ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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チートアイテム 依存系腹黒ヒロイン専用装備

「さてと、懸念事項はこの辺かな? 後はその時その時で臨機応変に対応しようか」

 

 これは僕達がアリアさんと出会う前、乙女ゲーム”魔女の楽園”の開始イベントよりも前、僕達がリュボス聖王国の実家で留学の準備を済ませ、ゲームでは起きていた事が実際に起きればどうやって解決するのか、曖昧な記憶を元に基本的な方針は決まった。

 

「けね…ん…? うん! 大丈夫! ”けねん”ね、けねん!」

 

 何時も明るく元気なリアスは”懸念”の意味が分からなかったのか目が泳いではいたけれど、ちゃんと勢いで誤魔化そうって思い付いたみたいだから僕は安心したんだ。

 僕達が知っているのは未来で”起きる出来事”でなく起きる”かも知れない”出来事、仮にゲーム通りにイベントが起きたとしても対応が違ったら結果も変わる、行動Aの結果がA+になるなら行動BならB+になるみたいにさ。

 そしてB+に分岐したならアミダクジで選んだ場所を変えた時と同じで行き着く先も変わる物さ。

 

 だからイベントについては最初の行動次第でどうにかなる……でも、最悪の事態は想定しておかないと。

 

 

「一応考えて置くべきだろうけれど、原作主人公……アリア・ルメスと敵対問題が起きたとして、”強くてニューゲーム”的な例の武器はどうにかしておかないとね。もし存在した場合は厄介だ」

 

 ”魔女の楽園”は乙女ゲーム系のSRPG、レベルや装備だって存在するんだけれど、クリアデータを読み込んでも、受け継がれるのはイベントCGとクリア回数の記録だけで、レベルは一から上げなければならない。

 但し、クリア回数や隠しボスを倒したかどうかによって好感度を教えてくれる占い師ことプルートから序盤にアイテムを貰える。

 経験値を増加してくれる装備だったりで、特に隠しボスを倒した場合に貰える主人公専用装備”ダークマター”は破格の性能だ。

 

 設定上は闇の女神テュラ……ゲームにおいて僕達兄妹を操っていた黒幕であり、一番警戒していた存在……そして当時は知らなかったけれど、僕達同様に転生していたお姉ちゃんでもある……が己の力の一部を結晶化した物。

 全能力及び魔法威力に乗算で補正、更に装備時間によって性能向上、テュラ自体が馬鹿火力である主人公の闇属性魔法の威力を九割以上減らし、自分は物理魔法共に広範囲高威力、ゲーム中ではリアスを先に倒した時の僕に匹敵するレベルの鬼畜難易度らしいから納得の性能だ。

 

 ……お姉ちゃんが何十回も挑んで漸く勝ったからって熱く語っていたんだけれど、聞き流してなくて良かった情報だ。

 プルートを探していたのは戦力と占いの能力もあったけれど、この二周目以降の特典の事も有ってだ。

 

 まあ、実際はそんな異常性能なアイテムを持っては居なかったし、それとなく聞いてみても首を傾げられたからね。

 

 『成長の効率を上げる装飾品ですか? 占いますが……』、と言って存在を確かめては貰ったけれど、僕達や敵対する相手が手に入れる事は絶対に無いって結果が出た。

 いやいや、この時にはアリアさんと仲良くなっていたから忘れていたけれど、敵が手に入れる可能性や戦力増強の為にも”ダークマター”についても訊ねて置くべきだったよ、結果的には無駄に終わったとしてもね。

 

 

 

 

 そして今、そのチートアイテムは原作主人公ことアリアさんの手元、後は何か起きたらって心配だけが残るけれども……。

 

 

 

 

「”捜し物来る、安心して友に渡すべし。尚、女難の相強まりし”か、妙な物を手に入れたら伝えて欲しいとレキアに伝言を頼んだらしいけれど、そうでなかったら不安だったろうね」

 

 原作で悪人じゃなかったから、そんな理由ではなく、パンドラの人選と実際に顔を合わせて接した結果、僕達はプルートを信頼している、あの突如予言が舞い降りた時の変なポーズはちょっと引くんだけれどね……。

 

「それにしてもリアスったら僕に相談する前にアリアさんに渡すだなんて、さては入学前の話を忘れて、ナイフから闇っぽい力を感じたからってアリアさんに渡したな」

 

 過去は振り返らない前向きな性格、って言えば良い感じだし実際にそれが長所なんだし、あの子の自立の現れみたいな物だけどさ。

 ちょっと”ゴリラ”を悪い感じの意味で……いや、無いな、だって可愛い妹だから僕が何かフォローしてやれば良いだけだし。

 

 

 

「それにまあ、一応何かプルートの予知を欺くような仕掛けがあるのなら本人に聞けば良いだけだし……」

 

 正直言えば会いたいのと会いたくないのが……いや、会わせたくないのが半々だ。

 たとえ生まれ変わっても大切な家族なのには変わりないけれど、あの人は僕達の姉でもあるけれど、同時に人間を滅ぼそうとする女神でもある。

 リアスは素直に再会を喜んでいるけれど、出来る事なら妹の前では女神としての側面を出して欲しくは無いんだ。

 

「……どうなる事やら」

 

 敵には絶対に回したくない相手、絆の問題以外にも強さ、そして僕達以上に詳しい原作知識、向こうが僕達だけは姉として接しようとしている事だけが救いだけれど、それを受け入れる気は毛頭無い。

 

 まあ、どうにかするしか無いって何度も確認している事だけれど、飽きる位に。

 

 

「……所であれはどうしよう? 放置……かな?」

 

 今は朝から始まって昼過ぎに漸くランニングが終わったって頃、後から追い掛けて来た芋虫ゴーレムを操っていたアカー先生に芋虫が嫌いなアリアさんが詰め寄って居るけれど、誰も止める気配が無い。

 いや、だって目がマジの奴だから怖いし……。

 

 

「え? 何故芋虫なのか? 教えましょう! 芋虫とは美しい蝶になる為の前段階、つまり成長の可能性の象徴だと先生は考えています。だからこそ今回みたいな時には芋虫を模した姿にするんです」

 

 アリアさんは一見するとニコニコと何時もの明るい笑顔なんだけれど、目は明らかに笑っていない、それどころか一筋の光さえ感じられない闇そのもの……芋虫が本当に嫌いなんだって分かるよ。

 演技が崩れる程のストレスだったのかゴーレムを操っていた張本人に問いただすけれど、本人は分かっていてスルーしているのか、それとも分かっていないのか平然と芋虫を使った理由を話している。

 

「そうですか、私は芋虫が苦手でして」

 

 埒が開かないとでも思ったのか、先生と聞き耳を立てていた僕にギリギリ聞こえる程度の大きさの声で彼女は呟く。

 トーンは落とされ、普段の彼女とは真逆の印象を聞いた相手に与える物、アリアさんは演技を完全に忘れてていた。

 

「そうだったんですか? それは大変でしたね。じゃあ、次はもっと速く走って距離を取りましょうか。ルメスさんは体力や脚力はあっても体の動かし方が未熟ですし、戻ってからもその辺を頑張りましょうか」

 

「……はい」

 

 でもアカー先生は少しも動じる事が無かった。

 強い……ってよりは長年の教師生活による慣れって感じだ。

 見た目が少年の四十代、合法ショタとか(既婚者だから場合によっては不倫という違法行為だけれど)一部の変態生徒に騒がれても(それ程)動じた様子も見せず、闇属性のアリアさんにも平等に接する、それがマナフ・アカーって人だ。

 

 アリアさんも諦めたのか演技を再開すると肩を落としてトボトボと歩いて僕に横に座り込んだ。

 

 

「今頃になって芋虫に追われる恐怖が増しちゃいました。ロノスさん、暫く隣に座っても良いですか?」

 

「うん、好きなだけ隣に座っていて良いよ」

 

 ……所で思ったんだけれど”女難の相”って一体何が起きるんだろうか? 

 臨海学校中にネーシャを押し倒して服を脱がしてアリアさんとは色々とあってレキアとは混浴しちゃったし、少し怖くなって来た。

 

 

 

 

 

 この時、僕は油断していた、プルートの忠告を甘く見ていたんだ。

 わざわざ”女難”って忠告をする、その意味を理解していなかった……。

 

 

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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