

 ちょっと舌先で触れれば蜂蜜に似た少し濃密な甘味が広がって、マッタリとしているけれど全然しつこくないし、直ぐに飲み干してしまった。

 

「美味しいね、これ。初めて飲んだや」

 

「”王花(おうか)”、妖精の城にのみ年に一度咲く花で、私とて初めて飲んだ。女王とて気軽には飲めぬ。結婚記念日と……求婚する時に姫が相手に渡す物だ。あれだ、済し崩し的に婚約が決まったから事だしな」

 

「そう」

 

 思わず短い返事をしてしまったけれど、要するにその場しのぎの婚約者の演技だったのを正式にしようって事だ。

 互いの家が決めた事だけれど、ちゃんと自分の意思が在るって事で……。

 

 うわぁ、恥ずかしい……。

 

「勘違いはするな。貴様が考えている事とは全くの別物だ。ただ義理を通したそれだけだ、良いな? ……良いな?」

 

「あっ、うん。分かった」

 

 これは勢いに任せた結果、凄く恥ずかしい事になったって所だな。

 蜜を一気に飲み干したレキアは僕の隣から飛び上がって頭の上に乗る。

 これをやられると顔が全く見えないんだけれど、見られたくないんだろうな。

 

 それにしてもレキアも乙女だったって事か。

 いや、リアスとは違うタイプって分かってはいたんだけれど、普段が普段だから忘れちゃうんだよね。

 

 彼女の婚約者として妖精国に行った時はあくまでも演技だったけれど、妖精の姫らしく恋した相手に花を贈って求婚するってのをやってみたかったんだろうな。

 

 

「じゃあ、これで君と僕は正式な婚約者って事で良いのかな?」

 

「母上が決めてしまった事な故に不平不満を口にはせぬが、貴様次第だ。……いや、そもそも勘違いをするなと言ったはずだぞ、妾は。話を聞いていなかったのか、全く」

 

 不満を装いながらポカポカと頭を殴り続けられる。

 おっと、そうだった、あくまでも憧れていた事をやってみただけか。

 

 

「それでも君に相手として選ばれたのは嬉しいかな」

 

「……ふん」

 

 照れ隠しなのか割と強めの一撃を食らったけれど、僕は本心で言った事だから後悔は無い。

 

 

「そろそろ散歩に戻る?」

 

 暫くの間、僕とレキアは無言で海を見つめ、波の音に耳を傾ける。

 こうしてのんびりするのも良いけれど、滅多に海に遊びに行けないレキアが存分に海で遊べたら嬉しいし、何処か体の小さな彼女でも遊べる場所が無いか探そうと思ったんだけれど、レキアは僕の頭から降りたと思ったら大きくなって僕の隣に再び座り込んだ。

 

「ああ、そうだな。だが、暫し待て、妾が元の大きさに戻ってしまうまでの僅かな時間だけ、それまではこうしていたい……」

 

 レキアの手が僕の手に重ねられ、体が預けられる。

 顔を見ようとしたら空いた手で邪魔をされて見れなかったけれど、レキアの静かな息遣いは感じる。

 

「そっか。じゃあ少しだけ休憩を続けよう。何かお話は……別に良いや」

 

 今は言葉を交わすよりもこうしているだけが良い、そんな風に彼女が思っているのが伝わって来たから僕も隣に居るレキアの存在を感じる事だけに意識を傾ける。

 

 

 やがて、レキアが今の大きさを保っていられなくなる時間がやって来た頃、頬に柔らかい物が一瞬だけ触れた。

 

 

 

「思い上がるな。何となく、その様な雰囲気だと思った、それだけに過ぎぬ。……それだけにな」

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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