ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい   作:ケツアゴ

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人魚のお願い

 成る程、人魚に特性を知っていても恋に落ちる人が居るだなんて信じられないって思っていたけれど、実際に目にすればそれ程馬鹿馬鹿しい話でもないのかも……と思わなくもない。

 海の中から顔を覗かせたのは海のように深い青色の髪をした人魚の少女、貝殻の髪飾りをして服は胸を隠すヒトデっぽい水着(?)。

 こんなのが下着や水着姿で路地裏を歩いていたら不埒な悪漢が襲い、そして食われて来たのだろう。

 

 

「……失礼な子だな」

 

 そんな彼女に対する第一印象はあまり良くない、僕をリアスと間違えた事が要因で、最悪じゃないのは妹が可愛いし双子だから仕方無いって感じかな?

 

 

 大体、昨日だってリアスは男と間違われた事を憤慨していたし、戻って話す途中で怒りが再燃したのか組み手を頼まれたんだ。

 そんな失礼を再び行っている人魚が何の用なのか、それは状況と言葉から何となく分かるんだけれど、一応警戒して崖の上から観察すれば、フリートの家の人も警戒した様子で武器に手を掛けていた。

 

「あのー! ……聞こえてないのかな?」

 

 健康的に焼けた小麦色の肌、そして立派な胸、好色な貴族が見れば観賞用にと捕まえそうなものだけれど、此方に呼び掛ける姿に警戒の色が見られないのは余裕なのか無知なのか。

 まあ、少しでも人魚について知っていれば敵対も厄介だと分かるだろうし、不干渉が最適なのだし、向こうの無警戒も分かるか。

 

 独自の魔法を使い海を自由に泳ぐ、そんな連中を敵に回せば船は沈められ港町は大打撃間違い無し、そして人食い故に友好的な関係は難しい。

 だからこそ関わりにならない道を選ぶ。

 でなければ危険なモンスターとして戦力が送られている所だ。

 殲滅しなければ、それは相手が相手だけに僕だって思う時があるけれど、逃げられてからの報復が怖いし、魅了の防御だってそれ程難しくも無い、恐怖が好意より勝っていればそもそも効かないし。

 

「よし! そっちに行きますねー!」

 

 呼び掛けを続ける人魚だけれど、このままじゃ埒が開かないとでも思ったのだろう、その手の平で海面に触れれば彼女の周囲だけ盛り上がり、崖の上まで昇ろうとしていた。

 

 これで完全に海に近寄れなくなったな、臨海学校なのに。

 もう、逃げ出した事になるからって理由で中止にしないの中止にすれば良いと思う、もしくは場所変更?

 

「関わりたくないし、僕の魔法で落ちて貰おうか。……四属性でも変異属性でもないんだからバレないだろうし、魔法を解除してさ」

 

 こう何時もみたいに魔法の魔力を解除して海にドボンとって感じで落ちている隙に……駄目かなぁ、駄目だよなあ。

 此処で有無に落として知らぬ存ぜぬで終わらせても解決しない、それは分かっているんだけれど……。

 

 

「気持ちは分かるが止めとけ。どうせ他で接触して来るだけだ。なら俺様達でどうにかすれば良いだけだろ」

 

 火で炙ったり風で飛ばしたり岩を落としたり水……は効果が薄そうだけれど、そんなあからさまな攻撃じゃないなら問題が無いのかと思ったけれど、フリートだって面倒そうな顔をしているし、魅了されないように警戒しながら相手をして、その上で諦めてお引き取り願うしかないか。

 

「はぁ……」

 

 楽しい臨海学校は何処に行ったのやら、初日から襲撃があって、人魚にまで関わって、……自分の屋敷の庭でポチとお昼寝でもしていたい気分だよ。

 

 

 

「初めまして! クアアはクアアっていうの。あっ、食べようとかそんな気はないから安心して!」

 

 水柱を崖の高さまで伸ばした人魚は僕達の前目掛けてジャンプ、着地するなり右手を高々と上げて名乗って来た。

 態度は友好的、見た目は美少女、服はもう服ってレベルじゃなく、ヒトデみたいなのを貼り付けているだけだしクアアが動く度にユッサユッサ揺れる、詰まってますよって重量感だ。

 おっと、それは重要な事じゃ無い、今は頼み事の確認をしよう、どうせ争いになった時の助っ人とかだろうけれどさ。

 

 

「うへぇ……」

 

 そんな彼女を前にして露骨に嫌そうな顔をするフリート、気持ちは分かる、一人称がどうとか以外にポヤヤンってした顔で、とても下手すれば部族間の争いになりそうって緊張感も感じられない子で……まあ、ちょこっと頭が悪そうな感じだった。

 

「それで君は何をしに……いや、その前に教えて欲しいな。君はセイレーン族? それともウンディーネ族?」

 

「? クアアはセイレーン族だけれど、それがどうにかしたの?」

 

 質問の意図が分からない、そんな風に首を傾げるクアア、表情を見る限りじゃ嘘ではないか。

 何でこんな子がやって来たんだと思ったら、もしかして罠じゃないのかって疑念は培った観察眼が否定する、否定してしまったんだ。

 

「此処まで来ると演技じゃねーの? こんなのが使者とか有り得無ぇだろ。馬鹿の極みか舐めてるって所だ」

 

 フリートがボソッと呟き、僕もそれに同意したい、自分の観察眼を否定したくなったのは本当に久々な気さえして来たよ。

 いやまあ、神獣将って色々と変なのが居るし、ギャグ担当のサマエルとか、オカマ……じゃなく水着コートのラドゥーンとか。

 

 あれ? 何故ラドゥーンにオカマって思ったんだろう?

 どう見ても女……だよね?

 

「それでねそれでね、クアアのお願いを聞いてくれたらお礼して上げるよ! リアスの所に案内して欲しいな!」

 

 またもや勢い良く挙手して頼み事を口にするクアア、少し幼さを残す顔付きで言葉選びも子供っぽいけれど、見えた口の中の歯はギザギザで肉を食うのに適した形状、肉食獣に多く見られる物だ。

 

 上半身が人間で言葉が通じる、それで警戒を解いてはいけない相手だと、実物を目の前に置いてみて実感出来た。

 

「リアスに何のお願いか教えてくれるかい? じゃないと兄として君を会わせる訳には行かない」

 

「えっとね、長が言うには争いが避けられそうにない上に、ウンディーネ族にはクアアの友達が居るんだけれど、凄く強い助っ人を呼んだんだって! 人魚の部族同士の戦いって一人だけ部外者を呼べるの」

 

「……成る程」

 

 結論、此奴は嫌いだ。

 強い敵を相手するのが怖いから、昨日会ったばかりのリアスの力を借りたいだなんて正直言って腹立たしい、今すぐ海に蹴り落としたい気分を抑え、平静を装いながら頷いた。

 

「そんな話だったらお断りだ」

 

「えー!? 誰か怪我しちゃうだろうから助っ人が必要なの。クアア、ちゃんとお礼はするよ? えっとね……会わせてくれたらキスしてあげる」

 

「要らない」

 

 出掛けた先が偶々人魚の隠れ里だった、それは良い。

 其処で男と間違えたお詫びにナイフを貰った、それも良いだろう。

 

 だが、人魚同士の争いに介入する、それは駄目だ。

 人間を食う本能を憂いている? それを克服する為の結界を用意した?

 それをどうやって証明する?

 

「君は何か勘違いしているみたいだね。別に親しくもない相手とのキスじゃ、その要求には釣り合わない。意味の無い交渉を望む暇があるのなら争い回避に尽力すべきだ」

 

「え? 何で何で? 人間からすれば人魚って可愛い子や綺麗な子ばっかりだってクアア知ってるよ?」

 

 敵意が無い、仲良くしたい、そんな意思を告げられたとして、ホイホイと信じて良いのは個人レベルでの話、周囲は無関係だって幾ら言っても意味が無い立場の者だけ……この臨海学校に参加している生徒も教師も誰一人として条件には当てはまらない。

 

 

 人魚同士の争いは人魚同士でどうにかしてくれ、それが僕の意思だ。

 

「ぶー! ケチ! そんなんじゃモテないよ? ……エッチな事をしても良いよ? ほら、結界については知ってるんだよね?」

 

「ケチで結構、コケコッコー、だ。それにケチだろうと僕はモテるから平気だよ?」

 

 ……あっ、フリートが”確かにそうだが自分で言うか?”って目で見ている、辛い!

 

 

 

 

 

 

「で、でも、争いになったらウンディーネ族は男の人に魅了(チャーム)を使うと思うよ!? だって人魚は……」

 

「……強い相手と交わり、その肉を食う事で大幅なレベルアップ(肉体の質の向上)が出来る、だね?」

 

 ああ、それが本当に面倒だ……。

 

アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません

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