ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい 作:ケツアゴ
悪夢
これは夢だと僕は認識している、リアスとポチの話を聞いて、一緒に人魚族と会ったっていう少女、ドロシーが神獣だったんじゃないかと思ったんだけれど、本人はお土産で持ち帰った馬肉を美味しそうに食べていたし、何か損がある訳でも無いんだから今後僕はどうにかすれば良いか、みたいに思ってベッドに入ったんだ。
「……明晰夢って奴か。脳が休まないって聞いた覚えがあるから困る気もするけれど」
悪い内容じゃない、寧ろ良い夢だとクヴァイル家所有の別荘の露天温泉(主な効能は疲労回復)に浸かって目の前の光景を眺めているけれど、これが極楽か。
「主、私も其方に行っても宜しいですか?
目の前には風呂の中で立っている夜鶴の姿、タオルで体を隠そうともしないけれど、少し照れた様子で顔に張り付いた髪を指先で除け、そのまま僕を背もたれにするように座り、僕の肩にそっと手を当てて体重を預ける。
お湯は濁り湯なので浸かっている部分が見れない(惜しい)。
「あらあら、私の方も見て欲しいですわ。その代わり……私をお好きになさって下さい」
左手を挟み込む柔らかい物と耳に吹きかけられる息、甘えるような声でネーシャが僕にしなだれかかり、胸板を手の平をさすって来ていた。
この状況で好きにしてくれって、普通に考えて乱こ……いや、これって夢の中なんだけれども。
「……ネーシャ様は普段から共に居られるでしょう? 今くらいはお譲り下さい」
「あら? 私とロノス様の関係を考慮すれば構わないでしょう? 貴族の妻達の中にだって序列という物がありますもの」
「主の初めてをいただいたのは私ですけれど」
「つまり経験を重ねたロノス様に相手をして貰えたのですわね」
これが修羅場か、僕は何か言うべきだろうと思ったけれど、彼女達の言動は僕の頭の中で作られた物だし、どうせ夢何だから波風立たせないようにしよう、うん。
僕に密着しながら睨み合って火花が散る幻覚さえ見えるけれど、夢って幻覚みたいな物か。
知らない、知らない、僕、知ーらない。
「あ、あの、ロノスさん。私も混ぜて下さったら……嬉しいです」
そんな風に前と左で二人が修羅場を繰り広げる中、右に座っていたアリアさんはタオルを体に巻いた状態で僕に肩を寄せ、上目遣いになりながらコソコソと耳打ちしている。
この恥じらう様子が可愛いなあ……夢だし、現実では演技なんだけれどさ。
……こんな夢を見るとか、僕は将来起きるだろう娶った相手同士の仲違いの仲裁に悩んでいるんだろうか?
既に一線を越えている相手ばかりだし(全員とは本番までは行っていないけれど)、都合の良いピンクな夢を見ているだけ……ってのは考えないでおこうか。
「どうせ夢だったら……」
未だ学生だし、正式な婚姻を結んだ相手じゃないんだから現実では口にも出せないけれど、本とかでは登場するシチュエーションで複数人相手ってのがあるし? 頭が休めないのならいっその事、好き放題するのも……。
「「「きゃっ」」」
思い立ったら即行動、どうせ夢なのだからとネーシャとアリアさんの肩を抱き、真ん中の夜鶴と一緒に抱き寄せて、アリアさんが巻いているタオルを逃がし三人纏めて押し倒した。
三人は悲鳴のようだけれど嬉しそうな声、夢の中だし、これは同意の上だ。
「……あれ?
……腕の中の感触が変わる。
三人から一人に、僕の首に絡まる腕はアンリより逞しいゴツゴツしていて、より色が濃い褐色の肌に、押し当てられる今まで触れた物の中で一番弾力のある物に。
「ふふふふふ」
僕を抱き寄せる腕に真っ白い毛が生えて力が一層強くなり、耳に届いた笑い声は捕食者を連想させる恐ろしい物。
狙った獲物を捕まえた歓喜、それが伝わって来て、夢の中だと言うのに僕は押し倒しているのが誰なのか確かめるのを躊躇していた。
「その気になったか、我が夫。良いだろう、孕んでやる」
「んげっ! シロ…ノ……」
間違い無く美少女の部類に入るんだけれど、同時に間違い無く狂暴な表情、自信と気高さに満ち溢れていて綺麗ってよりは格好良いって思う。
さて、夢の中だけれども現実逃避は止めるとしようか、夢の中だから逃げても良いんだけれど。
気軽に接せる三人と違い、僕にトラウマを植え付けた強姦未遂犯、出会って早々に敵意を向けて、手合わせで勝ったら認めてはくれたんだけれど、その後で風呂で襲われるだなんて思ってもいなかったんだよね。
そんな彼女は両腕で僕を拘束し、唇を奪って行為に及ぼうとして来る彼女からは恐怖しか感じない。
「覚めろ! 覚めろ覚めろ覚めろ覚めろ覚めろ……」
幾ら夢の中だろうと強姦は勘弁だ、必死に抵抗する。
シロノは政略結婚をするのが決まっている相手、何時かはトラウマを払拭しなくちゃいけないけれど、エロい夢の中で急に現れて襲われるとか克服するしないの問題じゃない、腰回りを魔法で保護し、必死に目覚めようとすれば目の前が光に包まれ、何処からかポチの餌を欲しがる声が聞こえて来た。
ああ、目覚めの時だ、助かった。
夢の中だけれども僕は安堵で胸をなで下ろす。
「逃げるか。次は、無理」
ベッドの中で目を開ける直前、そんな声が聞こえた気がしたんだけれど夢の中でしかないから大丈夫……の筈。
前世でお姉ちゃんが似た感じの怪談を教えてくれたなあ、二人揃って怖くて泣いたら慌てていたけれど。
悪夢を見たせいか寝汗でビッショリで心臓が高鳴ってしまっている、気分が凄く悪い。
汗は魔法でどうにかなったけれど寝起きの気分は最悪で、窓をコツコツ叩く音、見ればポチが嘴でコツコツと窓(ガラスの部分は一度壊してメイド長に叱られたから窓枠の部分)を叩いて甘える声を出していた。
餌の馬は小屋に繋いでいるから食べようと思ったら食べられるんだけれど、僕の許可が欲しいって事らしい。
「やあ、良い朝だね、ポチ。良い子だったよ」
「キュイ?」
この子のお陰で悪夢から覚める事が出来たから窓を開けて頭を撫でたけれど不思議そうにしていた。
そりゃそうだ、分かる筈がないか。
「食べて良いよ。でも、食べ過ぎは駄目」
「キューキューキューキューイ」
馬小屋の中にはポチの餌として連れて来た家畜達の姿、覗き込んで順番に視線を向け、”どーれーにーしーよーうかーなー”と迷っていたけれど、今日は豚の気分らしく丸々と太ったのを風で運んで小屋から出す。
「ちょっと太らせ過ぎかな? 脂肪が多いみたいだし、ポチが太ちゃったらいけないや」
街中じゃないから普段よりも運動させてあげられるけれど、その分食べ過ぎている気もするんだよな。
でも、メイド達がコッソリとお菓子を与えたりもしていないし、お出掛けの時くらいは見ない振りをしよう。
ポチによって外に出された豚は涎を垂らしながら自分を見下ろす巨体に怯え、前脚をゆっくりと上げた途端に脱兎の如く逃げ出した。
二匹の距離が自分の全長の五倍程度まで開いた時、ポチは翼を広げて飛び上がり、あっという間に豚に追い付いて鉤爪で頭を掴み、体重を掛けて押し倒す。
首の骨の折れる音と共に豚の動きが完全に止まり、鋭い嘴が分厚い皮と脂肪を突き破って心臓を食いちぎった。
顔を血で汚しながら夢中で豚を貪る姿を僕は暫く見詰めていたけれど、寝起きの悪さはそれだけじゃ解消してくれやしない。
「朝風呂にでも入るか」
今は早朝とはいっても他の皆との共同生活の途中だ、リアスなら良いけれど、夜鶴達との組み手は出来ない。
だから軽く体を動かしはするんだけれど、今は気分をスッキリさせたかった。
「途中までは良い夢だったんだ。あのまま色々として……妖精の魔法なら好きな夢を見せられるかな? 頼める訳が無いんだけれど」
まさかレキアに”他の子達とイチャイチャする夢を見せて”とか頼める筈もない、頼んだが最後、ゴミを見る目で見られるだけだ。
馬鹿馬鹿しい考えを頭から追い出し、そのまま僕は風呂場へと向かって行く。
「これで男湯と女湯を間違えたらとんでもない事になりそうだなっと」
勿論そんな間違いをする筈もない僕は脱衣所で服を脱ぐと腰にタオルを巻いて露天風呂への扉を開いた。
「む? 妾以外にも朝風呂に入…る…」
目の前にはレキアの小さなお尻、扉が開いた音に気が付いたらしく僕の方を振り向いて、そのまま固まった。
僕は間違えなかったけれど、女の子の方が間違えちゃったよ。
アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません
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ポチ
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レキア
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夜鶴
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ネーシャ
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ハティ
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レナ
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パンドラ
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サマエル
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シロノ
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アリア